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固有名詞は可能な限りWikipediaに準ず

スルタンのぶち犬 ATU425B+ATU313
「シルクロードの民話 パミール高原」 106-126p

 予言によって定まった夫に親が不満を持つ点は「牧童と商人の娘」的である。聟が犬である点は東アジア的か。
 瓜子姫的な入れ替わりの要素はあるが、中途半端に完結し、二人の女性のうち、どちらかが死ぬような残酷な結末はない。人には言えないことを石に向かって述べる、という独特のエピソードがある。
 主人公は眠っているが、女主人公が頭を洗うと目覚める。(女主人公によって蘇生する。)
 主人公には、夜になると犬になるという秘密がある。女主人公が皮を処分すると、夫との仲は破綻して、夫は失踪する。(再度の死を意味する。)
 女主人公は失踪した夫を探し出す旅に出る。女主人公の立場が変化する(夫を得るきっかけとなる)場面で池や水が登場する点は「たまご姫」、「白檀の木」に通じる。原型となった物語では女主人公は鳥女房的な女神だったのではないだろうか。
 女主人公は姑の試練を夫の助けによって乗り越える。この点はクピードーとプシュケー的である。
 最後は魔法のアイテムを使用した呪的逃走である。櫛が植物に変化して女主人公と主人公を助ける点は「英雄ディックベール」、「紡錘むすめ」と共通している。
 逃走の際、姑と妹が石を抱いて川に沈んでいくエピソードは「英雄ディックベール」、「サルのよめ」「山男」と共通している。
 
 女主人公は2回主人公の蘇生(呪いを解く)を助け、主人公は1回女主人公の蘇生を助けている物語といえる。導入部分は瓜子姫的物語、「兄その他を探す乙女」のうち、前半は「ハンナハンナとテリピヌの神話」的な物語、後半は「クピードーとプシュケー的」物語で、主に三つのエピソードが組み合わさった物語と言える。個々のモチーフの類話も多岐にわたる。様々な文明の十字路であるシルクロード的な物語といえる。

#民話 #ウラテューベ #予言 #槃瓠 #瓜子姫 #皮処分 #大理石 #ゲイと嫦娥 #兄その他を探す乙女 #テーセウスとアリアドネー #池 #水 #指輪 #姑 #クピードーとプシュケー #櫛 #鏡 #砥石 #魔法のアイテム #川 #川と石 #魔女の息子 #呪的逃走

by admin. 民話 <977文字> 編集

山のこびと ATU311
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 309-318p

 「山のこびと」とは青ひげのような存在である。大金持ちであり、「見るな」の禁忌を持つ。
 逆にこびとが荷物を運ぶ際は、こびとに「見ている」と労働を促すようになっている。
 女主人公は老人と叡智と複数の助け手によりこびとを倒し、とらわれている人々を解放する。
 池におちるフリをするモチーフは「ガマとサル」にもみられる。「石と川」の変形であろうか。
 女主人公が自ら問題を解決する点は「サルのよめ」が類話である。

 類話は「青ひげ」である。

#民話 #レートロマン #こびと #シヴァとサティー #見るな #禁忌 #金の飾りピン #見ている #怪物退治 #蜂起 #おじいさん #オーディン  #池に落ちるふり #川と石 #人身御供 #罰を受ける女神 #炎黄闘争 #妹による救出

by admin. 民話 <398文字> 編集

サー・トパスのロマンス
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 70-71p

 「サー・トパスの物語」、『カンタベリー物語』(The Canterbury Tales)に含まれる。作者はジェフリー・チョーサー(Geoffrey Chaucer)、14世紀に書かれた。

 高潔なサー・トパスはエルフの女王を愛すると決めてフェアリーの国を探し求めた。フェアリーの国は見つかったが、そこには人っ子一人いなかった。

というあらすじの物語で未完である。未完である。「天国の恩恵はたやすく手に入らない」という皮肉が込められた話が予定されていたのであろうか。
 
#伝説 #イギリス #いなくなった妻を探す夫 #獣の王 #ロマンス #カトリック

by admin. 伝説,英雄名 <316文字> 編集

アブラハムとアブラメッサ ATU2030
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 305-309p

 語る言葉がどんどん増えて、ドミノ式に解決する物語。言葉にして読むよりも、語り手が巧みに語ることそのものを楽しむ物語といえよう。

#民話 #レートロマン #ドミノ式 #こけもも #狼 #犬 #かかし #火 #水 #牛 #皮でできた縄 #鼠 #猫 #お婆さんと彼女の豚

by admin. 民話 <188文字> 編集

恋の試練
「シルクロードの民話 パミール高原」 106-126p

 頭蓋骨の粉をなめて懐胎する、という不思議な導入部分である。頭蓋骨の正体は物語中では明らかにされない。冥界神が変化したもの、といえようか。破られてしまうが「見るな」の禁忌がかかっている。頭蓋骨の息子である主人公は半神半人的であって、あっという間に成長する。
 主人公と女主人公が歌を交わすところは、アジア的な「歌垣」の文化を思わせる。
 一方、女主人公はとびらの中に住んでいることが強調されたり、人をしびれさせる薬を持っていたりする点から、「冥界の女神」が変化したものであることが窺える。主人公は難題(労働、謎解き)を課せられるが、切り抜ける。

 主人公は女主人公と結ばれる前に別の女性を押しつけられそうになるが、丁重にお断りする。この点は、最初の2人が殺されているわけではないが、シヴァとサティー的神話が変化したものであろう。男性の側にも女性に対して強い誠実さを求めるところがイスラム的な文化の良いところだと思う。


#民話 #アフガニスタン #禁忌 #見るな #頭蓋骨 #処女懐胎 #歌 #テーセウスとアリアドネー #シヴァとサティー #難題聟 #謎解き

by admin. 民話 <515文字> 編集

金髪の姫
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 297-305p

 女主人公は上位の女神(貧しいおばあさん)を侮辱して呪いをかけられる。その結果、風に乗って空を飛べるほど痩せ細ってしまう。「変身」的な要素であるが、全く別の存在に変わってしまうわけではない。イメージとしては蝶を暗喩しているのかもしれない。アテーナーとアラクネー的な展開である。
 女主人公が風にさらわれる点は、「風の神のおよめさん」を連想させる。明確に「風の神にさらわれた」とはされていないが、そのようなクピードとプシューケー的な要素の片鱗が認められる。
 女主人公は、海の向こうに飛ばされる「竜宮」型の失踪を遂げる。女主人公が失踪するまでが、一つのドラマティックな物語として成立している。女主人公が嵐の中、戻ってくるという展開は「季節の変わり目」を連想させ、季節の変化による植物(でなければ植物の化身である女神)の変化の神話が根底にあるのではないか、と思う。ただし、植物信仰の要素はほとんど残されていない。

 主人公は女主人公を求めて探索を始めるが、老人の助力を得て、かつ「小さいパイプ」の魔力で問題を解決する。物質の精霊のおかげで問題が解決できるのは「魔法のランプ」型である。

 全体としては「失踪した女神を連れ戻す話」が元にあり、それが崩れたのみならず、独自に文芸的な展開をしている物語だと感じる。アテーナーとアラクネー的な展開だったり、逃走に馬が重要な役割を果たすなど、南欧の神話の影響が強い物語といえるか?

#民話 #レートロマン #塩 #胡椒 #変身 #予言 #メドゥーサ #セクメトの失踪 #いなくなった妻を探す夫 #風 #竜宮 #試練 #老人 #オーディン #小さいパイプ #魔法のランプ #鷲 #怪鳥 #天馬 #白馬 #女神

by admin. 民話 <762文字> 編集

漁師と魚 AT302+AT316
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 274-297p

 「怪物退治」譚の2つのパターンが組み合わさった物語。
 一つは、魚の怪物と対峙する物語、もう一つは竜と対峙する物語である。魚の怪物は倒すわけではない。どちらの対決も、動物神と女主人公双方の助けを得ている。

#民話 #レートロマン #不知の子 #禁忌 #海 #熊 #蟻 #烏 #動物神 #変身 #竜 #龍 #怪物退治 #秘密の急所 #蛇の卵 #テーセウスとアリアドネー #歌 #卵の中に隠された鬼の(悪魔の)心臓 #水車池の女の水の精霊

by admin. 民話 <269文字> 編集

幽霊床屋 ATU326+ATU1645
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 279-294p

 主人公が旅に出る動機が自らの浪費と借金の取り立て目的である点は近現代的な設定といえる。
 全体としては「怪物退治」の変形版だが、「結婚」を手に入れるためには、怪物退治ではなく、呪いのかけられた幽霊の魂の救済が必要とされる。神父を冒涜すると呪われる、とか、神に仕える者がそんなことをして良いのか、とも思うがキリスト教に対する畏怖の念を植え付けるには充分であろう。
 最後に宝を手に入れたのみならず、借金の取り立て問題まで解決できたところは、キリスト教に対する信仰のおかげ、という分かりやすい説話譚といえるか。

#民話 #レートロマン #正体不明の助け手 #林檎の木 #こびと #幽霊 #義足の男 #オーディン #謎解き #叡智 #呪い #橋 #カトリック #怖さとは何かを知りたがった若者 #宝は自分の家にあり

by admin. 民話 <409文字> 編集

甥と叔父
「シルクロードの民話 パミール高原」 86-106p

 主人公と女主人公が上位の者と対立して町を追い出されるところは「ゲイ流譚」型といえる。
 女主人公が魔人の側について、兄を殺そうとする。「怪物退治」のうち、ティアマト型といえる。自ら生んだ息子に殺される点も、マルドゥクとティアマトの関係を連想させる。魔人が穴の中に封印されていた点は、元は「冥界神」だったことの暗喩といえる。
 甥が叔父に代わって戦い、魔人を倒したり、花嫁を得る点はまさに「ジークフリート型」といえる。
 
 本来的な物語が「テーセウスとミーノータウロスとアリアドネー」だったとすれば、本来は女主人公と魔人が兄妹(あるいは姉弟)という関係であって、外からやってきた主人公(本物語では「兄」)の方が略奪婚の当事者だったといえるのではないか、と思います。私は、民話を考察する際に女主人公から見て「兄弟」と「夫」の区別はあまりつけません。なぜなら、古代の特に母系社会ではイシスとオシリスのように、兄妹であって夫婦である、ということは珍しいことではなく、むしろ家の財産を守るためにはその方が妥当であった、という文化があるからです。日本の古代の天皇家も、異母兄弟で結婚して天皇、皇后となり、皇族でなければ皇后として認められなかった、という時代がありました。そこには現代的に「兄弟」と「夫」を区別する文化はありませんでした。古代日本の「妹」という言葉は、妻を指す言葉でもあり、妹を指す言葉でもあったのです。また、通い婚である母系社会では、夫は複数いて当然ですので、女性の不貞という概念がなく、その点も現代と異なります。そのように考えると本物語の「甥」は、本当は魔人の子供なのか、兄の子供なのかも分からない、ということになります。子供が主人公のことを愛して、父親だと感じていたのであれば、血のつながりに関係なく主人公の側につくことは母系社会的にはあり得ること、と思います。ただし、本物語では「甥」は魔人の血を引いた半人半神のような英雄であり、正義に味方する若き神のような存在ですので、そういう点も「正義の神」であるマルドゥクを連想させます。そして、当然イスラム文化の影響を受けている物語ですから、イスラム的には女主人公の死は「名誉殺人」的な概念となるのかなあ、と思います。(身内を裏切って、身内の賛成しない男と仲良くなって正式な結婚もせずに、事実上の夫婦となっているわけだから。ただし、民話としてはそのような女主人公の行動も古代の女神の名残のように思われます。)

 ジャムシード王は伝説的な古代ペルシアの王と言われていますが、インド神話のヤマ(閻魔)、北欧神話のユミルと同語源であると言われています。ジャムシード王の尽きせぬ宝がどこかの洞窟に隠されている、との考え方は、「さまざまな鉱物資源(尽きせぬ宝)を体内にため込んでいるプタハのような大地(冥界)の神」を連想させ、少なくとも民間的にはジャムシード王のことを、「宝物をため込んでいる冥界の王」と見なし得るような口頭伝承があったのかもしれない、と思うと、ジャムシード王からヤマへの変遷が感じられて興味深く思います。

#民話 #タジキスタン #ゲイ流譚 #怪物退治 #ティアマト #怪物尊重 #ジークフリート

by admin. 民話,神話 <1383文字> 編集

不実な女
「シルクロードの民話 パミール高原」 81-86p

 主人公である王が妻の不実(事実上の不貞)に気がついて行動を起こす点は「アラビアンナイト」の導入部分と良く似ている。「アラビアンナイト」では、主人公は不貞を働いた女主人公を殺し、それだけに飽き足らず次々と女性を娶っては殺す、という「復讐婚」的な暴君へと変化するが、本物語では、妻を檻に閉じ込めたところで物語は終わる。
 「閉じ込められた妻」は「冥界に閉じ込められた(=死)」を暗示させるが、直接的な死としては語られない。直接的な死の表現がないところは、ペルセポネーのような「冥界の女神」への変化をも暗示させるか。
 不倫妻が愛人に入れ込んで夫を殺そうとする(夫に不幸をもたらそうとする)点は、「アーサー王とグィネヴィア」を連想させる。神話としては「ネミの森」的といえよう。古代の冷酷な豊穣の女神にとっては、夫は「年老いている」というだけで、捨て去る正当性が生じるからである。
 妻を閉じ込めた後、主人公が「聞くな」の禁忌を持つ存在へと変化するのは「王様の耳はロバの耳」を連想させる。蛇王ザッハークとの関連が示唆される。「女主人公が交替しない」という点では、シヴァとサティーの不完全な形と言える。

 全体としては「ネミの森」的な人身御供を求める女神信仰と、シヴァ的な「妻の人身御供」を求める男神信仰が混在している物語で、不貞を嫌うイスラム的な思想が二つを纏めている物語といえると思う。「怪物退治」譚として見た場合には、退治されるのは女性であり、えん罪ではないので、神々を殺そうとしたティアマト的といえる。

#民話 #タジキスタン #馬 #聞くな #禁忌 #怪物退治 #馬 #ティアマト #閉じ込められている乙女 #不倫 #アルテミス #ザッハーク #鉄の棒

by admin. 民話 <761文字> 編集

美しい娘
「シルクロードの民話 パミール高原」 68-81p

 主人公が家を出る下りは「ゲイ流譚」的である。
 女主人公に「見るな」の禁忌があり、閉じこもった暮らしを送り、彼女の怒りを買ったものは死に至る、という点は「王女のハンカチ」と共通する。
 略奪婚を試みる悪しき王の結末は、「怪物退治」の一型といえる。女主人公の助力がある点で、「テーセウスとアリアドネー」型の物語といえる。この物語では女主人公ではなく、主人公の方が鳥に化生する。馬との関連もわずかであるが示唆される。女主人公は杏と関連づけられる。
 当人の姿以外のものが異性の心を捉えるという点は、日本の「髪長姫」を連想させる。

 参照:絵姿女房

#民話 #中国 #絵姿女房 #見るな #禁忌 #怪物退治 #鳥 #馬 #杏 #植物 #テーセウスとアリアドネー #ゲイ流譚 #閉じ込められている乙女 #略奪婚

by admin. 民話 <463文字> 編集

王女のハンカチ ATU892
「シルクロードの民話 パミール高原」 52-67p

 女主人公が「7つの扉のついた地下室」に住んでいる点は、明らかに「イナンナの冥界下り」と共通したモチーフと思われる。イナンナが下る冥界にも7つの扉がある、とされる。この点の類話は「山のなかに閉じこめられた王女」である。
 神話では、イナンナは姉エレシュキガルの支配する冥界を「自分のもの」と考えて下り、そこで冥界の女王である姉の怒りを得て殺された、とされるが、それはイナンナとエレシュキガルが「一体となったことを示している、とも解釈できる。少なくとも、本作の女主人公はイナンナ的ではあるが、冥界を住処としており、エレシュキガルともいえる性質を併せ持つ。彼女の住処に許しなく踏み込む者は、そこは「冥界」であるので、当然のように死ぬ。

 一方、女主人公の夫は、父王の怒りを受けて旅に出る。これは「人身御供」の象徴ともいえるが、物語的には、「上位の者の怒りを得て、主人公が流転する」という点で、中国のゲイ神話、日本の日本武尊を思わせる。なにがしかの禁忌を破って、異界を流転する夫とそれを再生させようとする妻、という点ではエンリルとニンリル的でもある。

 えん罪であるけれども、女主人公が夫を裏切った(ように見え)る、という点は、テーセウスとアリアドネーの神話が根底にあり、「二人が何故決裂したのか」という点について、アリアドネーの側にえん罪といえる理由があったのではないか、という理由付けの物語のようにも思える。

 夫以外の男が妻にちょっかいを出しており、それが原因で争いが起きる、という点は、ラーマヤーナ的な「略奪婚」の要素であると思う。従って妻を略奪した「怪物」は最終的には退治されるが、この物語では怪物を倒すのは、妻自身となっており、とても強いヒロインの物語といえる。妻の貞節を賭けて騙される話

 妻が夫を男装して捜し求める点は、「兄たちを探す乙女」の変形版といえる。

 全体としては、テーセウスとアリアドネーの物語のモチーフが一番強く、そこに「妻のえん罪」という要素が大きく関わる物語といえます。でも、本作の「妻」はイスラム圏の物語なのに、こんなに女性が強く、魔女的で、物語の主導権を握る存在であっていいのだろうか? と異教徒の私の方がむしろ思うくらい、女主人公の行動力と活躍が強く前面に出ており、夫を勝たせるのか、略奪者を勝たせるのか、それは「女神の恩寵次第で決まる」という、「ネミの森」のような太古の女神信仰の影響が強く残されている物語だと感じます。日本武尊の物語でも、日本武尊の人生を左右する存在として伯母の倭姫が大きく関わってきますし、大国主命は貝の女神に命を再生させて貰います。ゲイ神話的に主人公が流転するモチーフは、東アジア的な要素だと思う。ゲイもまた、妻の嫦娥に振り回される存在でもあります。しかも、テーセウスとアリアドネーのように、ゲイと嫦娥も決裂します。ゲイと嫦娥の神話が西に広がって、テーセウスとアリアドネーの物語に変化する過程で「えん罪」という要素が独自の形で入り込んできた物語といえるのかもしれないと思います。
 
 女主人公が「見てはならない」(当人の魔力によっても「見ることができない」)存在である点も、太古の女神の姿を彷彿とさせると感じます。これは「鶴の恩返し」とも共通のモチーフです。

 類話は「美しい娘」である。
 

#民話 #タジキスタン #イナンナとエレシュキガル #エンリルとニンリル #ハンカチ #絵姿女房 #見るな #禁忌 #怪物退治 #男装流譚 #鳥 #天人女房 #テーセウスとアリアドネー #ゲイ流譚 #えん罪 #妻の貞節を賭けて騙される話 #兄その他を探す乙女 #閉じ込められている乙女 #王の子どもたち

by admin. 民話 <1585文字> 編集

善行の報い
「シルクロードの民話 パミール高原」 29-52p

全体の流れは「3人男」の変形版といえる。
3人の男性が流転する点、最後に「幸せな結婚」が一人の男だけに訪れる点である。西欧の民話によく見られる「末子成功」の型ではない。その点は東洋的といえると思う。
妻が略奪される点、最終的に救い出す点は、「ラーマヤーナ的」といえる。いわゆる「怪物退治」の変形版である。
主人公が隠者的(獣の王)な生活を経て、人としての再生を得る点は、オルフェウス的でもあるし、ギルガメシュ叙事詩のエンキドゥを思わせる。あるいはシヴァの原型と言われるインダス文明のパシュパティを彷彿とさせる。
息子の一人が川に流される、という点は「人身御供」を思わせる。これが転じて、サルゴン大王やモーセの伝説が派生しているように思われる。
優れた医者が死者を生きかえらせる能力をも持つ、という点はアスクレーピオス神話を思わせる。地中海周辺に発達したこの神話は、イエス・キリスト神話に受け継がれるように思う。人が神の領域に踏み込むような能力を持つことの是非を問うような深い考察を伴うギリシャで語られるアスクレーピオス神話とは異なり、単純に遠い異世界(ローマ)での、夢のような憧れの出来事として、アスクレーピオス神話の片鱗は登場する。元々はオルフェウス的な神話だったものが、キリスト教の影響を受けて変化したものか?

 このように、洋の東西の様々な民話や神話のモチーフがちりばめられながら、最後に主要な登場人物全てが「めでたし めでたし」となるところが、神話や民話を越えて、「文芸作品」と呼ぶに相応しい物語といえると思います。
距離的に近いせいか、全体としてはインド神話との共通のモチーフ(思想)が多いように思います。
全体としてはイスラム的な文化の影響を受けている平和的な民話ですが、アスクレーピオス神話(しかもローマが出てくる)がちょこっと絡む点が、微妙にカトリックの匂いがする、と個人的には思います。

 おそらく、「死者を生き返らせる」という思想は、
  英雄の技 → 隠者の技(獣の王、オルフェウス等) → 医者の技(アスクレーピオス) → キリストの技(キリスト教外ではミトラスの技?)
と変遷しているのだと思われる。

#民話 #中国 #難題聟 #3人男 #ラーマヤーナ #怪物退治 #獣の王 #鷹 #鳥 #川 #人身御供 #アスクレーピオス #蘇生型 #オルペウス教 #カトリック

by admin. 民話 <1031文字> 編集

ハンナハンナとテリピヌの神話

女神ハンナハンナが行方不明になったテリピヌを探し出して目覚めさせた、というヒッタイトの神話である。
兄たちを探す乙女」の神話的起源に一番近い物語ではあるまいか、と思う。
語源的にも、ハンナハンナはメソポタミアのイナンナ、テリピヌはドゥムジと同一であると思う。

#神話 #トルコ #ヒッタイト #イナンナとドゥムジ #兄その他を探す乙女

by admin. 神話 <186文字> 編集

魔女のスゥィーレ・ワールダ
「ソヴィエト諸民族民話集」 220-231p

 瓜子姫と天邪鬼的な物語。結婚に関する物語ではなく、「兄たちを探す物語」となっている。
「兄達」は柳の化身であるので、元はタンムーズやアッティスといった植物の化身の神話の男神と同じものといえる。

#民話 #モルドバ #イナンナとエレシュキガル #柳 #植物 #瓜子姫 #分身 #涙 #お母さん #ホレのおばさん #兄その他を探す乙女

by admin. 民話 <205文字> 編集

メリケン粉人形
「シルクロードの民話 パミール高原」 26-29p

「イナンナとエレシュキガル」の変形版。
女性と麦が同一視されている。元は植物と豊穣の女神に関する神話が、イスラム的な文化の影響を受け
女神が流転したり、直接豊穣をもたらしたりするエピソードが変形して、家庭内(家庭円満)のささやかな
悪意のない呪術の物語へと変化したものと思われる。
結婚に関わる物語である点は、瓜子姫的な要素の片鱗を思わせる。
男性を軸として、妻が入れ替わる物語は、シヴァとサティーとパールヴァティーの関係を思わせる。
西欧の類和としては「青ひげ」がある。

#民話 #ウズベキスタン #難題嫁 #イナンナとエレシュキガル #小麦 #植物 #分身 #シヴァとサティー

by admin. 民話 <326文字> 編集

かじ屋の娘 ATU875+ATU885
「シルクロードの民話 パミール高原」 14-26p

「難題嫁」「呪的逃走」「イナンナとエレシュキガル」の変形版。
人身御供を伺わせるのではなく、男が復讐のために結婚する、というモチーフは「アラビアンナイト」に通じる。
女性の流譚という意味では、鉢里公主的である。「兄たちを探す乙女」の変形版と思う。
女性が男性の苦難を助ける、という点ではテーセウスとアリアドネー的でもある。

#民話 #タジキスタン #難題嫁 #イナンナとエレシュキガル #アラビアンナイト #男装流譚 #復讐婚 #兄その他を探す乙女 #テーセウスとアリアドネー #賢い百姓娘 #冗談の結婚式

by admin. 民話 <301文字> 編集

大麻を吸う男 ATU945
「シルクロードの民話 パミール高原」 3-14p

「難題聟」「眠り姫」の変形版。物語が「入れ子」になっている。「アラジンと魔法のランプ的」でもある。
入れ子物語:2つある:いずれも、3人男的、「難題聟」の変形版。

#民話 #タジキスタン #難題聟 #眠り姫 #3人男 #大麻 #魔法の大釜 #水パイプ #像 #物の精霊 #王女出題 #謎解き #叡智 #幸運と知性

by admin. 民話 <197文字> 編集

勇敢なメルゲーン
「ソヴィエト諸民族民話集」 256-271p

 主人公が弓の名手である点は射日神話である。悪しき魔女を倒す点は、マルドゥク的か。

#民話 #ナナイ #怪物退治 #秘密の急所 #鳥女房 #末子成功譚 #鴨 #鳥 #巨人 #こびと #弓 #射日神話 #おばあさん #ティアマト #火 #おじいさん #オーディン #炎黄闘争 #O1b2

by admin. 民話 <176文字> 編集

ころころまめきち
「ソヴィエト諸民族民話集」 238-255p

 「怪物退治」譚。「食べ比べ」的なエピソードがあるが、「力くらべ」の変形といえる。

#民話 #ウクライナ #魔法使いの弟子 #怪物退治 #竜 #龍 #食欲 #怪力 #鉄の棒 #末子成功譚 #豆 #植物 #略奪婚 #豚飼 #牛飼 #馬飼 #力くらべ #オーディン

by admin. 民話 <164文字> 編集

とんち靴屋
「ソヴィエト諸民族民話集」 232-237p

 「怪物退治」の変形版、「叡智」が職業と関連させて語られるタイプ、西欧では「仕立屋」が多い。

#民話 #ジョージア #職能型 #靴屋 #怪物退治 #叡智 #聖ゲオルギウス

by admin. 民話 <116文字> 編集

とくさむすめ
「ソヴィエト諸民族民話集」 209-219p

 瓜子姫と天邪鬼的、輪廻転生の物語でもある。
 ハイヌウェレとはエレシュキガルの登場しないイナンナの物語といえる。
 類話は「うりひめ」、「たまご姫」、「白檀の木」、「のろいをかけられた花嫁」、「悪魔の難題」の後半部分である。

#民話 #ヤクート人 #砥草 #植物 #瓜子姫 #ホレのおばさん

by admin. 民話 <204文字> 編集

商人と下男
「ソヴィエト諸民族民話集」 198-208p

「怪物退治」の変形版。下男から逃げだそうとするのは主人の方である。主人の立場からいえば、いくら良く働いてくれても下男の方が迷惑な怪物といえる。
 類話は「鉄のハンス」。

#民話 #ロシア #3人兄弟 #下男 #怪力 #商人 #怪物退治 #ティアマト #悪魔 #追い払い失敗

by admin. 民話 <167文字> 編集

美しい白樺
「ソヴィエト諸民族民話集」 191-197p

 「雪のように白い石」が類話といえるのではないだろうか。
 「くまと柴かり老人」は物語の構成が類話といえる。

#民話 #ウドムルト共和国 #白樺 #樹木信仰 #熊

by admin. 民話 <119文字> 編集

風の神のおよめさん
「ソヴィエト諸民族民話集」 178-190p

 クピードとプシューケー的な男神との婚姻譚である。ニンリル的でもある。最初の2人の妻が殺される点はシヴァとサティー的である。
 女主人公が家族のために家を出る点は鉢里公主的といえる。
 風神コトゥーラとは、スラブのぺルーンあるいはゲルマンのトールに相当する神か?
 「美女と野獣」の類話と考える。

 参考:美女と野獣

#民話 #ネネツ族 #難題嫁 #人身御供 #鉢里公主 #シヴァとサティー #美女と野獣

by admin. 民話,神話 <239文字> 編集

ずるいアルダール・コセーとけちなシガーイ旦那
「ソヴィエト諸民族民話集」 165-177p

 アルダール・コセーはカザフ民話で愛される主人公、とのこと。
 「難題聟」の変形。逃げ出す手段は遊牧民らしく馬である。突如として消えてしまうところが「魔法的」といえる。

#民話 #カザフスタン #呪的逃走 #馬 #運搬動物 #難題聟 #叡智 #ポセイドーンとアムピトリーテー #吝嗇

by admin. 民話,多エピソード保有人名 <189文字> 編集

貧乏神
「ソヴィエト諸民族民話集」 159-164p

 前半は家に取り憑いた怪物(貧乏神)を封印して追い払う物語。
 後半は瘤取り的物語。金持と貧しい百姓が入れ替わる。「触らぬ神に祟りなし」的な物語。
 「こぶ取り」的な類話としては「おばりてなあ」、「背中にこぶのある仕立屋の話」、「ネズミ浄土

#民話 #ウクライナ #貧乏神 #怪物退治 #追い払い #封印 #叡智 #聖ゲオルギウス #火 #怪物退治 #オシリスとセト #こぶ取り #家付精霊

by admin. 民話 <237文字> 編集

地主が馬になった話
「ソヴィエト諸民族民話集」 154-158p

 下男達の助け手となる男神がペルーンであることが明らかになっている物語。
 前半は地主=怪物的な物語で、ペルーン(物語中ではペコルーン)が問題解決をしてしまう。物語の主人公はペルーンといえる。
 後半は馬に変えられた地主がキャベツを食べて再生する話で、キャベツを捧げられる馬の神のような扱いになっている。地主は家畜の神であるヴォーロスの化身といえようか。地主(ヴォーロス)は再生されると新たに結婚生活をやり直すわけで、結婚の復活も神らしい結末と言える。
 「馬を恐れない」という禁忌は明確な言葉では現れないが、下男達の容赦ない態度から暗喩される。タフムーラス型といえる。

#民話 #ラトビア共和国 #馬 #禁忌 #タフムーラス #食事 #恐れ #おじいさん #ペルーン #ヴォーロス #聖ゲオルギウス #地主 #怪物退治 #変身 #キャベツ #植物 #吝嗇

by admin. 民話,神話,神名 <413文字> 編集

怠け者のシェイドゥルラー
「ソヴィエト諸民族民話集」 147-153p

呪的逃走の変形版(パロディ-)。

#民話 #アゼルバイジャン共和国 #愚か者 #狼 #林檎 #魚 #愚か者 #呪的逃走 #賢人 #オーディン

by admin. 民話 <108文字> 編集

金のかめ
「ソヴィエト諸民族民話集」 138-146p

 姥捨山的
 類話は「親捨て山」。

#民話 #ブリヤート共和国 #鹿 #牛 #狩人 #姥捨山 #謎解き #泉 #火

by admin. 民話 <87文字> 編集

悪魔の難題
「ソヴィエト諸民族民話集」 112-137p

 前半は「テーセウスとアリアドネー」型の物語。
 後半は「うりひめ」、「たまご姫」や「とくさむすめ」、「のろいをかけられた花嫁」、「白檀の木」に通じる話である。
 神馬に関して「恐れないこと」が禁忌とされるのはタフムーラス型である。
 超常的な者にキスされると、ある意味正気ではなくなる、という点での類話:底革のハンス

#民話 #ベラルーシ共和国 #唾 #悪魔 #魔法使いの弟子 #難題聟 #呪的逃走 #不知の子 #鶏 #羊 #川 #馬 #恐れ #タフムーラス #鳥 #白樺 #柳 #樹木信仰 #おばあさん #ホレのおばさん #小麦 #テーセウスとアリアドネー #変身 #怪物退治 #禁忌 #キス #瓜子姫

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角のある王様
「ソヴィエト諸民族民話集」 106-111p

 ザッハーク的、笛が独自の魔法のアイテムであるところは「オズボーンの笛」と共通、「王様の耳はロバの耳」とも似ている。

#民話 #バシコルトスタン共和国 #3人兄弟 #笛 #母乳 #末子成功譚 #ザッハーク #怪物退治 #見るな #弓 #樹木信仰 #角 #蜂起 #秘密の暴露

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仕立屋とくまと小鬼
「ソヴィエト諸民族民話集」 99-105p

 ブレーメンの音楽隊的、3人兄弟的だが、異種の3人組(仕立屋、熊、子鬼)であるところが特徴的。
 怪物退治に菩提樹が関わっている点は、女神でも男神でもないので、「樹木信仰」の一形としました。

#民話 #タタール #3人兄弟 #仕立屋 #熊 #妖怪 #怪物退治 #笛 #菩提樹 #樹木信仰 #ブレーメン #獣の王

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麻布とくしゃみ
「ソヴィエト諸民族民話集」 93-98p

 蘇民将来的。病気に関してではなく、報恩として「豊穣のアイテム」を授かるタイプである。
 仕事を続ける、という点では、「主イエスと聖ペトロがフリオールに来たとき」「山女の贈りもの」が類話。

#民話 #エストニア共和国 #旅人 #オーディン #蘇民将来 #麻布 #労働継続 #くしゃみ #布

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おじいさんと一つ目の大男たち
「ソヴィエト諸民族民話集」 80-92p

 他者よりも非力なものが、知恵を使って怪物を退治する点は「ずるいこじきと人食い巨人」と共通する。不可能なことを求める点は「蝶むすび」と同じ。
 おじいさんが単独で怪物に立ち向かう点は桃太郎的である。

 狐はずる賢くて人を騙す動物とされているが、本物語では炎帝を象徴するトーテムとされている。


#民話 #キルギス共和国 #怪物 #一つ目 #巨人 #叡智 #炎帝狐 #狐 #無理難題 #怪物退治 #聖ゲオルギウス #不可能 #炎黄闘争

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百姓の子イワンと龍
「ソヴィエト諸民族民話集」 60-79p

 射日神話的。
 助け手におじいさんとおばあさんがいる点、倒す怪物も悪龍とその妻となって、ある種ジェンダーレスなところが珍しい物語である。
 悪龍の妻をも倒してしまうので、結婚はない。結婚する前から妻と破綻しているパターンである。

 岩戸のモチーフが不完全であるが登場する。

#民話 #ロシア #3人兄弟 #龍 #竜 #馬 #烏 #犬 #井戸 #林檎 #敷物 #豚 #呪的逃走 #末子成功譚 #怪物退治 #おじいさん #オーディン #ダマスク鋼の剣 #鉄の棒 #おばあさん #ホレのおばさん #川 #ティアマト #炎黄闘争 #化生

by admin. 民話 <299文字> 編集

宝石の山
「ソヴィエト諸民族民話集」 57-63p

 アラビアンナイト的。一種の知恵を使った「怪物退治」譚ともいえる。
 主人公が鳥に乗って脱出するくだりの類話は「ラ・ラメー」である。怪物を退治した結果、財宝を得るのは桃太郎的か。

 元は人身御供を立てて、生贄を異界への使いとして、異界の財宝を得よう、という概念があったと思われる。いわば、生贄に捧げた者をヘルメースのような「境界神」「伝令神」にしよう、という思想である。その否定思想を「復讐」という手法で表現した報復譚といえる。

#民話 #トルクメニスタン #鳥 #怪鳥 #鷲 #下男 #鳥信仰 #人身御供 #叡智 #聖ゲオルギウス #地主 #怪物退治 #人身御供 #炎黄闘争 #境界信仰 #報復譚

by admin. 民話 <332文字> 編集

ボロルドーイ・メルゲンと勇敢な息子
「ソヴィエト諸民族民話集」 50-56p

 射日神話的、桃太郎的。
 人食いの怪物は、蛇王ザッハークを連想させる。
 主人公は弓の名手であって、まさにゲイ的な存在である。幼い子供が助け手となる点は、日本の稚児のような存在を思わせる。
 かなり典型的な炎黄闘争の物語である。助け手となる「幼い子供」とは女性が変化したものかもしれないと思う。

#民話 #アルタイ共和国 #射日神話 #矢 #ボロルドーイ #ザッハーク #怪物退治 #炎黄闘争 #男装流譚

by admin. 民話 <244文字> 編集

まめたろうの旅
「ソヴィエト諸民族民話集」 44-49p

 一寸法師的、末子成功譚の変形。
 主人公、乞食のおじいさん(助け手)、盗賊(怪物)という構成が残り、「怪物退治譚」が崩れた物語であることが分かる。
 主人公が家に戻る際に、輪廻転生的(豆→牛→豆)に変化することが特徴である。主人公が明らかに植物の化身である点、食べられる点からハイヌウェレ的と考える。

 泥棒達は主人公を泥棒の手先に利用しようとしており、外界と特定の家の中とを結ぶ「境界神」としようとして、財宝を得ようとしている。

#民話 #ユダヤ #小さ子 #輪廻転生 #化生 #ハイヌウェレ #豆 #植物 #牛 #折針の剣 #鉄の棒 #乞食 #オーディン #盗賊 #怪物退治 #炎黄闘争 #境界信仰

by admin. 民話 <334文字> 編集

つむじ風の贈物
「ソヴィエト諸民族民話集」 35-43p

無制限の食事・富
「つむじ風」とは伏羲的な神のことであろうか。

#民話 #ベラルーシ共和国 #風神 #魔法の大釜 #羊 #笛 #角笛 #テーブルクロス #つむじ風 #怪物退治 #小麦 #子羊 #豊穣のアイテム #つむじ風のお母さん #ホレのおばさん #護衛 #化生

by admin. 民話 <163文字> 編集

西瓜の種
「ソヴィエト諸民族民話集」 30-34p

舌切り雀的。前半は「鶴の恩返し」のように報恩譚である。後半は復讐譚になる。
コウノトリはヨーロッパでは河川女神の使者のように暗喩的に考えられている、と個人的には思う。(蜂も同様の意味を持つのであろう。)
女神が特定の人物に恩寵を与える点は、この物語の起源が炎黄闘争の神話にあり、コウノトリは九天玄女に相当するからであると思う。
コウノトリが瓜科の植物の種をもたらす点は瓜信仰(伏羲信仰)との関連性を窺わせる。

#民話 #ウズベキスタン #コウノトリ #鳥 #鳥信仰 #蜂 #昆虫 #植物 #蜂の援助型亜型・報復型 #炎黄闘争 #こぶ取り #オシリスとセト #報恩 #報復 #瓜信仰

by admin. 民話 <318文字> 編集

王様とはたおり
「ソヴィエト諸民族民話集」 14-19p

姥捨山的

#民話 #アルメニア #機織り #謎解き #叡智 #聖ゲオルギウス #炎黄闘争

by admin. 民話 <75文字> 編集

としとった冬の精と若い冬の精
「ソヴィエト諸民族民話集」 9-13p

 若い冬の精が人々を凍えさせようとする話。神々の力くらべの物語である。

風神

#民話 #リトアニア #農民 #力くらべ #風神  #寓話

by admin. 民話 <106文字> 編集

紡錘むすめ
「ソヴィエト諸民族民話集」 20-29p

 女主人公、助け手、怪物といった物語の骨格となる登場人物の全てが女性である点が珍しく感じる。織物に関する若い女神と老いた女神との対立は、西欧では「夏と冬の対立」のように語られる傾向が強いが、本物語では季節の循環的な要素は乏しい。紡錘むすめはゲルマン神話で言うところのエオステレに相当し、本来のトーテムは兎であった可能性が高いと考える。「紡錘むすめ」という名前からして織物に関する女神が崩れた神を思わせるが、本物語での性質としては九天玄女のような軍神としての性質が強いように感じる。異界と行き来できる点は、メソポタミア神話のイナンナを思わせる。
 が呪的逃走の「魔法のアイテム」となる点は「英雄ディックベール」、「スルタンのぶち犬」と共通している。

#民話 #コミ共和国 #呪的逃走 #小さ子 #イナンナ型 #おばあさん #ホレのおばさん #狼 #熊 #怪物退治 #烏 #大烏 #鳥 #櫛 #樹木信仰 #魔法のアイテム #松ヤニ #火 #川 #ティアマト #糸紡ぎ #動物番 #蜂の援助型 #受罰女神 #生贄型 #女・女神殺し型 #岩戸神話

by admin. 民話 <506文字> 編集

黒姫物語
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 86-90p

 蛇婿としては、「三輪山伝説」の類話。
 蛇はいわゆる「河伯」の象徴でもあるので、河伯に「妻」と称して若い娘を生贄に捧げる、でないと祟りを受ける、という思想をそのまま示した物語である。
 后羿の神話では祟る河伯の目を射て祟りを鎮めることになるが、本物語では「怪物退治」は失敗して、逆に人身御供を捧げる結果となってしまう。むしろ、河伯を倒そうとした黒姫の父親の方が「悪い」となるような展開である。
 ・・・これだから、古い時代の「天帝」は人身御供擁護派だったのではないのか、羿は人々を助けようとしたからこそ罰を受けたのではないか、と筆者が言いたくなる所以である。
 長野県の北信地区には、民話が語られるような時代になるまで、「人身御供を擁護する思想」がはびこっていた証拠といえるのではないか、と思うくらいである。だからこそ、猿神を退治する早太郎を探しに、わざわざ南信まで行かなければならないのである。北信ではそのような英雄こそが悪者である、という思想を示した物語ともいえる。
 また、蛇神に対する人身御供に対して、馬がなにがしかの形で関わることが示唆される物語でもある。

 志賀高原には、この物語の大蛇が住むという大沼池がある。
 羿神話に否定的という点で、類話は「くもが淵 」である。

#昔話 #長野県 #北信 #蛇聟 #異類婿 #人身御供 #怪物退治 #馬 #祟り

by admin. 昔話,伝説 <619文字> 編集

てんぐになった信太郎
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 80-85p

田(稲作)と神霊との関わりの話である。
子供が天狗に変化する部分は、農耕祭祀に関する生贄を彷彿とさせる。
人身御供の役割は、神霊と一体化して田の収穫の豊穣をもたらすことである。おそらく、水稲耕作にとって重要な水の管理(治水)も行っていたことと思われる。

天狗が、雷神のようであり、鳥のようであり、稲作に関する点は、日本的な「田の神」信仰に通じると共に、中国の神話で「雷神」=「鶏」である点も彷彿とさせる。
日本における天狗とは、中国風な雷神や風神の変化したものなのか、興味深い。

#昔話 #長野県 #中信 #天狗 #田の神 #雷神 #鳥 #人身御供 #見るな #禁忌

by admin. 昔話 <325文字> 編集

オルフェオとヘウロディス(Sir Orfeo)
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 68-70p

 ギリシア神話の「オルペウスとエウリュディケー」を下敷きとした物語。14世紀頃成立。
 女主人公のへウロディス(Heurodis)はペルセポネーのようにフェアリーの王(冥界の王)にさらわれたのであるが、はっきりとした描写はなく、失踪したように描かれている。フェアリーの王は「樹木の化身」のようにも描かれ、植物神であることが示唆される。暗にパン(小麦)や葡萄の象徴とされるイエスを暗喩しているのであろうか。
 主人公のオルフェオはオルフェウスのように森の中で暮らし、まさに「獣の王」といった感じになる。
 フェアリーの国に妻を探しに行ったオルフェオは詩の才能により妻を返して貰うことができる。「オルペウスとエウリュディケー」のハッピーエンド版といえる。フェアリーの王がイエスを暗示しているのであれば、イエスが人(へウロディス)を蘇生させることができる神である、との暗喩でもあろう。

 「インプの木」とは、接ぎ木をした木のことであるそうである。
 
#伝説 #イギリス #インプの木 #樹木  #樹木信仰 #植物神 #白馬 #いなくなった妻を探す夫 #ハープ #獣の王 #ギリシア神話 #ロマンス #カトリック

by admin. 伝説 <554文字> 編集

ネコと茶がま
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 77-79p

 「片目」にされた猫神の祟りの物語。
 茶がまは、「豊穣の大釜」のような意味があり、本来は猫神が主人公に授けた、という由来はあったかもしれないと思うが、消失するか、形が大きく崩れており、不明である。
 猫が片目にされる点はいわゆる西欧の「半分男」をどことなく思わせるし、「夷羿と洛水の河伯」の物語も思い出させる。

 参照:夷羿(夏の羿

#昔話 #長野県 #南信 #猫 #祟り #魔法のアイテム #茶がま #魔法の大釜

by admin. 昔話 <248文字> 編集

オジェ・ル・ダノワ(オジエ・ル・ダノワ)とアヴァロン(Avalon)の島
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 64-68p

 オジエ・ル・ダノワ(Ogier le Danois、デンマーク人オジエ)はシャルルマーニュに仕えていた。シャルルマーニュ伝説の十二勇士の一人である。
 オジエは勇敢な騎士で、アヴァロンの女主人モルガン・ル・フェイ(Morgue la faye、モルグ・ラ・フェイ)の恋人だった。モルガン・ル・フェイは嵐を起こすことのできる女神的存在である。楽園に近い場所に美女がいて、恋人となってくれる、という設定は、やはり「山のおやじ」的だと思う。
 パピヨン (Papillon) という馬をモルグから送られる。
 楽園でオジエが蛇を倒すところは「怪物退治」的な流れでもあるし、楽園に巣くった原罪の蛇をオジエが倒した、という暗喩でもあると思う。
 オジエがアーサー王の代わりに戦うところはジークフリート的である。オジエが異教徒の王の妻を娶ろうとするところは「瓜子姫」的だが、モルグに連れ去られてしまうため、キュベレーとアッティスのような展開になっている。

 オジエは女神を愛人に持ち、怪物退治を行い、ジークフリート的でもあり、最後に女神に連れ去られてしまう、と西欧の理想の英雄伝説の総まとめの見本のような存在だと思う。キリスト教の影響が色濃いと感じる。オジエの楽園生活の描写は、「キリストの戦士になったらこうなりますよ」という、まさに「山のおやじ」的プロパガンダが目的で作られたものではないだろうか。

 伝ランベール・ド・パリ作『オジエの騎士道』(Chevalerie Ogier de Danemarche; 原型は12世紀だが、伝わる作品は13世紀初頭)(オジェ・ル・ダノワ

#伝説 #フランス #馬 #神獣 #獅子 #蛇 #怪物退治 #林檎 #女神 #言うな #禁忌 #忘却(レテ)の冠 #魔法のアイテム #ジークフリート #歌 #泉 #瓜子姫 #ロマンス #カトリック

by admin. 伝説,英雄名,固有神獣 <850文字> 編集

黒いさくらんぼ ATU610+ATU554
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 276-279p

 「動物番」に近い話。誠実さを尊いとしたり、「天使と悪魔」が出てくるあたりにキリスト教の影響がみられる。

#民話 #レートロマン #3人兄弟 #難題聟 #蟻 #魚 #天使 #悪魔 #動物神 #老人 #オーディン #サクランボ #病気を治す果物 #恩に報いる動物たち

by admin. 民話 <188文字> 編集

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