タグ「呪い」を含む投稿[10件]
大王の三人の妻 ATU707+ATU313
「シルクロードの民話 パミール高原」 171-184p
複数のモチーフが組み合わさった物語。
前半と結末は、予言をする異界の乙女達との婚姻譚。最終的に一人とはうまくいくけれども、残りの二人とは破綻する物語。
そこに「兄その他を探す乙女」の後半部分(結婚、出産、子供の失踪)が加わり、
更に、姉弟の冒険譚、前半は弟の宝物入手譚、一部怪物退治+呪的逃走あり、後半は姉の「兄その他を探す乙女」+宝物入手譚となっている。
姉は弟やその他の人々の助け手ともなっているし、「おうむの真の主人」であることが暗示されている。
助け手にデヴィンと聖者ヒジールが登場する。「聖者ヒジール」がどのような聖者であったのかは調べられなかった。
2世代に渡る物語といえ、前半と結末は、精霊と王の婚姻譚、中間は姉と弟が、それぞれ女主人公と主人公になっている。
出産に関連して女主人公を虐めるエレシュキガル的存在が、姑ではなくて、姉二人、となっているところが、シンデレラとの共通点で興味深く感じる。
母親が土に埋められるところは、植物の化身であることを暗示させる。「たまご姫」的でもあると思う。
前半部分の類話は「妖精のおはなし」。
「兄その他を探す乙女」のモチーフがあちこちに散りばめられている。
母親の方が「罰を受ける女神」であり、娘の方が再生を司る女神である点は、岩見の伝承である「オオゲツヒメと狭姫」の関係も彷彿とさせ、興味深く思う。(「太陽と木と鳥2 」参照)
呪いを受けて石に変えられてしまうところは、個人的には「ライオンと魔女」を思い出しました。
#民話 #異類嫁 #イナンナとエレシュキガル #兄その他を探す乙女 #デヴィン #おばあさん #ホレのおばさん #聖者ヒジール #オーディン #シームルグ #おうむ #鳥 #鏡 #塩 #川と石 #馬 #動物 #石 #変身 #怪物退治 #呪い #禁忌 #すり替え人 #3人の金の子ども #呪的逃走
「シルクロードの民話 パミール高原」 171-184p
複数のモチーフが組み合わさった物語。
前半と結末は、予言をする異界の乙女達との婚姻譚。最終的に一人とはうまくいくけれども、残りの二人とは破綻する物語。
そこに「兄その他を探す乙女」の後半部分(結婚、出産、子供の失踪)が加わり、
更に、姉弟の冒険譚、前半は弟の宝物入手譚、一部怪物退治+呪的逃走あり、後半は姉の「兄その他を探す乙女」+宝物入手譚となっている。
姉は弟やその他の人々の助け手ともなっているし、「おうむの真の主人」であることが暗示されている。
助け手にデヴィンと聖者ヒジールが登場する。「聖者ヒジール」がどのような聖者であったのかは調べられなかった。
2世代に渡る物語といえ、前半と結末は、精霊と王の婚姻譚、中間は姉と弟が、それぞれ女主人公と主人公になっている。
出産に関連して女主人公を虐めるエレシュキガル的存在が、姑ではなくて、姉二人、となっているところが、シンデレラとの共通点で興味深く感じる。
母親が土に埋められるところは、植物の化身であることを暗示させる。「たまご姫」的でもあると思う。
前半部分の類話は「妖精のおはなし」。
「兄その他を探す乙女」のモチーフがあちこちに散りばめられている。
母親の方が「罰を受ける女神」であり、娘の方が再生を司る女神である点は、岩見の伝承である「オオゲツヒメと狭姫」の関係も彷彿とさせ、興味深く思う。(「太陽と木と鳥2 」参照)
呪いを受けて石に変えられてしまうところは、個人的には「ライオンと魔女」を思い出しました。
#民話 #異類嫁 #イナンナとエレシュキガル #兄その他を探す乙女 #デヴィン #おばあさん #ホレのおばさん #聖者ヒジール #オーディン #シームルグ #おうむ #鳥 #鏡 #塩 #川と石 #馬 #動物 #石 #変身 #怪物退治 #呪い #禁忌 #すり替え人 #3人の金の子ども #呪的逃走
by admin. ⌚ 2022年03月02日(水) 14:12:24 民話,固有神獣 <1033文字> 編集
幽霊床屋 ATU326+ATU1645
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 279-294p
主人公が旅に出る動機が自らの浪費と借金の取り立て目的である点は近現代的な設定といえる。
全体としては「怪物退治」の変形版だが、「結婚」を手に入れるためには、怪物退治ではなく、呪いのかけられた幽霊の魂の救済が必要とされる。神父を冒涜すると呪われる、とか、神に仕える者がそんなことをして良いのか、とも思うがキリスト教に対する畏怖の念を植え付けるには充分であろう。
最後に宝を手に入れたのみならず、借金の取り立て問題まで解決できたところは、キリスト教に対する信仰のおかげ、という分かりやすい説話譚といえるか。
#民話 #レートロマン #正体不明の助け手 #林檎の木 #こびと #幽霊 #義足の男 #オーディン #謎解き #叡智 #呪い #橋 #カトリック #怖さとは何かを知りたがった若者 #宝は自分の家にあり
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 279-294p
主人公が旅に出る動機が自らの浪費と借金の取り立て目的である点は近現代的な設定といえる。
全体としては「怪物退治」の変形版だが、「結婚」を手に入れるためには、怪物退治ではなく、呪いのかけられた幽霊の魂の救済が必要とされる。神父を冒涜すると呪われる、とか、神に仕える者がそんなことをして良いのか、とも思うがキリスト教に対する畏怖の念を植え付けるには充分であろう。
最後に宝を手に入れたのみならず、借金の取り立て問題まで解決できたところは、キリスト教に対する信仰のおかげ、という分かりやすい説話譚といえるか。
#民話 #レートロマン #正体不明の助け手 #林檎の木 #こびと #幽霊 #義足の男 #オーディン #謎解き #叡智 #呪い #橋 #カトリック #怖さとは何かを知りたがった若者 #宝は自分の家にあり
by admin. ⌚ 2022年02月13日(日) 14:53:44 民話 <409文字> 編集
ユオン・ド・ボルドー(Huon de Bordeaux)とオーベロン(オベロン、Oberon)
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 55-59p
ユオンは妖精王オベロンと出会い、援助を得る。男神の援助を得るのであるから、「オーディン」型といえる。
オベロンはシーザーと「島の貴婦人」との混血である、と名乗り、オベロン自身が半神半人の英雄のような存在である。オベロンにはまた、出生時にメドゥーサ型の呪いがかけられていた。
ユオンはシャルルマーニュに仕えていた。
カイトリーによるとオーベロン(オベロン、Oberon)はオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))のエルベリヒ(Elberich)、ニーベルンゲンのアルブリヒ(Albrih)と同じものである、とのことである。(妖精の誕生 160p他)
El-とかAl-は地中海東側では「神」を表す接頭辞であるので、エルベリヒの元の名前はベリヒ(Berich)やブリヒ(Brih)といえるのではないか、と個人的には思う。ウガリット神話のバアル(Baal)は嵐と慈雨の神とされていますし、個人的にはこのあたりが起源の神的存在なのではないのか、と感じます。旧約聖書に出てきますから、キリスト教圏で、聖書が読めた人だったら、誰でもバアルのことは知っていたと思いますが。
『Les Prouesses et faitz du noble Huon de Bordeaux』は13世紀前半の武勲詩である。(オーベロン)
オベロンが嵐を起こしたりできる性質は天候神(風の神か?)の崩れた姿を思わせる。
物語の最後にユオンがパラダイス(天国)へ誘われる点はやはり、キリスト教の影響と「山のおやじ」的発想を感じる。キリスト教と中世の騎士道のプロパガンダの物語といえるのではないだろうか。
参照:エルベリヒ(Elberich)とオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))
#伝説 #ドイツ #フランス #こびと #オーディン #禁忌 #言うな #嵐 #川 #呪い #女神 #カイトリー #ドワーフ
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 55-59p
ユオンは妖精王オベロンと出会い、援助を得る。男神の援助を得るのであるから、「オーディン」型といえる。
オベロンはシーザーと「島の貴婦人」との混血である、と名乗り、オベロン自身が半神半人の英雄のような存在である。オベロンにはまた、出生時にメドゥーサ型の呪いがかけられていた。
ユオンはシャルルマーニュに仕えていた。
カイトリーによるとオーベロン(オベロン、Oberon)はオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))のエルベリヒ(Elberich)、ニーベルンゲンのアルブリヒ(Albrih)と同じものである、とのことである。(妖精の誕生 160p他)
El-とかAl-は地中海東側では「神」を表す接頭辞であるので、エルベリヒの元の名前はベリヒ(Berich)やブリヒ(Brih)といえるのではないか、と個人的には思う。ウガリット神話のバアル(Baal)は嵐と慈雨の神とされていますし、個人的にはこのあたりが起源の神的存在なのではないのか、と感じます。旧約聖書に出てきますから、キリスト教圏で、聖書が読めた人だったら、誰でもバアルのことは知っていたと思いますが。
『Les Prouesses et faitz du noble Huon de Bordeaux』は13世紀前半の武勲詩である。(オーベロン)
オベロンが嵐を起こしたりできる性質は天候神(風の神か?)の崩れた姿を思わせる。
物語の最後にユオンがパラダイス(天国)へ誘われる点はやはり、キリスト教の影響と「山のおやじ」的発想を感じる。キリスト教と中世の騎士道のプロパガンダの物語といえるのではないだろうか。
参照:エルベリヒ(Elberich)とオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))
#伝説 #ドイツ #フランス #こびと #オーディン #禁忌 #言うな #嵐 #川 #呪い #女神 #カイトリー #ドワーフ
ほらあなの主
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 64-66p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 116-119p、タイトルは「よくふか長者とほらあなの主」に変更された。
「主」とは河童か、それとも大蛇の類いか?
ともかく、「病気は祟りである」とか、「神に対する恩を忘れると祟られる」とか、そういう主題の話である。「誉津別命」が類話といえる。
子供は人間ではないので「取り替え子」的な要素もある。
#昔話 #長野県 #南信 #宝物 #報復 #祟り #呪い #忘恩 #水神 #川 #人身御供 #取り替え子 #予言 #椀貸伝説
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 64-66p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 116-119p、タイトルは「よくふか長者とほらあなの主」に変更された。
「主」とは河童か、それとも大蛇の類いか?
ともかく、「病気は祟りである」とか、「神に対する恩を忘れると祟られる」とか、そういう主題の話である。「誉津別命」が類話といえる。
子供は人間ではないので「取り替え子」的な要素もある。
#昔話 #長野県 #南信 #宝物 #報復 #祟り #呪い #忘恩 #水神 #川 #人身御供 #取り替え子 #予言 #椀貸伝説
by admin. ⌚ 2020年07月07日(火) 11:46:24 昔話 <290文字> 編集
蛇娘
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 187-194p
女主人公は「閉じ込められている乙女(冥界の女神)」といえる。冬になると活発になる、というのも「冬の象徴」のように思える。
女主人公が蛇の聟の禁忌(怒り)に触れて姿を消す(死ぬ)点は、三輪山的な蛇聟譚といえる。「エンリルとニンリル」的でもある。
貧しい若者は、女主人公を得ようとするが、失敗し、女主人公との仲は決裂する。女主人公が明確に「別の世界」へ行ってしまうので、「ゲイと嫦娥」的とする。
全体としては、怪物退治が失敗して、女主人公が兄弟(ここでは蛇)を選ぶ、という物語であると思う。「エンリルとニンリル」型の神話に、「怪物退治」、とくに「難題聟」の要素が不可されたものか。
女主人公が「死の呪い(冥界の蛇との結婚)」を魔女にかけられている点は、イナンナとエレシュキガル的といえるが、両者(呪いをかける方とかけられる方)のバランスが対等でない点はアテーナーとメドゥーサの関係を思わせる。これをメドゥーサ型と呼ぶ。
「ばらの姫」とは、かなり近縁的な物語だと感じる。
個人的には、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を彷彿とさせる物語だと思いました。
#民話 #スイス #蛇 #エンリルとニンリル #イナンナとエレシュキガル #ゲイと嫦娥 #呪い #運命の女神 #冬 #閉じ込められている乙女 #神 #難題聟 #人身御供 #蛇聟 #狩人 #怪物退治 #メドゥーサ #ヘビの冠
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 187-194p
女主人公は「閉じ込められている乙女(冥界の女神)」といえる。冬になると活発になる、というのも「冬の象徴」のように思える。
女主人公が蛇の聟の禁忌(怒り)に触れて姿を消す(死ぬ)点は、三輪山的な蛇聟譚といえる。「エンリルとニンリル」的でもある。
貧しい若者は、女主人公を得ようとするが、失敗し、女主人公との仲は決裂する。女主人公が明確に「別の世界」へ行ってしまうので、「ゲイと嫦娥」的とする。
全体としては、怪物退治が失敗して、女主人公が兄弟(ここでは蛇)を選ぶ、という物語であると思う。「エンリルとニンリル」型の神話に、「怪物退治」、とくに「難題聟」の要素が不可されたものか。
女主人公が「死の呪い(冥界の蛇との結婚)」を魔女にかけられている点は、イナンナとエレシュキガル的といえるが、両者(呪いをかける方とかけられる方)のバランスが対等でない点はアテーナーとメドゥーサの関係を思わせる。これをメドゥーサ型と呼ぶ。
「ばらの姫」とは、かなり近縁的な物語だと感じる。
個人的には、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を彷彿とさせる物語だと思いました。
#民話 #スイス #蛇 #エンリルとニンリル #イナンナとエレシュキガル #ゲイと嫦娥 #呪い #運命の女神 #冬 #閉じ込められている乙女 #神 #難題聟 #人身御供 #蛇聟 #狩人 #怪物退治 #メドゥーサ #ヘビの冠
by admin. ⌚ 2020年05月08日(金) 09:35:09 民話 <627文字> 編集
ラ・ラメー ATU400
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 179-185p
主人公が流譚する原因は「ゲイ流譚」型である。主人公が逃走する「呪的逃走」的な場面が、物語の最初に来る点が珍しいか。
前半は主人公が試練に打ち勝って、女主人公との結婚を勝ち取る物語である。
女主人公と主人公が決裂する場面は、「主人公の眠り(死)」であるため、変形はしているがエレシュキガルとイナンナとドゥムジの関係を思わせる。女主人公の死や苦難によって入れ替わるわけではないので、「瓜子姫」型とはせず、「竹取」型としたい。
前半部分の類話は「七人の乙女たち」である。鳥に乗って逃げる点は「宝石の山」と類似している。肉を食べさせる点は「マリク・ハッサン」と類似している。
#民話 #スイス #いなくなった妻を探す夫 #王女出題 #ハンカチ #鳥 #怪鳥 #動物神 #鹿 #二十日鼠 #昆虫 #呪い #悪魔 #難題聟 #異類嫁 #禁忌 #言うな #ラ・ラメー #イナンナとエレシュキガル #ドゥムジ #ゲイ流譚 #人身御供 #いなくなった妻を捜す夫
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 179-185p
主人公が流譚する原因は「ゲイ流譚」型である。主人公が逃走する「呪的逃走」的な場面が、物語の最初に来る点が珍しいか。
前半は主人公が試練に打ち勝って、女主人公との結婚を勝ち取る物語である。
女主人公と主人公が決裂する場面は、「主人公の眠り(死)」であるため、変形はしているがエレシュキガルとイナンナとドゥムジの関係を思わせる。女主人公の死や苦難によって入れ替わるわけではないので、「瓜子姫」型とはせず、「竹取」型としたい。
前半部分の類話は「七人の乙女たち」である。鳥に乗って逃げる点は「宝石の山」と類似している。肉を食べさせる点は「マリク・ハッサン」と類似している。
#民話 #スイス #いなくなった妻を探す夫 #王女出題 #ハンカチ #鳥 #怪鳥 #動物神 #鹿 #二十日鼠 #昆虫 #呪い #悪魔 #難題聟 #異類嫁 #禁忌 #言うな #ラ・ラメー #イナンナとエレシュキガル #ドゥムジ #ゲイ流譚 #人身御供 #いなくなった妻を捜す夫
by admin. ⌚ 2020年05月07日(木) 23:00:32 民話 <486文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 144-145p
小人に対する禁忌を破ったために、呪いをかけられる、という話。
ゲルマン系の神話に登場する「小人(ドワーフ )」に類する存在は、人に恩恵をもたらすものでもあるけれども、強力な呪いをかける存在でもある、という要素が強い気がする。
参照:ドワーフ
#伝説 #ドイツ #禁忌 #見るな #呪い #ドワーフ #小人 #家付精霊