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竜王権現
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 81p、コラム

 筑北村差切峡の竜神の話。竜神は『降り続く長雨で、修那羅にあった大きな池が崩れた際、主の大蛇も流されて、差切峡の「ドの渕(ぶち)」に住み着いた。(「差切峡の大蛇伝説と竜王権現様祭り 」)より』のだが、猟師が鳥を撃つのを邪魔したため、猟師が竜神を殺したところ、祟りが生じたため、仙人が供養というか調伏した、という話である。

龍と鳥が一体のものである、というごく古いオーストロネシア語族の「世界樹」の概念の片鱗が残されている物語。竜神を殺した猟師はさしづめ羿といえよう。羿が悪しき三足烏や河伯を倒したところで、世の中がそれで全てうまくいくとは限らなくて、人が何もしなくても様々な天災は起こり得る。それを「祟り」としてシャーマン(本物語では「仙人」)でなければ収集できない、としてしまえば、神職やシャーマンの地位にある者は、永遠に「唯一祟りを鎮める者」として人々の上に君臨できるのではなかろうか。シャーマンが「神を生贄に捧げなければ、戦争は止まらない(止めない)、小麦も手に入らない(入れさせない)」と言い出すようなことがもしあれば、祟っている諸悪の根源はシャーマン自身ともいえるのではなかろうか、とふと想像したりするわけです。

本物語は仙人の祈祷が重要な要素であるため、修験道の宣伝的な意味があると思う。また、本物語の竜神は鳥との一体的な立場が強く、水神女神とする要素が乏しいため、中国的な「世界樹」の概念の方が起源として近い物語と感じる。誰が持ち来たったものなのか、興味深く感じます。

参考サイト:差切峡の大蛇伝説と竜王権現様祭り

#昔話 #長野県 #北信 #竜 #龍 #仙人 #祟り #調伏 #鳥

by admin. <761文字> 編集

頭の災難
「シルクロードの民話 パミール高原」 312p

 笑話であるけれども、鳥を神(あるいは神の使い)とみなす思想、それに仕えることに失敗した者が首を失って死ぬ、という思想が残されている点が興味深い。
 死んだ男は「ミーノータウロス神話」の「ミーノータウロス」が崩れたものとしても良いかと思ったが、胴と首が分離するモチーフが残されているので「蚩尤」とした方が、思想的にも距離的にも妥当かと思う。

#民話 #タジキスタン #怪物退治 #こうのとり #鳥 #頭 #蚩尤 #饕餮

by admin. 民話 <240文字> 編集

鳥のみじじい
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 201-207p

 「おとっとこよし」と「瘤取りじいさん」の中間といえるような物語である。
 そのため、「おとっとこよし」、「鳥のみじじい」、「瘤取りじいさん」の物語には連続性があって、関連する物語であることが分かる。
 「成功するじいさん」は鳥と関連し、「成功しないじいさん」は大宜津比売の神話等、日本的なハイヌウェレ譚との関連がある。
 社会学的に興味深い話といえる。「老婆とすずめ」との対比も興味深い。

#伝説 #長野県 #北信 #こぶ取り #オシリスとセト #鳥 #鳥神

by admin. 昔話 <283文字> 編集

おとっとこよし
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 189-191p

 イェンゼンのことは個人的には好きではないのだが、「芋といえばハイヌウェレ」というくらい(?)ハイヌウェレ型神話は有名な話である。この物語は一般的なハイヌウェレ型神話よりも更に古い時代の「ハイヌウェレ型神話」といえると考える。

 西欧では「末子成功譚」が多いが、東アジアから環太平洋周辺地域のオーストロネシア語族の文化圏の中には「兄と弟」の組み合わせで、原因は様々だが、弟が唐突に死ぬ、というパターンの物語がままある。本物語もそのような国際的な物語の1つであって、台湾やポリネシア等に類話がみられる。

 本物語に限っていえば、これはホトトギスというの由来譚と、5月の端午の節句に芋汁を食べることの由来譚でもある。芋名月は日本では中秋の行事とされることが多いが、鬼無里では5月の節句の行事であったことが分かる。そして、兄が鳥の化身であり、弟が山芋の化身であることが分かる。これを動物神や植物神の擬人化、とみるのか、人を動物や植物になぞらえている、とみるのか、ということになるが、管理人は後者であると思う。

 なぜ、人間を動物や植物になぞらえるのか、といえば、その理由は「階級」や「身分」というものを示し、誰が「上の身分」で、誰が「下の身分」であるかを示しているし、それぞれの社会的役割を示しているものとも考える。兄は「鳥」であって、木の枝の高いところに住み、弟たちを支配する。山芋は、地面の下に存在し、一番低いところに生息するものなので、それが「身分の低さ」を示すし、支配しかされない。そのような観点から見れば、本物語は「身分の低い者は上位の者の食べ物である」とか「上位の者は身分の低い者の生殺与奪件を握る」という階級社会の理論や思想を示す、社会学的な物語あるいは「説話」とすらいえると考える。

 階級社会の発生は、父系文化の発生と一致し、良渚文化にまで遡る。本物語に暗喩される「身分的に上位の者は下位の者を食い物にして当然である」という思想が、父系文化と階級社会を支えてきた思想だと理解すれば、大国が小国を一方的に「悪者」と決めつけて理不尽に攻撃するようなことを正当化する根本的な思想が、5500年ほど前に長江下流域の水稲耕作民から発生したものであって、人類はそこから5000年以上たっても、「父系文化の根本的思想」から抜け出すことができないでいることが分かる。この思想の問題の根は山芋の根よりも更に深いところまで潜り込んでいるように思える。そして、鬼無里・長野市信州新町あたりには、古い時代のハイヌウェレ型神話に関係する民話・伝承が多く残され、独特な地域であるなあ、と思う。(今のところ信州新町はなんだか「泥棒村」みたいなノリになっちゃっていて、呆れかえるばかりである。まあ、ここのところ1600年くらいはそういうノリだったのかもしれませんがー;。)

参照:序列殺人

#昔話 #長野県 #北信 #鬼無里 #ほととぎす #鳥 #山芋 #植物 #ハイヌウェレ #序列殺人

by admin. 昔話,起源・由来 <1281文字> 編集

ユシィフとズライカ ATU870
「シルクロードの民話 パミール高原」 201-224p

 2つの物語が組み合わさった物語と思う。
 一つは旧約聖書、創世記のいわゆる「ヨセフ物語」である。主人公が兄達に疎まれたり、エジプトに売られたりする点など、粗筋の大筋が非常に良く似ている。「主人公が兄達に疎まれている点」は「ヨセフ物語」と併せて、「ゲイ流譚」的といえると考える。
 もう一つは、おそらく、女神的な女性に助けられて、かつ、その女性と結婚して豊穣を得る、というモチーフ、しかも、女主人公が古い夫(老人)から若い夫に乗り換える、という「グィネヴィアとアーサー王」のような「ネミの森」的神話が元はあったのではないか、と思われる。
 ただ、「ヨセフ物語」の要素の方が非常に強いので、後者の要素はとても弱くなり、「古い夫」も妻に裏切られるのではなく自然死となっている。そして、2つめの物語の要素が多少入り交じっているので、その点が「ヨセフ物語」との違いを生み出しているように思える。
 ユシィフは鷹に選ばれて王となっており、フマ的な要素が加わる。その点は「動物のことばがわかる男」が類話である。
 全体として、類話は「忘れてしまった夢」である。

#民話 #中国 #ヨセフ物語 #旧約聖書 #鷹 #フマ #鳥 #夢解き #ゲイ流譚 #ネミの森 #地下の洞窟に閉じ込められた姫

by admin. 民話 <592文字> 編集

マリク・ハッサン cf. ATU550+ATU301+ATU573
「シルクロードの民話 パミール高原」 184-201p

 「生命の水、美の水、青春の本」と非常に似た話。
 鳥に肉を食べさせて飛ばすところは「ラ・ラメー」と似ている。
 3人兄弟の末子と上の二人との関係は「蛙の恩返し」に似る。鳥を盗むところも「蛙の恩返し」と同様である。

 神話の上ではペリとデーヴは「善と悪」で対立的な存在だが、この物語の中では、「共に異界に住む妖精」的な存在で、一つの町に仲良く暮らしているようである。

#民話 #中国 #異類嫁 #鳥 #魔法のアイテム #3人兄弟 #かもしか #動物 #ホレのおばさん #シームルグ #ワニ #眠り姫 #禁忌 #死刑囚 #買うな #オシリスとセト #ディヴ #ペリ #イアーソーン

by admin. <372文字> 編集

大王の三人の妻 ATU707+ATU313
「シルクロードの民話 パミール高原」 171-184p

 複数のモチーフが組み合わさった物語。
 前半と結末は、予言をする異界の乙女達との婚姻譚。最終的に一人とはうまくいくけれども、残りの二人とは破綻する物語。
 そこに「兄その他を探す乙女」の後半部分(結婚、出産、子供の失踪)が加わり、
 更に、姉弟の冒険譚、前半は弟の宝物入手譚、一部怪物退治+呪的逃走あり、後半は姉の「兄その他を探す乙女」+宝物入手譚となっている。
 姉は弟やその他の人々の助け手ともなっているし、「おうむの真の主人」であることが暗示されている。
 助け手にデヴィンと聖者ヒジールが登場する。「聖者ヒジール」がどのような聖者であったのかは調べられなかった。

 2世代に渡る物語といえ、前半と結末は、精霊と王の婚姻譚、中間は姉と弟が、それぞれ女主人公と主人公になっている。
 出産に関連して女主人公を虐めるエレシュキガル的存在が、姑ではなくて、姉二人、となっているところが、シンデレラとの共通点で興味深く感じる。
 母親が土に埋められるところは、植物の化身であることを暗示させる。「たまご姫」的でもあると思う。
 前半部分の類話は「妖精のおはなし」。
 「兄その他を探す乙女」のモチーフがあちこちに散りばめられている。

 母親の方が「罰を受ける女神」であり、娘の方が再生を司る女神である点は、岩見の伝承である「オオゲツヒメと狭姫」の関係も彷彿とさせ、興味深く思う。(「太陽と木と鳥2 」参照)
 呪いを受けて石に変えられてしまうところは、個人的には「ライオンと魔女」を思い出しました。

#民話 #異類嫁 #イナンナとエレシュキガル #兄その他を探す乙女 #デヴィン #おばあさん #ホレのおばさん #聖者ヒジール #オーディン #シームルグ #おうむ #鳥 #鏡 #塩 #川と石 #馬 #動物 #石 #変身 #怪物退治 #呪い #禁忌 #すり替え人 #3人の金の子ども #呪的逃走

by admin. 民話,固有神獣 <1033文字> 編集

美しい娘
「シルクロードの民話 パミール高原」 68-81p

 主人公が家を出る下りは「ゲイ流譚」的である。
 女主人公に「見るな」の禁忌があり、閉じこもった暮らしを送り、彼女の怒りを買ったものは死に至る、という点は「王女のハンカチ」と共通する。
 略奪婚を試みる悪しき王の結末は、「怪物退治」の一型といえる。女主人公の助力がある点で、「テーセウスとアリアドネー」型の物語といえる。この物語では女主人公ではなく、主人公の方が鳥に化生する。馬との関連もわずかであるが示唆される。女主人公は杏と関連づけられる。
 当人の姿以外のものが異性の心を捉えるという点は、日本の「髪長姫」を連想させる。

 参照:絵姿女房

#民話 #中国 #絵姿女房 #見るな #禁忌 #怪物退治 #鳥 #馬 #杏 #植物 #テーセウスとアリアドネー #ゲイ流譚 #閉じ込められている乙女 #略奪婚

by admin. 民話 <463文字> 編集

王女のハンカチ ATU892
「シルクロードの民話 パミール高原」 52-67p

 女主人公が「7つの扉のついた地下室」に住んでいる点は、明らかに「イナンナの冥界下り」と共通したモチーフと思われる。イナンナが下る冥界にも7つの扉がある、とされる。この点の類話は「山のなかに閉じこめられた王女」である。
 神話では、イナンナは姉エレシュキガルの支配する冥界を「自分のもの」と考えて下り、そこで冥界の女王である姉の怒りを得て殺された、とされるが、それはイナンナとエレシュキガルが「一体となったことを示している、とも解釈できる。少なくとも、本作の女主人公はイナンナ的ではあるが、冥界を住処としており、エレシュキガルともいえる性質を併せ持つ。彼女の住処に許しなく踏み込む者は、そこは「冥界」であるので、当然のように死ぬ。

 一方、女主人公の夫は、父王の怒りを受けて旅に出る。これは「人身御供」の象徴ともいえるが、物語的には、「上位の者の怒りを得て、主人公が流転する」という点で、中国のゲイ神話、日本の日本武尊を思わせる。なにがしかの禁忌を破って、異界を流転する夫とそれを再生させようとする妻、という点ではエンリルとニンリル的でもある。

 えん罪であるけれども、女主人公が夫を裏切った(ように見え)る、という点は、テーセウスとアリアドネーの神話が根底にあり、「二人が何故決裂したのか」という点について、アリアドネーの側にえん罪といえる理由があったのではないか、という理由付けの物語のようにも思える。

 夫以外の男が妻にちょっかいを出しており、それが原因で争いが起きる、という点は、ラーマヤーナ的な「略奪婚」の要素であると思う。従って妻を略奪した「怪物」は最終的には退治されるが、この物語では怪物を倒すのは、妻自身となっており、とても強いヒロインの物語といえる。妻の貞節を賭けて騙される話

 妻が夫を男装して捜し求める点は、「兄たちを探す乙女」の変形版といえる。

 全体としては、テーセウスとアリアドネーの物語のモチーフが一番強く、そこに「妻のえん罪」という要素が大きく関わる物語といえます。でも、本作の「妻」はイスラム圏の物語なのに、こんなに女性が強く、魔女的で、物語の主導権を握る存在であっていいのだろうか? と異教徒の私の方がむしろ思うくらい、女主人公の行動力と活躍が強く前面に出ており、夫を勝たせるのか、略奪者を勝たせるのか、それは「女神の恩寵次第で決まる」という、「ネミの森」のような太古の女神信仰の影響が強く残されている物語だと感じます。日本武尊の物語でも、日本武尊の人生を左右する存在として伯母の倭姫が大きく関わってきますし、大国主命は貝の女神に命を再生させて貰います。ゲイ神話的に主人公が流転するモチーフは、東アジア的な要素だと思う。ゲイもまた、妻の嫦娥に振り回される存在でもあります。しかも、テーセウスとアリアドネーのように、ゲイと嫦娥も決裂します。ゲイと嫦娥の神話が西に広がって、テーセウスとアリアドネーの物語に変化する過程で「えん罪」という要素が独自の形で入り込んできた物語といえるのかもしれないと思います。
 
 女主人公が「見てはならない」(当人の魔力によっても「見ることができない」)存在である点も、太古の女神の姿を彷彿とさせると感じます。これは「鶴の恩返し」とも共通のモチーフです。

 類話は「美しい娘」である。
 

#民話 #タジキスタン #イナンナとエレシュキガル #エンリルとニンリル #ハンカチ #絵姿女房 #見るな #禁忌 #怪物退治 #男装流譚 #鳥 #天人女房 #テーセウスとアリアドネー #ゲイ流譚 #えん罪 #妻の貞節を賭けて騙される話 #兄その他を探す乙女 #閉じ込められている乙女 #王の子どもたち

by admin. 民話 <1585文字> 編集

善行の報い
「シルクロードの民話 パミール高原」 29-52p

全体の流れは「3人男」の変形版といえる。
3人の男性が流転する点、最後に「幸せな結婚」が一人の男だけに訪れる点である。西欧の民話によく見られる「末子成功」の型ではない。その点は東洋的といえると思う。
妻が略奪される点、最終的に救い出す点は、「ラーマヤーナ的」といえる。いわゆる「怪物退治」の変形版である。
主人公が隠者的(獣の王)な生活を経て、人としての再生を得る点は、オルフェウス的でもあるし、ギルガメシュ叙事詩のエンキドゥを思わせる。あるいはシヴァの原型と言われるインダス文明のパシュパティを彷彿とさせる。
息子の一人が川に流される、という点は「人身御供」を思わせる。これが転じて、サルゴン大王やモーセの伝説が派生しているように思われる。
優れた医者が死者を生きかえらせる能力をも持つ、という点はアスクレーピオス神話を思わせる。地中海周辺に発達したこの神話は、イエス・キリスト神話に受け継がれるように思う。人が神の領域に踏み込むような能力を持つことの是非を問うような深い考察を伴うギリシャで語られるアスクレーピオス神話とは異なり、単純に遠い異世界(ローマ)での、夢のような憧れの出来事として、アスクレーピオス神話の片鱗は登場する。元々はオルフェウス的な神話だったものが、キリスト教の影響を受けて変化したものか?

 このように、洋の東西の様々な民話や神話のモチーフがちりばめられながら、最後に主要な登場人物全てが「めでたし めでたし」となるところが、神話や民話を越えて、「文芸作品」と呼ぶに相応しい物語といえると思います。
距離的に近いせいか、全体としてはインド神話との共通のモチーフ(思想)が多いように思います。
全体としてはイスラム的な文化の影響を受けている平和的な民話ですが、アスクレーピオス神話(しかもローマが出てくる)がちょこっと絡む点が、微妙にカトリックの匂いがする、と個人的には思います。

 おそらく、「死者を生き返らせる」という思想は、
  英雄の技 → 隠者の技(獣の王、オルフェウス等) → 医者の技(アスクレーピオス) → キリストの技(キリスト教外ではミトラスの技?)
と変遷しているのだと思われる。

#民話 #中国 #難題聟 #3人男 #ラーマヤーナ #怪物退治 #獣の王 #鷹 #鳥 #川 #人身御供 #アスクレーピオス #蘇生型 #オルペウス教 #カトリック

by admin. 民話 <1031文字> 編集

勇敢なメルゲーン
「ソヴィエト諸民族民話集」 256-271p

 主人公が弓の名手である点は射日神話である。悪しき魔女を倒す点は、マルドゥク的か。

#民話 #ナナイ #怪物退治 #秘密の急所 #鳥女房 #末子成功譚 #鴨 #鳥 #巨人 #こびと #弓 #射日神話 #おばあさん #ティアマト #火 #おじいさん #オーディン #炎黄闘争 #O1b2

by admin. 民話 <176文字> 編集

悪魔の難題
「ソヴィエト諸民族民話集」 112-137p

 前半は「テーセウスとアリアドネー」型の物語。
 後半は「うりひめ」、「たまご姫」や「とくさむすめ」、「のろいをかけられた花嫁」、「白檀の木」に通じる話である。
 神馬に関して「恐れないこと」が禁忌とされるのはタフムーラス型である。
 超常的な者にキスされると、ある意味正気ではなくなる、という点での類話:底革のハンス

#民話 #ベラルーシ共和国 #唾 #悪魔 #魔法使いの弟子 #難題聟 #呪的逃走 #不知の子 #鶏 #羊 #川 #馬 #恐れ #タフムーラス #鳥 #白樺 #柳 #樹木信仰 #おばあさん #ホレのおばさん #小麦 #テーセウスとアリアドネー #変身 #怪物退治 #禁忌 #キス #瓜子姫

by admin. 民話 <367文字> 編集

宝石の山
「ソヴィエト諸民族民話集」 57-63p

 アラビアンナイト的。一種の知恵を使った「怪物退治」譚ともいえる。
 主人公が鳥に乗って脱出するくだりの類話は「ラ・ラメー」である。怪物を退治した結果、財宝を得るのは桃太郎的か。

 元は人身御供を立てて、生贄を異界への使いとして、異界の財宝を得よう、という概念があったと思われる。いわば、生贄に捧げた者をヘルメースのような「境界神」「伝令神」にしよう、という思想である。その否定思想を「復讐」という手法で表現した報復譚といえる。

#民話 #トルクメニスタン #鳥 #怪鳥 #鷲 #下男 #鳥信仰 #人身御供 #叡智 #聖ゲオルギウス #地主 #怪物退治 #人身御供 #炎黄闘争 #境界信仰 #報復譚

by admin. 民話 <332文字> 編集

西瓜の種
「ソヴィエト諸民族民話集」 30-34p

舌切り雀的。前半は「鶴の恩返し」のように報恩譚である。後半は復讐譚になる。
コウノトリはヨーロッパでは河川女神の使者のように暗喩的に考えられている、と個人的には思う。(蜂も同様の意味を持つのであろう。)
女神が特定の人物に恩寵を与える点は、この物語の起源が炎黄闘争の神話にあり、コウノトリは九天玄女に相当するからであると思う。
コウノトリが瓜科の植物の種をもたらす点は瓜信仰(伏羲信仰)との関連性を窺わせる。

#民話 #ウズベキスタン #コウノトリ #鳥 #鳥信仰 #蜂 #昆虫 #植物 #蜂の援助型亜型・報復型 #炎黄闘争 #こぶ取り #オシリスとセト #報恩 #報復 #瓜信仰

by admin. 民話 <318文字> 編集

紡錘むすめ
「ソヴィエト諸民族民話集」 20-29p

 女主人公、助け手、怪物といった物語の骨格となる登場人物の全てが女性である点が珍しく感じる。織物に関する若い女神と老いた女神との対立は、西欧では「夏と冬の対立」のように語られる傾向が強いが、本物語では季節の循環的な要素は乏しい。紡錘むすめはゲルマン神話で言うところのエオステレに相当し、本来のトーテムは兎であった可能性が高いと考える。「紡錘むすめ」という名前からして織物に関する女神が崩れた神を思わせるが、本物語での性質としては九天玄女のような軍神としての性質が強いように感じる。異界と行き来できる点は、メソポタミア神話のイナンナを思わせる。
 が呪的逃走の「魔法のアイテム」となる点は「英雄ディックベール」、「スルタンのぶち犬」と共通している。

#民話 #コミ共和国 #呪的逃走 #小さ子 #イナンナ型 #おばあさん #ホレのおばさん #狼 #熊 #怪物退治 #烏 #大烏 #鳥 #櫛 #樹木信仰 #魔法のアイテム #松ヤニ #火 #川 #ティアマト #糸紡ぎ #動物番 #蜂の援助型 #受罰女神 #生贄型 #女・女神殺し型 #岩戸神話

by admin. 民話 <506文字> 編集

てんぐになった信太郎
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 80-85p

田(稲作)と神霊との関わりの話である。
子供が天狗に変化する部分は、農耕祭祀に関する生贄を彷彿とさせる。
人身御供の役割は、神霊と一体化して田の収穫の豊穣をもたらすことである。おそらく、水稲耕作にとって重要な水の管理(治水)も行っていたことと思われる。

天狗が、雷神のようであり、鳥のようであり、稲作に関する点は、日本的な「田の神」信仰に通じると共に、中国の神話で「雷神」=「鶏」である点も彷彿とさせる。
日本における天狗とは、中国風な雷神や風神の変化したものなのか、興味深い。

#昔話 #長野県 #中信 #天狗 #田の神 #雷神 #鳥 #人身御供 #見るな #禁忌

by admin. 昔話 <325文字> 編集

ペリの妻
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 34-37p

 物語の導入部分は、「ゲイ流譚」型である。

 原典は「バハル・ダヌシ(知識の園)(Bahar Danush( (Garden of Knowledge) ))」(ユナエト・ウラー(Ynâyet-ûllah)著、1650年)である。

#民話 #イラン #ペルシア #ゲイ流譚 #鳩 #鳥 #ペリ #天人女房 #羽衣

by admin. 民話 <189文字> 編集

ロスタム(ローステム)とラクシュ(レクシ)

「妖精の誕生 トマス・カイトリー」
 七道程 (ハフト・ハーン)という冒険を行う。デーヴァ(デーヴ)との戦いである。 32-34p
 レクシはローステムの愛馬である。

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #英雄 #悪神 #鳥 #馬 #神獣 #怪物退治

by admin. 神話,英雄名,固有神獣 <155文字> 編集

タフムーラス(タームーラース、タームラス)


 タフムーラスは、ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する、古代イランの第3代目の王である。フーシャング王の子で、ジャムシード王(『アヴェスター』における聖王イマ)の父とされる。また悪魔の束縛者であり、アフリーマンに騎乗して、世界中を駆け巡ったという伝説の持主である。
 神々(特に悪神)を支配する際に「恐れ」が禁忌とされた。(Wikipedia より)

 「神馬を恐れてはならない」という禁忌が存在する点は「悪魔の難題」、「地主が馬になった話」にその片鱗が見える。
 悪魔を酷使する際に「恐れ」が禁忌とされる点は「鉄のハンス」が類話である。

黒い馬 「王者を飲む怪馬」タフムーラス(タームーラス)王(Tahmurasu)を飲み込む。 42p

「妖精の誕生」
デーヴ・ベント(デーヴを縛る者)と呼ばれた。
 ペリに味方すべきか、デーヴに味方すべきかをシームルグ(セームルグ)に相談する。 31-32p
 シームルグの羽毛を冑に飾る。

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #タフムーラス #王 #悪神 #酷使 #鳥 #神鳥 #馬 #禁忌 #恐れ #シームルグ

by admin. 神話,固有神獣,英雄名 <516文字> 編集

蛙の恩返し ATU505+ATU551
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 254-259p

 「怪物退治」の物語のうち、「呪的逃走」の部分を大幅に拡大して
1.鳥を得る物語
2.馬を手に入れる物語
3.王女手に入れる物語
の3つのエピソードを順次織り込んでいるタイプ。

 人間の死霊が蛙(動物神)に変わる、というのは輪廻転生的だと思う。
 死刑囚を助けると、代わりに主人公が冥界に落ちてしまう、という珍しい型の「オシリスとセト」的入れ替わり譚もついている。主人公は天馬に乗って逃げ出す。
 3人兄弟の末子と上の二人との関係は「マリク・ハッサン」に似る。鳥を盗むところも「マリク・ハッサン」と同様である。

#民話 #レートロマン #3人兄弟 #末子成功譚 #死人の霊 #動物神 #蛙 #輪廻転生 #呪的逃走 #馬 #白馬 #天馬 #運搬動物 #鳥 #略奪婚 #怪物退治 #禁忌 #死刑囚 #買うな #オシリスとセト #魔法のアイテム #恩に報いる死者 #命の水

by admin. 民話 <445文字> 編集

青い鳥
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 198-201p

 若者が守護神(男性)の助力を得て、怪物を退治し、妻を得る、というモチーフはポセイドーンとアムピトリーテー型といえる。
 鳥信仰は樹木信仰に通じるが、「天人女房」にも通じる物語であるので、その点からは女性(妻の化身)から助力を得ている、という点で、テーセウスとアリアドネー型ともいえる。
 全体からいえば、聖者(父なる神)の部下である女神(青い鳥)の助力を得て成功する物語、といえる。これをワルキューレ型と呼びたい。
 二人の男性の立場が入れ替わる点は、オシリスとセト的といえる。

#民話 #スイス #オシリスとセト #鳥 #鳥信仰 #樹木信仰 #怪物退治 #ワルキューレ

by admin. 民話 <324文字> 編集

ラ・ラメー ATU400
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 179-185p

 主人公が流譚する原因は「ゲイ流譚」型である。主人公が逃走する「呪的逃走」的な場面が、物語の最初に来る点が珍しいか。
 前半は主人公が試練に打ち勝って、女主人公との結婚を勝ち取る物語である。
 女主人公と主人公が決裂する場面は、「主人公の眠り(死)」であるため、変形はしているがエレシュキガルとイナンナとドゥムジの関係を思わせる。女主人公の死や苦難によって入れ替わるわけではないので、「瓜子姫」型とはせず、「竹取」型としたい。
 前半部分の類話は「七人の乙女たち」である。鳥に乗って逃げる点は「宝石の山」と類似している。肉を食べさせる点は「マリク・ハッサン」と類似している。

#民話 #スイス #いなくなった妻を探す夫 #王女出題 #ハンカチ #鳥 #怪鳥 #動物神 #鹿 #二十日鼠 #昆虫 #呪い #悪魔 #難題聟 #異類嫁 #禁忌 #言うな #ラ・ラメー #イナンナとエレシュキガル #ドゥムジ #ゲイ流譚 #人身御供 #いなくなった妻を捜す夫

by admin. 民話 <486文字> 編集

雪のように白い石
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 157-159p

 樹木がなにがしかの豊穣を授けてくれる、という樹木信仰が崩れた民話ではなかろうか。「持ち主の姿が見えなくなる石」とは、ドワーフの宝、ともされているようだが、本物語の中にはドワーフは登場しない。
 「美しい白樺」が類話といえる。

 参照:ドワーフ

#民話 #スイス #石 #動物番 #姿消える #魔法のアイテム #樹木信仰 #鳥

by admin. 民話 <284文字> 編集

三羽のからす ATU451
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 153-157p

 「兄たちを探す乙女」が兄達を再生させるための身代わりの子供を産まなければならない点は、エンリルとニンリルの神話そのものといえる。

#民話 #スイス #兄その他を探す乙女 #烏 #鳥 #妖精 #ホレのおばさん #菩提樹 #出産 #エンリルとニンリル #姑 #禁忌 #言うな #犬 #人身御供 #兄たちを捜す乙女 #すり替え人

by admin. 民話 <210文字> 編集

親指太郎
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 109-112p

 主人公が魚に食べられたり、ケーキに紛れ込んだりするところは、変身譚であり「輪廻転生的」であると思う。
 怪物を退治するくだりが欠如している。主人公は魚、蝶、鳥に運搬される。

#民話 #オーストリア #小さ子 #男子 #末子成功譚 #人身御供 #巨人 #こうのとり #魚 #ヨブ #川 #呪的逃走 #小麦 #変身 #ばら #蝶 #運搬動物 #鶴 #怪鳥 #植物 #鳥

by admin. 民話 <222文字> 編集

スズメとキツツキ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 23-25p

「親切な少女と不親切な少女」的由来譚。

#昔話 #長野県 #中信 #雀 #啄木鳥 #鳥 #由来譚 #動物

by admin. 昔話,起源・由来 <91文字> 編集

サルとキジのクリ拾い
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 16-19p

やや理不尽な内容の猿神退治。

#昔話 #長野県 #東信 #猿 #雉 #鳥 #臼 #蜂 #牛 #卵 #動物 #猿蟹 #猿神退治

by admin. 昔話 <103文字> 編集

たまご姫 ATU480
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 41-48p

 輪廻転生的、瓜子姫的でもある。
 類話は「うりひめ」、「とくさむすめ」、「のろいをかけられた花嫁」、「悪魔の難題」の後半部分である。水と女主人公が関連する点は「白檀の木」、「スルタンのぶち犬」と類似している。

#民話 #ドイツ #井戸 #卵 #植物 #結婚 #シヴァとサティー #樹木信仰 #樹木 #水 #魚 #異類妻 #天人女房 #瓜子姫 #鳥 #ホレのおばさん #親切な少女と不親切な少女

by admin. 民話 <277文字> 編集

三人の王女 ATU301
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 14-22p

 地下世界の神との「力くらべ」のモチーフがある。ヤコブ的である。

#民話 #ドイツ #龍 #竜 #舌 #3人兄弟 #3人姉妹 #3人男 #末子成功譚 #怪物退治 #ワイン #異界 #地下世界 #熊 #白鳥 #英雄 #仕立屋 #こびと #オーディン #力くらべ #鉄の棒 #鳥 #テーセウスとアリアドネー #オシリスとセト #3人のさらわれた姫

by admin. 民話 <217文字> 編集

大鴉 15p
太陽の使者、ミスラを助ける。
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

ミスラの起源

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #鳥 #大鴉 #太陽 #大烏

by admin. 神話 <103文字> 編集

シームルグ(Simurgh)、サムルク
ガオケレナにとまる霊鳥。英雄ザールを育てた。羽根に治癒の力がある。16-17p
霊鳥他2種、月や星が種を水で浄化する。
霊鳥他3種 18p
類似?:アンズー、フェニックス、セマルグル、ガルダ
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

参照:シームルグ

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #鳥 #霊木 #世界樹 #アンズー #シームルグ

by admin. 神話 <204文字> 編集

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