文献等データベース I love books.

固有名詞は可能な限りWikipediaに準ず

No.118

黒姫物語
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 86-90p

 蛇婿としては、「三輪山伝説」の類話。
 蛇はいわゆる「河伯」の象徴でもあるので、河伯に「妻」と称して若い娘を生贄に捧げる、でないと祟りを受ける、という思想をそのまま示した物語である。
 后羿の神話では祟る河伯の目を射て祟りを鎮めることになるが、本物語では「怪物退治」は失敗して、逆に人身御供を捧げる結果となってしまう。むしろ、河伯を倒そうとした黒姫の父親の方が「悪い」となるような展開である。
 ・・・これだから、古い時代の「天帝」は人身御供擁護派だったのではないのか、羿は人々を助けようとしたからこそ罰を受けたのではないか、と筆者が言いたくなる所以である。
 長野県の北信地区には、民話が語られるような時代になるまで、「人身御供を擁護する思想」がはびこっていた証拠といえるのではないか、と思うくらいである。だからこそ、猿神を退治する早太郎を探しに、わざわざ南信まで行かなければならないのである。北信ではそのような英雄こそが悪者である、という思想を示した物語ともいえる。
 また、蛇神に対する人身御供に対して、馬がなにがしかの形で関わることが示唆される物語でもある。

 志賀高原には、この物語の大蛇が住むという大沼池がある。
 羿神話に否定的という点で、類話は「くもが淵 」である。

#昔話 #長野県 #北信 #蛇聟 #異類婿 #人身御供 #怪物退治 #馬 #祟り

by admin. 昔話,伝説 <619文字> 編集

DASHBOARD

■複合検索:

  • 投稿者名:
  • 投稿年月:
  • #タグ:
  • カテゴリ:
  • 出力順序:

■日付検索:

■カレンダー:

2020年7月
1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031

■ハッシュタグ:

■最近の投稿:

■フリースペース:

編集

▼現在の表示条件での投稿総数:

1件

▼最後に投稿または編集した日時:

2023年02月14日(火) 17:51:41

RSSフィード