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タグ「言うな」を含む投稿9件]

オジェ・ル・ダノワ(オジエ・ル・ダノワ)とアヴァロン(Avalon)の島
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 64-68p

 オジエ・ル・ダノワ(Ogier le Danois、デンマーク人オジエ)はシャルルマーニュに仕えていた。シャルルマーニュ伝説の十二勇士の一人である。
 オジエは勇敢な騎士で、アヴァロンの女主人モルガン・ル・フェイ(Morgue la faye、モルグ・ラ・フェイ)の恋人だった。モルガン・ル・フェイは嵐を起こすことのできる女神的存在である。楽園に近い場所に美女がいて、恋人となってくれる、という設定は、やはり「山のおやじ」的だと思う。
 パピヨン (Papillon) という馬をモルグから送られる。
 楽園でオジエが蛇を倒すところは「怪物退治」的な流れでもあるし、楽園に巣くった原罪の蛇をオジエが倒した、という暗喩でもあると思う。
 オジエがアーサー王の代わりに戦うところはジークフリート的である。オジエが異教徒の王の妻を娶ろうとするところは「瓜子姫」的だが、モルグに連れ去られてしまうため、キュベレーとアッティスのような展開になっている。

 オジエは女神を愛人に持ち、怪物退治を行い、ジークフリート的でもあり、最後に女神に連れ去られてしまう、と西欧の理想の英雄伝説の総まとめの見本のような存在だと思う。キリスト教の影響が色濃いと感じる。オジエの楽園生活の描写は、「キリストの戦士になったらこうなりますよ」という、まさに「山のおやじ」的プロパガンダが目的で作られたものではないだろうか。

 伝ランベール・ド・パリ作『オジエの騎士道』(Chevalerie Ogier de Danemarche; 原型は12世紀だが、伝わる作品は13世紀初頭)(オジェ・ル・ダノワ

#伝説 #フランス #馬 #神獣 #獅子 #蛇 #怪物退治 #林檎 #女神 #言うな #禁忌 #忘却(レテ)の冠 #魔法のアイテム #ジークフリート #歌 #泉 #瓜子姫 #ロマンス #カトリック

by admin. 伝説,英雄名,固有神獣 <850文字> 編集

ユオン・ド・ボルドー(Huon de Bordeaux)とオーベロン(オベロン、Oberon)

「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 55-59p
 ユオンは妖精王オベロンと出会い、援助を得る。男神の援助を得るのであるから、「オーディン」型といえる。
 オベロンはシーザーと「島の貴婦人」との混血である、と名乗り、オベロン自身が半神半人の英雄のような存在である。オベロンにはまた、出生時にメドゥーサ型の呪いがかけられていた。
 ユオンはシャルルマーニュに仕えていた。

 カイトリーによるとオーベロン(オベロン、Oberon)はオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))のエルベリヒ(Elberich)、ニーベルンゲンのアルブリヒ(Albrih)と同じものである、とのことである。(妖精の誕生 160p他)

 El-とかAl-は地中海東側では「神」を表す接頭辞であるので、エルベリヒの元の名前はベリヒ(Berich)やブリヒ(Brih)といえるのではないか、と個人的には思う。ウガリット神話のバアル(Baal)は嵐と慈雨の神とされていますし、個人的にはこのあたりが起源の神的存在なのではないのか、と感じます。旧約聖書に出てきますから、キリスト教圏で、聖書が読めた人だったら、誰でもバアルのことは知っていたと思いますが。

 『Les Prouesses et faitz du noble Huon de Bordeaux』は13世紀前半の武勲詩である。(オーベロン

 オベロンが嵐を起こしたりできる性質は天候神(風の神か?)の崩れた姿を思わせる。
 物語の最後にユオンがパラダイス(天国)へ誘われる点はやはり、キリスト教の影響と「山のおやじ」的発想を感じる。キリスト教と中世の騎士道のプロパガンダの物語といえるのではないだろうか。

 参照:エルベリヒ(Elberich)とオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))
 
#伝説 #ドイツ #フランス #こびと #オーディン #禁忌 #言うな #嵐 #川 #呪い #女神 #カイトリー #ドワーフ

by admin. 伝説,神名,英雄名 <893文字> 編集

サー・ローンファルのロマンス
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 52-55p

 サー・ローンファル(Sir Launfal)はアーサー王に仕える騎士で、フェアリーのトリヤムーア(Tryamour)と恋人同士になる。
 その結果、魔法の財布等の豊穣のアイテムを手に入れる。
 ギニア(グィネヴィア)王妃に言い寄られ、「言うな」の禁忌を破ってしまうが、恋人に対する貞節を守り、最後には恋人に助けられて、恋人と共にフェアリーの国に去る。

 Thomas Chestreによるその中英語版『Sir Launfal(ローンファル卿)』)で描かれるグィネヴィアは、執念深くふしだらな女であるだけでなく、けちで、アーサーや育ちの良い騎士たちから嫌われている。14世紀の作品。(グィネヴィア

 宮廷を去ったサー・ローンファルが隠遁するところは「獣の王」を思わせる。怪物が退治されるわけではないが、ギニア王妃が「悪役」として設定されており、ティアマト的な役割を割り振られている。最後に恋人に助けられるところは「テーセウスとアリアドネー」型といえるが、フェアリーの国(冥界)に去ってしまう点は、「天国への昇天」を連想させる。トリヤムーアはワルキューレ的な存在ともいえる。

 「昇天」を良しとする結末は、どちらかといえばキリスト教の影響なのではないだろうか。(個人的には「山のおやじ」的発想だと思う。)

 様々な民間伝承を綺麗に中世の騎士ロマンスに纏めた物語といえると思います。

#伝説 #イギリス #禁忌 #言うな #魔法のアイテム #獣の王 #ティアマト #テーセウスとアリアドネー #ロマンス

by admin. 伝説,英雄名,多エピソード保有人名 <696文字> 編集

ラ・ラメー ATU400
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 179-185p

 主人公が流譚する原因は「ゲイ流譚」型である。主人公が逃走する「呪的逃走」的な場面が、物語の最初に来る点が珍しいか。
 前半は主人公が試練に打ち勝って、女主人公との結婚を勝ち取る物語である。
 女主人公と主人公が決裂する場面は、「主人公の眠り(死)」であるため、変形はしているがエレシュキガルとイナンナとドゥムジの関係を思わせる。女主人公の死や苦難によって入れ替わるわけではないので、「瓜子姫」型とはせず、「竹取」型としたい。
 前半部分の類話は「七人の乙女たち」である。鳥に乗って逃げる点は「宝石の山」と類似している。肉を食べさせる点は「マリク・ハッサン」と類似している。

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by admin. 民話 <486文字> 編集

こびとのチュルリヴィルリ
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 163-164p

 禁忌を破って妻を失うところは「鶴の恩返し」的もあるし「ゲイと嫦娥」的でもである。
 こびとの妻は麦の収穫時期や天候をあらかじめ知っており、豊穣の女神の崩れといえよう。
 妻(あるいは乙女)の方が、なにがしかの理由で失踪する、というパターンは神話では「セクメト(メヒト)の失踪」、「イナンナの冥界下り」の冥界下り部分、あるいは「牽牛と織女」的といえる。「牽牛と織女」は鳥乙女の信仰と強く結びついているので、それ以外のパターンは「セクメトの失踪」の類話とする方が、起源的には近いかもしれない、と思う。
 類話は「妖精のお話」。

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by admin. 民話 <376文字> 編集

三羽のからす ATU451
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 153-157p

 「兄たちを探す乙女」が兄達を再生させるための身代わりの子供を産まなければならない点は、エンリルとニンリルの神話そのものといえる。

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by admin. 民話 <210文字> 編集

山女の贈りもの
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 101-103p

 「山女」はいわゆる「豊穣の女神」の崩れであると思うが、正しい祭祀を行わないものに恩寵は与えない=禁忌を破る、感謝の気持ちを失う、等
祭祀的な禁忌が、現代的な「謙虚な気持ちの欠如」に置き換わっている。キリスト教の影響か。

 「労働を続ける」という点では「麻布とくしゃみ」「主イエスと聖ペトロがフリオールに来たとき」が類話。

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by admin. 民話 <268文字> 編集

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