2020年7月の投稿[27件]
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 80-85p
田(稲作)と神霊との関わりの話である。
子供が天狗に変化する部分は、農耕祭祀に関する生贄を彷彿とさせる。
人身御供の役割は、神霊と一体化して田の収穫の豊穣をもたらすことである。おそらく、水稲耕作にとって重要な水の管理(治水)も行っていたことと思われる。
天狗が、雷神のようであり、鳥のようであり、稲作に関する点は、日本的な「田の神」信仰に通じると共に、中国の神話で「雷神」=「鶏」である点も彷彿とさせる。
日本における天狗とは、中国風な雷神や風神の変化したものなのか、興味深い。
#昔話 #長野県 #中信 #天狗 #田の神 #雷神 #鳥 #人身御供 #見るな #禁忌
by admin. ⌚ 2020年07月26日(日) 00:22:30 昔話 <325文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 68-70p
ギリシア神話の「オルペウスとエウリュディケー」を下敷きとした物語。14世紀頃成立。
女主人公のへウロディス(Heurodis)はペルセポネーのようにフェアリーの王(冥界の王)にさらわれたのであるが、はっきりとした描写はなく、失踪したように描かれている。フェアリーの王は「樹木の化身」のようにも描かれ、植物神であることが示唆される。暗にパン(小麦)や葡萄の象徴とされるイエスを暗喩しているのであろうか。
主人公のオルフェオはオルフェウスのように森の中で暮らし、まさに「獣の王」といった感じになる。
フェアリーの国に妻を探しに行ったオルフェオは詩の才能により妻を返して貰うことができる。「オルペウスとエウリュディケー」のハッピーエンド版といえる。フェアリーの王がイエスを暗示しているのであれば、イエスが人(へウロディス)を蘇生させることができる神である、との暗喩でもあろう。
「インプの木」とは、接ぎ木をした木のことであるそうである。
#伝説 #イギリス #インプの木 #樹木 #樹木信仰 #植物神 #白馬 #いなくなった妻を探す夫 #ハープ #獣の王 #ギリシア神話 #ロマンス #カトリック
by admin. ⌚ 2020年07月12日(日) 00:09:51 伝説 <554文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 64-68p
オジエ・ル・ダノワ(Ogier le Danois、デンマーク人オジエ)はシャルルマーニュに仕えていた。シャルルマーニュ伝説の十二勇士の一人である。
オジエは勇敢な騎士で、アヴァロンの女主人モルガン・ル・フェイ(Morgue la faye、モルグ・ラ・フェイ)の恋人だった。モルガン・ル・フェイは嵐を起こすことのできる女神的存在である。楽園に近い場所に美女がいて、恋人となってくれる、という設定は、やはり「山のおやじ」的だと思う。
パピヨン (Papillon) という馬をモルグから送られる。
楽園でオジエが蛇を倒すところは「怪物退治」的な流れでもあるし、楽園に巣くった原罪の蛇をオジエが倒した、という暗喩でもあると思う。
オジエがアーサー王の代わりに戦うところはジークフリート的である。オジエが異教徒の王の妻を娶ろうとするところは「瓜子姫」的だが、モルグに連れ去られてしまうため、キュベレーとアッティスのような展開になっている。
オジエは女神を愛人に持ち、怪物退治を行い、ジークフリート的でもあり、最後に女神に連れ去られてしまう、と西欧の理想の英雄伝説の総まとめの見本のような存在だと思う。キリスト教の影響が色濃いと感じる。オジエの楽園生活の描写は、「キリストの戦士になったらこうなりますよ」という、まさに「山のおやじ」的プロパガンダが目的で作られたものではないだろうか。
伝ランベール・ド・パリ作『オジエの騎士道』(Chevalerie Ogier de Danemarche; 原型は12世紀だが、伝わる作品は13世紀初頭)(オジェ・ル・ダノワ)
#伝説 #フランス #馬 #神獣 #獅子 #蛇 #怪物退治 #林檎 #女神 #言うな #禁忌 #忘却(レテ)の冠 #魔法のアイテム #ジークフリート #歌 #泉 #瓜子姫 #ロマンス #カトリック
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 55-59p
ユオンは妖精王オベロンと出会い、援助を得る。男神の援助を得るのであるから、「オーディン」型といえる。
オベロンはシーザーと「島の貴婦人」との混血である、と名乗り、オベロン自身が半神半人の英雄のような存在である。オベロンにはまた、出生時にメドゥーサ型の呪いがかけられていた。
ユオンはシャルルマーニュに仕えていた。
カイトリーによるとオーベロン(オベロン、Oberon)はオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))のエルベリヒ(Elberich)、ニーベルンゲンのアルブリヒ(Albrih)と同じものである、とのことである。(妖精の誕生 160p他)
El-とかAl-は地中海東側では「神」を表す接頭辞であるので、エルベリヒの元の名前はベリヒ(Berich)やブリヒ(Brih)といえるのではないか、と個人的には思う。ウガリット神話のバアル(Baal)は嵐と慈雨の神とされていますし、個人的にはこのあたりが起源の神的存在なのではないのか、と感じます。旧約聖書に出てきますから、キリスト教圏で、聖書が読めた人だったら、誰でもバアルのことは知っていたと思いますが。
『Les Prouesses et faitz du noble Huon de Bordeaux』は13世紀前半の武勲詩である。(オーベロン)
オベロンが嵐を起こしたりできる性質は天候神(風の神か?)の崩れた姿を思わせる。
物語の最後にユオンがパラダイス(天国)へ誘われる点はやはり、キリスト教の影響と「山のおやじ」的発想を感じる。キリスト教と中世の騎士道のプロパガンダの物語といえるのではないだろうか。
参照:エルベリヒ(Elberich)とオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))
#伝説 #ドイツ #フランス #こびと #オーディン #禁忌 #言うな #嵐 #川 #呪い #女神 #カイトリー #ドワーフ
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 52-55p
サー・ローンファル(Sir Launfal)はアーサー王に仕える騎士で、フェアリーのトリヤムーア(Tryamour)と恋人同士になる。
その結果、魔法の財布等の豊穣のアイテムを手に入れる。
ギニア(グィネヴィア)王妃に言い寄られ、「言うな」の禁忌を破ってしまうが、恋人に対する貞節を守り、最後には恋人に助けられて、恋人と共にフェアリーの国に去る。
Thomas Chestreによるその中英語版『Sir Launfal(ローンファル卿)』)で描かれるグィネヴィアは、執念深くふしだらな女であるだけでなく、けちで、アーサーや育ちの良い騎士たちから嫌われている。14世紀の作品。(グィネヴィア)
宮廷を去ったサー・ローンファルが隠遁するところは「獣の王」を思わせる。怪物が退治されるわけではないが、ギニア王妃が「悪役」として設定されており、ティアマト的な役割を割り振られている。最後に恋人に助けられるところは「テーセウスとアリアドネー」型といえるが、フェアリーの国(冥界)に去ってしまう点は、「天国への昇天」を連想させる。トリヤムーアはワルキューレ的な存在ともいえる。
「昇天」を良しとする結末は、どちらかといえばキリスト教の影響なのではないだろうか。(個人的には「山のおやじ」的発想だと思う。)
様々な民間伝承を綺麗に中世の騎士ロマンスに纏めた物語といえると思います。
#伝説 #イギリス #禁忌 #言うな #魔法のアイテム #獣の王 #ティアマト #テーセウスとアリアドネー #ロマンス
by admin. ⌚ 2020年07月11日(土) 00:23:30 伝説,英雄名,多エピソード保有人名 <696文字> 編集
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 67-74p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 82-89p
「動物番」系の物語の非常に個性的な類話であると思う。
太郎を小綺麗にしたら「いい男」になった、というのは「クワッ、クワッ、くっつけ!」のかさぶた男と同様、本来の姿を「見るな」という暗喩だと思う。
そして、信濃国の特徴なのかもしれませんが、「都から来た妻」というものに、「異類嫁」に近いような特別な扱いがされているように思います。
#昔話 #長野県 #中信 #労働 #異類嫁 #都から来た妻 #怠け者 #見るな #禁忌 #ポセイドーンとアムピトリーテー #歌 #ものぐさ太郎 #略奪婚的 #常世信仰
by admin. ⌚ 2020年07月11日(土) 00:00:47 昔話 <333文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 51-52p
モージ(Maugris、またはMaugis)は「フランスの話材」を扱った武勲詩、ロマンスなどに登場する人物。騎士でありながら、魔法にも精通しており、シャルルマーニュに仕えている。(Wikipedia )
オリアンドとはモーギスの養母かつ名づけ親かつ愛人である。親元から盗み出されたモーギスを拾い上げて養育した。
成長したモーギスは名剣・フロベルジュを手に入れる。
魔法の馬・バヤール(バイヤール)はモーギスが最初に手に入れた、という文献もあるが、その場合は後にモーギスの従兄弟のルノー・ド・モントーバンに譲られた、とされる。
モージが最も早く登場するのは、12世紀後半に成立した古フランス語の武勲詩、「エイモン公の4人の息子」(fr:Quatre Fils Aymon)である。(モージ)
名づけ親と子供の関係は「名づけ親」「ランスロットと湖の貴婦人ヴィヴィアン」に通じる。モージは「さらわれた子供」ではあるが、オリアンドが直接さらったわけではなく、ワンクッション置かれている。
英雄に名馬と名剣が組み合わさっている伝承は西欧的といえよう。
子育てに実の親がかかわっていない点は「不知の子」的である。
#伝説 #フランス #馬 #神獣 #剣 #神物 #女神 #英雄 #名づけ親 #ロマンス
by admin. ⌚ 2020年07月10日(金) 23:06:03 伝説,英雄名,固有神獣,固有アイテム,多エピソード保有人名 <609文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 48-50p
ヴィヴィアンとはランスロットの養母である。ランスロットはアーサー王に仕える。
子育てに実の親がかかわっていない点は「不知の子」的である。
女神的存在が赤ん坊をもらい受けて、それがその子の将来に関わる、というモチーフは「名づけ親」と同様である。「妖精オリアンドと騎士モージ(モーギス)」は類話といえる。
「湖のランスロット」 (Lancelot of the Laik)は14世紀の作品である。(原典資料)
#伝説 #イギリス #水 #湖 #女神 #名づけ親 #ロマンス
by admin. ⌚ 2020年07月10日(金) 00:19:47 伝説,英雄名,多エピソード保有人名 <292文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 272-275p
逃走の際には主人公は山羊に助けて貰っている。オデュッセイアのキュクロープスの項を連想させる内容である。
助け手である「3人のおばあさん」は「3人の運命の女神」(ノルンといえるか?)を思わせる。
ろうそくの魔力に助けて貰う点は「魔法のランプ型」といえる。最後に舅と姑を殺してしまう点が「怪物退治譚」の名残といえよう。
#民話 #レートロマン #山羊 #呪的逃走 #運搬動物 #おばあさん #ホレのおばさん #ろうそく #魔法のランプ #怪物退治 #怪物尊重 #青い火の中の精霊
by admin. ⌚ 2020年07月10日(金) 00:14:48 民話 <290文字> 編集
タフムーラスは、ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する、古代イランの第3代目の王である。フーシャング王の子で、ジャムシード王(『アヴェスター』における聖王イマ)の父とされる。また悪魔の束縛者であり、アフリーマンに騎乗して、世界中を駆け巡ったという伝説の持主である。
神々(特に悪神)を支配する際に「恐れ」が禁忌とされた。(Wikipedia より)
「神馬を恐れてはならない」という禁忌が存在する点は「悪魔の難題」、「地主が馬になった話」にその片鱗が見える。
悪魔を酷使する際に「恐れ」が禁忌とされる点は「鉄のハンス」が類話である。
黒い馬 「王者を飲む怪馬」タフムーラス(タームーラス)王(Tahmurasu)を飲み込む。 42p
「妖精の誕生」
デーヴ・ベント(デーヴを縛る者)と呼ばれた。
ペリに味方すべきか、デーヴに味方すべきかをシームルグ(セームルグ)に相談する。 31-32p
シームルグの羽毛を冑に飾る。
#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #タフムーラス #王 #悪神 #酷使 #鳥 #神鳥 #馬 #禁忌 #恐れ #シームルグ
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 265-271p
「怪物退治」のための旅が、供養のための「巡礼」に変更されており、キリスト教の影響といえる。
供をしてくれるのは若者ではなく老人だが、社会的地位は主人公よりも下といえるので「ボロルドーイ型」といえるが、主人公を蘇生させる蘇民将来的な能力があることから、当然イエスを連想させる。
子供を生贄に求めながら、結果としてそれを止める、という展開は「イサクの燔祭」を布教のために分かりやすく「ご当地的」に書き換えたものではなかろうか、と思う。その結果、キリスト教の思想と、人身御供を求める異教の神々との話が混在した不可思議な話となっている。それと共に、「神に対して自己犠牲と従順を求める」というキリスト教の思想が明確に現されているように思う。
林檎といえばキリスト教的には「原罪」の象徴のように思われるのだが、本物語では異教的に「若さの象徴」として使われているように思う。
アインジーデルン:「スイスのチューリヒ郊外にある有名な巡礼地。10世紀に創設されたベネディクト派の修道院と教会がある。」とのこと。
#民話 #レートロマン #林檎 #巡礼 #カトリック #死んだ父親 #オーディン #老人 #ボロルドーイ #蘇民将来 #聖母マリア #血 #人身御供 #忠臣ヨハネス #イサクの燔祭 #アミクスとアメリウス
by admin. ⌚ 2020年07月07日(火) 13:12:20 民話,固有地名 <602文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 261-264p
導入部分は「不知の子」の変形といえる。
全体としては女性が女神に捧げ物(この場合は身代わりの子供)をして結婚等の豊穣を得る、という物語が、キリスト教の影響を受けて「誠実さが大切である」という説話に変更された物語といえる。人身御供を求める女神が狐の化身である、という点は日本の荼枳尼天信仰を連想させる。女神は冥界の女神らしく、思うがままに人を殺したり再生させたりする力(眠らせる力)を持っている。女主人公が木に隠れたりする点は樹木信仰の名残がみられる。
類話は「蛇の女王」、「病気の百姓女」である。物語の骨格は、女神的存在が名づけ子の人生に関わる、というもので「ランスロットと湖の貴婦人ヴィヴィアン」、「妖精オリアンドと騎士モージ(モーギス)」と同様である。
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by admin. ⌚ 2020年07月07日(火) 12:43:57 民話 <472文字> 編集
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 64-66p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 116-119p、タイトルは「よくふか長者とほらあなの主」に変更された。
「主」とは河童か、それとも大蛇の類いか?
ともかく、「病気は祟りである」とか、「神に対する恩を忘れると祟られる」とか、そういう主題の話である。「誉津別命」が類話といえる。
子供は人間ではないので「取り替え子」的な要素もある。
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by admin. ⌚ 2020年07月07日(火) 11:46:24 昔話 <290文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 254-259p
「怪物退治」の物語のうち、「呪的逃走」の部分を大幅に拡大して
1.鳥を得る物語
2.馬を手に入れる物語
3.王女手に入れる物語
の3つのエピソードを順次織り込んでいるタイプ。
人間の死霊が蛙(動物神)に変わる、というのは輪廻転生的だと思う。
死刑囚を助けると、代わりに主人公が冥界に落ちてしまう、という珍しい型の「オシリスとセト」的入れ替わり譚もついている。主人公は天馬に乗って逃げ出す。
3人兄弟の末子と上の二人との関係は「マリク・ハッサン」に似る。鳥を盗むところも「マリク・ハッサン」と同様である。
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by admin. ⌚ 2020年07月07日(火) 11:27:09 民話 <445文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 250-253p
主人公が父親の怒りを買って流転しなければならない点は「ゲイ流譚」である。
全体としては「魔法使いの弟子」の変形版といえる。主人公が魔法使いならぬ「学校」から習ってきたのは「動物の言葉」である。それが主人公の「超常的な能力」となり、蘇民将来的な能力を発揮するまでに至る。キリスト教で「蘇民将来」といったら、主人公はイエス以外の何者でもない。「獣の王」的な主人公が人を蘇生させる、というオルフェウス的な民話を、主人公をイエスになぞらえて書き換えたものといえよう。イエスも同然の若者はローマ法王にまで上り詰めるわけだから、まさにキリスト教を庶民に親しみ易くして、布教するための「プロパガンダ」のために作られた物語といえるのではないだろうか。主人公が超常的な能力を手に入れる場所が魔法使い(悪魔)の元ではなく、学校と書き換えられているのも、そのためかもしれない。
鳥が、王(あるいはそれに類する者)の頭の上に舞い降りる、という概念はイラン神話のフマを思わせる。その点の類話は「ユシィフとズライカ」である。
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by admin. ⌚ 2020年07月06日(月) 20:23:39 民話 <596文字> 編集
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 60-63p
「花咲爺」の類和といえるか。犬神が捧げ物を得ると、金を生んでくれる、という話。
ということは、犬は雌なのだと思われる。
主人公(おじいさん)が親切な人で、女主人公(おばあさん)が意地悪な人で、異性同士が対照的となっているのは、イザナギとイザナミ的である。
犬神がなぜ、主人公、女主人公と暮らすようになったのか、という理由は欠如していて不明である。
でも、ものすごく単純な「神様に捧げ物をしたらお金が儲かる(根拠は不明)」という短絡的思想は、民話の中だけでなくて、現在の「神社」というものに対する日本人の姿勢を見ても、日本人の精神文化の中に非常に深く根付いているといえると感じる。(ここまで単純で露骨な思想形態はあまり他では類を見ないと感じる。)お金大好き日本人文化を象徴するような物語である。・・・別にお金だって必要なものだから、それが悪いとは言わないけどさあ。私だってお金は欲しいけど。
#昔話 #長野県 #北信 #犬 #動物 #化成 #金 #イザナギとイザナミ #池
by admin. ⌚ 2020年07月06日(月) 17:45:59 昔話 <477文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 242-244p
樫の木は主人公達の分身、ろうそくは魂の象徴である。
「魔法使いの弟子」の変形ともいえるが、円満退職しているので、「豊穣の女神の恩寵を得た」という物語である。冥界へ行って豊穣をもたらす、という点はハイヌウェレ的ともいえる。「冥界に行って、女っ主人から魔法のアイテムを貰って戻ってくる」という点は、個人的には浦島太郎の陸上版のように感じる。
「赤い首輪をつけた蛙」が一番近い物語といえようか。
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by admin. ⌚ 2020年07月06日(月) 13:00:22 民話 <342文字> 編集
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 86-90p
蛇婿としては、「三輪山伝説」の類話。
蛇はいわゆる「河伯」の象徴でもあるので、河伯に「妻」と称して若い娘を生贄に捧げる、でないと祟りを受ける、という思想をそのまま示した物語である。
后羿の神話では祟る河伯の目を射て祟りを鎮めることになるが、本物語では「怪物退治」は失敗して、逆に人身御供を捧げる結果となってしまう。むしろ、河伯を倒そうとした黒姫の父親の方が「悪い」となるような展開である。
・・・これだから、古い時代の「天帝」は人身御供擁護派だったのではないのか、羿は人々を助けようとしたからこそ罰を受けたのではないか、と筆者が言いたくなる所以である。
長野県の北信地区には、民話が語られるような時代になるまで、「人身御供を擁護する思想」がはびこっていた証拠といえるのではないか、と思うくらいである。だからこそ、猿神を退治する早太郎を探しに、わざわざ南信まで行かなければならないのである。北信ではそのような英雄こそが悪者である、という思想を示した物語ともいえる。
また、蛇神に対する人身御供に対して、馬がなにがしかの形で関わることが示唆される物語でもある。
志賀高原には、この物語の大蛇が住むという大沼池がある。
羿神話に否定的という点で、類話は「くもが淵 」である。
#昔話 #長野県 #北信 #蛇聟 #異類婿 #人身御供 #怪物退治 #馬 #祟り