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「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 32-34p
若いトロールと老いたトロールの女性を巡る争い譚、なのだが、若いトロールは何かをするわけではなく「時期を待っているだけ」であるので、その点は「ものぐさ太郎」的である。
「怪物退治譚」というよりは、もっと端的な「炎黄神話」の崩れであると思う。黄帝も、炎帝も中原の出身ではなく、古代中国の人々にとって「よそ者」であったとすれば、古代中国の人々にとって「炎黄の争い」も、このトロール達の争いのようなものとして、その目に写ったのではないだろうか。
「クヌレムレ」という名前のトロールが登場するが、私の考えでは、当然その起源は「熊」という言葉であると思う。
#民話 #デンマーク #トロール #猫 #ものぐさ太郎 #変身
by admin. ⌚ 2022年08月23日(火) 22:55:59 民話 <352文字> 編集
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 29-32p
豚飼いの少年がトロールを追い払う話。いわゆる「動物番」の変形した物語で、オーディンのユミル退治が崩れたものといえる。
トロールが雷を嫌うのは、雷神トールがトロールを嫌いだから、と注釈に説明されているが、北欧の動物番は叡智が巨人類を退ける話が多く、退けたもの(動物番の若者)の原型が叡智の神オーディンを示唆しているように思う。
類話は「オズボーンの笛(オズボルンの笛)」である。
参考として、「蛇の女王」。
#民話 #デンマーク #トロール #動物番 #豚
by admin. ⌚ 2022年08月16日(火) 06:10:33 民話 <284文字> 編集
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 18-19p
エルフに誘惑されて正気を失う話。
後半はエルフに誘惑された若者を再び人間界に戻す話であるが、肉を食べさせると良いらしい。元はさらわれた若者を取り戻すために肉(牛や豚といった獣)を生贄として捧げた話が崩れたものか。死んだ若者(神)に対して生贄を捧げたら、イモではなくて当人が戻ってきたようである。
デンマークではエルフとの性的接触で、正気が失われると考えていたのだろうか。
正気を失う点については「底革のハンス」、「トロルと踊った少女」が類話である。特に「底革のハンス」とは、男性が女性のエルフに誘惑される、という点で類似性が高いと考える。
#民話 #デンマーク #妖精 #狂気 #誘惑
by admin. ⌚ 2022年07月23日(土) 13:24:50 <359文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 110-112p
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 36-38p
「とりかえ子」について2篇。
「とりかえ子」とは、精霊が赤ん坊をさらう代わりに、自分の子供を置いていってしまった、その子供のこと。
普通の赤ん坊と違って、異様な行動をしたり、成長が普通でなかったりする。
人々は知恵を使って、とりかえ子を追い出し、本物の赤ん坊を取り戻そうとする。
「とりかえ子」は大声で叫んだり、異常な大食いであったりして、まるで古代中国の饕餮のようである。
類話は「とりかえ子(スコットランド)」、「とりかえ子(ドイツ)」
#伝説 #スカンジナビア #デンマーク #北欧 #トロール #取り替え子 #饕餮
by admin. ⌚ 2022年02月28日(月) 18:06:27 伝説 <341文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 109-110p
少女が冥界へ行って戻ってくる話。
踊りが「禁忌」となっていて、少女は時間と正気を失う。
浦島的な部分については「あの世で過ごした一夜」が類話。
正気を失う点については「底革のハンス」が類話である。
ダンスと関連する点については「フェアリーの住居にはいった若者」が類話である。
#民話 #スカンジナビア #デンマーク #北欧 #トロール #踊り #狂気 #浦島太郎
by admin. ⌚ 2022年02月27日(日) 10:05:03 民話 <240文字> 編集
トロールは丘陵地、長塚、土墳などの下に共同体を作り暮らすためスウェーデンではベルグフォルク(丘の人々)と呼ばれた。彼等の住処は財宝でいっぱいで夜になると光り輝くと言われた。彼らは騒音を嫌い鐘や教会からは離れて暮らした。気に入った人間には富と幸運をもたらし、気に入らないものには不運と破壊をもたらした。また女子供をさらい財宝を盗む。金属工芸にも秀で、薬草や魔法を使った治療にも秀でていると言う。日の光に当たると石に変わるため、夕暮れ時から明け方までしか姿を見せない。
参照:トロール
#神話 #スカンジナビア #デンマーク #北欧 #トロール
by admin. ⌚ 2022年02月23日(水) 17:02:37 神話,定義 <288文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 105-106p
教会に奉納された杯の由来譚である。
物語の骨格は「怪物退治」の省略された「呪的逃走」のみの話。
教会が絡む物語なので、教会そのものが逃走の「助け手」となる。日本でもお堂等に逃げ込んで鬼をやり過ごすような話があったと思う。
古代の神々の役目であった「呪的逃走」の助け手を、確立された世界宗教も引き継いだ一例といえる。
トロールの酒を捨てるところは、メソポタミア神話の「アダパの物語」を思わせる。
もちろんアダパよりもずっと現代に近い時代の物語であるので、他人が差し出した怪しい飲み物などは飲まないのが常識ではあるが。
物語的には「杯」は、「魔法の大釜」が著しく変形したものであろうか。
類話は「スヴェンド・フェリングと女エルフ」、「フェアリーの宴会」である。
参照:アダパ 、トロール
#伝説 #スカンジナビア #デンマーク #北欧 #トロール #踊り #魔法のアイテム #酒 #魔法の大釜 #不死の霊薬 #呪的逃走 #馬 #教会 #カトリック #椀貸伝説
by admin. ⌚ 2022年02月23日(水) 12:00:03 伝説,起源・由来,固有地名 <497文字> 編集
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 39-41p
トロルの喧嘩に加勢して、怪力を得る話。怪力を得ることは一種の化生といえようか。
「見るな」の禁忌がついている。
「炎黄闘争」の崩れた物語といえる。
#民話 #デンマーク #ニーベルンゲン #見るな #怪力 #食欲 #炎黄闘争 #化生 #スヴェンド・フェリング