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タグ「ゲイ流譚」を含む投稿14件]

ユシィフとズライカ ATU870
「シルクロードの民話 パミール高原」 201-224p

 2つの物語が組み合わさった物語と思う。
 一つは旧約聖書、創世記のいわゆる「ヨセフ物語」である。主人公が兄達に疎まれたり、エジプトに売られたりする点など、粗筋の大筋が非常に良く似ている。「主人公が兄達に疎まれている点」は「ヨセフ物語」と併せて、「ゲイ流譚」的といえると考える。
 もう一つは、おそらく、女神的な女性に助けられて、かつ、その女性と結婚して豊穣を得る、というモチーフ、しかも、女主人公が古い夫(老人)から若い夫に乗り換える、という「グィネヴィアとアーサー王」のような「ネミの森」的神話が元はあったのではないか、と思われる。
 ただ、「ヨセフ物語」の要素の方が非常に強いので、後者の要素はとても弱くなり、「古い夫」も妻に裏切られるのではなく自然死となっている。そして、2つめの物語の要素が多少入り交じっているので、その点が「ヨセフ物語」との違いを生み出しているように思える。
 ユシィフは鷹に選ばれて王となっており、フマ的な要素が加わる。その点は「動物のことばがわかる男」が類話である。
 全体として、類話は「忘れてしまった夢」である。

#民話 #中国 #ヨセフ物語 #旧約聖書 #鷹 #フマ #鳥 #夢解き #ゲイ流譚 #ネミの森 #地下の洞窟に閉じ込められた姫

by admin. 民話 <592文字> 編集

絵ネコとネズミ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 123-127p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 120-124p、タイトルは「絵ねことねずみ」に変更された。

 怪物退治の一型。職能タイプ。
 父親と対立して旅に出るところは「ゲイ流譚」型である。
 
#昔話 #長野県 #南信 #猫 #鼠 #絵師 #ゲイ流譚

by admin. 昔話 <182文字> 編集

ロキと小人
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 86-88p

 ドゥエルガル(dvergr)の性質を示すものとして、カイトリーが紹介した物語。「妖精の誕生」の目次では民話とされているが、神話である。神々の武器をロキがどのようにして手に入れたのか、という由来譚になっている。 参照:シフの髪を切った話
 小人とは、この物語のように魔法のアイテムを作る、主に地下に住む鍛治師とされている。
 この物語についての「妖精の誕生」でのカイトリーの解説には、個人的には何も言えない。(というか、何が言いたいのかよく分からない。)

 シフの髪を切った話は、「怪物退治譚」の変形で、宝物探報が主な目的となった「イアーソーン型」である。物語の導入部分は、上位の神トールとの対立であるので、「ゲイ流譚型」といえる。
 物語としては、流れに疑問を感じる不自然な場面がいくつかあり、欠損を思わせる。それは、
 1.何故ロキがシヴの髪を刈ってしまうのか。なぜ、自然に髪が伸びるまで待てないのか。という点
 2.手に入れた魔法のアイテムはいわば「賠償品」であって、最初からロキのものではないのだが、なぜロキは品物を自慢したりしたのか。そして、なぜ命を賭けた賭けをしたのか。という点
の2点である。
 「シヴの髪を刈る行為」は、「長く豊かな髪」は女性らしさの象徴でもあり、夫の自慢でもあるので、それは「女性の死」の暗喩であると思う。つまり、ロキはシヴを殺してしまったので、その再生のために冥界を流転する旅に出ることになる。旅には、シヴの再生の目的と、もっと人の現実世界に近い「賠償」のため、という2つの側面がある。ロキの旅に2段階あるのは、最初の旅のみでは、再生に足りない、あるいは賠償が足りない、とされる理由が本来あったのではないだろうか。そのため、さらなる目的物を得るためにロキは命を賭けなければならないのである。一つの命を再生させるために、新たな命が必要とされる、というのはよくある神話のパターンである。
 そして、旅の目的を果たしてロキは帰還するが、結局は成功と認められないことになる。従ってロキは殺されねばならない。この展開にも2面性があり、ロキはシヴの再生のために最初から命を差し出さねばならない、という神話的目的と、「賠償に失敗したから」という現実的な目的が入り交じっているように思う。「口をきけないようにする」という展開は、「ロキの死」を暗喩している。

 民話では、物語の最後は「めでたし めでたし」で終わることが多いが、西欧の神話では特に悲劇で終わることが多い。登場人物のほとんどが死んでしまう「ニーベルンゲン」のような物語もある。ただし、本物語は、「北欧神話」という大きな物語群の中で、「神々の武器の由来譚」としての位置を与えられたこと、ロキの最期がラグナロクに位置づけられたことなどから、ロキの死は暗示されるだけで、物語の上では死なない、ということに変更されたのではないか、と思われる。男神が女神を再生させる、という点ではイナンナとタンムーズ的ともいえる。タンムーズも冥界のイナンナの怒りを買ったことが、彼の死の原因とされている。

 類話はケルト神話の「トゥレンの息子達 」である。主人公達は、人の命を奪い、上位の神に賠償するために財宝を探索する「イアーソン型」かつ「ゲイ流譚型」の旅をする。試練が2部制になっている点、最期に主人公達が亡くなる点等が共通である。

#神話 #北欧 #イアーソーン #ゲイ流譚 #魔法のアイテム #イナンナとタンムーズ #損害賠償 #小人 #ドワーフ

by admin. 民話,神話,起源・由来,多エピソード保有人名 <1491文字> 編集

甥と叔父
「シルクロードの民話 パミール高原」 86-106p

 主人公と女主人公が上位の者と対立して町を追い出されるところは「ゲイ流譚」型といえる。
 女主人公が魔人の側について、兄を殺そうとする。「怪物退治」のうち、ティアマト型といえる。自ら生んだ息子に殺される点も、マルドゥクとティアマトの関係を連想させる。魔人が穴の中に封印されていた点は、元は「冥界神」だったことの暗喩といえる。
 甥が叔父に代わって戦い、魔人を倒したり、花嫁を得る点はまさに「ジークフリート型」といえる。
 
 本来的な物語が「テーセウスとミーノータウロスとアリアドネー」だったとすれば、本来は女主人公と魔人が兄妹(あるいは姉弟)という関係であって、外からやってきた主人公(本物語では「兄」)の方が略奪婚の当事者だったといえるのではないか、と思います。私は、民話を考察する際に女主人公から見て「兄弟」と「夫」の区別はあまりつけません。なぜなら、古代の特に母系社会ではイシスとオシリスのように、兄妹であって夫婦である、ということは珍しいことではなく、むしろ家の財産を守るためにはその方が妥当であった、という文化があるからです。日本の古代の天皇家も、異母兄弟で結婚して天皇、皇后となり、皇族でなければ皇后として認められなかった、という時代がありました。そこには現代的に「兄弟」と「夫」を区別する文化はありませんでした。古代日本の「妹」という言葉は、妻を指す言葉でもあり、妹を指す言葉でもあったのです。また、通い婚である母系社会では、夫は複数いて当然ですので、女性の不貞という概念がなく、その点も現代と異なります。そのように考えると本物語の「甥」は、本当は魔人の子供なのか、兄の子供なのかも分からない、ということになります。子供が主人公のことを愛して、父親だと感じていたのであれば、血のつながりに関係なく主人公の側につくことは母系社会的にはあり得ること、と思います。ただし、本物語では「甥」は魔人の血を引いた半人半神のような英雄であり、正義に味方する若き神のような存在ですので、そういう点も「正義の神」であるマルドゥクを連想させます。そして、当然イスラム文化の影響を受けている物語ですから、イスラム的には女主人公の死は「名誉殺人」的な概念となるのかなあ、と思います。(身内を裏切って、身内の賛成しない男と仲良くなって正式な結婚もせずに、事実上の夫婦となっているわけだから。ただし、民話としてはそのような女主人公の行動も古代の女神の名残のように思われます。)

 ジャムシード王は伝説的な古代ペルシアの王と言われていますが、インド神話のヤマ(閻魔)、北欧神話のユミルと同語源であると言われています。ジャムシード王の尽きせぬ宝がどこかの洞窟に隠されている、との考え方は、「さまざまな鉱物資源(尽きせぬ宝)を体内にため込んでいるプタハのような大地(冥界)の神」を連想させ、少なくとも民間的にはジャムシード王のことを、「宝物をため込んでいる冥界の王」と見なし得るような口頭伝承があったのかもしれない、と思うと、ジャムシード王からヤマへの変遷が感じられて興味深く思います。

#民話 #タジキスタン #ゲイ流譚 #怪物退治 #ティアマト #怪物尊重 #ジークフリート

by admin. 民話,神話 <1383文字> 編集

 個人的な基準で、民話のデータベースと分類を試みているページです。ミーノータウロス退治のような「怪物退治」を特に細かく分けようと試みています。サイトマップ

1.ミーノータウロス退治のように、「主人公が怪物を退治し、怪物の近親者(姉妹、娘など)を妻とするタイプ」とその変形の物語。
(1) 問題解決のために「妻の手助け」があるタイプ → 「テーセウスとアリアドネー」型     #テーセウスとアリアドネー
(1)-あ 問題を姑が課すタイプ → 「ポポヨラのロウヒ」型                   #姑
(1)-い 問題を舅が課すタイプ → 「須佐之男」型                       #舅
(2) 主人公を助けるために女主人公が犠牲になるタイプ → 「エンリルとニンリル」型      #エンリルとニンリル
(2)-あ 退治されるのが女性で有罪であるタイプ → 「ティアマト」型             #ティアマト
(2)-い 主人公を軸として死により女主人公が入れ替わるタイプ他 → 「シヴァとサティー」型  #シヴァとサティー
(3) 問題解決のために「女神的存在の手助けがある」タイプ → 「ホレのおばさん」型      #ホレのおばさん
(4) 問題解決のために「男神的存在の手助けがある」タイプ → 「オーディン」型        #オーディン
(4)-あ 問題解決のために「神や仲間との力(食欲)くらべ」があるタイプ → 「ヤコブ」型   #力くらべ
(4)-い 問題解決のために男主人公が単独で解決するタイプ → 「ポセイドーン」型       #ポセイドーンとアムピトリーテー
(4)-う 問題解決のために男主人公が単独で解決し、結婚しないタイプ → 「聖ゲオルギウス」型 #聖ゲオルギウス
(4)-え 問題解決のために異種の供がつくタイプ → 「ブレーメン」型             #ブレーメン
(4)-お 問題解決のために若者等の供がつくタイプ → 「ボロルドーイ」型          #ボロルドーイ
(4)-か 問題解決のために「神の使いの手助け(女性等)」があるタイプ → 「ワルキューレ」型 #ワルキューレ
(4)-き 問題解決のために「動物神他の手助け」があるタイプ → 「動物神」型         #動物神
(4)-く 問題解決のために「動物神他を無理矢理こき使う」タイプ → 「酷使」型        #酷使
(4)-け 問題解決のために「物質の精霊他の手助け」があるタイプ → 「魔法のランプ」型    #魔法のランプ
(4)-こ 助け手が主人公に代わり問題を解決するタイプ → 「ジークフリート」型        #ジークフリート
(4)-さ 大勢の人が主人公と共に戦い、問題を解決するタイプ → 「蜂起」型          #蜂起
(5) 問題解決のために武力ではなく知恵を使うタイプ → 「叡智」型              #叡智
(5)-あ 問題解決のために謎を解くタイプ → 「謎解き」型                  #謎解き
(5)-い 謎を解くのに姥捨老人の知恵を得るタイプ → 「姥捨て」型              #姥捨て
(5)-う 問題解決のために詐欺的な悪知恵を使うタイプ → 「詐欺」型             #詐欺
(5)-え 問題解決のために知恵で相手を関心させるタイプ → 「怪物納得」型          #怪物納得
(5)-お 問題解決のために祭祀を行うタイプ → 「祭祀」型                  #祭祀
(5)-か 問題を女主人公が課すタイプ → 「王女出題」型                   #王女出題
(5)-き 女主人公が「怪物(主に実家)」の側につくタイプ → 「怪物尊重」型         #怪物尊重
(6) 主人公が弓の名手であるタイプ → 「射日神話」型                    #射日神話
(7) 主人公が動物番であるタイプ → 「動物番」型                      #動物番
(7)-1 主人公が草食動物であるタイプ → 「羊と狼」型                   #羊と狼 
(8) 女主人公と主人公が破綻するタイプ → 「ゲイと嫦娥」型                 #ゲイと嫦娥
(8)-あ 結婚前から女主人公と主人公が破綻しているタイプ → 「ティアマト」型         #ティアマト
(8)-い 女主人公が古い夫(主に老人)から乗り換えるタイプ → 「ネミの森」型         #ネミの森
(9) 怪物の急所が隠されているタイプ → 「秘密の急所」型                  #秘密の急所
(10) 家にやってくる怪物を退治するタイプ → 「迎え撃ち」型                #迎え撃ち
(11) 家にいる怪物を退治するタイプ → 「追い払い」型                   #追い払い
(11)-1 家にいる怪物を追い払えず逃げ出そうとするタイプ → 「追い払い失敗」型       #追い払い失敗
(12) 怪物を物に閉じ込めるタイプ → 「封印」型                      #封印

2.主人公が目上の存在(父親、上司等)と対立して旅に出るタイプ → 「射日神話」型       #ゲイ流譚
2-あ 主人公が特に海に流されるタイプ → 「淡島」型                      #淡島

3.主人公(あるいは女主人公)が怪物から逃走するタイプ
(1) 魔法や変身で逃げおおせるタイプ → 「呪的逃走」型                   #呪的逃走
(1)-あ 他人に匿われながら逃げおおせるタイプ → 「匿い」型                #匿う
(1)-い 動物と一緒に生活するタイプ → 「獣の王」型                    #獣の王
(1)-う 主人公が鳥に運んで貰うタイプ → 「怪鳥」型                    #怪鳥
(1)-え 主人公が魚に運んで貰うタイプ → 「ヨブ」型                    #ヨブ
(1)-お 鳥・魚以外の動物他に運んで貰うタイプ → 「運搬動物」型              #運搬動物

4.主人公が魔法使い等の弟子であるタイプ → 「魔法使いの弟子」型               #魔法使いの弟子
4-あ 主人公が半身であるタイプ → 「半身英雄」型                       #半身英雄

5.女主人公の所業で主人公(夫)が不幸になるタイプ → 「ネミの森」型             #アルテミス
5-あ 女主人公の所業のうち不貞以外での不幸(特に浪費)が隠されているタイプ → 「食わず女房」型          #食わず女房

6.女主人公が主に家族のために旅に出るタイプ → 「鉢里公主」型                #鉢里公主
(1) 失踪した兄弟や夫を探すタイプ → 「兄達を探す乙女」型                 #兄その他を探す乙女
(1)-あ 女主人公のえん罪等により失踪した兄弟や夫を探すタイプ → 「えん罪」型        #えん罪
(1)-い 継子虐めにより旅に出るタイプ → 「継子虐め」型                   #継子虐め
(2) 火を求めるタイプ →「火を探す乙女」型                         #火を探す乙女
(3) 問題解決のために「夫の手助け」があるタイプ → 「クピードーとプシュケー」型      #クピードーとプシュケー

7.女主人公が失踪するタイプ → 「セクメト」型                        #セクメトの失踪
(1) 失踪した妻を夫が探すタイプ → 「いなくなった妻を探す夫」型              #いなくなった妻を探す夫
(2) 主人公の所業に不満があって女主人公が失踪するタイプ → 「ラ・ラメー」型        #ラ・ラメー
(3) 「見るな」等の禁忌に触れて女主人公が失踪するタイプ → 「鶴女房」型          #鶴女房

8.主人公(達)を助けるために女主人公が身代わり的な子供を産むタイプ → 「エンリルとニンリル」型のうち「出産」型    #出産
8-あ 女主人公が性行為以外で妊娠するタイプ → 「処女懐胎」型                 #処女懐胎

9.主人公が何らかの理由で複数の人の命を求めるタイプ → 「ザッハーク」型           #ザッハーク

10.女主人公他が上位の女性から呪いをかけられるタイプ → 「メドゥーサ」型          #メドゥーサ
10-1 呪いの原因が明確な侮辱であるタイプ → 「アテーナーとアラクネー」型          #アテーナーとアラクネー

11.女主人公が眠っているタイプ → 「眠り姫」型                       #眠り姫
(1) 女主人公が扉の中に閉じ込められているタイプ → 「天岩戸」型              #閉じ込められている乙女
(2) 幼児が見知らぬ父親を言い当てるタイプ → 「賀茂別雷命」型               #賀茂別雷命

12.主人公他の命を巡って二柱の男神が対立するタイプ → 「神と悪魔」型            #オーディンとトール

13.樹木から豊穣を得るタイプ → 「樹木信仰」型                       #樹木信仰
(1) 樹木信仰のうち、鳥から豊穣を得るタイプ → 「鳥信仰」型                #鳥信仰

14.神々が旅をして死者を生き返らせるタイプ等 → 「蘇民将来」型               #蘇民将来
14-1 願いをかなえるタイプ → 「希望成就」型                       #希望成就
14-2 労働を続けるタイプ → 「労働継続」型                        #労働継続
14-3 1,2の内、神々が旅をしないタイプ → 「神固定」型                 #神固定

15.キリスト教の影響を受けた物語のタイプ → 「キリスト教」型                #カトリック
15-あ 悪魔に自ら魂を売るタイプ → 「魂売り」型                       #魂売り

16.存在を知らない子供を悪魔等に渡すタイプ → 「不知の子」型                #不知の子

17.神的アイテムとして鉄の棒やムチが出てくるタイプ → 「鉄の棒」型             #鉄の棒
17-あ 際限のない食事を出すアイテムが出てくるタイプ → 「魔法の大釜」型           #魔法の大釜
17-い 地獄の大釜が出てくるタイプ → 「地獄の大釜」型                    #地獄の大釜
17-う 触れると霊が出てくるタイプ → 「魔法のランプ」型                   #魔法のランプ
17-え その他豊穣をもたらすアイテムが出てくるタイプ → 「豊穣のアイテム」型         #豊穣のアイテム

18.二人の女性が入れ替わるタイプ → 「親切な少女と不親切な少女」型             #イナンナとエレシュキガル
18-あ 結婚を巡って二人の女性が入れ替わるタイプ → 「瓜子姫」型               #瓜子姫
18-い 18-あのうち、特に主人公の「眠り」によって女性が入れ替わるタイプ → 「ドゥムジ」型 #ドゥムジ
18-う 女主人公によって女神が再生されるタイプ → 「アルテミスとイーピゲネイア」型      #アルテミスとイーピゲネイア
18-え 女主人公(の命)によって植物が再生されるタイプ → 「ハイヌウェレ」型         #ハイヌウェレ
18-お その他、女神が何らかの代償で再生されるタイプ → 「再生される女神」型         #再生される女神

19.「瘤取り」等のように二人等の男性が入れ替わるタイプ → 「オシリスとセト」型       #オシリスとセト

20.妻が人間ではないタイプ → 「異類嫁」型                         #異類嫁
20-あ 妻が鳥や天女等であるタイプ → 「天人女房」型                    #天人女房
20-い 服(皮)を隠すタイプ、服が見つかることが禁忌となる → 「羽衣」型          #羽衣
20-う 男女を問わず服(皮)を処分するだけのタイプ → 「皮処分」型             #皮処分

21.夫が人間ではないタイプ → 「異類聟」型                         #異類聟
21-あ.夫が犬であるタイプ → 「盤瓠」型                          #盤瓠
21-い.夫が猿であるタイプ → 「猿聟」型                          #猿聟
21-う.夫が蛇や竜であるタイプ → 「蛇聟」型                        #蛇聟

22.冥界が地下世界でなく「海の向こう」にあるタイプ → 「竜宮」型              #竜宮

23.神々と交流する際に禁忌があるタイプ → 「禁忌」型                    #禁忌
23-あ 特に「見てはならない」タイプ → 「見るな」型                     #見るな
23-い 特に「恐れてはならない」タイプ → 「恐れ」型                     #恐れ
23-う 特に「馬を恐れない」タイプ → 「タフムーラス」型                   #タフムーラス

24.怪物退治ではなく宝物入手が目的となっているタイプ → 「イアーソーン」型          #イアーソーン
24-あ その他の目的で流転するタイプ → 「アイネイアース」型                  #アイネイアース

25.異界で非常に長時間が経過するタイプ → 「浦島太郎」型                   #浦島太郎

参照:「魔法のアイテム
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by admin. <6071文字> 編集

美しい娘
「シルクロードの民話 パミール高原」 68-81p

 主人公が家を出る下りは「ゲイ流譚」的である。
 女主人公に「見るな」の禁忌があり、閉じこもった暮らしを送り、彼女の怒りを買ったものは死に至る、という点は「王女のハンカチ」と共通する。
 略奪婚を試みる悪しき王の結末は、「怪物退治」の一型といえる。女主人公の助力がある点で、「テーセウスとアリアドネー」型の物語といえる。この物語では女主人公ではなく、主人公の方が鳥に化生する。馬との関連もわずかであるが示唆される。女主人公は杏と関連づけられる。
 当人の姿以外のものが異性の心を捉えるという点は、日本の「髪長姫」を連想させる。

 参照:絵姿女房

#民話 #中国 #絵姿女房 #見るな #禁忌 #怪物退治 #鳥 #馬 #杏 #植物 #テーセウスとアリアドネー #ゲイ流譚 #閉じ込められている乙女 #略奪婚

by admin. 民話 <463文字> 編集

王女のハンカチ ATU892
「シルクロードの民話 パミール高原」 52-67p

 女主人公が「7つの扉のついた地下室」に住んでいる点は、明らかに「イナンナの冥界下り」と共通したモチーフと思われる。イナンナが下る冥界にも7つの扉がある、とされる。この点の類話は「山のなかに閉じこめられた王女」である。
 神話では、イナンナは姉エレシュキガルの支配する冥界を「自分のもの」と考えて下り、そこで冥界の女王である姉の怒りを得て殺された、とされるが、それはイナンナとエレシュキガルが「一体となったことを示している、とも解釈できる。少なくとも、本作の女主人公はイナンナ的ではあるが、冥界を住処としており、エレシュキガルともいえる性質を併せ持つ。彼女の住処に許しなく踏み込む者は、そこは「冥界」であるので、当然のように死ぬ。

 一方、女主人公の夫は、父王の怒りを受けて旅に出る。これは「人身御供」の象徴ともいえるが、物語的には、「上位の者の怒りを得て、主人公が流転する」という点で、中国のゲイ神話、日本の日本武尊を思わせる。なにがしかの禁忌を破って、異界を流転する夫とそれを再生させようとする妻、という点ではエンリルとニンリル的でもある。

 えん罪であるけれども、女主人公が夫を裏切った(ように見え)る、という点は、テーセウスとアリアドネーの神話が根底にあり、「二人が何故決裂したのか」という点について、アリアドネーの側にえん罪といえる理由があったのではないか、という理由付けの物語のようにも思える。

 夫以外の男が妻にちょっかいを出しており、それが原因で争いが起きる、という点は、ラーマヤーナ的な「略奪婚」の要素であると思う。従って妻を略奪した「怪物」は最終的には退治されるが、この物語では怪物を倒すのは、妻自身となっており、とても強いヒロインの物語といえる。妻の貞節を賭けて騙される話

 妻が夫を男装して捜し求める点は、「兄たちを探す乙女」の変形版といえる。

 全体としては、テーセウスとアリアドネーの物語のモチーフが一番強く、そこに「妻のえん罪」という要素が大きく関わる物語といえます。でも、本作の「妻」はイスラム圏の物語なのに、こんなに女性が強く、魔女的で、物語の主導権を握る存在であっていいのだろうか? と異教徒の私の方がむしろ思うくらい、女主人公の行動力と活躍が強く前面に出ており、夫を勝たせるのか、略奪者を勝たせるのか、それは「女神の恩寵次第で決まる」という、「ネミの森」のような太古の女神信仰の影響が強く残されている物語だと感じます。日本武尊の物語でも、日本武尊の人生を左右する存在として伯母の倭姫が大きく関わってきますし、大国主命は貝の女神に命を再生させて貰います。ゲイ神話的に主人公が流転するモチーフは、東アジア的な要素だと思う。ゲイもまた、妻の嫦娥に振り回される存在でもあります。しかも、テーセウスとアリアドネーのように、ゲイと嫦娥も決裂します。ゲイと嫦娥の神話が西に広がって、テーセウスとアリアドネーの物語に変化する過程で「えん罪」という要素が独自の形で入り込んできた物語といえるのかもしれないと思います。
 
 女主人公が「見てはならない」(当人の魔力によっても「見ることができない」)存在である点も、太古の女神の姿を彷彿とさせると感じます。これは「鶴の恩返し」とも共通のモチーフです。

 類話は「美しい娘」である。
 

#民話 #タジキスタン #イナンナとエレシュキガル #エンリルとニンリル #ハンカチ #絵姿女房 #見るな #禁忌 #怪物退治 #男装流譚 #鳥 #天人女房 #テーセウスとアリアドネー #ゲイ流譚 #えん罪 #妻の貞節を賭けて騙される話 #兄その他を探す乙女 #閉じ込められている乙女 #王の子どもたち

by admin. 民話 <1585文字> 編集

ペリの妻
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 34-37p

 物語の導入部分は、「ゲイ流譚」型である。

 原典は「バハル・ダヌシ(知識の園)(Bahar Danush( (Garden of Knowledge) ))」(ユナエト・ウラー(Ynâyet-ûllah)著、1650年)である。

#民話 #イラン #ペルシア #ゲイ流譚 #鳩 #鳥 #ペリ #天人女房 #羽衣

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動物のことばがわかる男 ATU671
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 250-253p

 主人公が父親の怒りを買って流転しなければならない点は「ゲイ流譚」である。
 全体としては「魔法使いの弟子」の変形版といえる。主人公が魔法使いならぬ「学校」から習ってきたのは「動物の言葉」である。それが主人公の「超常的な能力」となり、蘇民将来的な能力を発揮するまでに至る。キリスト教で「蘇民将来」といったら、主人公はイエス以外の何者でもない。「獣の王」的な主人公が人を蘇生させる、というオルフェウス的な民話を、主人公をイエスになぞらえて書き換えたものといえよう。イエスも同然の若者はローマ法王にまで上り詰めるわけだから、まさにキリスト教を庶民に親しみ易くして、布教するための「プロパガンダ」のために作られた物語といえるのではないだろうか。主人公が超常的な能力を手に入れる場所が魔法使い(悪魔)の元ではなく、学校と書き換えられているのも、そのためかもしれない。
 鳥が、王(あるいはそれに類する者)の頭の上に舞い降りる、という概念はイラン神話のフマを思わせる。その点の類話は「ユシィフとズライカ」である。

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まったらこうよ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 51-59p

 題の「まったらこうよ」とは、長野県の方言的に使われている古語で、「まったら(放ったら)」+「こうよ(来よ)」という意味。「まる(放る)」というのは「用を足す」という意味。

 導入部分は上司と対立するタイプの「ゲイ流譚」である。ただし、上司にあたる「おしょうさん」は、旅の助けとなる魔法のアイテムもプレゼントしてくれる「助け手」も兼ね、主人公の小坊主さんの師匠でもあるので、「ゲイ流譚」と「魔法使いの弟子」が融合した展開となっている。対立はあるけれども、互いに殺し合うほどではなく、どちらかといえば友好的な師匠と弟子であることが特徴である。
 前半は「鬼ばばあ」からの逃走譚で、「怪物退治」は省略されて逃げるだけである。魔法のアイテムはここで使用される。
 中盤は祟る「田の神」を退治するのではなく、「祀る」物語。ないがしろにされていた「田の神」に、餅、酒、大根を捧げる。いずれも植物の変化したもので「生贄の娘の身代わり」であるので、女主人公が植物の化身であることが分かる。
 後半はいわゆる「難題婿」で、蜂に助けてもらう「動物神」型兼「謎解き」型。「恐れ」による禁忌も伴う。

 主人公が「小坊主さん」であるので、武力で怪物を退治する、という要素は乏しくて、知恵を使って問題を解決しよう、という傾向が強い。かつ、省略が多いけれども、導入部分のおしょうさんとの別れも含めると本来の「怪物退治+呪的逃走」から発生した物語のパターンが4つも繰り返されている物語である。使用されているモチーフも多岐に渡る。よく4つの物語パターンをまとめたな、と思う。神に酒を捧げて機嫌をとり、生贄の乙女を助ける点は、まさにセクメト神話である。

 また、祭祀に関して「餅、酒、大根」を捧げることが、「人身御供」の代わりだとあからさまに分かる内容である。普通に日本人だとお祭りの際に、餅、酒、大根を神前に捧げるなんて、「当たり前に普通のこと」過ぎて、その意味を深く考えたことがないような気がするが、民話の中にその本態があっさり語られていたりするようである。

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ラ・ラメー ATU400
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 179-185p

 主人公が流譚する原因は「ゲイ流譚」型である。主人公が逃走する「呪的逃走」的な場面が、物語の最初に来る点が珍しいか。
 前半は主人公が試練に打ち勝って、女主人公との結婚を勝ち取る物語である。
 女主人公と主人公が決裂する場面は、「主人公の眠り(死)」であるため、変形はしているがエレシュキガルとイナンナとドゥムジの関係を思わせる。女主人公の死や苦難によって入れ替わるわけではないので、「瓜子姫」型とはせず、「竹取」型としたい。
 前半部分の類話は「七人の乙女たち」である。鳥に乗って逃げる点は「宝石の山」と類似している。肉を食べさせる点は「マリク・ハッサン」と類似している。

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三つの黄金のりんご ATU314
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 171-179p

 「見るな」の禁忌が2種類登場する。悪魔の住処(冥界)の一部を見てはならない、とされる。見てはならない部分は、「冥界の女主人(女神)」の一部とすべきであろう。
 冥界から逃げ出した若者が「帽子」を被る点は「鉢かづき姫」と類似している。これも「見るな」の禁忌の変形といえる。若者が冥界で神のような超常的な能力を得て、神と同じ禁忌を有するようになったといえる。冥界からの逃走場面と、物語の後半部分で「馬」が若者の守護神的に働いている点をみると、馬と主人公は一体のもので、主人公は本来「馬の神」であり「男神」であったと考えられる。一番近いのは、ギリシャ神話のポセイドーンではないだろうか。彼は当然自らの力で花嫁を獲得する。馬が重要視される点もギリシャ的な物語か。
 一方、女主人公は、少なくとも若者の正体を見破ることのできる能力を持った「女神」といえる。これはアリアドネー型女神の非常に崩れたものといえるだろうか? 林檎にまつわる乙女である点は、ナルト叙事詩のゼラセを思わせる。
 馬に助けて貰う話なので、オーディン型とした。呪的逃走は馬による魔法に助けられる。

 物語の前半は「魔法使いの弟子」的、後半は「難題婿」的な物語である。立場が一番弱い若者が成功する、という点で「末子成功譚」的である。
 馬の名前は「バイヤルト」。
 
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アルペン森の魔法の城
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 165-168p

 父親との対立が冒険(流転)の原因になる点は、「ゲイ流譚」型といえる。
 主人公の行動が巨人(幽霊)の再生につながる点は「人身御供」を思わせる。「怪物(悪魔)退治」譚の変形で、主人公は叡智で切り抜ける。

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山のなかに閉じこめられた王女
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 129-134p

 主人公が父親から追い出される点はゲイ流譚的である。
 問題解決に多くの助け手がいるが、怪物(舅)を退治するのは露骨に「死神」である。主人公そのものも熊の化身のように描かれる。
 女性が山のなかの何重もの扉の奥に隠されている、という点は冥界を連想させる。その点の類話は「王女のハンカチ」である。

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