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タグ「蘇民将来」を含む投稿12件]

弥太郎ごんげん
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 159-161p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 48-51p、タイトルは「虚空蔵山の大蛇」に変更された。

 山の主の大蛇を助けて、報恩を受ける話。大蛇が雨乞いの神であるので、水神といえるが、報恩で行う奇跡の内容が、「願いをかなえること」だったり、「死者を蘇生させること」だったりして、「蘇民将来」の物語群に近い内容と考える。「死者の蘇生」は、世界的に見れば、いわゆる「キリスト教神話」で大きく取り上げられるテーマであり、「善行の報い」のようにアジアの民話にもその影響が認められるものである。「死者の来世での再生が良いものであるように」と願って修行や供養を行うのが仏教の思想であるので、仏教的ではない、やや異質な物語と感じる。畝尾都多本神社の泣沢女神のように、一部の水神が蘇生に関係するという思想は古くからあったのかもしれないが、純粋な仏教というよりは、「祇園信仰」的な思想が強い物語と感じるので、物語の成立時期はそれほど古くなく、修験道が盛んになってから以降のものではないか、と思う。
 
参照:蘇民将来水神
 
#昔話 #長野県 #中信 #蛇 #報恩譚 #蘇民将来 #願い型 #蘇生型 #祇園信仰 #竜 #龍 #水神

by admin. 伝説,固有地名 <563文字> 編集

とりかえ子
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 146-147p

 「とりかえ子」への対応を「旅の学生」が教えてくれる、という点で、「蘇民将来」的な要素が多少混じる。
 なんでもがつがつとよく食べるのに、成長しない、というとりかえ子の性質は維持されている。
 類話は「とりかえ子(スカンジナビア)」、「とりかえ子(スコットランド)」

 参照:取り替え子

#民話 #ドイツ #学生 #オーディン #ドワーフ #小人 #蘇民将来 #取り替え子 #饕餮

by admin. 民話 <318文字> 編集

あとかくしの雪
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 132-135p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 96-100p

 いわゆる「冬至粥(小豆粥)」の起源譚。冬至粥は「無病息災」を祈るためのものであり、弘法大師に親切にした老婆が、弘法大師から「無病息災」の粥を授けられた、という意味を含んだ物語である。また、木曽では冬至を境にして菜っ葉の漬物を食べる種類が切り替わる、という伝統があるらしい。節に、神に無病息災を祈って菜っ葉を捧げるのは、柳田的にはむしろ夏祭(旧6月、本来は水の神の祭)の習慣と考えられるような気がする。冬至には南瓜(瓜類である)を食べる習慣があるし、菜っ葉を捧げる習慣(ただし冬だから漬物となる)もあったとすれば、水神信仰(祇園信仰)に関連する習慣であったことが分かる。人々の一人一人が水神(疫神)と一体化して(現人神となって)、供物を食している。

 「無病息災」を願うものとしては、蘇民将来説話の崩れで、弘法大師が牛頭天王に相当する存在なのだと思う。ただし、「不親切な者」は登場しない。弘法大師そのものは、実際には修験道の行者のような旅はしなかったかもしれないが、弘法大師が旅をして奇跡を起こした、という伝説はあちこちにあるのではないだろうか。

 ただ、現代的な感覚から見ると、大師様が直接利益や恩恵を分かりやすくもたらしてくれる物語ではないので、「弘法大師が泥棒を推奨した」という話にも見えてしまい、「冬至粥」とか、冬至の祭りの意味を知っていないと、意味するところは理解しにくいかもしれない。

参照:蘇民将来
 
#昔話 #長野県 #中信 #蘇民将来 #漬物 #菜っ葉 #小豆粥 #小豆 #冬至 #由来 #弘法大師 #冬至粥 #祇園信仰 #修験道

by admin. 昔話,固有アイテム,多エピソード保有人名,固有地名 <764文字> 編集

主イエスと聖ペトロがフリオールに来たとき ATU750A
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 332-335p

 労働を続けることで豊穣をかなえるタイプの蘇民将来型の民話。
 「麻布とくしゃみ」が類話である。「労働を続ける」という点では「山女の贈りもの」が類話。

#民話 #レートロマン #蘇民将来 #労働継続 #イエス #亜麻布 #織女 #3つの願い

by admin. 民話,固有地名 <189文字> 編集

 個人的な基準で、民話のデータベースと分類を試みているページです。ミーノータウロス退治のような「怪物退治」を特に細かく分けようと試みています。サイトマップ

1.ミーノータウロス退治のように、「主人公が怪物を退治し、怪物の近親者(姉妹、娘など)を妻とするタイプ」とその変形の物語。
(1) 問題解決のために「妻の手助け」があるタイプ → 「テーセウスとアリアドネー」型     #テーセウスとアリアドネー
(1)-あ 問題を姑が課すタイプ → 「ポポヨラのロウヒ」型                   #姑
(1)-い 問題を舅が課すタイプ → 「須佐之男」型                       #舅
(2) 主人公を助けるために女主人公が犠牲になるタイプ → 「エンリルとニンリル」型      #エンリルとニンリル
(2)-あ 退治されるのが女性で有罪であるタイプ → 「ティアマト」型             #ティアマト
(2)-い 主人公を軸として死により女主人公が入れ替わるタイプ他 → 「シヴァとサティー」型  #シヴァとサティー
(3) 問題解決のために「女神的存在の手助けがある」タイプ → 「ホレのおばさん」型      #ホレのおばさん
(4) 問題解決のために「男神的存在の手助けがある」タイプ → 「オーディン」型        #オーディン
(4)-あ 問題解決のために「神や仲間との力(食欲)くらべ」があるタイプ → 「ヤコブ」型   #力くらべ
(4)-い 問題解決のために男主人公が単独で解決するタイプ → 「ポセイドーン」型       #ポセイドーンとアムピトリーテー
(4)-う 問題解決のために男主人公が単独で解決し、結婚しないタイプ → 「聖ゲオルギウス」型 #聖ゲオルギウス
(4)-え 問題解決のために異種の供がつくタイプ → 「ブレーメン」型             #ブレーメン
(4)-お 問題解決のために若者等の供がつくタイプ → 「ボロルドーイ」型          #ボロルドーイ
(4)-か 問題解決のために「神の使いの手助け(女性等)」があるタイプ → 「ワルキューレ」型 #ワルキューレ
(4)-き 問題解決のために「動物神他の手助け」があるタイプ → 「動物神」型         #動物神
(4)-く 問題解決のために「動物神他を無理矢理こき使う」タイプ → 「酷使」型        #酷使
(4)-け 問題解決のために「物質の精霊他の手助け」があるタイプ → 「魔法のランプ」型    #魔法のランプ
(4)-こ 助け手が主人公に代わり問題を解決するタイプ → 「ジークフリート」型        #ジークフリート
(4)-さ 大勢の人が主人公と共に戦い、問題を解決するタイプ → 「蜂起」型          #蜂起
(5) 問題解決のために武力ではなく知恵を使うタイプ → 「叡智」型              #叡智
(5)-あ 問題解決のために謎を解くタイプ → 「謎解き」型                  #謎解き
(5)-い 謎を解くのに姥捨老人の知恵を得るタイプ → 「姥捨て」型              #姥捨て
(5)-う 問題解決のために詐欺的な悪知恵を使うタイプ → 「詐欺」型             #詐欺
(5)-え 問題解決のために知恵で相手を関心させるタイプ → 「怪物納得」型          #怪物納得
(5)-お 問題解決のために祭祀を行うタイプ → 「祭祀」型                  #祭祀
(5)-か 問題を女主人公が課すタイプ → 「王女出題」型                   #王女出題
(5)-き 女主人公が「怪物(主に実家)」の側につくタイプ → 「怪物尊重」型         #怪物尊重
(6) 主人公が弓の名手であるタイプ → 「射日神話」型                    #射日神話
(7) 主人公が動物番であるタイプ → 「動物番」型                      #動物番
(7)-1 主人公が草食動物であるタイプ → 「羊と狼」型                   #羊と狼 
(8) 女主人公と主人公が破綻するタイプ → 「ゲイと嫦娥」型                 #ゲイと嫦娥
(8)-あ 結婚前から女主人公と主人公が破綻しているタイプ → 「ティアマト」型         #ティアマト
(8)-い 女主人公が古い夫(主に老人)から乗り換えるタイプ → 「ネミの森」型         #ネミの森
(9) 怪物の急所が隠されているタイプ → 「秘密の急所」型                  #秘密の急所
(10) 家にやってくる怪物を退治するタイプ → 「迎え撃ち」型                #迎え撃ち
(11) 家にいる怪物を退治するタイプ → 「追い払い」型                   #追い払い
(11)-1 家にいる怪物を追い払えず逃げ出そうとするタイプ → 「追い払い失敗」型       #追い払い失敗
(12) 怪物を物に閉じ込めるタイプ → 「封印」型                      #封印

2.主人公が目上の存在(父親、上司等)と対立して旅に出るタイプ → 「射日神話」型       #ゲイ流譚
2-あ 主人公が特に海に流されるタイプ → 「淡島」型                      #淡島

3.主人公(あるいは女主人公)が怪物から逃走するタイプ
(1) 魔法や変身で逃げおおせるタイプ → 「呪的逃走」型                   #呪的逃走
(1)-あ 他人に匿われながら逃げおおせるタイプ → 「匿い」型                #匿う
(1)-い 動物と一緒に生活するタイプ → 「獣の王」型                    #獣の王
(1)-う 主人公が鳥に運んで貰うタイプ → 「怪鳥」型                    #怪鳥
(1)-え 主人公が魚に運んで貰うタイプ → 「ヨブ」型                    #ヨブ
(1)-お 鳥・魚以外の動物他に運んで貰うタイプ → 「運搬動物」型              #運搬動物

4.主人公が魔法使い等の弟子であるタイプ → 「魔法使いの弟子」型               #魔法使いの弟子
4-あ 主人公が半身であるタイプ → 「半身英雄」型                       #半身英雄

5.女主人公の所業で主人公(夫)が不幸になるタイプ → 「ネミの森」型             #アルテミス
5-あ 女主人公の所業のうち不貞以外での不幸(特に浪費)が隠されているタイプ → 「食わず女房」型          #食わず女房

6.女主人公が主に家族のために旅に出るタイプ → 「鉢里公主」型                #鉢里公主
(1) 失踪した兄弟や夫を探すタイプ → 「兄達を探す乙女」型                 #兄その他を探す乙女
(1)-あ 女主人公のえん罪等により失踪した兄弟や夫を探すタイプ → 「えん罪」型        #えん罪
(1)-い 継子虐めにより旅に出るタイプ → 「継子虐め」型                   #継子虐め
(2) 火を求めるタイプ →「火を探す乙女」型                         #火を探す乙女
(3) 問題解決のために「夫の手助け」があるタイプ → 「クピードーとプシュケー」型      #クピードーとプシュケー

7.女主人公が失踪するタイプ → 「セクメト」型                        #セクメトの失踪
(1) 失踪した妻を夫が探すタイプ → 「いなくなった妻を探す夫」型              #いなくなった妻を探す夫
(2) 主人公の所業に不満があって女主人公が失踪するタイプ → 「ラ・ラメー」型        #ラ・ラメー
(3) 「見るな」等の禁忌に触れて女主人公が失踪するタイプ → 「鶴女房」型          #鶴女房

8.主人公(達)を助けるために女主人公が身代わり的な子供を産むタイプ → 「エンリルとニンリル」型のうち「出産」型    #出産
8-あ 女主人公が性行為以外で妊娠するタイプ → 「処女懐胎」型                 #処女懐胎

9.主人公が何らかの理由で複数の人の命を求めるタイプ → 「ザッハーク」型           #ザッハーク

10.女主人公他が上位の女性から呪いをかけられるタイプ → 「メドゥーサ」型          #メドゥーサ
10-1 呪いの原因が明確な侮辱であるタイプ → 「アテーナーとアラクネー」型          #アテーナーとアラクネー

11.女主人公が眠っているタイプ → 「眠り姫」型                       #眠り姫
(1) 女主人公が扉の中に閉じ込められているタイプ → 「天岩戸」型              #閉じ込められている乙女
(2) 幼児が見知らぬ父親を言い当てるタイプ → 「賀茂別雷命」型               #賀茂別雷命

12.主人公他の命を巡って二柱の男神が対立するタイプ → 「神と悪魔」型            #オーディンとトール

13.樹木から豊穣を得るタイプ → 「樹木信仰」型                       #樹木信仰
(1) 樹木信仰のうち、鳥から豊穣を得るタイプ → 「鳥信仰」型                #鳥信仰

14.神々が旅をして死者を生き返らせるタイプ等 → 「蘇民将来」型               #蘇民将来
14-1 願いをかなえるタイプ → 「希望成就」型                       #希望成就
14-2 労働を続けるタイプ → 「労働継続」型                        #労働継続
14-3 1,2の内、神々が旅をしないタイプ → 「神固定」型                 #神固定

15.キリスト教の影響を受けた物語のタイプ → 「キリスト教」型                #カトリック
15-あ 悪魔に自ら魂を売るタイプ → 「魂売り」型                       #魂売り

16.存在を知らない子供を悪魔等に渡すタイプ → 「不知の子」型                #不知の子

17.神的アイテムとして鉄の棒やムチが出てくるタイプ → 「鉄の棒」型             #鉄の棒
17-あ 際限のない食事を出すアイテムが出てくるタイプ → 「魔法の大釜」型           #魔法の大釜
17-い 地獄の大釜が出てくるタイプ → 「地獄の大釜」型                    #地獄の大釜
17-う 触れると霊が出てくるタイプ → 「魔法のランプ」型                   #魔法のランプ
17-え その他豊穣をもたらすアイテムが出てくるタイプ → 「豊穣のアイテム」型         #豊穣のアイテム

18.二人の女性が入れ替わるタイプ → 「親切な少女と不親切な少女」型             #イナンナとエレシュキガル
18-あ 結婚を巡って二人の女性が入れ替わるタイプ → 「瓜子姫」型               #瓜子姫
18-い 18-あのうち、特に主人公の「眠り」によって女性が入れ替わるタイプ → 「ドゥムジ」型 #ドゥムジ
18-う 女主人公によって女神が再生されるタイプ → 「アルテミスとイーピゲネイア」型      #アルテミスとイーピゲネイア
18-え 女主人公(の命)によって植物が再生されるタイプ → 「ハイヌウェレ」型         #ハイヌウェレ
18-お その他、女神が何らかの代償で再生されるタイプ → 「再生される女神」型         #再生される女神

19.「瘤取り」等のように二人等の男性が入れ替わるタイプ → 「オシリスとセト」型       #オシリスとセト

20.妻が人間ではないタイプ → 「異類嫁」型                         #異類嫁
20-あ 妻が鳥や天女等であるタイプ → 「天人女房」型                    #天人女房
20-い 服(皮)を隠すタイプ、服が見つかることが禁忌となる → 「羽衣」型          #羽衣
20-う 男女を問わず服(皮)を処分するだけのタイプ → 「皮処分」型             #皮処分

21.夫が人間ではないタイプ → 「異類聟」型                         #異類聟
21-あ.夫が犬であるタイプ → 「盤瓠」型                          #盤瓠
21-い.夫が猿であるタイプ → 「猿聟」型                          #猿聟
21-う.夫が蛇や竜であるタイプ → 「蛇聟」型                        #蛇聟

22.冥界が地下世界でなく「海の向こう」にあるタイプ → 「竜宮」型              #竜宮

23.神々と交流する際に禁忌があるタイプ → 「禁忌」型                    #禁忌
23-あ 特に「見てはならない」タイプ → 「見るな」型                     #見るな
23-い 特に「恐れてはならない」タイプ → 「恐れ」型                     #恐れ
23-う 特に「馬を恐れない」タイプ → 「タフムーラス」型                   #タフムーラス

24.怪物退治ではなく宝物入手が目的となっているタイプ → 「イアーソーン」型          #イアーソーン
24-あ その他の目的で流転するタイプ → 「アイネイアース」型                  #アイネイアース

25.異界で非常に長時間が経過するタイプ → 「浦島太郎」型                   #浦島太郎

参照:「魔法のアイテム
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by admin. <6071文字> 編集

麻布とくしゃみ
「ソヴィエト諸民族民話集」 93-98p

 蘇民将来的。病気に関してではなく、報恩として「豊穣のアイテム」を授かるタイプである。
 仕事を続ける、という点では、「主イエスと聖ペトロがフリオールに来たとき」「山女の贈りもの」が類話。

#民話 #エストニア共和国 #旅人 #オーディン #蘇民将来 #麻布 #労働継続 #くしゃみ #布

by admin. 民話 <181文字> 編集

巡礼の道連れ ATU516
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 265-271p

 「怪物退治」のための旅が、供養のための「巡礼」に変更されており、キリスト教の影響といえる。
 供をしてくれるのは若者ではなく老人だが、社会的地位は主人公よりも下といえるので「ボロルドーイ型」といえるが、主人公を蘇生させる蘇民将来的な能力があることから、当然イエスを連想させる。
 子供を生贄に求めながら、結果としてそれを止める、という展開は「イサクの燔祭」を布教のために分かりやすく「ご当地的」に書き換えたものではなかろうか、と思う。その結果、キリスト教の思想と、人身御供を求める異教の神々との話が混在した不可思議な話となっている。それと共に、「神に対して自己犠牲と従順を求める」というキリスト教の思想が明確に現されているように思う。
 林檎といえばキリスト教的には「原罪」の象徴のように思われるのだが、本物語では異教的に「若さの象徴」として使われているように思う。

アインジーデルン:「スイスのチューリヒ郊外にある有名な巡礼地。10世紀に創設されたベネディクト派の修道院と教会がある。」とのこと。

#民話 #レートロマン #林檎 #巡礼 #カトリック #死んだ父親 #オーディン #老人 #ボロルドーイ #蘇民将来 #聖母マリア #血 #人身御供 #忠臣ヨハネス #イサクの燔祭 #アミクスとアメリウス

by admin. 民話,固有地名 <602文字> 編集

動物のことばがわかる男 ATU671
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 250-253p

 主人公が父親の怒りを買って流転しなければならない点は「ゲイ流譚」である。
 全体としては「魔法使いの弟子」の変形版といえる。主人公が魔法使いならぬ「学校」から習ってきたのは「動物の言葉」である。それが主人公の「超常的な能力」となり、蘇民将来的な能力を発揮するまでに至る。キリスト教で「蘇民将来」といったら、主人公はイエス以外の何者でもない。「獣の王」的な主人公が人を蘇生させる、というオルフェウス的な民話を、主人公をイエスになぞらえて書き換えたものといえよう。イエスも同然の若者はローマ法王にまで上り詰めるわけだから、まさにキリスト教を庶民に親しみ易くして、布教するための「プロパガンダ」のために作られた物語といえるのではないだろうか。主人公が超常的な能力を手に入れる場所が魔法使い(悪魔)の元ではなく、学校と書き換えられているのも、そのためかもしれない。
 鳥が、王(あるいはそれに類する者)の頭の上に舞い降りる、という概念はイラン神話のフマを思わせる。その点の類話は「ユシィフとズライカ」である。

#民話 #レートロマン #ゲイ流譚 #舌 #兎 #身代わり動物 #鳩 #蛙 #烏 #フマ #獣の王 #動物神 #獣の王 #蘇民将来 #疫神 #カトリック #プロパガンダ #3種の言葉

by admin. 民話 <596文字> 編集

胸に十字をきりなさい
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 226-228p

 旅をする神がなにがしかの「死の呪い」のかかった娘を助ける、という物語。
 蘇民将来的な物語といえるか。この物語の「魔法使い」はオーディン的だが、キリスト教の守護者でもある。

#民話 #スイス #神 #魔法使い #予言 #呪い #カトリック #蘇民将来

by admin. 民話 <171文字> 編集

鍛冶屋のゼップ・アントニー ATU753+ATU753A
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 221-224p

 異教の神の業をイエスが横取りしてしまった物語といえようか。キリスト教の影響といえよう。

#民話 #スイス #鍛冶屋 #神 #イエス #疫神 #再生 #蘇民将来 #カトリック #キリストと鍛冶屋 #蘇生の失敗

by admin. 民話 <167文字> 編集

ジプシーと三人の悪魔
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 123-129p

 前半は「蘇民将来」的な話。イエスが人を生きかえられたりする代わりに、現世利益的な宝物を与える点は北欧神話的、異教的と言うべきか。
 主人公と悪魔とのやりとりは「怪物退治」の崩れと思われるが、主人公が悪魔を自分の家で迎え撃つ話といえる。そのため、「呪的」に逃走するのは悪魔の方、と入れ替わっている。
 パロディー的ではあるが、「恐れを知らないこと」が禁忌として暗示されている。
 主人公の生きているときの所業が来世に影響する点も北欧神話的といえると思うが、天国と地獄という表現が出てくるところ、良くも悪くもなりきれない人間的な主人公が天国にも地獄にも行き場がない、という点は、「煉獄」を連想させ、キリスト教的な思想の影響といえると感じる。イエスに「永遠の魂の平和(天国)」を求めない主人公が悪い、というキリスト教の説話的な意味の物語であろう。(でも、異教徒の私はキリスト教徒ではないので、「死後の天国を求めない精神」が非難されるべき、というキリスト教の考え方そのものに共感する気持ちがないので、説教的に感じにくい面はある。)

#民話 #オーストリア #蘇民将来 #イエス #財布 #悪魔 #鏡 #魔法のアイテム #ジプシー #梨 #鍛冶屋 #天国と地獄 #禁忌 #恐れ #来世 #怪物退治 #迎え撃ち型 #カトリック

by admin. 民話 <603文字> 編集

がんこな仕立屋
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 91-95p

 羊の肝を食べることは禁忌なのだろうか? 前半は蘇民将来的な物語である。
 後半は、禁忌を破って死んだ者(エンリル的な者)が、妻ではなくてイエスに再生させて貰った、という話のパロディーといえる。その点にキリスト教の影響が窺える。仕立屋とイエスが物語の中で入れ替わっているわけではないのだが、「イエスは全ての人々のための犠牲となった」というキリスト教の趣旨からいえば、イエスは仕立屋を生かすために亡くなった、ともいえる。二人の男が入れ替わる、という点ではオシリスとセト型の物語といえる。本物語ではイエス=オシリス、セト=仕立屋、といえるが、イエスは穀物や命の代わりに金を代償として差し出し、金の化身ともいえる。その点は、キリスト教の実態に対する批判とも取れなくはないと思う。

#民話 #オーストリア #仕立屋 #3人男 #イエス #疫神 #再生 #蘇民将来 #羊 #肝 #禁忌 #食べるな #カトリック #パロディー #オシリスとセト #川

by admin. 民話 <459文字> 編集

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