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美女と野獣
「世界の民話2 南欧 ぎょうせい」 3-19p
有名な「美女と野獣」である。
大きく2つの要素からなっており、一つは「特定の娘(末娘)と野獣」の婚姻譚である。怪物退治の要素はない、あるいはほとんどない。野獣は娘の裏切りにあって死にかかるが、娘が助けることとなっている。娘を野獣から助ける英雄は登場しない。要は、「クピードーとプシュケー型」でも「エンリルとニンリル型」でも良いのだが、人身御供に対して肯定的な物語といえる。
妹に意地悪して(一応)罰せられる姉がいるのも「クピードーとプシュケー」的だが妹と野獣の婚姻を邪魔しようとしたから罰せられたのであって、罰せられた原因は「妬み」となっている。
野獣は金持ちであり「バラの花」の化身である。よって、植物神でもあり、樹木神でもある、といえる。折ってはいけない(殺してはいけない)樹木神を殺してしまったから、神を再生させるために娘の生贄が必要とされる、とそのような思想が崩れたもののように思われる。
娘が父親の身代わりになったりする自己犠牲の精神、神(野獣)の再生のモチーフはキリスト教をなぞらえたもののようにも思える。
参考:美女と野獣
#民話 #フランス #人身御供 #イナンナとエレシュキガル #クピードーとプシュケー #エンリルとニンリル #妬み型 #ゲシュティンアンナ型 #カトリック
「世界の民話2 南欧 ぎょうせい」 3-19p
有名な「美女と野獣」である。
大きく2つの要素からなっており、一つは「特定の娘(末娘)と野獣」の婚姻譚である。怪物退治の要素はない、あるいはほとんどない。野獣は娘の裏切りにあって死にかかるが、娘が助けることとなっている。娘を野獣から助ける英雄は登場しない。要は、「クピードーとプシュケー型」でも「エンリルとニンリル型」でも良いのだが、人身御供に対して肯定的な物語といえる。
妹に意地悪して(一応)罰せられる姉がいるのも「クピードーとプシュケー」的だが妹と野獣の婚姻を邪魔しようとしたから罰せられたのであって、罰せられた原因は「妬み」となっている。
野獣は金持ちであり「バラの花」の化身である。よって、植物神でもあり、樹木神でもある、といえる。折ってはいけない(殺してはいけない)樹木神を殺してしまったから、神を再生させるために娘の生贄が必要とされる、とそのような思想が崩れたもののように思われる。
娘が父親の身代わりになったりする自己犠牲の精神、神(野獣)の再生のモチーフはキリスト教をなぞらえたもののようにも思える。
参考:美女と野獣
#民話 #フランス #人身御供 #イナンナとエレシュキガル #クピードーとプシュケー #エンリルとニンリル #妬み型 #ゲシュティンアンナ型 #カトリック
ネコに変身したトロル
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 32-34p
若いトロールと老いたトロールの女性を巡る争い譚、なのだが、若いトロールは何かをするわけではなく「時期を待っているだけ」であるので、その点は「ものぐさ太郎」的である。
「怪物退治譚」というよりは、もっと端的な「炎黄神話」の崩れであると思う。黄帝も、炎帝も中原の出身ではなく、古代中国の人々にとって「よそ者」であったとすれば、古代中国の人々にとって「炎黄の争い」も、このトロール達の争いのようなものとして、その目に写ったのではないだろうか。
「クヌレムレ」という名前のトロールが登場するが、私の考えでは、当然その起源は「熊」という言葉であると思う。
#民話 #デンマーク #トロール #猫 #ものぐさ太郎 #変身
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 32-34p
若いトロールと老いたトロールの女性を巡る争い譚、なのだが、若いトロールは何かをするわけではなく「時期を待っているだけ」であるので、その点は「ものぐさ太郎」的である。
「怪物退治譚」というよりは、もっと端的な「炎黄神話」の崩れであると思う。黄帝も、炎帝も中原の出身ではなく、古代中国の人々にとって「よそ者」であったとすれば、古代中国の人々にとって「炎黄の争い」も、このトロール達の争いのようなものとして、その目に写ったのではないだろうか。
「クヌレムレ」という名前のトロールが登場するが、私の考えでは、当然その起源は「熊」という言葉であると思う。
#民話 #デンマーク #トロール #猫 #ものぐさ太郎 #変身
味のつけ方 ATU1687+ATU1696+ATU1741
「シルクロードの民話 パミール高原」 316-319p
言うべき言葉を段階的に忘れてしまう愚か話。
#民話 #タジキスタン #愚か話 #忘れ話 #転倒 #名前 #忘れた言葉 #「何て言うべきだったの(何をすべきだったの)?」 #司祭の客と盗み食いされた鶏
「シルクロードの民話 パミール高原」 316-319p
言うべき言葉を段階的に忘れてしまう愚か話。
#民話 #タジキスタン #愚か話 #忘れ話 #転倒 #名前 #忘れた言葉 #「何て言うべきだったの(何をすべきだったの)?」 #司祭の客と盗み食いされた鶏
あきれた両親 ATU1341
「シルクロードの民話 パミール高原」 314-315p
愚か話。
#民話 #タジキスタン #愚か話 #愚か者たちが泥棒に何を盗んではならないか警告する
「シルクロードの民話 パミール高原」 314-315p
愚か話。
#民話 #タジキスタン #愚か話 #愚か者たちが泥棒に何を盗んではならないか警告する
かしこい自然 ATU1689
「シルクロードの民話 パミール高原」 313p
笑話である。
#民話 #タジキスタン #胡桃 #メロン #「それが桃ではなかったことを神に感謝する」
「シルクロードの民話 パミール高原」 313p
笑話である。
#民話 #タジキスタン #胡桃 #メロン #「それが桃ではなかったことを神に感謝する」
足の毛がふさふさしたやぎ ATU123
「シルクロードの民話 パミール高原」 308-311p
個人的には、ギリシア神話のクロノスとレアーの関係を彷彿とさせる物語だと感じる。
#民話 #タジキスタン #山羊 #ジャッカル #オオカミと子ヤギたち
「シルクロードの民話 パミール高原」 308-311p
個人的には、ギリシア神話のクロノスとレアーの関係を彷彿とさせる物語だと感じる。
#民話 #タジキスタン #山羊 #ジャッカル #オオカミと子ヤギたち
善と悪のお値段 ATU133*
「シルクロードの民話 パミール高原」 295-296p
個人的には「因幡の白うさぎ」を思い起こさせる話である。
#民話 #タジキスタン #蠍 #亀 #ヤギがヘビを川の向こう岸に運ぶ
「シルクロードの民話 パミール高原」 295-296p
個人的には「因幡の白うさぎ」を思い起こさせる話である。
#民話 #タジキスタン #蠍 #亀 #ヤギがヘビを川の向こう岸に運ぶ
老婆とすずめ ATU715
「シルクロードの民話 パミール高原」 288-294p
身分の高い者(王)が鳥と一体化する物語。「鳥のみじじい」と併せてであるが、一体化した人間に対して、禍福を与えるのは鳥の方で、鳥の方が人間(王)よりも思想として地位が高いことが分かる。
本話では小鳥は「老婆」に仕える存在であり、更に鳥よりも地位の高い存在(老婆)がいる。「老婆」は「鳥に食事を運んで貰った」という西王母あるいは、その前身といえる、古い時代の長江文明の太陽女神といえる。本物語でも、雀は老婆の食料である葡萄を管理している。
そのような点では、「老婆とすずめ」の方が「鳥のみじじい」よりも本来の女神信仰の思想を色濃く残しているといえようか。
#民話 #タジキスタン #雀 #老婆 #鳥神 #葡萄 #半分オンドリ
「シルクロードの民話 パミール高原」 288-294p
身分の高い者(王)が鳥と一体化する物語。「鳥のみじじい」と併せてであるが、一体化した人間に対して、禍福を与えるのは鳥の方で、鳥の方が人間(王)よりも思想として地位が高いことが分かる。
本話では小鳥は「老婆」に仕える存在であり、更に鳥よりも地位の高い存在(老婆)がいる。「老婆」は「鳥に食事を運んで貰った」という西王母あるいは、その前身といえる、古い時代の長江文明の太陽女神といえる。本物語でも、雀は老婆の食料である葡萄を管理している。
そのような点では、「老婆とすずめ」の方が「鳥のみじじい」よりも本来の女神信仰の思想を色濃く残しているといえようか。
#民話 #タジキスタン #雀 #老婆 #鳥神 #葡萄 #半分オンドリ
王さまと息子
「シルクロードの民話 パミール高原」 235-258p
導入部(起)は「見るな」の禁忌と「絵姿女房」。
承は「略奪婚」と「力くらべ」であって、「略奪婚」はやや呪的逃走的である。
転は「夢解き」、転落(父親と大臣の裏切り)、体の一部の喪失(目玉)、瑞鳥(オウムとムクドリ)による復活
結は復讐
という構成である。罪なく体の一部を失ったもの(「死」の暗喩)が瑞鳥によって復活し、妻達(女神達)の加護により復讐を果たす、という物語。
様々な民話のモチーフが含まれているが、罪のないイエスの死と、復活、そして復讐という俗にみられるような、キリスト教神話的な物語とは言えないだろうか。
そういう点では「モンテ・クリスト伯」的な物語だと思う。
#民話 #禁忌 #見るな #絵姿女房 #ホレのおばさん #おばあさん #略奪婚 #力くらべ #夢解き #犬 #水 #目玉 #体の一部喪失 #オウム #ムクドリ #瑞鳥 #病気平癒 #変身 #復讐 #カトリック #妻
「シルクロードの民話 パミール高原」 235-258p
導入部(起)は「見るな」の禁忌と「絵姿女房」。
承は「略奪婚」と「力くらべ」であって、「略奪婚」はやや呪的逃走的である。
転は「夢解き」、転落(父親と大臣の裏切り)、体の一部の喪失(目玉)、瑞鳥(オウムとムクドリ)による復活
結は復讐
という構成である。罪なく体の一部を失ったもの(「死」の暗喩)が瑞鳥によって復活し、妻達(女神達)の加護により復讐を果たす、という物語。
様々な民話のモチーフが含まれているが、罪のないイエスの死と、復活、そして復讐という俗にみられるような、キリスト教神話的な物語とは言えないだろうか。
そういう点では「モンテ・クリスト伯」的な物語だと思う。
#民話 #禁忌 #見るな #絵姿女房 #ホレのおばさん #おばあさん #略奪婚 #力くらべ #夢解き #犬 #水 #目玉 #体の一部喪失 #オウム #ムクドリ #瑞鳥 #病気平癒 #変身 #復讐 #カトリック #妻
フェアリーの宴会
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 165-166p
フェアリーの宴会から杯を盗んできた話。
「オーゲルブの教会に奉納された杯」、「スヴェンド・フェリングと女エルフ」が類話である。
参照:妖精、椀貸伝説
#民話 #イングランド #妖精 #椀貸伝説
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 165-166p
フェアリーの宴会から杯を盗んできた話。
「オーゲルブの教会に奉納された杯」、「スヴェンド・フェリングと女エルフ」が類話である。
参照:妖精、椀貸伝説
#民話 #イングランド #妖精 #椀貸伝説
ユシィフとズライカ ATU870
「シルクロードの民話 パミール高原」 201-224p
2つの物語が組み合わさった物語と思う。
一つは旧約聖書、創世記のいわゆる「ヨセフ物語」である。主人公が兄達に疎まれたり、エジプトに売られたりする点など、粗筋の大筋が非常に良く似ている。「主人公が兄達に疎まれている点」は「ヨセフ物語」と併せて、「ゲイ流譚」的といえると考える。
もう一つは、おそらく、女神的な女性に助けられて、かつ、その女性と結婚して豊穣を得る、というモチーフ、しかも、女主人公が古い夫(老人)から若い夫に乗り換える、という「グィネヴィアとアーサー王」のような「ネミの森」的神話が元はあったのではないか、と思われる。
ただ、「ヨセフ物語」の要素の方が非常に強いので、後者の要素はとても弱くなり、「古い夫」も妻に裏切られるのではなく自然死となっている。そして、2つめの物語の要素が多少入り交じっているので、その点が「ヨセフ物語」との違いを生み出しているように思える。
ユシィフは鷹に選ばれて王となっており、フマ的な要素が加わる。その点は「動物のことばがわかる男」が類話である。
全体として、類話は「忘れてしまった夢」である。
#民話 #中国 #ヨセフ物語 #旧約聖書 #鷹 #フマ #鳥 #夢解き #ゲイ流譚 #ネミの森 #地下の洞窟に閉じ込められた姫
「シルクロードの民話 パミール高原」 201-224p
2つの物語が組み合わさった物語と思う。
一つは旧約聖書、創世記のいわゆる「ヨセフ物語」である。主人公が兄達に疎まれたり、エジプトに売られたりする点など、粗筋の大筋が非常に良く似ている。「主人公が兄達に疎まれている点」は「ヨセフ物語」と併せて、「ゲイ流譚」的といえると考える。
もう一つは、おそらく、女神的な女性に助けられて、かつ、その女性と結婚して豊穣を得る、というモチーフ、しかも、女主人公が古い夫(老人)から若い夫に乗り換える、という「グィネヴィアとアーサー王」のような「ネミの森」的神話が元はあったのではないか、と思われる。
ただ、「ヨセフ物語」の要素の方が非常に強いので、後者の要素はとても弱くなり、「古い夫」も妻に裏切られるのではなく自然死となっている。そして、2つめの物語の要素が多少入り交じっているので、その点が「ヨセフ物語」との違いを生み出しているように思える。
ユシィフは鷹に選ばれて王となっており、フマ的な要素が加わる。その点は「動物のことばがわかる男」が類話である。
全体として、類話は「忘れてしまった夢」である。
#民話 #中国 #ヨセフ物語 #旧約聖書 #鷹 #フマ #鳥 #夢解き #ゲイ流譚 #ネミの森 #地下の洞窟に閉じ込められた姫
ムギを盗む小人
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 145-146p
小人に対する「見るな」の禁忌に関する話。おそらく、古代においては、収穫のいくばくかを小人(神)に捧げる、という習慣があったのかもしれない、と思う。
しかし、彼らの神としての地位が低下するにつれて、彼らに対する「捧げ物」は、むしろ「盗まれていく物」と考えられるようになったのだろう。禁忌に関する「呪い」の意味も薄れて、「禁忌を破ること」、「正体を見破ること」がむしろ現実的な「豊穣をもたらす行為」へと変化するようになった。これも「神」としての地位の低下に伴った、仕方のないこと、といえよう。
神的存在の宗教的地位が低下したために、むしろ「厭われる存在」となってしまった物語には、「怪物の出る水車場」がある。
参照:ドワーフ
#民話 #ドイツ #禁忌 #見るな #ドワーフ #小人
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 145-146p
小人に対する「見るな」の禁忌に関する話。おそらく、古代においては、収穫のいくばくかを小人(神)に捧げる、という習慣があったのかもしれない、と思う。
しかし、彼らの神としての地位が低下するにつれて、彼らに対する「捧げ物」は、むしろ「盗まれていく物」と考えられるようになったのだろう。禁忌に関する「呪い」の意味も薄れて、「禁忌を破ること」、「正体を見破ること」がむしろ現実的な「豊穣をもたらす行為」へと変化するようになった。これも「神」としての地位の低下に伴った、仕方のないこと、といえよう。
神的存在の宗教的地位が低下したために、むしろ「厭われる存在」となってしまった物語には、「怪物の出る水車場」がある。
参照:ドワーフ
#民話 #ドイツ #禁忌 #見るな #ドワーフ #小人