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タグ「北信」を含む投稿23件]

竜王権現
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 81p、コラム

 筑北村差切峡の竜神の話。竜神は『降り続く長雨で、修那羅にあった大きな池が崩れた際、主の大蛇も流されて、差切峡の「ドの渕(ぶち)」に住み着いた。(「差切峡の大蛇伝説と竜王権現様祭り 」)より』のだが、猟師が鳥を撃つのを邪魔したため、猟師が竜神を殺したところ、祟りが生じたため、仙人が供養というか調伏した、という話である。

龍と鳥が一体のものである、というごく古いオーストロネシア語族の「世界樹」の概念の片鱗が残されている物語。竜神を殺した猟師はさしづめ羿といえよう。羿が悪しき三足烏や河伯を倒したところで、世の中がそれで全てうまくいくとは限らなくて、人が何もしなくても様々な天災は起こり得る。それを「祟り」としてシャーマン(本物語では「仙人」)でなければ収集できない、としてしまえば、神職やシャーマンの地位にある者は、永遠に「唯一祟りを鎮める者」として人々の上に君臨できるのではなかろうか。シャーマンが「神を生贄に捧げなければ、戦争は止まらない(止めない)、小麦も手に入らない(入れさせない)」と言い出すようなことがもしあれば、祟っている諸悪の根源はシャーマン自身ともいえるのではなかろうか、とふと想像したりするわけです。

本物語は仙人の祈祷が重要な要素であるため、修験道の宣伝的な意味があると思う。また、本物語の竜神は鳥との一体的な立場が強く、水神女神とする要素が乏しいため、中国的な「世界樹」の概念の方が起源として近い物語と感じる。誰が持ち来たったものなのか、興味深く感じます。

参考サイト:差切峡の大蛇伝説と竜王権現様祭り

#昔話 #長野県 #北信 #竜 #龍 #仙人 #祟り #調伏 #鳥

by admin. <761文字> 編集

泉小太郎
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 70-80p

 「新長野のむかし話」編について。これは元の話からかなり改変がされている、と感じるが私が知る限り最悪の改変だと思う。
1.伝説にまつわる地名が記載されていない点(犀川、松本平など)
2.犀竜が悪いことをして罰を受けて竜にされてしまっている点
3.罰を受けた原因は、犀竜自身というよりも社会的な問題なのだが、なんでそれを弱者である犀竜が一番泥を被って犠牲にならなければならないのだろうか。現代的に、弱者を搾取することを正当化する思想に繋がらないだろうか。
4.小太郎が自らの出自に引け目を感じている点。読者である子供に、出自等で他人と違うことは「それだけで悪いことである」と思わせることにならないだろうか。現代的な教育という観点から多様性の尊重と平等や公平という精神を損なう物語とならないだろうか。

 何より、犀竜自身は祀られている神社を持たない、といえども、かつての水内郡(現在の長野市)の犀川流域から広い範囲で九頭竜女神が水神として祀られていることを併せ考えれば、犀竜とは九頭竜女神のことである、と容易に気がつけるはず。そんなことも分からない奴がこの物語に手を出すんじゃねーよ、水内郡の伝統と文化に対する侮辱だ! と正直思います。(ま、元の話も竜蛇女神に自己犠牲を求める話で、個人的には好きではないのですが。)

 同じ「日本標準」出版でも「長野の伝説」に収録されている方が原話に近いと思うので、いつか紹介できれば、と思います。犀川には他に安曇族の神の開拓神話もあるのですが。開拓神をないがしろにしてどうなってるのか、という「現実の歴史」もいつか紹介できれば、と思います。

#昔話 #長野県 #北信 #竜 #開拓神 #女神

by admin. 昔話,固有神獣,英雄名,起源・由来 <771文字> 編集

宝が池のカッパ
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 69p、コラム

 河童の恩返し譚。椀貸伝説を伴う。

#昔話 #長野県 #北信 #河童 #椀貸伝説 #恩返し

by admin. <107文字> 編集

へっぴりよめ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 235-239p

 ハイヌウェレ的な「排泄神」の物語が崩れたもの。
 これも、物語として確立したのは近世以降だと思うけれども、日本的なハイヌウェレ神話は、どちらかというと早い段階で「神の死体から植物が化生する」という思想が失われて形骸化していったのかもしれないと想像する。
 成立には、これも神話等に詳しい修験道関係者等が関わっているかもしれない、とは思うが。

#昔話 #長野県 #北信 #放屁 #排泄神 #梨

by admin. 昔話 <235文字> 編集

とんち役人
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 219-222p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 20-23p、タイトルは「村をすくったとんち庄屋」に変更された。登場人物の「村役人」が「庄屋」に変更されている。理由は不明。

 笑話。頓知話。
 これも、庶民から見た、役人(あるいは庄屋)のあって欲しい、といえる理想の姿かもしれないと思う。
 物語の形式としてはやや「怪物退治」的といえようか。

#昔話 #長野県 #北信 #頓知 #叡智 #年貢

by admin. 昔話 <248文字> 編集

ねずみ経
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 208-211p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 34-37p、タイトルは「おんチョロチョロ」に変更された。

 笑話だけれども、「(仏教に対する)信心はありがたい物だ」という意図が含まれている物語。
 基本的には仏教振興のためのものか。

#伝説 #長野県 #北信 #鼠 #仏教 #修験道 #泥棒 #笑話

by admin. 昔話 <201文字> 編集

鳥のみじじい
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 201-207p

 「おとっとこよし」と「瘤取りじいさん」の中間といえるような物語である。
 そのため、「おとっとこよし」、「鳥のみじじい」、「瘤取りじいさん」の物語には連続性があって、関連する物語であることが分かる。
 「成功するじいさん」は鳥と関連し、「成功しないじいさん」は大宜津比売の神話等、日本的なハイヌウェレ譚との関連がある。
 社会学的に興味深い話といえる。「老婆とすずめ」との対比も興味深い。

#伝説 #長野県 #北信 #こぶ取り #オシリスとセト #鳥 #鳥神

by admin. 昔話 <283文字> 編集

まま子のクリ拾い
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 195-198p

 いわゆる「姥皮」型の物語。「継子虐め」と組み合わされた物語で、最後はハッピーエンド型である。
 西欧では「ホレのおばさん」に相当するものは、日本では「山姥」と言われることが多い。

 「黄金のベテリと松やにバビー」が類話といえる。

参照:姥皮

#伝説 #長野県 #北信 #栗 #山姥 #姥皮 #継子虐め #冥界

by admin. 昔話 <257文字> 編集

親捨て山
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 192-194p

 いわゆる「姥捨て山」型の物語。「枝折り型」と「難題型(木の棒型)」の複合型である。「うばすて」というと長野県の「冠着山」が有名だが、本物語は栄村で採取された。
 類話は「金のかめ」。

参照:うばすてやま

#伝説 #長野県 #北信 #姥捨山 #枝折り #木の棒

by admin. 昔話 <263文字> 編集

おとっとこよし
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 189-191p

 イェンゼンのことは個人的には好きではないのだが、「芋といえばハイヌウェレ」というくらい(?)ハイヌウェレ型神話は有名な話である。この物語は一般的なハイヌウェレ型神話よりも更に古い時代の「ハイヌウェレ型神話」といえると考える。

 西欧では「末子成功譚」が多いが、東アジアから環太平洋周辺地域のオーストロネシア語族の文化圏の中には「兄と弟」の組み合わせで、原因は様々だが、弟が唐突に死ぬ、というパターンの物語がままある。本物語もそのような国際的な物語の1つであって、台湾やポリネシア等に類話がみられる。

 本物語に限っていえば、これはホトトギスというの由来譚と、5月の端午の節句に芋汁を食べることの由来譚でもある。芋名月は日本では中秋の行事とされることが多いが、鬼無里では5月の節句の行事であったことが分かる。そして、兄が鳥の化身であり、弟が山芋の化身であることが分かる。これを動物神や植物神の擬人化、とみるのか、人を動物や植物になぞらえている、とみるのか、ということになるが、管理人は後者であると思う。

 なぜ、人間を動物や植物になぞらえるのか、といえば、その理由は「階級」や「身分」というものを示し、誰が「上の身分」で、誰が「下の身分」であるかを示しているし、それぞれの社会的役割を示しているものとも考える。兄は「鳥」であって、木の枝の高いところに住み、弟たちを支配する。山芋は、地面の下に存在し、一番低いところに生息するものなので、それが「身分の低さ」を示すし、支配しかされない。そのような観点から見れば、本物語は「身分の低い者は上位の者の食べ物である」とか「上位の者は身分の低い者の生殺与奪件を握る」という階級社会の理論や思想を示す、社会学的な物語あるいは「説話」とすらいえると考える。

 階級社会の発生は、父系文化の発生と一致し、良渚文化にまで遡る。本物語に暗喩される「身分的に上位の者は下位の者を食い物にして当然である」という思想が、父系文化と階級社会を支えてきた思想だと理解すれば、大国が小国を一方的に「悪者」と決めつけて理不尽に攻撃するようなことを正当化する根本的な思想が、5500年ほど前に長江下流域の水稲耕作民から発生したものであって、人類はそこから5000年以上たっても、「父系文化の根本的思想」から抜け出すことができないでいることが分かる。この思想の問題の根は山芋の根よりも更に深いところまで潜り込んでいるように思える。そして、鬼無里・長野市信州新町あたりには、古い時代のハイヌウェレ型神話に関係する民話・伝承が多く残され、独特な地域であるなあ、と思う。(今のところ信州新町はなんだか「泥棒村」みたいなノリになっちゃっていて、呆れかえるばかりである。まあ、ここのところ1600年くらいはそういうノリだったのかもしれませんがー;。)

参照:序列殺人

#昔話 #長野県 #北信 #鬼無里 #ほととぎす #鳥 #山芋 #植物 #ハイヌウェレ #序列殺人

by admin. 昔話,起源・由来 <1281文字> 編集

三人まま子
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 183-188p

 これは継母が継子を虐め殺してしまう、という非常に残酷で陰惨な話。少なくとも子供に聞かせるような話ではないと思う。
 民話や神話における「釜」というのは、尽きせぬ食料を出す「豊穣の大釜」と、地獄などで罰を与える「罰のための大釜」に分かれる、と個人的には思う。本物語の「釜」は後者である。また、幼い子供を人身御供に捧げた習慣、おそらく太古にはそれを食したであろう習慣が、かすかに垣間見える物語といえる。これは環太平洋周辺地域の海洋民族の食人文化に通じる思想が古代の日本にもあったのではないか、と思わせる。
 このような物語はコンプライアンス的には、そのまま子供に聞かせるには向かないが、さりとて、古代の先祖の文化の痕跡を消し去って良いものとも思わない。民話や伝説は残酷な話が多いので、どうやって後世に伝え残していくのかを熟慮する必要がある典型的な物語といえる。
 歌が秘密を暴露するところは、「王様の耳はロバの耳」的でもある。

 この手の残酷な物語の取扱に気を遣うべきと考えたのは何も現代人だけではなく、「源氏物語」の中にも、光源氏が娘の明石の中宮を育てる際に、実母ではない紫の上に養育を任せたので、子供の目に「継子虐め」の物語が触れないように気を配った、というエピソードが出てくる。

#昔話 #長野県 #北信 #継子虐め #魔法の大釜 #歌 #秘密の暴露 #人身御供

by admin. 昔話 <622文字> 編集

法蔵寺のネコ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 168-171p

 お寺で飼われていた猫に、霊力(法力?)が宿って奇跡や恩返しをした、という話。長野県には唐猫に対する信仰もあるし、猫に若干稲荷的な性質をもたせて語られることが多い気がする。
 また、小川村、鬼無里(長野市)、美麻村(現白馬村)は、かつては修験道の道で行者の行き来があった地域なので、「仏教説話」的な物語の成立には、修験道が関わったかもしれない、と思う。
 内容よりも、昔(江戸時代くらい)の日本の葬式に関する風俗がうかがい知れて、楽しい物語である。

 小川村瀬戸川にある霊験山法蔵寺に伝わる伝説である。宝蔵寺には猫塚があったり、猫供養を行ったりしているそうです。

#伝説 #長野県 #北信 #鬼無里 #猫 #報恩譚 #仏教 #修験道

by admin. 伝説,固有神獣,固有地名 <356文字> 編集

荻野池の機織り姫
峰街道(天空の道、大町峰街道、善光寺峰街道)、伝説 萩野池の機織り姫
「信州新町歴史蹟研究者 長野郷土史研究会員竹内、平成8年」

 池に身投げした織女が、池の主となって椀貸をした、という物語。
 死者がそのまま神的な存在となる、という考え方は「御霊信仰」に通じるのではないだろうか。
 
参照:荻野池
 
#昔話 #長野県 #北信 #織女 #椀貸伝説 #水神

by admin. 伝説,固有地名 <193文字> 編集

六地蔵
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 141-144p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 69p、ミニコラムで紹介されている。

 いわゆる「笠地蔵」の話。被せるのは笠ではなくてござになっている。報恩譚である。

参照:笠地蔵
 
#昔話 #長野県 #北信 #仏教 #祇園信仰

by admin. 昔話,神名 <166文字> 編集

ほうえんさんとキツネ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 105-108p

 「ほうえんさん」とは「法印」とのこと。
 僧侶が狐にいたずらをして化かされる話である。修験道に関連のある話。

#昔話 #長野県 #北信 #狐 #化かす #動物 #祟り #修験道 #報復

by admin. 昔話 <136文字> 編集

くもが淵
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 101-104p

 「怪物退治」の失敗譚。聖ゲオルギス型である。
 前半は、蜘蛛と蛇の戦いで、蜘蛛に加勢を頼まれた主人公が失敗する話。
 後半は、蜘蛛の仲間に復讐されそうになる話。

 中国の乞巧奠(きこうでん、七夕)では女性達が蜘蛛に占ってもらうという習慣がかつてあり、蜘蛛というのは女性(織り姫)の象徴であると思う。蜘蛛が蛇に飲まれる、とは女性が河伯に人身御供に捧げられる、ということを言い換えたものではないだろうか。人身御供の救出が失敗する、とは羿のような英雄神話を是とするのではなく、暗に否定する意味が込められていると感じる。「黒姫物語」といい、北信には羿に批判的な勢力でもいるのか、と思えるほどである。蜘蛛が川の主のようにふるまうのも、「川に生贄にされた女性」という暗喩があるのだと思う。

 「木曽殿アブキ」とは、「裾花渓谷の清水川に面したところにある間口60m、奥行き20mの大岩くつで、その昔、木曽義仲が越後の四郎追撃の途路この洞くつに兵馬三百を休めたといわれ、また義仲が討死にした後、次男の義重が再挙を企てた跡として知られます。アブキ橋から見おろす景観は奥裾花景勝地の一つに数えられます。※アブキ橋欠壊により現在行けません。(アブキとはアイヌ語で「洞穴」のことだそう。)(長野市商工会 のHPより)鬼無里には木曽義仲に関する伝説がある場所がいくつかある。長野市鬼無里には木曽義仲の家臣が隠れ住んだ、という事情があるのではないか。

 また、物語は鬼無里で採取されているが、「四か庄の青鬼」とは、現在の白馬村青鬼のことと思われる。古い家屋が建ち並び、全体が重要伝統的建造物群保存地区に指定されている山間の集落である。鬼無里には鬼女伝説があるが、青鬼にも鬼が住んでいたという伝説が残っている。白馬村から鬼無里へは鬼無里街道(現在の国道406号線)が続いており、現在でも沿線の小神社には修験道の伝統が続いている痕跡を見ることができる。

 羿神話に否定的、という点で、類話は「黒姫物語」である。
 乞巧奠について、参照:太陽と木と鳥1

#伝説 #長野県 #北信 #鬼無里 #蜘蛛 #蛇 #動物 #祟り #復讐 #聖ゲオルギウス #失敗 #川 #水神

by admin. 伝説,固有地名 <1232文字> 編集

おばけ退治
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 95-100p

 いわゆる「怪物退治」譚。僧侶が退治する「聖ゲオルギス型」である。
 閑貞坊とは、昔信濃町に住んでいた僧侶のことのようである。
 ただし、知的な感じではなく、修験道の僧侶らしく、逞しく武力に優れていたと思われる。

#伝説 #長野県 #北信 #狢 #化かす #動物 #祟り #追い払い #聖ゲオルギウス #修験道

by admin. 伝説,英雄名,多エピソード保有人名 <192文字> 編集

黒姫物語
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 86-90p

 蛇婿としては、「三輪山伝説」の類話。
 蛇はいわゆる「河伯」の象徴でもあるので、河伯に「妻」と称して若い娘を生贄に捧げる、でないと祟りを受ける、という思想をそのまま示した物語である。
 后羿の神話では祟る河伯の目を射て祟りを鎮めることになるが、本物語では「怪物退治」は失敗して、逆に人身御供を捧げる結果となってしまう。むしろ、河伯を倒そうとした黒姫の父親の方が「悪い」となるような展開である。
 ・・・これだから、古い時代の「天帝」は人身御供擁護派だったのではないのか、羿は人々を助けようとしたからこそ罰を受けたのではないか、と筆者が言いたくなる所以である。
 長野県の北信地区には、民話が語られるような時代になるまで、「人身御供を擁護する思想」がはびこっていた証拠といえるのではないか、と思うくらいである。だからこそ、猿神を退治する早太郎を探しに、わざわざ南信まで行かなければならないのである。北信ではそのような英雄こそが悪者である、という思想を示した物語ともいえる。
 また、蛇神に対する人身御供に対して、馬がなにがしかの形で関わることが示唆される物語でもある。

 志賀高原には、この物語の大蛇が住むという大沼池がある。
 羿神話に否定的という点で、類話は「くもが淵 」である。

#昔話 #長野県 #北信 #蛇聟 #異類婿 #人身御供 #怪物退治 #馬 #祟り

by admin. 昔話,伝説 <619文字> 編集

金ひり子犬
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 60-63p

 「花咲爺」の類和といえるか。犬神が捧げ物を得ると、金を生んでくれる、という話。
 ということは、犬は雌なのだと思われる。
 主人公(おじいさん)が親切な人で、女主人公(おばあさん)が意地悪な人で、異性同士が対照的となっているのは、イザナギとイザナミ的である。
 犬神がなぜ、主人公、女主人公と暮らすようになったのか、という理由は欠如していて不明である。

 でも、ものすごく単純な「神様に捧げ物をしたらお金が儲かる(根拠は不明)」という短絡的思想は、民話の中だけでなくて、現在の「神社」というものに対する日本人の姿勢を見ても、日本人の精神文化の中に非常に深く根付いているといえると感じる。(ここまで単純で露骨な思想形態はあまり他では類を見ないと感じる。)お金大好き日本人文化を象徴するような物語である。・・・別にお金だって必要なものだから、それが悪いとは言わないけどさあ。私だってお金は欲しいけど。

#昔話 #長野県 #北信 #犬 #動物 #化成 #金 #イザナギとイザナミ #池

by admin. 昔話 <477文字> 編集

サルのよめ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 44-50p
「美女と野獣」的 or 「猿神退治」的

 前半の猿が女主人公を得るまでは、どちらかといえば「難題婿」的な展開。
 後半は呪的逃走が変化したもので、「川と石」のモチーフが出てくる(臼は木製かも知れないが)。猿に重い荷物を運ばせるところは「山のこびと」的である。
 どちらかといえば、騙された猿神が気の毒な展開の物語であるが、怪物の死と女主人公の再生(逃走)というモチーフは良く保たれている。
 女主人公は餅(植物)の化身といえる。女主人公が自ら冥界に赴いて問題を解決してしまう点も「山のこびと」が類話といえる。
 逃走の際の「川と石」のモチーフは「英雄ディックベール」、「スルタンのぶち犬」、「山男」にみられる。

#昔話 #長野県 #北信 #猿 #猿聟 #異類聟 #難題婿 #3人姉妹 #餅 #植物 #叡智 #怪物退治 #川と石 #妹による救出

by admin. 昔話 <434文字> 編集

おばりてなあ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 41-43p

 恐れを見せないことで、豊穣を得るタイプ。
 「瘤取り」的な展開としては、「背中にこぶのある仕立屋の話」、「ネズミ浄土」、「貧乏神」が類話である。

#昔話 #長野県 #北信 #オシリスとセト #禁忌 #恐れ #神 #精霊 #神 #こぶ取り

by admin. 昔話 <169文字> 編集

ネズミ浄土
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 31-37p

黄金のベテリと松やにバビー」の男性版
 「瘤取り」的な展開としては、「おばりてなあ」、「背中にこぶのある仕立屋の話」、「貧乏神」が類話である。

#昔話 #長野県 #北信 #鼠 #異界 #地下世界 #報恩 #忘恩 #オシリスとセト #おむすび #動物 #こぶ取り

by admin. 昔話 <186文字> 編集

しっぽのつり
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 11-15p

#民話 #長野県 #北信 #兎 #カワウソ #由来譚 #忘恩 #動物

by admin. 昔話,起源・由来 <70文字> 編集

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