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カテゴリ「昔話」に属する投稿44件]

きつねの説教
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 137p、コラム

 詳細は不明。
 狐に説教された酒飲みの話のようである。

#昔話 #長野県 #中信 #狐

by admin. 昔話 <106文字> 編集

こえおけの温泉
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 137p、コラム

 詳細は不明。
 狐にいたずらした男が報復された話のようである。

#昔話 #長野県 #中信 #狐 #報復

by admin. 昔話 <115文字> 編集

お寺の小僧さん
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 137p、コラム

 木曽福島町興善寺の稲荷に関する伝承である。これもハッピーエンドではない。

 これも、いわゆる「炎黄闘争」が非常に長い時を経て崩れた形式の物語といえると思う。普通は狐は人を化かすものであるのだが、ここでは「良い狐」として描かれていることが興味深く感じる。興善寺には木曽義仲の墓もあるとのことである。

参考文献:木曽の民話民宿松尾 HPより(最終閲覧日:22-09-06)

#昔話 #長野県 #中信 #狐 #非業の死

by admin. 昔話 <273文字> 編集

大名行列
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 137p、コラム

 これも玄蕃之丞狐の物語である。

#昔話 #長野県 #中信 #狐

by admin. 昔話,固有神獣 <92文字> 編集

汽車を止めた玄蕃之丞狐
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 130-136p

 玄蕃之丞狐とは、塩尻宿から贄川宿辺りに住んでいた、といわれるいたずら好きの狐の親分のことであるらしい。しかし、その最後は人間と争って非業の死を遂げるらしい。狐がかつて信仰の対象であったことの名残と、非業の死を遂げた者を神格化する習慣などが相まった物語といえようか。

 西欧におけるトロール等の物語と、「いたずら好きな半神的存在に対する信仰」、「それらに対する最終的な人間の勝利」という点で比較してみると面白いかもしれない、と思う。

 いわゆる「炎黄闘争」が非常に長い時を経て崩れた形式の物語といえる。

参考文献:玄蕃之丞狐長野県:歴史・観光・見所 より(最終閲覧日:22-09-06)

#昔話 #長野県 #中信 #狐 #非業の死

by admin. 昔話,固有神獣 <386文字> 編集

びわ池
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 81p、コラム

 木曽郡上松町にある「びわ池」の伝説である。

 怪物退治譚の一種なのだが、シャーマン(びわ法師)が自己犠牲を払って人々を助けた、という物語。
 昔の宗教関係者はかなり外国の宗教も研究していたようであるし、原始キリスト教神話を基にして、修験道関係者が作り上げた物語なのではないだろうか、と個人的には想像する。
 シャーマンが活躍して大洪水から身を守る、という説話は伏羲の物語にも通じる、と思う。

#昔話 #長野県 #中信 #竜 #龍 #びわ法師 #洪水 #怪物退治

by admin. 昔話 <290文字> 編集

泉小太郎
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 70-80p

 「新長野のむかし話」編について。これは元の話からかなり改変がされている、と感じるが私が知る限り最悪の改変だと思う。
1.伝説にまつわる地名が記載されていない点(犀川、松本平など)
2.犀竜が悪いことをして罰を受けて竜にされてしまっている点
3.罰を受けた原因は、犀竜自身というよりも社会的な問題なのだが、なんでそれを弱者である犀竜が一番泥を被って犠牲にならなければならないのだろうか。現代的に、弱者を搾取することを正当化する思想に繋がらないだろうか。
4.小太郎が自らの出自に引け目を感じている点。読者である子供に、出自等で他人と違うことは「それだけで悪いことである」と思わせることにならないだろうか。現代的な教育という観点から多様性の尊重と平等や公平という精神を損なう物語とならないだろうか。

 何より、犀竜自身は祀られている神社を持たない、といえども、かつての水内郡(現在の長野市)の犀川流域から広い範囲で九頭竜女神が水神として祀られていることを併せ考えれば、犀竜とは九頭竜女神のことである、と容易に気がつけるはず。そんなことも分からない奴がこの物語に手を出すんじゃねーよ、水内郡の伝統と文化に対する侮辱だ! と正直思います。(ま、元の話も竜蛇女神に自己犠牲を求める話で、個人的には好きではないのですが。)

 同じ「日本標準」出版でも「長野の伝説」に収録されている方が原話に近いと思うので、いつか紹介できれば、と思います。犀川には他に安曇族の神の開拓神話もあるのですが。開拓神をないがしろにしてどうなってるのか、という「現実の歴史」もいつか紹介できれば、と思います。

#昔話 #長野県 #北信 #竜 #開拓神 #女神

by admin. 昔話,固有神獣,英雄名,起源・由来 <771文字> 編集

足の化けもの
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 244-251p

 前半は狡猾な男が天狗から姿の消える、いわば「魔法のアイテム」をだまし取る話。西欧では姿の消える魔法のアイテムは「ドワーフの宝」と考えられるが日本では「天狗のアイテム」のようである。男は北欧神話のロキにも似る。「怪物退治」が崩れた物語といえようか。
 後半は中途半端に透明人間になった主人公が妻の叡智に救われる話。「姿が消える」ということは神話や伝承的には「死」も暗喩するといえるので、妻は夫を再生させるイシスのような女神的存在といえようか。

 ただ、全体としては神話の崩れ、というよりは庶民的な面白い話、だと思うので、物語として確立したのは近世以降であり、修験道のプロパガンダとしての要素が強い物語だと感じる。

#昔話 #長野県 #中信 #天狗 #姿消える #魔法のアイテム #かくしみの #かくれがさ #ぼたもち #怪物退治 #叡智 #天狗 #修験道 #足

by admin. 昔話 <420文字> 編集

へっぴりよめ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 235-239p

 ハイヌウェレ的な「排泄神」の物語が崩れたもの。
 これも、物語として確立したのは近世以降だと思うけれども、日本的なハイヌウェレ神話は、どちらかというと早い段階で「神の死体から植物が化生する」という思想が失われて形骸化していったのかもしれないと想像する。
 成立には、これも神話等に詳しい修験道関係者等が関わっているかもしれない、とは思うが。

#昔話 #長野県 #北信 #放屁 #排泄神 #梨

by admin. 昔話 <235文字> 編集

鼻かぎのぬけ八
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 229-234p

 これは神から授かった魔法のアイテムにより主人公が成功する、という話。
 「怪物退治」の変形であると共に、「魔法のランプ」型である、といえるのではないだろうか。

#昔話 #長野県 #中信 #竹 #鼻 #魔法のアイテム #魔法のランプ

by admin. 昔話 <156文字> 編集

あんころもちこぞう
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 223-228p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 38-43p

 これはハイヌウェレ的な「排泄神」の物語が崩れたものだと考える。
 「殿様」とかが出てくるので、物語として確立したのは近世以降だと思う。
 成立には神話等に詳しい修験道関係者等が関わっているのだろうか?

#昔話 #長野県 #中信 #あんころもち #排泄神

by admin. 昔話 <214文字> 編集

とんち役人
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 219-222p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 20-23p、タイトルは「村をすくったとんち庄屋」に変更された。登場人物の「村役人」が「庄屋」に変更されている。理由は不明。

 笑話。頓知話。
 これも、庶民から見た、役人(あるいは庄屋)のあって欲しい、といえる理想の姿かもしれないと思う。
 物語の形式としてはやや「怪物退治」的といえようか。

#昔話 #長野県 #北信 #頓知 #叡智 #年貢

by admin. 昔話 <248文字> 編集

切明の庄屋
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 212-218p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 24-32p、タイトルは「とんちんかん庄屋」に変更された。

 笑話。愚か話でもある。
 こういった物語も由来を辿れば「怪物退治」と言えるのではないだろうか、と思う。
 封建的な江戸時代は、役人と庶民の間柄はこのように和やかなものではないので、ある意味、この物語のような和やかな関係は、庶民にとっての理想の姿でもあったのかもしれないと思う。
 
 「愚か」の内容
 湯・茶、食事の作法、薬味、床柱、手水

#昔話 #長野県 #中信 #庄屋 #笑話 #愚か者

by admin. 昔話 <302文字> 編集

ねずみ経
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 208-211p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 34-37p、タイトルは「おんチョロチョロ」に変更された。

 笑話だけれども、「(仏教に対する)信心はありがたい物だ」という意図が含まれている物語。
 基本的には仏教振興のためのものか。

#伝説 #長野県 #北信 #鼠 #仏教 #修験道 #泥棒 #笑話

by admin. 昔話 <201文字> 編集

鳥のみじじい
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 201-207p

 「おとっとこよし」と「瘤取りじいさん」の中間といえるような物語である。
 そのため、「おとっとこよし」、「鳥のみじじい」、「瘤取りじいさん」の物語には連続性があって、関連する物語であることが分かる。
 「成功するじいさん」は鳥と関連し、「成功しないじいさん」は大宜津比売の神話等、日本的なハイヌウェレ譚との関連がある。
 社会学的に興味深い話といえる。「老婆とすずめ」との対比も興味深い。

#伝説 #長野県 #北信 #こぶ取り #オシリスとセト #鳥 #鳥神

by admin. 昔話 <283文字> 編集

まま子のクリ拾い
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 195-198p

 いわゆる「姥皮」型の物語。「継子虐め」と組み合わされた物語で、最後はハッピーエンド型である。
 西欧では「ホレのおばさん」に相当するものは、日本では「山姥」と言われることが多い。

 「黄金のベテリと松やにバビー」が類話といえる。

参照:姥皮

#伝説 #長野県 #北信 #栗 #山姥 #姥皮 #継子虐め #冥界

by admin. 昔話 <257文字> 編集

親捨て山
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 192-194p

 いわゆる「姥捨て山」型の物語。「枝折り型」と「難題型(木の棒型)」の複合型である。「うばすて」というと長野県の「冠着山」が有名だが、本物語は栄村で採取された。
 類話は「金のかめ」。

参照:うばすてやま

#伝説 #長野県 #北信 #姥捨山 #枝折り #木の棒

by admin. 昔話 <263文字> 編集

おとっとこよし
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 189-191p

 イェンゼンのことは個人的には好きではないのだが、「芋といえばハイヌウェレ」というくらい(?)ハイヌウェレ型神話は有名な話である。この物語は一般的なハイヌウェレ型神話よりも更に古い時代の「ハイヌウェレ型神話」といえると考える。

 西欧では「末子成功譚」が多いが、東アジアから環太平洋周辺地域のオーストロネシア語族の文化圏の中には「兄と弟」の組み合わせで、原因は様々だが、弟が唐突に死ぬ、というパターンの物語がままある。本物語もそのような国際的な物語の1つであって、台湾やポリネシア等に類話がみられる。

 本物語に限っていえば、これはホトトギスというの由来譚と、5月の端午の節句に芋汁を食べることの由来譚でもある。芋名月は日本では中秋の行事とされることが多いが、鬼無里では5月の節句の行事であったことが分かる。そして、兄が鳥の化身であり、弟が山芋の化身であることが分かる。これを動物神や植物神の擬人化、とみるのか、人を動物や植物になぞらえている、とみるのか、ということになるが、管理人は後者であると思う。

 なぜ、人間を動物や植物になぞらえるのか、といえば、その理由は「階級」や「身分」というものを示し、誰が「上の身分」で、誰が「下の身分」であるかを示しているし、それぞれの社会的役割を示しているものとも考える。兄は「鳥」であって、木の枝の高いところに住み、弟たちを支配する。山芋は、地面の下に存在し、一番低いところに生息するものなので、それが「身分の低さ」を示すし、支配しかされない。そのような観点から見れば、本物語は「身分の低い者は上位の者の食べ物である」とか「上位の者は身分の低い者の生殺与奪件を握る」という階級社会の理論や思想を示す、社会学的な物語あるいは「説話」とすらいえると考える。

 階級社会の発生は、父系文化の発生と一致し、良渚文化にまで遡る。本物語に暗喩される「身分的に上位の者は下位の者を食い物にして当然である」という思想が、父系文化と階級社会を支えてきた思想だと理解すれば、大国が小国を一方的に「悪者」と決めつけて理不尽に攻撃するようなことを正当化する根本的な思想が、5500年ほど前に長江下流域の水稲耕作民から発生したものであって、人類はそこから5000年以上たっても、「父系文化の根本的思想」から抜け出すことができないでいることが分かる。この思想の問題の根は山芋の根よりも更に深いところまで潜り込んでいるように思える。そして、鬼無里・長野市信州新町あたりには、古い時代のハイヌウェレ型神話に関係する民話・伝承が多く残され、独特な地域であるなあ、と思う。(今のところ信州新町はなんだか「泥棒村」みたいなノリになっちゃっていて、呆れかえるばかりである。まあ、ここのところ1600年くらいはそういうノリだったのかもしれませんがー;。)

参照:序列殺人

#昔話 #長野県 #北信 #鬼無里 #ほととぎす #鳥 #山芋 #植物 #ハイヌウェレ #序列殺人

by admin. 昔話,起源・由来 <1281文字> 編集

三人まま子
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 183-188p

 これは継母が継子を虐め殺してしまう、という非常に残酷で陰惨な話。少なくとも子供に聞かせるような話ではないと思う。
 民話や神話における「釜」というのは、尽きせぬ食料を出す「豊穣の大釜」と、地獄などで罰を与える「罰のための大釜」に分かれる、と個人的には思う。本物語の「釜」は後者である。また、幼い子供を人身御供に捧げた習慣、おそらく太古にはそれを食したであろう習慣が、かすかに垣間見える物語といえる。これは環太平洋周辺地域の海洋民族の食人文化に通じる思想が古代の日本にもあったのではないか、と思わせる。
 このような物語はコンプライアンス的には、そのまま子供に聞かせるには向かないが、さりとて、古代の先祖の文化の痕跡を消し去って良いものとも思わない。民話や伝説は残酷な話が多いので、どうやって後世に伝え残していくのかを熟慮する必要がある典型的な物語といえる。
 歌が秘密を暴露するところは、「王様の耳はロバの耳」的でもある。

 この手の残酷な物語の取扱に気を遣うべきと考えたのは何も現代人だけではなく、「源氏物語」の中にも、光源氏が娘の明石の中宮を育てる際に、実母ではない紫の上に養育を任せたので、子供の目に「継子虐め」の物語が触れないように気を配った、というエピソードが出てくる。

#昔話 #長野県 #北信 #継子虐め #魔法の大釜 #歌 #秘密の暴露 #人身御供

by admin. 昔話 <622文字> 編集

ヘビの恩返し
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 162-167p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 56-61p、タイトルは「へびのシガ」に変更された。内容にもかなりの改変がある。理由は不明。

 蛇というのは水神の象徴でもあると思う。水に関する神に恩があって、そのお返しに祟りを受けない、のみならず命まで貰ってしまう、というのは、「伏羲と雷公」の物語、いわゆる「洪水神話」の話の骨組みであると思う。ただし、本物語は、「人間が神を助けた」という性質が強いので、西欧的な「ノアの箱船」が起源というよりは、「伏羲と雷公」の物語の方が近くて起源に相応しいと思う。
 外国では神は「絶対的な存在」とされることが多い、と思うのだが、本物語は図々しく人間が神に恩返しを求める話である。日本人の宗教観を探る上でも興味深い物語といえる。

#昔話 #長野県 #中信 #怪物退治 #報恩譚 #求恩返し譚 #蛇

by admin. 昔話 <420文字> 編集

ツルの恩返し
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 145-150p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 69p、コラム。タイトルは「つるの恩返し」に変更された。

 いわゆる「鶴の恩返し」譚。「見るな」の禁忌はあるが、意味はなくなっている。
 結婚のないパターンである。

参照:鶴の恩返し
 
#昔話 #長野県 #南信 #報恩 #機織り #織女

by admin. 昔話 <197文字> 編集

六地蔵
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 141-144p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 69p、ミニコラムで紹介されている。

 いわゆる「笠地蔵」の話。被せるのは笠ではなくてござになっている。報恩譚である。

参照:笠地蔵
 
#昔話 #長野県 #北信 #仏教 #祇園信仰

by admin. 昔話,神名 <166文字> 編集

あとかくしの雪
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 132-135p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 96-100p

 いわゆる「冬至粥(小豆粥)」の起源譚。冬至粥は「無病息災」を祈るためのものであり、弘法大師に親切にした老婆が、弘法大師から「無病息災」の粥を授けられた、という意味を含んだ物語である。また、木曽では冬至を境にして菜っ葉の漬物を食べる種類が切り替わる、という伝統があるらしい。節に、神に無病息災を祈って菜っ葉を捧げるのは、柳田的にはむしろ夏祭(旧6月、本来は水の神の祭)の習慣と考えられるような気がする。冬至には南瓜(瓜類である)を食べる習慣があるし、菜っ葉を捧げる習慣(ただし冬だから漬物となる)もあったとすれば、水神信仰(祇園信仰)に関連する習慣であったことが分かる。人々の一人一人が水神(疫神)と一体化して(現人神となって)、供物を食している。

 「無病息災」を願うものとしては、蘇民将来説話の崩れで、弘法大師が牛頭天王に相当する存在なのだと思う。ただし、「不親切な者」は登場しない。弘法大師そのものは、実際には修験道の行者のような旅はしなかったかもしれないが、弘法大師が旅をして奇跡を起こした、という伝説はあちこちにあるのではないだろうか。

 ただ、現代的な感覚から見ると、大師様が直接利益や恩恵を分かりやすくもたらしてくれる物語ではないので、「弘法大師が泥棒を推奨した」という話にも見えてしまい、「冬至粥」とか、冬至の祭りの意味を知っていないと、意味するところは理解しにくいかもしれない。

参照:蘇民将来
 
#昔話 #長野県 #中信 #蘇民将来 #漬物 #菜っ葉 #小豆粥 #小豆 #冬至 #由来 #弘法大師 #冬至粥 #祇園信仰 #修験道

by admin. 昔話,固有アイテム,多エピソード保有人名,固有地名 <764文字> 編集

うりひめ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 128-131p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 102-105p、内容に改変が見られる。理由は不明。

 二人の女性が、結婚を軸にして入れ替わる。典型的な「瓜子姫」の物語である。
 瓜子姫は最期には助かる。天邪鬼は茅に化生する。
 瓜子姫は川から流れてくる。「桃太郎」と似ている。

 類話は「たまご姫」、「とくさむすめ」、「のろいをかけられた花嫁」、「白檀の木」、「悪魔の難題」など
 参照:うりこひめとあまのじゃく
 
#昔話 #長野県 #東信 #瓜子姫 #柿 #茅 #川誕 #瓜

by admin. 昔話 <467文字> 編集

絵ネコとネズミ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 123-127p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 120-124p、タイトルは「絵ねことねずみ」に変更された。

 怪物退治の一型。職能タイプ。
 父親と対立して旅に出るところは「ゲイ流譚」型である。
 
#昔話 #長野県 #南信 #猫 #鼠 #絵師 #ゲイ流譚

by admin. 昔話 <182文字> 編集

ほらがいの子
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 119-122p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 126-129p、タイトルは「ほらがいの川くだり」に変更された。

 ほらがいの子をさらおうとして、天変地異が起き、祟られる話。
 ほらがいは修験道に関係のあるアイテムである。
 また、古代の日本では、貝には「再生させる力」というか「医薬の力」があるとされて、死んだ大国主命を貝の女神が蘇生させる、という神話もある。
 地下のなまずが暴れると、地震が起きる、という古来寄りの俗信の「なまず」が修験道の普及に従って「ほらがい」に変更されたものか。

 参照:ホラガイ
 
#昔話 #長野県 #東信 #祟り #貝 #修験道 #天変地異 #水神

by admin. 昔話 <345文字> 編集

食わずにょうぼう
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 109-116p

 吝嗇が元で、怪物に祟られる話。
 後半に「呪的逃走」が入る。
 「瓜子姫」が欠落した「瓜子姫と天邪鬼」といえると思う。要は、魔女との婚姻と、その逃走譚(この場合は「追い出し」型)である。
 「瓜子姫」は登場しないが、その名残で、逃走の手助けを植物が行ってくれる。それが「端午の節句」の由来譚となっている。

#昔話 #長野県 #中信 #鬼 #祟り #吝嗇 #呪的逃走 #由来 #樹木信仰 #蓬 #菖蒲 #追い出し #匿い

by admin. 昔話,起源・由来 <251文字> 編集

ほうえんさんとキツネ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 105-108p

 「ほうえんさん」とは「法印」とのこと。
 僧侶が狐にいたずらをして化かされる話である。修験道に関連のある話。

#昔話 #長野県 #北信 #狐 #化かす #動物 #祟り #修験道 #報復

by admin. 昔話 <136文字> 編集

黒姫物語
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 86-90p

 蛇婿としては、「三輪山伝説」の類話。
 蛇はいわゆる「河伯」の象徴でもあるので、河伯に「妻」と称して若い娘を生贄に捧げる、でないと祟りを受ける、という思想をそのまま示した物語である。
 后羿の神話では祟る河伯の目を射て祟りを鎮めることになるが、本物語では「怪物退治」は失敗して、逆に人身御供を捧げる結果となってしまう。むしろ、河伯を倒そうとした黒姫の父親の方が「悪い」となるような展開である。
 ・・・これだから、古い時代の「天帝」は人身御供擁護派だったのではないのか、羿は人々を助けようとしたからこそ罰を受けたのではないか、と筆者が言いたくなる所以である。
 長野県の北信地区には、民話が語られるような時代になるまで、「人身御供を擁護する思想」がはびこっていた証拠といえるのではないか、と思うくらいである。だからこそ、猿神を退治する早太郎を探しに、わざわざ南信まで行かなければならないのである。北信ではそのような英雄こそが悪者である、という思想を示した物語ともいえる。
 また、蛇神に対する人身御供に対して、馬がなにがしかの形で関わることが示唆される物語でもある。

 志賀高原には、この物語の大蛇が住むという大沼池がある。
 羿神話に否定的という点で、類話は「くもが淵 」である。

#昔話 #長野県 #北信 #蛇聟 #異類婿 #人身御供 #怪物退治 #馬 #祟り

by admin. 昔話,伝説 <619文字> 編集

てんぐになった信太郎
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 80-85p

田(稲作)と神霊との関わりの話である。
子供が天狗に変化する部分は、農耕祭祀に関する生贄を彷彿とさせる。
人身御供の役割は、神霊と一体化して田の収穫の豊穣をもたらすことである。おそらく、水稲耕作にとって重要な水の管理(治水)も行っていたことと思われる。

天狗が、雷神のようであり、鳥のようであり、稲作に関する点は、日本的な「田の神」信仰に通じると共に、中国の神話で「雷神」=「鶏」である点も彷彿とさせる。
日本における天狗とは、中国風な雷神や風神の変化したものなのか、興味深い。

#昔話 #長野県 #中信 #天狗 #田の神 #雷神 #鳥 #人身御供 #見るな #禁忌

by admin. 昔話 <325文字> 編集

ネコと茶がま
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 77-79p

 「片目」にされた猫神の祟りの物語。
 茶がまは、「豊穣の大釜」のような意味があり、本来は猫神が主人公に授けた、という由来はあったかもしれないと思うが、消失するか、形が大きく崩れており、不明である。
 猫が片目にされる点はいわゆる西欧の「半分男」をどことなく思わせるし、「夷羿と洛水の河伯」の物語も思い出させる。

 参照:夷羿(夏の羿

#昔話 #長野県 #南信 #猫 #祟り #魔法のアイテム #茶がま #魔法の大釜

by admin. 昔話 <248文字> 編集

ものぐさ太郎
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 67-74p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 82-89p

 「動物番」系の物語の非常に個性的な類話であると思う。
 太郎を小綺麗にしたら「いい男」になった、というのは「クワッ、クワッ、くっつけ!」のかさぶた男と同様、本来の姿を「見るな」という暗喩だと思う。
 そして、信濃国の特徴なのかもしれませんが、「都から来た妻」というものに、「異類嫁」に近いような特別な扱いがされているように思います。

#昔話 #長野県 #中信 #労働 #異類嫁 #都から来た妻 #怠け者 #見るな #禁忌 #ポセイドーンとアムピトリーテー #歌 #ものぐさ太郎 #略奪婚的 #常世信仰

by admin. 昔話 <333文字> 編集

ほらあなの主
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 64-66p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 116-119p、タイトルは「よくふか長者とほらあなの主」に変更された。

 「主」とは河童か、それとも大蛇の類いか?
 ともかく、「病気は祟りである」とか、「神に対する恩を忘れると祟られる」とか、そういう主題の話である。「誉津別命」が類話といえる。
 子供は人間ではないので「取り替え子」的な要素もある。

#昔話 #長野県 #南信 #宝物 #報復 #祟り #呪い #忘恩 #水神 #川 #人身御供 #取り替え子 #予言 #椀貸伝説

by admin. 昔話 <290文字> 編集

金ひり子犬
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 60-63p

 「花咲爺」の類和といえるか。犬神が捧げ物を得ると、金を生んでくれる、という話。
 ということは、犬は雌なのだと思われる。
 主人公(おじいさん)が親切な人で、女主人公(おばあさん)が意地悪な人で、異性同士が対照的となっているのは、イザナギとイザナミ的である。
 犬神がなぜ、主人公、女主人公と暮らすようになったのか、という理由は欠如していて不明である。

 でも、ものすごく単純な「神様に捧げ物をしたらお金が儲かる(根拠は不明)」という短絡的思想は、民話の中だけでなくて、現在の「神社」というものに対する日本人の姿勢を見ても、日本人の精神文化の中に非常に深く根付いているといえると感じる。(ここまで単純で露骨な思想形態はあまり他では類を見ないと感じる。)お金大好き日本人文化を象徴するような物語である。・・・別にお金だって必要なものだから、それが悪いとは言わないけどさあ。私だってお金は欲しいけど。

#昔話 #長野県 #北信 #犬 #動物 #化成 #金 #イザナギとイザナミ #池

by admin. 昔話 <477文字> 編集

まったらこうよ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 51-59p

 題の「まったらこうよ」とは、長野県の方言的に使われている古語で、「まったら(放ったら)」+「こうよ(来よ)」という意味。「まる(放る)」というのは「用を足す」という意味。

 導入部分は上司と対立するタイプの「ゲイ流譚」である。ただし、上司にあたる「おしょうさん」は、旅の助けとなる魔法のアイテムもプレゼントしてくれる「助け手」も兼ね、主人公の小坊主さんの師匠でもあるので、「ゲイ流譚」と「魔法使いの弟子」が融合した展開となっている。対立はあるけれども、互いに殺し合うほどではなく、どちらかといえば友好的な師匠と弟子であることが特徴である。
 前半は「鬼ばばあ」からの逃走譚で、「怪物退治」は省略されて逃げるだけである。魔法のアイテムはここで使用される。
 中盤は祟る「田の神」を退治するのではなく、「祀る」物語。ないがしろにされていた「田の神」に、餅、酒、大根を捧げる。いずれも植物の変化したもので「生贄の娘の身代わり」であるので、女主人公が植物の化身であることが分かる。
 後半はいわゆる「難題婿」で、蜂に助けてもらう「動物神」型兼「謎解き」型。「恐れ」による禁忌も伴う。

 主人公が「小坊主さん」であるので、武力で怪物を退治する、という要素は乏しくて、知恵を使って問題を解決しよう、という傾向が強い。かつ、省略が多いけれども、導入部分のおしょうさんとの別れも含めると本来の「怪物退治+呪的逃走」から発生した物語のパターンが4つも繰り返されている物語である。使用されているモチーフも多岐に渡る。よく4つの物語パターンをまとめたな、と思う。神に酒を捧げて機嫌をとり、生贄の乙女を助ける点は、まさにセクメト神話である。

 また、祭祀に関して「餅、酒、大根」を捧げることが、「人身御供」の代わりだとあからさまに分かる内容である。普通に日本人だとお祭りの際に、餅、酒、大根を神前に捧げるなんて、「当たり前に普通のこと」過ぎて、その意味を深く考えたことがないような気がするが、民話の中にその本態があっさり語られていたりするようである。

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by admin. 昔話 <1053文字> 編集

サルのよめ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 44-50p
「美女と野獣」的 or 「猿神退治」的

 前半の猿が女主人公を得るまでは、どちらかといえば「難題婿」的な展開。
 後半は呪的逃走が変化したもので、「川と石」のモチーフが出てくる(臼は木製かも知れないが)。猿に重い荷物を運ばせるところは「山のこびと」的である。
 どちらかといえば、騙された猿神が気の毒な展開の物語であるが、怪物の死と女主人公の再生(逃走)というモチーフは良く保たれている。
 女主人公は餅(植物)の化身といえる。女主人公が自ら冥界に赴いて問題を解決してしまう点も「山のこびと」が類話といえる。
 逃走の際の「川と石」のモチーフは「英雄ディックベール」、「スルタンのぶち犬」、「山男」にみられる。

#昔話 #長野県 #北信 #猿 #猿聟 #異類聟 #難題婿 #3人姉妹 #餅 #植物 #叡智 #怪物退治 #川と石 #妹による救出

by admin. 昔話 <434文字> 編集

おばりてなあ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 41-43p

 恐れを見せないことで、豊穣を得るタイプ。
 「瘤取り」的な展開としては、「背中にこぶのある仕立屋の話」、「ネズミ浄土」、「貧乏神」が類話である。

#昔話 #長野県 #北信 #オシリスとセト #禁忌 #恐れ #神 #精霊 #神 #こぶ取り

by admin. 昔話 <169文字> 編集

炭焼き喜藤次
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 38-40p

 主人公にとって、「都から来た妻」は、人というよりはむしろ豊穣をもたらす女神、異類の妻、といった方が正確であると思う。
 「女神を再生させる」という要素は乏しい。妻は住吉の神の使いといえる。ワルキューレ型の物語といえる。

#昔話 #長野県 #南信 #炭焼き #異類嫁 #都から来た妻 #黄金 #職能型 #女神 #夢 #予言 #住吉 #ワルキューレ

by admin. 昔話,英雄名 <210文字> 編集

ネズミ浄土
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 31-37p

黄金のベテリと松やにバビー」の男性版
 「瘤取り」的な展開としては、「おばりてなあ」、「背中にこぶのある仕立屋の話」、「貧乏神」が類話である。

#昔話 #長野県 #北信 #鼠 #異界 #地下世界 #報恩 #忘恩 #オシリスとセト #おむすび #動物 #こぶ取り

by admin. 昔話 <186文字> 編集

天竜川のカワランベ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 26-28p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 110-114p

 馬に関しては「ポーチュン」と類似点がある。

#昔話 #長野県 #南信 #川 #天竜川 #精霊 #水神 #報恩 #魚 #忘恩 #馬 #相撲 #動物引き込み #河童 #河伯

by admin. 昔話,固有地名 <172文字> 編集

スズメとキツツキ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 23-25p

「親切な少女と不親切な少女」的由来譚。

#昔話 #長野県 #中信 #雀 #啄木鳥 #鳥 #由来譚 #動物

by admin. 昔話,起源・由来 <91文字> 編集

ガマとサル
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 20-22p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 16-19p、タイトルは「さるとガマ」に変更された。

 微妙だが「猿神退治的」。
 池に落ちたフリをして気をそらすところは、「山のこびと」的。

#昔話 #長野県 #東信 #猿 #蝦蟇 #盗賊 #由来譚 #動物 #池に落ちるふり

by admin. 昔話,起源・由来 <187文字> 編集

サルとキジのクリ拾い
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 16-19p

やや理不尽な内容の猿神退治。

#昔話 #長野県 #東信 #猿 #雉 #鳥 #臼 #蜂 #牛 #卵 #動物 #猿蟹 #猿神退治

by admin. 昔話 <103文字> 編集

しっぽのつり
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 11-15p

#民話 #長野県 #北信 #兎 #カワウソ #由来譚 #忘恩 #動物

by admin. 昔話,起源・由来 <70文字> 編集

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