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「シルクロードの民話 パミール高原」 171-184p
複数のモチーフが組み合わさった物語。
前半と結末は、予言をする異界の乙女達との婚姻譚。最終的に一人とはうまくいくけれども、残りの二人とは破綻する物語。
そこに「兄その他を探す乙女」の後半部分(結婚、出産、子供の失踪)が加わり、
更に、姉弟の冒険譚、前半は弟の宝物入手譚、一部怪物退治+呪的逃走あり、後半は姉の「兄その他を探す乙女」+宝物入手譚となっている。
姉は弟やその他の人々の助け手ともなっているし、「おうむの真の主人」であることが暗示されている。
助け手にデヴィンと聖者ヒジールが登場する。「聖者ヒジール」がどのような聖者であったのかは調べられなかった。
2世代に渡る物語といえ、前半と結末は、精霊と王の婚姻譚、中間は姉と弟が、それぞれ女主人公と主人公になっている。
出産に関連して女主人公を虐めるエレシュキガル的存在が、姑ではなくて、姉二人、となっているところが、シンデレラとの共通点で興味深く感じる。
母親が土に埋められるところは、植物の化身であることを暗示させる。「たまご姫」的でもあると思う。
前半部分の類話は「妖精のおはなし」。
「兄その他を探す乙女」のモチーフがあちこちに散りばめられている。
母親の方が「罰を受ける女神」であり、娘の方が再生を司る女神である点は、岩見の伝承である「オオゲツヒメと狭姫」の関係も彷彿とさせ、興味深く思う。(「太陽と木と鳥2 」参照)
呪いを受けて石に変えられてしまうところは、個人的には「ライオンと魔女」を思い出しました。
#民話 #異類嫁 #イナンナとエレシュキガル #兄その他を探す乙女 #デヴィン #おばあさん #ホレのおばさん #聖者ヒジール #オーディン #シームルグ #おうむ #鳥 #鏡 #塩 #川と石 #馬 #動物 #石 #変身 #怪物退治 #呪い #禁忌 #すり替え人 #3人の金の子ども #呪的逃走
by admin. ⌚ 2022年03月02日(水) 14:12:24 民話,固有神獣 <1033文字> 編集
1.ミーノータウロス退治のように、「主人公が怪物を退治し、怪物の近親者(姉妹、娘など)を妻とするタイプ」とその変形の物語。
(1) 問題解決のために「妻の手助け」があるタイプ → 「テーセウスとアリアドネー」型 #テーセウスとアリアドネー
(1)-あ 問題を姑が課すタイプ → 「ポポヨラのロウヒ」型 #姑
(1)-い 問題を舅が課すタイプ → 「須佐之男」型 #舅
(2) 主人公を助けるために女主人公が犠牲になるタイプ → 「エンリルとニンリル」型 #エンリルとニンリル
(2)-あ 退治されるのが女性で有罪であるタイプ → 「ティアマト」型 #ティアマト
(2)-い 主人公を軸として死により女主人公が入れ替わるタイプ他 → 「シヴァとサティー」型 #シヴァとサティー
(3) 問題解決のために「女神的存在の手助けがある」タイプ → 「ホレのおばさん」型 #ホレのおばさん
(4) 問題解決のために「男神的存在の手助けがある」タイプ → 「オーディン」型 #オーディン
(4)-あ 問題解決のために「神や仲間との力(食欲)くらべ」があるタイプ → 「ヤコブ」型 #力くらべ
(4)-い 問題解決のために男主人公が単独で解決するタイプ → 「ポセイドーン」型 #ポセイドーンとアムピトリーテー
(4)-う 問題解決のために男主人公が単独で解決し、結婚しないタイプ → 「聖ゲオルギウス」型 #聖ゲオルギウス
(4)-え 問題解決のために異種の供がつくタイプ → 「ブレーメン」型 #ブレーメン
(4)-お 問題解決のために若者等の供がつくタイプ → 「ボロルドーイ」型 #ボロルドーイ
(4)-か 問題解決のために「神の使いの手助け(女性等)」があるタイプ → 「ワルキューレ」型 #ワルキューレ
(4)-き 問題解決のために「動物神他の手助け」があるタイプ → 「動物神」型 #動物神
(4)-く 問題解決のために「動物神他を無理矢理こき使う」タイプ → 「酷使」型 #酷使
(4)-け 問題解決のために「物質の精霊他の手助け」があるタイプ → 「魔法のランプ」型 #魔法のランプ
(4)-こ 助け手が主人公に代わり問題を解決するタイプ → 「ジークフリート」型 #ジークフリート
(4)-さ 大勢の人が主人公と共に戦い、問題を解決するタイプ → 「蜂起」型 #蜂起
(5) 問題解決のために武力ではなく知恵を使うタイプ → 「叡智」型 #叡智
(5)-あ 問題解決のために謎を解くタイプ → 「謎解き」型 #謎解き
(5)-い 謎を解くのに姥捨老人の知恵を得るタイプ → 「姥捨て」型 #姥捨て
(5)-う 問題解決のために詐欺的な悪知恵を使うタイプ → 「詐欺」型 #詐欺
(5)-え 問題解決のために知恵で相手を関心させるタイプ → 「怪物納得」型 #怪物納得
(5)-お 問題解決のために祭祀を行うタイプ → 「祭祀」型 #祭祀
(5)-か 問題を女主人公が課すタイプ → 「王女出題」型 #王女出題
(5)-き 女主人公が「怪物(主に実家)」の側につくタイプ → 「怪物尊重」型 #怪物尊重
(6) 主人公が弓の名手であるタイプ → 「射日神話」型 #射日神話
(7) 主人公が動物番であるタイプ → 「動物番」型 #動物番
(7)-1 主人公が草食動物であるタイプ → 「羊と狼」型 #羊と狼
(8) 女主人公と主人公が破綻するタイプ → 「ゲイと嫦娥」型 #ゲイと嫦娥
(8)-あ 結婚前から女主人公と主人公が破綻しているタイプ → 「ティアマト」型 #ティアマト
(8)-い 女主人公が古い夫(主に老人)から乗り換えるタイプ → 「ネミの森」型 #ネミの森
(9) 怪物の急所が隠されているタイプ → 「秘密の急所」型 #秘密の急所
(10) 家にやってくる怪物を退治するタイプ → 「迎え撃ち」型 #迎え撃ち
(11) 家にいる怪物を退治するタイプ → 「追い払い」型 #追い払い
(11)-1 家にいる怪物を追い払えず逃げ出そうとするタイプ → 「追い払い失敗」型 #追い払い失敗
(12) 怪物を物に閉じ込めるタイプ → 「封印」型 #封印
2.主人公が目上の存在(父親、上司等)と対立して旅に出るタイプ → 「射日神話」型 #ゲイ流譚
2-あ 主人公が特に海に流されるタイプ → 「淡島」型 #淡島
3.主人公(あるいは女主人公)が怪物から逃走するタイプ
(1) 魔法や変身で逃げおおせるタイプ → 「呪的逃走」型 #呪的逃走
(1)-あ 他人に匿われながら逃げおおせるタイプ → 「匿い」型 #匿う
(1)-い 動物と一緒に生活するタイプ → 「獣の王」型 #獣の王
(1)-う 主人公が鳥に運んで貰うタイプ → 「怪鳥」型 #怪鳥
(1)-え 主人公が魚に運んで貰うタイプ → 「ヨブ」型 #ヨブ
(1)-お 鳥・魚以外の動物他に運んで貰うタイプ → 「運搬動物」型 #運搬動物
4.主人公が魔法使い等の弟子であるタイプ → 「魔法使いの弟子」型 #魔法使いの弟子
4-あ 主人公が半身であるタイプ → 「半身英雄」型 #半身英雄
5.女主人公の所業で主人公(夫)が不幸になるタイプ → 「ネミの森」型 #アルテミス
5-あ 女主人公の所業のうち不貞以外での不幸(特に浪費)が隠されているタイプ → 「食わず女房」型 #食わず女房
6.女主人公が主に家族のために旅に出るタイプ → 「鉢里公主」型 #鉢里公主
(1) 失踪した兄弟や夫を探すタイプ → 「兄達を探す乙女」型 #兄その他を探す乙女
(1)-あ 女主人公のえん罪等により失踪した兄弟や夫を探すタイプ → 「えん罪」型 #えん罪
(1)-い 継子虐めにより旅に出るタイプ → 「継子虐め」型 #継子虐め
(2) 火を求めるタイプ →「火を探す乙女」型 #火を探す乙女
(3) 問題解決のために「夫の手助け」があるタイプ → 「クピードーとプシュケー」型 #クピードーとプシュケー
7.女主人公が失踪するタイプ → 「セクメト」型 #セクメトの失踪
(1) 失踪した妻を夫が探すタイプ → 「いなくなった妻を探す夫」型 #いなくなった妻を探す夫
(2) 主人公の所業に不満があって女主人公が失踪するタイプ → 「ラ・ラメー」型 #ラ・ラメー
(3) 「見るな」等の禁忌に触れて女主人公が失踪するタイプ → 「鶴女房」型 #鶴女房
8.主人公(達)を助けるために女主人公が身代わり的な子供を産むタイプ → 「エンリルとニンリル」型のうち「出産」型 #出産
8-あ 女主人公が性行為以外で妊娠するタイプ → 「処女懐胎」型 #処女懐胎
9.主人公が何らかの理由で複数の人の命を求めるタイプ → 「ザッハーク」型 #ザッハーク
10.女主人公他が上位の女性から呪いをかけられるタイプ → 「メドゥーサ」型 #メドゥーサ
10-1 呪いの原因が明確な侮辱であるタイプ → 「アテーナーとアラクネー」型 #アテーナーとアラクネー
11.女主人公が眠っているタイプ → 「眠り姫」型 #眠り姫
(1) 女主人公が扉の中に閉じ込められているタイプ → 「天岩戸」型 #閉じ込められている乙女
(2) 幼児が見知らぬ父親を言い当てるタイプ → 「賀茂別雷命」型 #賀茂別雷命
12.主人公他の命を巡って二柱の男神が対立するタイプ → 「神と悪魔」型 #オーディンとトール
13.樹木から豊穣を得るタイプ → 「樹木信仰」型 #樹木信仰
(1) 樹木信仰のうち、鳥から豊穣を得るタイプ → 「鳥信仰」型 #鳥信仰
14.神々が旅をして死者を生き返らせるタイプ等 → 「蘇民将来」型 #蘇民将来
14-1 願いをかなえるタイプ → 「希望成就」型 #希望成就
14-2 労働を続けるタイプ → 「労働継続」型 #労働継続
14-3 1,2の内、神々が旅をしないタイプ → 「神固定」型 #神固定
15.キリスト教の影響を受けた物語のタイプ → 「キリスト教」型 #カトリック
15-あ 悪魔に自ら魂を売るタイプ → 「魂売り」型 #魂売り
16.存在を知らない子供を悪魔等に渡すタイプ → 「不知の子」型 #不知の子
17.神的アイテムとして鉄の棒やムチが出てくるタイプ → 「鉄の棒」型 #鉄の棒
17-あ 際限のない食事を出すアイテムが出てくるタイプ → 「魔法の大釜」型 #魔法の大釜
17-い 地獄の大釜が出てくるタイプ → 「地獄の大釜」型 #地獄の大釜
17-う 触れると霊が出てくるタイプ → 「魔法のランプ」型 #魔法のランプ
17-え その他豊穣をもたらすアイテムが出てくるタイプ → 「豊穣のアイテム」型 #豊穣のアイテム
18.二人の女性が入れ替わるタイプ → 「親切な少女と不親切な少女」型 #イナンナとエレシュキガル
18-あ 結婚を巡って二人の女性が入れ替わるタイプ → 「瓜子姫」型 #瓜子姫
18-い 18-あのうち、特に主人公の「眠り」によって女性が入れ替わるタイプ → 「ドゥムジ」型 #ドゥムジ
18-う 女主人公によって女神が再生されるタイプ → 「アルテミスとイーピゲネイア」型 #アルテミスとイーピゲネイア
18-え 女主人公(の命)によって植物が再生されるタイプ → 「ハイヌウェレ」型 #ハイヌウェレ
18-お その他、女神が何らかの代償で再生されるタイプ → 「再生される女神」型 #再生される女神
19.「瘤取り」等のように二人等の男性が入れ替わるタイプ → 「オシリスとセト」型 #オシリスとセト
20.妻が人間ではないタイプ → 「異類嫁」型 #異類嫁
20-あ 妻が鳥や天女等であるタイプ → 「天人女房」型 #天人女房
20-い 服(皮)を隠すタイプ、服が見つかることが禁忌となる → 「羽衣」型 #羽衣
20-う 男女を問わず服(皮)を処分するだけのタイプ → 「皮処分」型 #皮処分
21.夫が人間ではないタイプ → 「異類聟」型 #異類聟
21-あ.夫が犬であるタイプ → 「盤瓠」型 #盤瓠
21-い.夫が猿であるタイプ → 「猿聟」型 #猿聟
21-う.夫が蛇や竜であるタイプ → 「蛇聟」型 #蛇聟
22.冥界が地下世界でなく「海の向こう」にあるタイプ → 「竜宮」型 #竜宮
23.神々と交流する際に禁忌があるタイプ → 「禁忌」型 #禁忌
23-あ 特に「見てはならない」タイプ → 「見るな」型 #見るな
23-い 特に「恐れてはならない」タイプ → 「恐れ」型 #恐れ
23-う 特に「馬を恐れない」タイプ → 「タフムーラス」型 #タフムーラス
24.怪物退治ではなく宝物入手が目的となっているタイプ → 「イアーソーン」型 #イアーソーン
24-あ その他の目的で流転するタイプ → 「アイネイアース」型 #アイネイアース
25.異界で非常に長時間が経過するタイプ → 「浦島太郎」型 #浦島太郎
参照:「魔法のアイテム 」
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by admin. ⌚ 2022年02月10日(木) 07:44:19 <6071文字> 編集
「シルクロードの民話 パミール高原」 52-67p
女主人公が「7つの扉のついた地下室」に住んでいる点は、明らかに「イナンナの冥界下り」と共通したモチーフと思われる。イナンナが下る冥界にも7つの扉がある、とされる。この点の類話は「山のなかに閉じこめられた王女」である。
神話では、イナンナは姉エレシュキガルの支配する冥界を「自分のもの」と考えて下り、そこで冥界の女王である姉の怒りを得て殺された、とされるが、それはイナンナとエレシュキガルが「一体となったことを示している、とも解釈できる。少なくとも、本作の女主人公はイナンナ的ではあるが、冥界を住処としており、エレシュキガルともいえる性質を併せ持つ。彼女の住処に許しなく踏み込む者は、そこは「冥界」であるので、当然のように死ぬ。
一方、女主人公の夫は、父王の怒りを受けて旅に出る。これは「人身御供」の象徴ともいえるが、物語的には、「上位の者の怒りを得て、主人公が流転する」という点で、中国のゲイ神話、日本の日本武尊を思わせる。なにがしかの禁忌を破って、異界を流転する夫とそれを再生させようとする妻、という点ではエンリルとニンリル的でもある。
えん罪であるけれども、女主人公が夫を裏切った(ように見え)る、という点は、テーセウスとアリアドネーの神話が根底にあり、「二人が何故決裂したのか」という点について、アリアドネーの側にえん罪といえる理由があったのではないか、という理由付けの物語のようにも思える。
夫以外の男が妻にちょっかいを出しており、それが原因で争いが起きる、という点は、ラーマヤーナ的な「略奪婚」の要素であると思う。従って妻を略奪した「怪物」は最終的には退治されるが、この物語では怪物を倒すのは、妻自身となっており、とても強いヒロインの物語といえる。妻の貞節を賭けて騙される話。
妻が夫を男装して捜し求める点は、「兄たちを探す乙女」の変形版といえる。
全体としては、テーセウスとアリアドネーの物語のモチーフが一番強く、そこに「妻のえん罪」という要素が大きく関わる物語といえます。でも、本作の「妻」はイスラム圏の物語なのに、こんなに女性が強く、魔女的で、物語の主導権を握る存在であっていいのだろうか? と異教徒の私の方がむしろ思うくらい、女主人公の行動力と活躍が強く前面に出ており、夫を勝たせるのか、略奪者を勝たせるのか、それは「女神の恩寵次第で決まる」という、「ネミの森」のような太古の女神信仰の影響が強く残されている物語だと感じます。日本武尊の物語でも、日本武尊の人生を左右する存在として伯母の倭姫が大きく関わってきますし、大国主命は貝の女神に命を再生させて貰います。ゲイ神話的に主人公が流転するモチーフは、東アジア的な要素だと思う。ゲイもまた、妻の嫦娥に振り回される存在でもあります。しかも、テーセウスとアリアドネーのように、ゲイと嫦娥も決裂します。ゲイと嫦娥の神話が西に広がって、テーセウスとアリアドネーの物語に変化する過程で「えん罪」という要素が独自の形で入り込んできた物語といえるのかもしれないと思います。
女主人公が「見てはならない」(当人の魔力によっても「見ることができない」)存在である点も、太古の女神の姿を彷彿とさせると感じます。これは「鶴の恩返し」とも共通のモチーフです。
類話は「美しい娘」である。
#民話 #タジキスタン #イナンナとエレシュキガル #エンリルとニンリル #ハンカチ #絵姿女房 #見るな #禁忌 #怪物退治 #男装流譚 #鳥 #天人女房 #テーセウスとアリアドネー #ゲイ流譚 #えん罪 #妻の貞節を賭けて騙される話 #兄その他を探す乙女 #閉じ込められている乙女 #王の子どもたち
by admin. ⌚ 2022年02月07日(月) 14:06:42 民話 <1585文字> 編集
「ソヴィエト諸民族民話集」 220-231p
瓜子姫と天邪鬼的な物語。結婚に関する物語ではなく、「兄たちを探す物語」となっている。
「兄達」は柳の化身であるので、元はタンムーズやアッティスといった植物の化身の神話の男神と同じものといえる。
#民話 #モルドバ #イナンナとエレシュキガル #柳 #植物 #瓜子姫 #分身 #涙 #お母さん #ホレのおばさん #兄その他を探す乙女
by admin. ⌚ 2022年02月04日(金) 12:51:16 民話 <205文字> 編集
「シルクロードの民話 パミール高原」 26-29p
「イナンナとエレシュキガル」の変形版。
女性と麦が同一視されている。元は植物と豊穣の女神に関する神話が、イスラム的な文化の影響を受け
女神が流転したり、直接豊穣をもたらしたりするエピソードが変形して、家庭内(家庭円満)のささやかな
悪意のない呪術の物語へと変化したものと思われる。
結婚に関わる物語である点は、瓜子姫的な要素の片鱗を思わせる。
男性を軸として、妻が入れ替わる物語は、シヴァとサティーとパールヴァティーの関係を思わせる。
西欧の類和としては「青ひげ」がある。
#民話 #ウズベキスタン #難題嫁 #イナンナとエレシュキガル #小麦 #植物 #分身 #シヴァとサティー
by admin. ⌚ 2022年02月03日(木) 07:48:32 民話 <326文字> 編集
「シルクロードの民話 パミール高原」 14-26p
「難題嫁」「呪的逃走」「イナンナとエレシュキガル」の変形版。
人身御供を伺わせるのではなく、男が復讐のために結婚する、というモチーフは「アラビアンナイト」に通じる。
女性の流譚という意味では、鉢里公主的である。「兄たちを探す乙女」の変形版と思う。
女性が男性の苦難を助ける、という点ではテーセウスとアリアドネー的でもある。
#民話 #タジキスタン #難題嫁 #イナンナとエレシュキガル #アラビアンナイト #男装流譚 #復讐婚 #兄その他を探す乙女 #テーセウスとアリアドネー #賢い百姓娘 #冗談の結婚式
by admin. ⌚ 2022年02月03日(木) 07:35:19 民話 <301文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 187-194p
女主人公は「閉じ込められている乙女(冥界の女神)」といえる。冬になると活発になる、というのも「冬の象徴」のように思える。
女主人公が蛇の聟の禁忌(怒り)に触れて姿を消す(死ぬ)点は、三輪山的な蛇聟譚といえる。「エンリルとニンリル」的でもある。
貧しい若者は、女主人公を得ようとするが、失敗し、女主人公との仲は決裂する。女主人公が明確に「別の世界」へ行ってしまうので、「ゲイと嫦娥」的とする。
全体としては、怪物退治が失敗して、女主人公が兄弟(ここでは蛇)を選ぶ、という物語であると思う。「エンリルとニンリル」型の神話に、「怪物退治」、とくに「難題聟」の要素が不可されたものか。
女主人公が「死の呪い(冥界の蛇との結婚)」を魔女にかけられている点は、イナンナとエレシュキガル的といえるが、両者(呪いをかける方とかけられる方)のバランスが対等でない点はアテーナーとメドゥーサの関係を思わせる。これをメドゥーサ型と呼ぶ。
「ばらの姫」とは、かなり近縁的な物語だと感じる。
個人的には、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を彷彿とさせる物語だと思いました。
#民話 #スイス #蛇 #エンリルとニンリル #イナンナとエレシュキガル #ゲイと嫦娥 #呪い #運命の女神 #冬 #閉じ込められている乙女 #神 #難題聟 #人身御供 #蛇聟 #狩人 #怪物退治 #メドゥーサ #ヘビの冠
by admin. ⌚ 2020年05月08日(金) 09:35:09 民話 <627文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 179-185p
主人公が流譚する原因は「ゲイ流譚」型である。主人公が逃走する「呪的逃走」的な場面が、物語の最初に来る点が珍しいか。
前半は主人公が試練に打ち勝って、女主人公との結婚を勝ち取る物語である。
女主人公と主人公が決裂する場面は、「主人公の眠り(死)」であるため、変形はしているがエレシュキガルとイナンナとドゥムジの関係を思わせる。女主人公の死や苦難によって入れ替わるわけではないので、「瓜子姫」型とはせず、「竹取」型としたい。
前半部分の類話は「七人の乙女たち」である。鳥に乗って逃げる点は「宝石の山」と類似している。肉を食べさせる点は「マリク・ハッサン」と類似している。
#民話 #スイス #いなくなった妻を探す夫 #王女出題 #ハンカチ #鳥 #怪鳥 #動物神 #鹿 #二十日鼠 #昆虫 #呪い #悪魔 #難題聟 #異類嫁 #禁忌 #言うな #ラ・ラメー #イナンナとエレシュキガル #ドゥムジ #ゲイ流譚 #人身御供 #いなくなった妻を捜す夫
by admin. ⌚ 2020年05月07日(木) 23:00:32 民話 <486文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 149-152p
親切な少女が冥界へ下って地上に豊穣をもたらす物語といえる。継子虐め譚で、ハイヌウェレ的神話の崩れと思われる。
「火を取りにいったふたりの娘」とは近縁性が高い物語といえる。「まま子のクリ拾い」が継子虐めの類話である。
「ネズミ浄土」とは主人公の性別が異なる。
#民話 #スイス #はずみ車 #鼠 #冥界 #犬 #継子虐め #イナンナとエレシュキガル #冥界の食事 #親切な少女と不親切な少女
by admin. ⌚ 2020年04月30日(木) 23:34:16 民話 <265文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 141-145p
「閉じ込められている乙女」はイナンナとエレシュキガル的である。
逃走の際に女主人公が手助けをするのは、テーセウスとアリアドネー的といえる。
花嫁が入れ替わる点は、瓜子姫的である。花嫁の入れ替えに「母親」が絡んで、かつ最後に罰せられるのは「罪を犯して罰せられた女神」という点で「ティアマト」を連想させる。
類話は「うりひめ」、「たまご姫」、「とくさむすめ」、「白檀の木」、「悪魔の難題」の後半部分
#民話 #オーストリア #ATU480 #親切な少女と不親切な少女 #テーセウスとアリアドネー #梨 #胡桃 #林檎 #呪的逃走 #瓜子姫 #妻の母親 #怪物退治 #鳩 #天人女房 #イナンナとエレシュキガル #閉じ込められている乙女 #魔女の母親 #瓜子姫
by admin. ⌚ 2020年04月30日(木) 20:18:33 民話 <404文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 103-105p
形は崩れてるけれども、イナンナとエレシュキガル神話が崩れた物語だと思う。
「黄泉の国」での試練の結果、再生されるのが「夫神」ではなくて、女神であるところは、古い時代の女神信仰の名残を思わせ、アルテミスとイーピゲネイアと同様の関係を連想させる。
(ハイヌウェレとしても良いかも、と思いますが、植物の豊穣の物語、という側面が弱いので、「アルテミスとイーピゲネイア」としました。)
類話は「病気の百姓女」。
#民話 #オーストリア #イナンナとエレシュキガル #再生される女神 #頭蓋骨 #禁忌 #恐れ #鳩 #アルテミスとイーピゲネイア #人身御供 #幽霊 #冥界の食事 #小麦
by admin. ⌚ 2020年04月25日(土) 19:27:37 <330文字> 編集
「世界の民話2 南欧 ぎょうせい」 3-19p
有名な「美女と野獣」である。
大きく2つの要素からなっており、一つは「特定の娘(末娘)と野獣」の婚姻譚である。怪物退治の要素はない、あるいはほとんどない。野獣は娘の裏切りにあって死にかかるが、娘が助けることとなっている。娘を野獣から助ける英雄は登場しない。要は、「クピードーとプシュケー型」でも「エンリルとニンリル型」でも良いのだが、人身御供に対して肯定的な物語といえる。
妹に意地悪して(一応)罰せられる姉がいるのも「クピードーとプシュケー」的だが妹と野獣の婚姻を邪魔しようとしたから罰せられたのであって、罰せられた原因は「妬み」となっている。
野獣は金持ちであり「バラの花」の化身である。よって、植物神でもあり、樹木神でもある、といえる。折ってはいけない(殺してはいけない)樹木神を殺してしまったから、神を再生させるために娘の生贄が必要とされる、とそのような思想が崩れたもののように思われる。
娘が父親の身代わりになったりする自己犠牲の精神、神(野獣)の再生のモチーフはキリスト教をなぞらえたもののようにも思える。
参考:美女と野獣
#民話 #フランス #人身御供 #イナンナとエレシュキガル #クピードーとプシュケー #エンリルとニンリル #妬み型 #ゲシュティンアンナ型 #カトリック