タグ「魔法のアイテム」を含む投稿[23件]
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 244-251p
前半は狡猾な男が天狗から姿の消える、いわば「魔法のアイテム」をだまし取る話。西欧では姿の消える魔法のアイテムは「ドワーフの宝」と考えられるが日本では「天狗のアイテム」のようである。男は北欧神話のロキにも似る。「怪物退治」が崩れた物語といえようか。
後半は中途半端に透明人間になった主人公が妻の叡智に救われる話。「姿が消える」ということは神話や伝承的には「死」も暗喩するといえるので、妻は夫を再生させるイシスのような女神的存在といえようか。
ただ、全体としては神話の崩れ、というよりは庶民的な面白い話、だと思うので、物語として確立したのは近世以降であり、修験道のプロパガンダとしての要素が強い物語だと感じる。
#昔話 #長野県 #中信 #天狗 #姿消える #魔法のアイテム #かくしみの #かくれがさ #ぼたもち #怪物退治 #叡智 #天狗 #修験道 #足
by admin. ⌚ 2022年06月06日(月) 13:42:10 昔話 <420文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 135-139p
「怪物退治」譚の変形であり、倒す相手は舅である。
助け手は、主人公の母と父親(エルベリヒ)である。エルベリヒが樹木(菩提樹)の化身であることが示唆されている。
呪的逃走はない。
エルベリヒからは甲冑、盾、名剣ロッセを貰う。
主人公は一応キリスト教徒になっているが、あまりキリスト教的な匂いは感じない、単純な物語である。
参照:ユオン・ド・ボルドー(Huon de Bordeaux)とオーベロン(オベロン、Oberon)
#伝説 #ドイツ #指輪 #魔法のアイテム #菩提樹 #母親 #ホレのおばさん #力くらべ #ドワーフ #オーディン #怪物退治 #こびと #樹木信仰
by admin. ⌚ 2022年03月15日(火) 19:35:52 伝説,固有アイテム,英雄名 <370文字> 編集
「シルクロードの民話 パミール高原」 184-201p
「生命の水、美の水、青春の本」と非常に似た話。
鳥に肉を食べさせて飛ばすところは「ラ・ラメー」と似ている。
3人兄弟の末子と上の二人との関係は「蛙の恩返し」に似る。鳥を盗むところも「蛙の恩返し」と同様である。
神話の上ではペリとデーヴは「善と悪」で対立的な存在だが、この物語の中では、「共に異界に住む妖精」的な存在で、一つの町に仲良く暮らしているようである。
#民話 #中国 #異類嫁 #鳥 #魔法のアイテム #3人兄弟 #かもしか #動物 #ホレのおばさん #シームルグ #ワニ #眠り姫 #禁忌 #死刑囚 #買うな #オシリスとセト #ディヴ #ペリ #イアーソーン
by admin. ⌚ 2022年03月11日(金) 18:28:29 <372文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 105-106p
教会に奉納された杯の由来譚である。
物語の骨格は「怪物退治」の省略された「呪的逃走」のみの話。
教会が絡む物語なので、教会そのものが逃走の「助け手」となる。日本でもお堂等に逃げ込んで鬼をやり過ごすような話があったと思う。
古代の神々の役目であった「呪的逃走」の助け手を、確立された世界宗教も引き継いだ一例といえる。
トロールの酒を捨てるところは、メソポタミア神話の「アダパの物語」を思わせる。
もちろんアダパよりもずっと現代に近い時代の物語であるので、他人が差し出した怪しい飲み物などは飲まないのが常識ではあるが。
物語的には「杯」は、「魔法の大釜」が著しく変形したものであろうか。
類話は「スヴェンド・フェリングと女エルフ」、「フェアリーの宴会」である。
参照:アダパ 、トロール
#伝説 #スカンジナビア #デンマーク #北欧 #トロール #踊り #魔法のアイテム #酒 #魔法の大釜 #不死の霊薬 #呪的逃走 #馬 #教会 #カトリック #椀貸伝説
by admin. ⌚ 2022年02月23日(水) 12:00:03 伝説,起源・由来,固有地名 <497文字> 編集
「シルクロードの民話 パミール高原」 157-171p
2つのモチーフが組み合わさった物語。
1つ目はいわゆる「難題婿」で、おじいさんと霊鳥シームルグの助けを得て、女主人公を手に入れる物語である。
中間部として、二人の若者の出会いと、「力くらべ」の末の和解と友情が挿入される。インド神話のガルダとインドラの関係に似る。
2つ目は、もう一人の若者の冒険を、霊鳥シームルグと主人公が助ける物語で「呪的逃走」を伴う。
シームルグは本物語では「母なる鳥」とされているため、女神的存在ということで、「ホレのおばさん」型とする。「呪的逃走」の場面では「川と石」と「櫛」という有名な2つのモチーフが登場する。
霊鳥シームルグはイラン神話に登場する古い時代からの神的存在で、伝承はイランのみならずパミール高原にまで広がっているようである。シームルグが木に住んでいて、その根元に蛇が住んでいるというところは、イラン神話の「ハオマの木」を思わせるが、「鳥と蛇の対立」はインド神話のガルダとナーガを思わせる。(イラン神話では蛇(トカゲ)から木を守るのは魚やロバとされている。)
神話では、シームルグの羽には病気や傷を治す霊力がある、とされているが、民間伝承では、その能力は拡張されて、西欧の民話に出てくるような「助け手のおばあさん」「助け手のおじいさん」(彼らの本来の姿は異教の神々だったのだろうと思うが)のような全能的な役割をシームルグが負っている。シームルグは助言をしたり、魔法のアイテムをプレゼントしたりしてくれる。
また、神話では英雄ロスタムとイスファンディヤール王子との争いの際にシームルグが和解するよう助言する場面があり、神話と本物語を併せると、シームルグは広く「友愛を取り持つ霊鳥」とみなされる傾向があるのかもしれない、と思う。「霊鳥」に関して、イラン神話とインド神話の両方の要素がみられ、中間地点のパミール高原の物語として興味深く感じる。
「川と石」のモチーフ:「サルのよめ」、「スルタンのぶち犬」、「山男」
「櫛」のモチーフ:「スルタンのぶち犬」、「紡錘むすめ」
参照:木と鳥
#民話 #ウラテューベ #難題聟 #シームルグ #ホレのおばさん #力くらべ #おじいさん #オーディン #プラタナス #蛇 #魔法のアイテム #舌の下 #ボロルドーイ #砥石 #櫛 #鏡 #魔人 #川と石 #6人が世界じゅうを旅する #ガラス山の姫 #呪的逃走 #炎黄闘争
by admin. ⌚ 2022年02月22日(火) 11:16:46 民話,固有神獣 <1163文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 86-88p
ドゥエルガル(dvergr)の性質を示すものとして、カイトリーが紹介した物語。「妖精の誕生」の目次では民話とされているが、神話である。神々の武器をロキがどのようにして手に入れたのか、という由来譚になっている。 参照:シフの髪を切った話
小人とは、この物語のように魔法のアイテムを作る、主に地下に住む鍛治師とされている。
この物語についての「妖精の誕生」でのカイトリーの解説には、個人的には何も言えない。(というか、何が言いたいのかよく分からない。)
シフの髪を切った話は、「怪物退治譚」の変形で、宝物探報が主な目的となった「イアーソーン型」である。物語の導入部分は、上位の神トールとの対立であるので、「ゲイ流譚型」といえる。
物語としては、流れに疑問を感じる不自然な場面がいくつかあり、欠損を思わせる。それは、
1.何故ロキがシヴの髪を刈ってしまうのか。なぜ、自然に髪が伸びるまで待てないのか。という点
2.手に入れた魔法のアイテムはいわば「賠償品」であって、最初からロキのものではないのだが、なぜロキは品物を自慢したりしたのか。そして、なぜ命を賭けた賭けをしたのか。という点
の2点である。
「シヴの髪を刈る行為」は、「長く豊かな髪」は女性らしさの象徴でもあり、夫の自慢でもあるので、それは「女性の死」の暗喩であると思う。つまり、ロキはシヴを殺してしまったので、その再生のために冥界を流転する旅に出ることになる。旅には、シヴの再生の目的と、もっと人の現実世界に近い「賠償」のため、という2つの側面がある。ロキの旅に2段階あるのは、最初の旅のみでは、再生に足りない、あるいは賠償が足りない、とされる理由が本来あったのではないだろうか。そのため、さらなる目的物を得るためにロキは命を賭けなければならないのである。一つの命を再生させるために、新たな命が必要とされる、というのはよくある神話のパターンである。
そして、旅の目的を果たしてロキは帰還するが、結局は成功と認められないことになる。従ってロキは殺されねばならない。この展開にも2面性があり、ロキはシヴの再生のために最初から命を差し出さねばならない、という神話的目的と、「賠償に失敗したから」という現実的な目的が入り交じっているように思う。「口をきけないようにする」という展開は、「ロキの死」を暗喩している。
民話では、物語の最後は「めでたし めでたし」で終わることが多いが、西欧の神話では特に悲劇で終わることが多い。登場人物のほとんどが死んでしまう「ニーベルンゲン」のような物語もある。ただし、本物語は、「北欧神話」という大きな物語群の中で、「神々の武器の由来譚」としての位置を与えられたこと、ロキの最期がラグナロクに位置づけられたことなどから、ロキの死は暗示されるだけで、物語の上では死なない、ということに変更されたのではないか、と思われる。男神が女神を再生させる、という点ではイナンナとタンムーズ的ともいえる。タンムーズも冥界のイナンナの怒りを買ったことが、彼の死の原因とされている。
類話はケルト神話の「トゥレンの息子達 」である。主人公達は、人の命を奪い、上位の神に賠償するために財宝を探索する「イアーソン型」かつ「ゲイ流譚型」の旅をする。試練が2部制になっている点、最期に主人公達が亡くなる点等が共通である。
#神話 #北欧 #イアーソーン #ゲイ流譚 #魔法のアイテム #イナンナとタンムーズ #損害賠償 #小人 #ドワーフ
by admin. ⌚ 2022年02月16日(水) 18:29:28 民話,神話,起源・由来,多エピソード保有人名 <1491文字> 編集
「シルクロードの民話 パミール高原」 106-126p
予言によって定まった夫に親が不満を持つ点は「牧童と商人の娘」的である。聟が犬である点は東アジア的か。
瓜子姫的な入れ替わりの要素はあるが、中途半端に完結し、二人の女性のうち、どちらかが死ぬような残酷な結末はない。人には言えないことを石に向かって述べる、という独特のエピソードがある。
主人公は眠っているが、女主人公が頭を洗うと目覚める。(女主人公によって蘇生する。)
主人公には、夜になると犬になるという秘密がある。女主人公が皮を処分すると、夫との仲は破綻して、夫は失踪する。(再度の死を意味する。)
女主人公は失踪した夫を探し出す旅に出る。女主人公の立場が変化する(夫を得るきっかけとなる)場面で池や水が登場する点は「たまご姫」、「白檀の木」に通じる。原型となった物語では女主人公は鳥女房的な女神だったのではないだろうか。
女主人公は姑の試練を夫の助けによって乗り越える。この点はクピードーとプシュケー的である。
最後は魔法のアイテムを使用した呪的逃走である。櫛が植物に変化して女主人公と主人公を助ける点は「英雄ディックベール」、「紡錘むすめ」と共通している。
逃走の際、姑と妹が石を抱いて川に沈んでいくエピソードは「英雄ディックベール」、「サルのよめ」「山男」と共通している。
女主人公は2回主人公の蘇生(呪いを解く)を助け、主人公は1回女主人公の蘇生を助けている物語といえる。導入部分は瓜子姫的物語、「兄その他を探す乙女」のうち、前半は「ハンナハンナとテリピヌの神話」的な物語、後半は「クピードーとプシュケー的」物語で、主に三つのエピソードが組み合わさった物語と言える。個々のモチーフの類話も多岐にわたる。様々な文明の十字路であるシルクロード的な物語といえる。
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by admin. ⌚ 2022年02月14日(月) 22:05:11 民話 <977文字> 編集
「ソヴィエト諸民族民話集」 20-29p
女主人公、助け手、怪物といった物語の骨格となる登場人物の全てが女性である点が珍しく感じる。織物に関する若い女神と老いた女神との対立は、西欧では「夏と冬の対立」のように語られる傾向が強いが、本物語では季節の循環的な要素は乏しい。紡錘むすめはゲルマン神話で言うところのエオステレに相当し、本来のトーテムは兎であった可能性が高いと考える。「紡錘むすめ」という名前からして織物に関する女神が崩れた神を思わせるが、本物語での性質としては九天玄女のような軍神としての性質が強いように感じる。異界と行き来できる点は、メソポタミア神話のイナンナを思わせる。
櫛が呪的逃走の「魔法のアイテム」となる点は「英雄ディックベール」、「スルタンのぶち犬」と共通している。
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by admin. ⌚ 2021年12月28日(火) 00:30:53 民話 <506文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 64-68p
オジエ・ル・ダノワ(Ogier le Danois、デンマーク人オジエ)はシャルルマーニュに仕えていた。シャルルマーニュ伝説の十二勇士の一人である。
オジエは勇敢な騎士で、アヴァロンの女主人モルガン・ル・フェイ(Morgue la faye、モルグ・ラ・フェイ)の恋人だった。モルガン・ル・フェイは嵐を起こすことのできる女神的存在である。楽園に近い場所に美女がいて、恋人となってくれる、という設定は、やはり「山のおやじ」的だと思う。
パピヨン (Papillon) という馬をモルグから送られる。
楽園でオジエが蛇を倒すところは「怪物退治」的な流れでもあるし、楽園に巣くった原罪の蛇をオジエが倒した、という暗喩でもあると思う。
オジエがアーサー王の代わりに戦うところはジークフリート的である。オジエが異教徒の王の妻を娶ろうとするところは「瓜子姫」的だが、モルグに連れ去られてしまうため、キュベレーとアッティスのような展開になっている。
オジエは女神を愛人に持ち、怪物退治を行い、ジークフリート的でもあり、最後に女神に連れ去られてしまう、と西欧の理想の英雄伝説の総まとめの見本のような存在だと思う。キリスト教の影響が色濃いと感じる。オジエの楽園生活の描写は、「キリストの戦士になったらこうなりますよ」という、まさに「山のおやじ」的プロパガンダが目的で作られたものではないだろうか。
伝ランベール・ド・パリ作『オジエの騎士道』(Chevalerie Ogier de Danemarche; 原型は12世紀だが、伝わる作品は13世紀初頭)(オジェ・ル・ダノワ)
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「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 52-55p
サー・ローンファル(Sir Launfal)はアーサー王に仕える騎士で、フェアリーのトリヤムーア(Tryamour)と恋人同士になる。
その結果、魔法の財布等の豊穣のアイテムを手に入れる。
ギニア(グィネヴィア)王妃に言い寄られ、「言うな」の禁忌を破ってしまうが、恋人に対する貞節を守り、最後には恋人に助けられて、恋人と共にフェアリーの国に去る。
Thomas Chestreによるその中英語版『Sir Launfal(ローンファル卿)』)で描かれるグィネヴィアは、執念深くふしだらな女であるだけでなく、けちで、アーサーや育ちの良い騎士たちから嫌われている。14世紀の作品。(グィネヴィア)
宮廷を去ったサー・ローンファルが隠遁するところは「獣の王」を思わせる。怪物が退治されるわけではないが、ギニア王妃が「悪役」として設定されており、ティアマト的な役割を割り振られている。最後に恋人に助けられるところは「テーセウスとアリアドネー」型といえるが、フェアリーの国(冥界)に去ってしまう点は、「天国への昇天」を連想させる。トリヤムーアはワルキューレ的な存在ともいえる。
「昇天」を良しとする結末は、どちらかといえばキリスト教の影響なのではないだろうか。(個人的には「山のおやじ」的発想だと思う。)
様々な民間伝承を綺麗に中世の騎士ロマンスに纏めた物語といえると思います。
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by admin. ⌚ 2020年07月11日(土) 00:23:30 伝説,英雄名,多エピソード保有人名 <696文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 254-259p
「怪物退治」の物語のうち、「呪的逃走」の部分を大幅に拡大して
1.鳥を得る物語
2.馬を手に入れる物語
3.王女手に入れる物語
の3つのエピソードを順次織り込んでいるタイプ。
人間の死霊が蛙(動物神)に変わる、というのは輪廻転生的だと思う。
死刑囚を助けると、代わりに主人公が冥界に落ちてしまう、という珍しい型の「オシリスとセト」的入れ替わり譚もついている。主人公は天馬に乗って逃げ出す。
3人兄弟の末子と上の二人との関係は「マリク・ハッサン」に似る。鳥を盗むところも「マリク・ハッサン」と同様である。
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by admin. ⌚ 2020年07月07日(火) 11:27:09 民話 <445文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 242-244p
樫の木は主人公達の分身、ろうそくは魂の象徴である。
「魔法使いの弟子」の変形ともいえるが、円満退職しているので、「豊穣の女神の恩寵を得た」という物語である。冥界へ行って豊穣をもたらす、という点はハイヌウェレ的ともいえる。「冥界に行って、女っ主人から魔法のアイテムを貰って戻ってくる」という点は、個人的には浦島太郎の陸上版のように感じる。
「赤い首輪をつけた蛙」が一番近い物語といえようか。
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by admin. ⌚ 2020年07月06日(月) 13:00:22 民話 <342文字> 編集
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 51-59p
題の「まったらこうよ」とは、長野県の方言的に使われている古語で、「まったら(放ったら)」+「こうよ(来よ)」という意味。「まる(放る)」というのは「用を足す」という意味。
導入部分は上司と対立するタイプの「ゲイ流譚」である。ただし、上司にあたる「おしょうさん」は、旅の助けとなる魔法のアイテムもプレゼントしてくれる「助け手」も兼ね、主人公の小坊主さんの師匠でもあるので、「ゲイ流譚」と「魔法使いの弟子」が融合した展開となっている。対立はあるけれども、互いに殺し合うほどではなく、どちらかといえば友好的な師匠と弟子であることが特徴である。
前半は「鬼ばばあ」からの逃走譚で、「怪物退治」は省略されて逃げるだけである。魔法のアイテムはここで使用される。
中盤は祟る「田の神」を退治するのではなく、「祀る」物語。ないがしろにされていた「田の神」に、餅、酒、大根を捧げる。いずれも植物の変化したもので「生贄の娘の身代わり」であるので、女主人公が植物の化身であることが分かる。
後半はいわゆる「難題婿」で、蜂に助けてもらう「動物神」型兼「謎解き」型。「恐れ」による禁忌も伴う。
主人公が「小坊主さん」であるので、武力で怪物を退治する、という要素は乏しくて、知恵を使って問題を解決しよう、という傾向が強い。かつ、省略が多いけれども、導入部分のおしょうさんとの別れも含めると本来の「怪物退治+呪的逃走」から発生した物語のパターンが4つも繰り返されている物語である。使用されているモチーフも多岐に渡る。よく4つの物語パターンをまとめたな、と思う。神に酒を捧げて機嫌をとり、生贄の乙女を助ける点は、まさにセクメト神話である。
また、祭祀に関して「餅、酒、大根」を捧げることが、「人身御供」の代わりだとあからさまに分かる内容である。普通に日本人だとお祭りの際に、餅、酒、大根を神前に捧げるなんて、「当たり前に普通のこと」過ぎて、その意味を深く考えたことがないような気がするが、民話の中にその本態があっさり語られていたりするようである。
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by admin. ⌚ 2020年05月31日(日) 19:51:53 昔話 <1053文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 123-129p
前半は「蘇民将来」的な話。イエスが人を生きかえられたりする代わりに、現世利益的な宝物を与える点は北欧神話的、異教的と言うべきか。
主人公と悪魔とのやりとりは「怪物退治」の崩れと思われるが、主人公が悪魔を自分の家で迎え撃つ話といえる。そのため、「呪的」に逃走するのは悪魔の方、と入れ替わっている。
パロディー的ではあるが、「恐れを知らないこと」が禁忌として暗示されている。
主人公の生きているときの所業が来世に影響する点も北欧神話的といえると思うが、天国と地獄という表現が出てくるところ、良くも悪くもなりきれない人間的な主人公が天国にも地獄にも行き場がない、という点は、「煉獄」を連想させ、キリスト教的な思想の影響といえると感じる。イエスに「永遠の魂の平和(天国)」を求めない主人公が悪い、というキリスト教の説話的な意味の物語であろう。(でも、異教徒の私はキリスト教徒ではないので、「死後の天国を求めない精神」が非難されるべき、というキリスト教の考え方そのものに共感する気持ちがないので、説教的に感じにくい面はある。)
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by admin. ⌚ 2020年04月28日(火) 23:04:52 民話 <603文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 222-225p
スペインにおける「魔神(デモン)」とは、ヨーロッパ的よいうよりは、中東のデーヴァに似ていないだろうか。
人間を誘拐して働かせる話なので、取り替え子の類話といえる。
参照:取り替え子
#民話 #カタロニア #スペイン #魔神 #デモン #湖 #魔法のアイテム #取り替え子