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三人まま子
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 183-188p

 これは継母が継子を虐め殺してしまう、という非常に残酷で陰惨な話。少なくとも子供に聞かせるような話ではないと思う。
 民話や神話における「釜」というのは、尽きせぬ食料を出す「豊穣の大釜」と、地獄などで罰を与える「罰のための大釜」に分かれる、と個人的には思う。本物語の「釜」は後者である。また、幼い子供を人身御供に捧げた習慣、おそらく太古にはそれを食したであろう習慣が、かすかに垣間見える物語といえる。これは環太平洋周辺地域の海洋民族の食人文化に通じる思想が古代の日本にもあったのではないか、と思わせる。
 このような物語はコンプライアンス的には、そのまま子供に聞かせるには向かないが、さりとて、古代の先祖の文化の痕跡を消し去って良いものとも思わない。民話や伝説は残酷な話が多いので、どうやって後世に伝え残していくのかを熟慮する必要がある典型的な物語といえる。
 歌が秘密を暴露するところは、「王様の耳はロバの耳」的でもある。

 この手の残酷な物語の取扱に気を遣うべきと考えたのは何も現代人だけではなく、「源氏物語」の中にも、光源氏が娘の明石の中宮を育てる際に、実母ではない紫の上に養育を任せたので、子供の目に「継子虐め」の物語が触れないように気を配った、というエピソードが出てくる。

#昔話 #長野県 #北信 #継子虐め #魔法の大釜 #歌 #秘密の暴露 #人身御供

by admin. 昔話 <622文字> 編集

恋の試練
「シルクロードの民話 パミール高原」 106-126p

 頭蓋骨の粉をなめて懐胎する、という不思議な導入部分である。頭蓋骨の正体は物語中では明らかにされない。冥界神が変化したもの、といえようか。破られてしまうが「見るな」の禁忌がかかっている。頭蓋骨の息子である主人公は半神半人的であって、あっという間に成長する。
 主人公と女主人公が歌を交わすところは、アジア的な「歌垣」の文化を思わせる。
 一方、女主人公はとびらの中に住んでいることが強調されたり、人をしびれさせる薬を持っていたりする点から、「冥界の女神」が変化したものであることが窺える。主人公は難題(労働、謎解き)を課せられるが、切り抜ける。

 主人公は女主人公と結ばれる前に別の女性を押しつけられそうになるが、丁重にお断りする。この点は、最初の2人が殺されているわけではないが、シヴァとサティー的神話が変化したものであろう。男性の側にも女性に対して強い誠実さを求めるところがイスラム的な文化の良いところだと思う。


#民話 #アフガニスタン #禁忌 #見るな #頭蓋骨 #処女懐胎 #歌 #テーセウスとアリアドネー #シヴァとサティー #難題聟 #謎解き

by admin. 民話 <515文字> 編集

漁師と魚 AT302+AT316
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 274-297p

 「怪物退治」譚の2つのパターンが組み合わさった物語。
 一つは、魚の怪物と対峙する物語、もう一つは竜と対峙する物語である。魚の怪物は倒すわけではない。どちらの対決も、動物神と女主人公双方の助けを得ている。

#民話 #レートロマン #不知の子 #禁忌 #海 #熊 #蟻 #烏 #動物神 #変身 #竜 #龍 #怪物退治 #秘密の急所 #蛇の卵 #テーセウスとアリアドネー #歌 #卵の中に隠された鬼の(悪魔の)心臓 #水車池の女の水の精霊

by admin. 民話 <269文字> 編集

オジェ・ル・ダノワ(オジエ・ル・ダノワ)とアヴァロン(Avalon)の島
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 64-68p

 オジエ・ル・ダノワ(Ogier le Danois、デンマーク人オジエ)はシャルルマーニュに仕えていた。シャルルマーニュ伝説の十二勇士の一人である。
 オジエは勇敢な騎士で、アヴァロンの女主人モルガン・ル・フェイ(Morgue la faye、モルグ・ラ・フェイ)の恋人だった。モルガン・ル・フェイは嵐を起こすことのできる女神的存在である。楽園に近い場所に美女がいて、恋人となってくれる、という設定は、やはり「山のおやじ」的だと思う。
 パピヨン (Papillon) という馬をモルグから送られる。
 楽園でオジエが蛇を倒すところは「怪物退治」的な流れでもあるし、楽園に巣くった原罪の蛇をオジエが倒した、という暗喩でもあると思う。
 オジエがアーサー王の代わりに戦うところはジークフリート的である。オジエが異教徒の王の妻を娶ろうとするところは「瓜子姫」的だが、モルグに連れ去られてしまうため、キュベレーとアッティスのような展開になっている。

 オジエは女神を愛人に持ち、怪物退治を行い、ジークフリート的でもあり、最後に女神に連れ去られてしまう、と西欧の理想の英雄伝説の総まとめの見本のような存在だと思う。キリスト教の影響が色濃いと感じる。オジエの楽園生活の描写は、「キリストの戦士になったらこうなりますよ」という、まさに「山のおやじ」的プロパガンダが目的で作られたものではないだろうか。

 伝ランベール・ド・パリ作『オジエの騎士道』(Chevalerie Ogier de Danemarche; 原型は12世紀だが、伝わる作品は13世紀初頭)(オジェ・ル・ダノワ

#伝説 #フランス #馬 #神獣 #獅子 #蛇 #怪物退治 #林檎 #女神 #言うな #禁忌 #忘却(レテ)の冠 #魔法のアイテム #ジークフリート #歌 #泉 #瓜子姫 #ロマンス #カトリック

by admin. 伝説,英雄名,固有神獣 <850文字> 編集

ものぐさ太郎
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 67-74p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 82-89p

 「動物番」系の物語の非常に個性的な類話であると思う。
 太郎を小綺麗にしたら「いい男」になった、というのは「クワッ、クワッ、くっつけ!」のかさぶた男と同様、本来の姿を「見るな」という暗喩だと思う。
 そして、信濃国の特徴なのかもしれませんが、「都から来た妻」というものに、「異類嫁」に近いような特別な扱いがされているように思います。

#昔話 #長野県 #中信 #労働 #異類嫁 #都から来た妻 #怠け者 #見るな #禁忌 #ポセイドーンとアムピトリーテー #歌 #ものぐさ太郎 #略奪婚的 #常世信仰

by admin. 昔話 <333文字> 編集

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