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金ひり子犬
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 60-63p
「花咲爺」の類和といえるか。犬神が捧げ物を得ると、金を生んでくれる、という話。
ということは、犬は雌なのだと思われる。
主人公(おじいさん)が親切な人で、女主人公(おばあさん)が意地悪な人で、異性同士が対照的となっているのは、イザナギとイザナミ的である。
犬神がなぜ、主人公、女主人公と暮らすようになったのか、という理由は欠如していて不明である。
でも、ものすごく単純な「神様に捧げ物をしたらお金が儲かる(根拠は不明)」という短絡的思想は、民話の中だけでなくて、現在の「神社」というものに対する日本人の姿勢を見ても、日本人の精神文化の中に非常に深く根付いているといえると感じる。(ここまで単純で露骨な思想形態はあまり他では類を見ないと感じる。)お金大好き日本人文化を象徴するような物語である。・・・別にお金だって必要なものだから、それが悪いとは言わないけどさあ。私だってお金は欲しいけど。
#昔話 #長野県 #北信 #犬 #動物 #化成 #金 #イザナギとイザナミ #池
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 60-63p
「花咲爺」の類和といえるか。犬神が捧げ物を得ると、金を生んでくれる、という話。
ということは、犬は雌なのだと思われる。
主人公(おじいさん)が親切な人で、女主人公(おばあさん)が意地悪な人で、異性同士が対照的となっているのは、イザナギとイザナミ的である。
犬神がなぜ、主人公、女主人公と暮らすようになったのか、という理由は欠如していて不明である。
でも、ものすごく単純な「神様に捧げ物をしたらお金が儲かる(根拠は不明)」という短絡的思想は、民話の中だけでなくて、現在の「神社」というものに対する日本人の姿勢を見ても、日本人の精神文化の中に非常に深く根付いているといえると感じる。(ここまで単純で露骨な思想形態はあまり他では類を見ないと感じる。)お金大好き日本人文化を象徴するような物語である。・・・別にお金だって必要なものだから、それが悪いとは言わないけどさあ。私だってお金は欲しいけど。
#昔話 #長野県 #北信 #犬 #動物 #化成 #金 #イザナギとイザナミ #池
by admin. ⌚ 2020年07月06日(月) 17:45:59 昔話 <477文字> 編集
まったらこうよ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 51-59p
題の「まったらこうよ」とは、長野県の方言的に使われている古語で、「まったら(放ったら)」+「こうよ(来よ)」という意味。「まる(放る)」というのは「用を足す」という意味。
導入部分は上司と対立するタイプの「ゲイ流譚」である。ただし、上司にあたる「おしょうさん」は、旅の助けとなる魔法のアイテムもプレゼントしてくれる「助け手」も兼ね、主人公の小坊主さんの師匠でもあるので、「ゲイ流譚」と「魔法使いの弟子」が融合した展開となっている。対立はあるけれども、互いに殺し合うほどではなく、どちらかといえば友好的な師匠と弟子であることが特徴である。
前半は「鬼ばばあ」からの逃走譚で、「怪物退治」は省略されて逃げるだけである。魔法のアイテムはここで使用される。
中盤は祟る「田の神」を退治するのではなく、「祀る」物語。ないがしろにされていた「田の神」に、餅、酒、大根を捧げる。いずれも植物の変化したもので「生贄の娘の身代わり」であるので、女主人公が植物の化身であることが分かる。
後半はいわゆる「難題婿」で、蜂に助けてもらう「動物神」型兼「謎解き」型。「恐れ」による禁忌も伴う。
主人公が「小坊主さん」であるので、武力で怪物を退治する、という要素は乏しくて、知恵を使って問題を解決しよう、という傾向が強い。かつ、省略が多いけれども、導入部分のおしょうさんとの別れも含めると本来の「怪物退治+呪的逃走」から発生した物語のパターンが4つも繰り返されている物語である。使用されているモチーフも多岐に渡る。よく4つの物語パターンをまとめたな、と思う。神に酒を捧げて機嫌をとり、生贄の乙女を助ける点は、まさにセクメト神話である。
また、祭祀に関して「餅、酒、大根」を捧げることが、「人身御供」の代わりだとあからさまに分かる内容である。普通に日本人だとお祭りの際に、餅、酒、大根を神前に捧げるなんて、「当たり前に普通のこと」過ぎて、その意味を深く考えたことがないような気がするが、民話の中にその本態があっさり語られていたりするようである。
#昔話 #長野県 #東信 #僧侶 #鬼女 #呪的逃走 #お札 #魔法のアイテム #おしょうさん #オーディン #川 #祭祀 #餅 #酒 #稲 #大根 #巨人 #かかし #田の神 #水神 #植物 #難題聟 #蜂 #動物神 #恐れ #禁忌 #射日神話 #魔法使いの弟子 #ゲイ流譚 #叡智 #動物番
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 51-59p
題の「まったらこうよ」とは、長野県の方言的に使われている古語で、「まったら(放ったら)」+「こうよ(来よ)」という意味。「まる(放る)」というのは「用を足す」という意味。
導入部分は上司と対立するタイプの「ゲイ流譚」である。ただし、上司にあたる「おしょうさん」は、旅の助けとなる魔法のアイテムもプレゼントしてくれる「助け手」も兼ね、主人公の小坊主さんの師匠でもあるので、「ゲイ流譚」と「魔法使いの弟子」が融合した展開となっている。対立はあるけれども、互いに殺し合うほどではなく、どちらかといえば友好的な師匠と弟子であることが特徴である。
前半は「鬼ばばあ」からの逃走譚で、「怪物退治」は省略されて逃げるだけである。魔法のアイテムはここで使用される。
中盤は祟る「田の神」を退治するのではなく、「祀る」物語。ないがしろにされていた「田の神」に、餅、酒、大根を捧げる。いずれも植物の変化したもので「生贄の娘の身代わり」であるので、女主人公が植物の化身であることが分かる。
後半はいわゆる「難題婿」で、蜂に助けてもらう「動物神」型兼「謎解き」型。「恐れ」による禁忌も伴う。
主人公が「小坊主さん」であるので、武力で怪物を退治する、という要素は乏しくて、知恵を使って問題を解決しよう、という傾向が強い。かつ、省略が多いけれども、導入部分のおしょうさんとの別れも含めると本来の「怪物退治+呪的逃走」から発生した物語のパターンが4つも繰り返されている物語である。使用されているモチーフも多岐に渡る。よく4つの物語パターンをまとめたな、と思う。神に酒を捧げて機嫌をとり、生贄の乙女を助ける点は、まさにセクメト神話である。
また、祭祀に関して「餅、酒、大根」を捧げることが、「人身御供」の代わりだとあからさまに分かる内容である。普通に日本人だとお祭りの際に、餅、酒、大根を神前に捧げるなんて、「当たり前に普通のこと」過ぎて、その意味を深く考えたことがないような気がするが、民話の中にその本態があっさり語られていたりするようである。
#昔話 #長野県 #東信 #僧侶 #鬼女 #呪的逃走 #お札 #魔法のアイテム #おしょうさん #オーディン #川 #祭祀 #餅 #酒 #稲 #大根 #巨人 #かかし #田の神 #水神 #植物 #難題聟 #蜂 #動物神 #恐れ #禁忌 #射日神話 #魔法使いの弟子 #ゲイ流譚 #叡智 #動物番
by admin. ⌚ 2020年05月31日(日) 19:51:53 昔話 <1053文字> 編集
サルのよめ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 44-50p
「美女と野獣」的 or 「猿神退治」的
前半の猿が女主人公を得るまでは、どちらかといえば「難題婿」的な展開。
後半は呪的逃走が変化したもので、「川と石」のモチーフが出てくる(臼は木製かも知れないが)。猿に重い荷物を運ばせるところは「山のこびと」的である。
どちらかといえば、騙された猿神が気の毒な展開の物語であるが、怪物の死と女主人公の再生(逃走)というモチーフは良く保たれている。
女主人公は餅(植物)の化身といえる。女主人公が自ら冥界に赴いて問題を解決してしまう点も「山のこびと」が類話といえる。
逃走の際の「川と石」のモチーフは「英雄ディックベール」、「スルタンのぶち犬」、「山男」にみられる。
#昔話 #長野県 #北信 #猿 #猿聟 #異類聟 #難題婿 #3人姉妹 #餅 #植物 #叡智 #怪物退治 #川と石 #妹による救出
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 44-50p
「美女と野獣」的 or 「猿神退治」的
前半の猿が女主人公を得るまでは、どちらかといえば「難題婿」的な展開。
後半は呪的逃走が変化したもので、「川と石」のモチーフが出てくる(臼は木製かも知れないが)。猿に重い荷物を運ばせるところは「山のこびと」的である。
どちらかといえば、騙された猿神が気の毒な展開の物語であるが、怪物の死と女主人公の再生(逃走)というモチーフは良く保たれている。
女主人公は餅(植物)の化身といえる。女主人公が自ら冥界に赴いて問題を解決してしまう点も「山のこびと」が類話といえる。
逃走の際の「川と石」のモチーフは「英雄ディックベール」、「スルタンのぶち犬」、「山男」にみられる。
#昔話 #長野県 #北信 #猿 #猿聟 #異類聟 #難題婿 #3人姉妹 #餅 #植物 #叡智 #怪物退治 #川と石 #妹による救出
by admin. ⌚ 2020年05月09日(土) 22:45:38 昔話 <434文字> 編集
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 64-66p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 116-119p、タイトルは「よくふか長者とほらあなの主」に変更された。
「主」とは河童か、それとも大蛇の類いか?
ともかく、「病気は祟りである」とか、「神に対する恩を忘れると祟られる」とか、そういう主題の話である。「誉津別命」が類話といえる。
子供は人間ではないので「取り替え子」的な要素もある。
#昔話 #長野県 #南信 #宝物 #報復 #祟り #呪い #忘恩 #水神 #川 #人身御供 #取り替え子 #予言 #椀貸伝説