全年全月20日の投稿(時系列順)[16件]
化け猫
「北欧民話 アスビヨルンセン 高木眞一訳 山一書房」 19-22p
家に取り憑いた魔物を、外部のものに退治してもらう物語。蘇生を伴わない蘇民将来的な物語といえようか。導入部分は、原因は明らかになっていないが、女主人公によって不幸になる原因が隠れている「食わず女房型」である。
女主人公は殺されないけれども大打撃を受けるので「ティアマト型」とした。家の中の問題を外部の人間に解決して貰う点の類話は「くつ屋のおとぎ話」である。女主人公に関しては不完全な「追い払い型」、その仲間の魔女達に関しては「迎え撃ち型」である。
#民話 #ノルウェー #猫 #アルテミス #食わず女房 #異類嫁 #追い払い #迎え撃ち #仕立屋 #ジークフリート #変身 #叡智 #職能型 #火 #ティアマト
「北欧民話 アスビヨルンセン 高木眞一訳 山一書房」 19-22p
家に取り憑いた魔物を、外部のものに退治してもらう物語。蘇生を伴わない蘇民将来的な物語といえようか。導入部分は、原因は明らかになっていないが、女主人公によって不幸になる原因が隠れている「食わず女房型」である。
女主人公は殺されないけれども大打撃を受けるので「ティアマト型」とした。家の中の問題を外部の人間に解決して貰う点の類話は「くつ屋のおとぎ話」である。女主人公に関しては不完全な「追い払い型」、その仲間の魔女達に関しては「迎え撃ち型」である。
#民話 #ノルウェー #猫 #アルテミス #食わず女房 #異類嫁 #追い払い #迎え撃ち #仕立屋 #ジークフリート #変身 #叡智 #職能型 #火 #ティアマト
by admin. ⌚ 2020年04月20日(月) 18:04:24 民話 <346文字> 編集
宇津江の滝の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 57p
宇津江川の滝に関する伝説。滝の由来譚。
新旧会わせた2つの思想が入り交じった興味深い物語である。
導入部に、沼や川(主に滝)には(竜)蛇体の女神がその化身である、という古い思想が見られる。女神には人を病気にする能力も、癒やす能力もあるようである。主人公が病に陥るのは、禁域に踏み込んで「見てはいけない神の正体を見たこと(禁忌を破ったこと)」の祟りかもしれない、と受け取れるが「祟り」の部分は明確にそうとは語られない。
中盤は女神が自らの身を削って主人公を助ける、というエピソードになる。これは「自己犠牲」といえる。禁忌を破ったものに対する罰(主人公の病気)を神が助けなければならない理由の方が、本来は「ない」と思われる。疫神が自ら実を削って人々を助ける、という思想は、原始キリスト教到来以後(私の私感としては)、あるいはおそくとも仏教到来以後の思想と思われるので、起源としてはせいぜい1世紀よりも後の思想と思われる。女神が「修行をする」という発想も仏教(修験道)的な考え方と思われる。
主人公の「願掛け」が女神を救うことになるので、この点も修験道的と思う。また主人公は女神(蛇)に劣らず水を操る力(通力とか法力と呼ばれるもの)を有していたと思われるので、自然界に働きかける特別な能力を持っていた、という点では主人公も「八卦」の伏羲に繋がるようなシャーマン的な性質の持ち主であったことを示している。名前にも「八」がつくし。この場合、主人公には「母なる水等の神」の特別な恩寵があり、女神と特別な関係だった、ともいえるし、その「特別性」が主人公を他の人々に対して、一段上の特別な人間にもしている、と思う。
主人公が川の女神と特別な関係にあって、人々の中でも特殊な地位にある、という物語は長野県の「泉小太郎」の物語にも似る。物語の起源としては近いのではないだろうか。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #川 #沼 #疫神 #修験道 #シャーマン #伏羲 #八卦 #女神
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 57p
宇津江川の滝に関する伝説。滝の由来譚。
新旧会わせた2つの思想が入り交じった興味深い物語である。
導入部に、沼や川(主に滝)には(竜)蛇体の女神がその化身である、という古い思想が見られる。女神には人を病気にする能力も、癒やす能力もあるようである。主人公が病に陥るのは、禁域に踏み込んで「見てはいけない神の正体を見たこと(禁忌を破ったこと)」の祟りかもしれない、と受け取れるが「祟り」の部分は明確にそうとは語られない。
中盤は女神が自らの身を削って主人公を助ける、というエピソードになる。これは「自己犠牲」といえる。禁忌を破ったものに対する罰(主人公の病気)を神が助けなければならない理由の方が、本来は「ない」と思われる。疫神が自ら実を削って人々を助ける、という思想は、原始キリスト教到来以後(私の私感としては)、あるいはおそくとも仏教到来以後の思想と思われるので、起源としてはせいぜい1世紀よりも後の思想と思われる。女神が「修行をする」という発想も仏教(修験道)的な考え方と思われる。
主人公の「願掛け」が女神を救うことになるので、この点も修験道的と思う。また主人公は女神(蛇)に劣らず水を操る力(通力とか法力と呼ばれるもの)を有していたと思われるので、自然界に働きかける特別な能力を持っていた、という点では主人公も「八卦」の伏羲に繋がるようなシャーマン的な性質の持ち主であったことを示している。名前にも「八」がつくし。この場合、主人公には「母なる水等の神」の特別な恩寵があり、女神と特別な関係だった、ともいえるし、その「特別性」が主人公を他の人々に対して、一段上の特別な人間にもしている、と思う。
主人公が川の女神と特別な関係にあって、人々の中でも特殊な地位にある、という物語は長野県の「泉小太郎」の物語にも似る。物語の起源としては近いのではないだろうか。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #川 #沼 #疫神 #修験道 #シャーマン #伏羲 #八卦 #女神
by admin. ⌚ 2022年06月20日(月) 06:23:13 伝説,神話,起源・由来,固有地名 <871文字> 編集
盗人神(加茂神社)の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 71p
高山市の加茂神社の伝説。
神様が盗人を助けてくれた、という物語。楽しい物語というよりは、個人的にはこれぞ「The 加茂」という気がして笑えない-;。
「盗み取る」から、「農家は五穀を取る」、「受験生は点数を取る」、「政治家は票を取る」という「何かを得る」ことに通じる信仰がある、とのことである。正当な努力の結果、何かを得ることは正しいことといえようが、それが誰かから「盗み取る」となるとどうなのだろうか。
よそ八は女神から生き血を盗み取る、須佐之男は大宜津比売を殺して蚕と五穀を盗み取る、泉小太郎は母女神を殺して女神が開拓した土地を盗み取る、と。これは、弥生の人々が縄文の母系の人々から、女神信仰の文化と農地と財産を盗み取った思想の正当化そのものではないだろうか。西部開拓時代のアメリカみたいな思想だー、と正直思う。このような思想が「加茂」の名の下にあることが非常に興味深いと思う。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #盗賊 #泥棒
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 71p
高山市の加茂神社の伝説。
神様が盗人を助けてくれた、という物語。楽しい物語というよりは、個人的にはこれぞ「The 加茂」という気がして笑えない-;。
「盗み取る」から、「農家は五穀を取る」、「受験生は点数を取る」、「政治家は票を取る」という「何かを得る」ことに通じる信仰がある、とのことである。正当な努力の結果、何かを得ることは正しいことといえようが、それが誰かから「盗み取る」となるとどうなのだろうか。
よそ八は女神から生き血を盗み取る、須佐之男は大宜津比売を殺して蚕と五穀を盗み取る、泉小太郎は母女神を殺して女神が開拓した土地を盗み取る、と。これは、弥生の人々が縄文の母系の人々から、女神信仰の文化と農地と財産を盗み取った思想の正当化そのものではないだろうか。西部開拓時代のアメリカみたいな思想だー、と正直思う。このような思想が「加茂」の名の下にあることが非常に興味深いと思う。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #盗賊 #泥棒
「北欧民話 アスビヨルンセン 高木眞一訳 山一書房」 17-18p
ニッセは北欧の伝承では家に住み着いて、色々と手助けしてくれる精霊なのだが、この物語では悪者として追い払われてしまう。単純な「怪物退治」譚である。
水車小屋に関して、そこに憑いて悪さをする精霊を退治する(罰を与える)物語は、スコットランドのウリスク(Urisk)に関してもあるようである(妖精の誕生、カイトリー著、市場泰男訳、社会思想社教養文庫、p213-214参照)。
神的存在の宗教的地位が低下したために、むしろ「厭われる存在」となってしまった物語には、「ムギを盗む小人」がある。
参照:トムテ
#民話 #ノルウェー #北欧 #精霊 #トムテ #ニッセ #怪物退治 #追い払い #聖ゲオルギウス #家付精霊