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固有名詞は可能な限りWikipediaに準ず

全年全月16日の投稿(時系列順)13件]

ずるいアルダール・コセーとけちなシガーイ旦那
「ソヴィエト諸民族民話集」 165-177p

 アルダール・コセーはカザフ民話で愛される主人公、とのこと。
 「難題聟」の変形。逃げ出す手段は遊牧民らしく馬である。突如として消えてしまうところが「魔法的」といえる。

#民話 #カザフスタン #呪的逃走 #馬 #運搬動物 #難題聟 #叡智 #ポセイドーンとアムピトリーテー #吝嗇

by admin. 民話,多エピソード保有人名 <189文字> 編集

ドゥエルガル(dvergr)
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 85-86p

 「ドゥエルガルははじめユミルの肉の中に創造され、生活をはじめ、その中のウジとなっていたが、神々の意志によって人間の知識を分け与えられ、人の姿をとるようになった。しかしなお大地の中と石の中に住んだ。(エッダ)」
 とのことで、彼らは冶金術に優れている。

 ドゥエルガル(dvergr)は英語のドワーフ(dwarf)の起源である。
 個人的には、地下世界の宝を形にする存在なので、冥界神が崩れて精霊化したものではないか、と思う。
 
#神話 #北欧 #ドワーフ

by admin. 神話,定義 <271文字> 編集

クワッ、クワッ、くっつけ! ATU571
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 322-328p

 主人公の頭が「かさぶただらけ」というのは、「鉢かづき姫」のような「見るな」の禁忌の暗喩だと思う。「ものぐさ太郎」も同様である。
 楽しい笑話である。

#民話 #レートロマン #王女難題 #おばあさん #ホレのおばさん #鵞鳥 #かさぶた #見るな #鉢かづき姫 #「みんなくっつけ」

by admin. 民話 <197文字> 編集

ロキと小人
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 86-88p

 ドゥエルガル(dvergr)の性質を示すものとして、カイトリーが紹介した物語。「妖精の誕生」の目次では民話とされているが、神話である。神々の武器をロキがどのようにして手に入れたのか、という由来譚になっている。 参照:シフの髪を切った話
 小人とは、この物語のように魔法のアイテムを作る、主に地下に住む鍛治師とされている。
 この物語についての「妖精の誕生」でのカイトリーの解説には、個人的には何も言えない。(というか、何が言いたいのかよく分からない。)

 シフの髪を切った話は、「怪物退治譚」の変形で、宝物探報が主な目的となった「イアーソーン型」である。物語の導入部分は、上位の神トールとの対立であるので、「ゲイ流譚型」といえる。
 物語としては、流れに疑問を感じる不自然な場面がいくつかあり、欠損を思わせる。それは、
 1.何故ロキがシヴの髪を刈ってしまうのか。なぜ、自然に髪が伸びるまで待てないのか。という点
 2.手に入れた魔法のアイテムはいわば「賠償品」であって、最初からロキのものではないのだが、なぜロキは品物を自慢したりしたのか。そして、なぜ命を賭けた賭けをしたのか。という点
の2点である。
 「シヴの髪を刈る行為」は、「長く豊かな髪」は女性らしさの象徴でもあり、夫の自慢でもあるので、それは「女性の死」の暗喩であると思う。つまり、ロキはシヴを殺してしまったので、その再生のために冥界を流転する旅に出ることになる。旅には、シヴの再生の目的と、もっと人の現実世界に近い「賠償」のため、という2つの側面がある。ロキの旅に2段階あるのは、最初の旅のみでは、再生に足りない、あるいは賠償が足りない、とされる理由が本来あったのではないだろうか。そのため、さらなる目的物を得るためにロキは命を賭けなければならないのである。一つの命を再生させるために、新たな命が必要とされる、というのはよくある神話のパターンである。
 そして、旅の目的を果たしてロキは帰還するが、結局は成功と認められないことになる。従ってロキは殺されねばならない。この展開にも2面性があり、ロキはシヴの再生のために最初から命を差し出さねばならない、という神話的目的と、「賠償に失敗したから」という現実的な目的が入り交じっているように思う。「口をきけないようにする」という展開は、「ロキの死」を暗喩している。

 民話では、物語の最後は「めでたし めでたし」で終わることが多いが、西欧の神話では特に悲劇で終わることが多い。登場人物のほとんどが死んでしまう「ニーベルンゲン」のような物語もある。ただし、本物語は、「北欧神話」という大きな物語群の中で、「神々の武器の由来譚」としての位置を与えられたこと、ロキの最期がラグナロクに位置づけられたことなどから、ロキの死は暗示されるだけで、物語の上では死なない、ということに変更されたのではないか、と思われる。男神が女神を再生させる、という点ではイナンナとタンムーズ的ともいえる。タンムーズも冥界のイナンナの怒りを買ったことが、彼の死の原因とされている。

 類話はケルト神話の「トゥレンの息子達 」である。主人公達は、人の命を奪い、上位の神に賠償するために財宝を探索する「イアーソン型」かつ「ゲイ流譚型」の旅をする。試練が2部制になっている点、最期に主人公達が亡くなる点等が共通である。

#神話 #北欧 #イアーソーン #ゲイ流譚 #魔法のアイテム #イナンナとタンムーズ #損害賠償 #小人 #ドワーフ

by admin. 民話,神話,起源・由来,多エピソード保有人名 <1491文字> 編集

うりひめ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 128-131p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 102-105p、内容に改変が見られる。理由は不明。

 二人の女性が、結婚を軸にして入れ替わる。典型的な「瓜子姫」の物語である。
 瓜子姫は最期には助かる。天邪鬼は茅に化生する。
 瓜子姫は川から流れてくる。「桃太郎」と似ている。

 類話は「たまご姫」、「とくさむすめ」、「のろいをかけられた花嫁」、「白檀の木」、「悪魔の難題」など
 参照:うりこひめとあまのじゃく
 
#昔話 #長野県 #東信 #瓜子姫 #柿 #茅 #川誕 #瓜

by admin. 昔話 <467文字> 編集

三人まま子
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 183-188p

 これは継母が継子を虐め殺してしまう、という非常に残酷で陰惨な話。少なくとも子供に聞かせるような話ではないと思う。
 民話や神話における「釜」というのは、尽きせぬ食料を出す「豊穣の大釜」と、地獄などで罰を与える「罰のための大釜」に分かれる、と個人的には思う。本物語の「釜」は後者である。また、幼い子供を人身御供に捧げた習慣、おそらく太古にはそれを食したであろう習慣が、かすかに垣間見える物語といえる。これは環太平洋周辺地域の海洋民族の食人文化に通じる思想が古代の日本にもあったのではないか、と思わせる。
 このような物語はコンプライアンス的には、そのまま子供に聞かせるには向かないが、さりとて、古代の先祖の文化の痕跡を消し去って良いものとも思わない。民話や伝説は残酷な話が多いので、どうやって後世に伝え残していくのかを熟慮する必要がある典型的な物語といえる。
 歌が秘密を暴露するところは、「王様の耳はロバの耳」的でもある。

 この手の残酷な物語の取扱に気を遣うべきと考えたのは何も現代人だけではなく、「源氏物語」の中にも、光源氏が娘の明石の中宮を育てる際に、実母ではない紫の上に養育を任せたので、子供の目に「継子虐め」の物語が触れないように気を配った、というエピソードが出てくる。

#昔話 #長野県 #北信 #継子虐め #魔法の大釜 #歌 #秘密の暴露 #人身御供

by admin. 昔話 <622文字> 編集

善と悪のお値段 ATU133*
「シルクロードの民話 パミール高原」 295-296p

 個人的には「因幡の白うさぎ」を思い起こさせる話である。

#民話 #タジキスタン #蠍 #亀 #ヤギがヘビを川の向こう岸に運ぶ

by admin. 民話 <109文字> 編集

エリドルスの物語
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 211-213p

 フェアリーの世界への訪問譚。禁忌を破ると訪問する資格を失う。

#民話 #ウェールズ #フェアリー #禁忌 #嘘

by admin. 民話 <94文字> 編集

味のつけ方 ATU1687+ATU1696+ATU1741

「シルクロードの民話 パミール高原」 316-319p

 言うべき言葉を段階的に忘れてしまう愚か話。

#民話 #タジキスタン #愚か話 #忘れ話 #転倒 #名前 #忘れた言葉 #「何て言うべきだったの(何をすべきだったの)?」 #司祭の客と盗み食いされた鶏

by admin. 民話 <161文字> 編集

取り調べ役の天使
「シルクロードの民話 パミール高原」 330-331p

 小話。笑い話なのか。
 イスラム教では死後天使が取り調べをして、天国へ行くか地獄へ行くか決める、と考えられているのだろうか。

#民話 #タジキスタン #天使 #イスラム教

by admin. 民話 <125文字> 編集

尾科の文吾
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 106-109p

 飯田市の伝説である。文吾という人物は実在だったらしい。

 岩に「へそ」の跡がついたのは、本来は「睾丸」の跡だったそうです。南信にはかつての磐座信仰が男根信仰に移行した例があるのか? と思う。
 怪力と食欲が関連する伝承もあるらしい。

参考:【神社・巨石・伝承】尾科諏訪神社の文吾岩(金玉岩)@長野県飯田市龍江 、日々平穏(最終閲覧日:22-07-16)

#昔話 #長野県 #南信 #怪力

by admin. <257文字> 編集

洗礼式に招かれたトロル
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 29-32p

 豚飼いの少年がトロールを追い払う話。いわゆる「動物番」の変形した物語で、オーディンのユミル退治が崩れたものといえる。
 トロールが雷を嫌うのは、雷神トールがトロールを嫌いだから、と注釈に説明されているが、北欧の動物番は叡智が巨人類を退ける話が多く、退けたもの(動物番の若者)の原型が叡智の神オーディンを示唆しているように思う。

 類話は「オズボーンの笛(オズボルンの笛)」である。
 参考として、「蛇の女王」。
 
#民話 #デンマーク #トロール #動物番 #豚

by admin. 民話 <284文字> 編集

青ひげ
「世界の民話2 南欧 ぎょうせい」 20-27p

 有名な「青ひげ」である。

 禁忌を破った妻が罰を受ける、というモチーフが含まれる。人身御供の暗喩といえる。
 典型的な炎黄闘争の物語といえようか。
 類話は「山のこびと」である。


#民話 #フランス  #見るな #禁忌 #青ひげ型 #鍵 #人身御供 #炎黄闘争 #受罰女神 #人身御供

by admin. <176文字> 編集

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