ずっと feat.HAN-KUN & TEE

ええと、12日にアルバムが出るまで待つのか、それともすぐにこの曲だけダウンロードしてしまうのか迷っていたのですが、なんとなく寝ている時に
「YOU、ダウンロードしちゃいなよ!」
って言われた気がしましたので、夢のお告げに従う、というわけでもありませんが、ダウンロードしてみました。この曲はSPICY CHOCOLATEというレゲエバンド? (というか、wikipediaで調べてみましたら、「サウンド・システム」というものらしいのですが??) の曲で、そろそろ2月ですので、名前からいって、バレンタインっぽい雰囲気が漂っている気がします。
そうしましたら、嵐の松潤が「失恋ショコラティエ」というドラマに出ているということで、嵐もバレンタインぽい曲を近々出すとのこと。バレンタインデーというのは、日本では女の子が男の子にチョコレートを渡して告白する日、みたいになっていますが、欧米では愛し合っている男女が互いにプレゼントを送り合う祝日ということで、元々はローマの結婚の守護神であるユーノー女神の祭日であったようです。
ユーノーなんだ? みたいな。今日はこの女神の「語源」を調べて、じたばたとしていたところです。
まあ、一番大変だったのは、ミトラとヘバトをどう結びつけるかだったわけですが。なにせ、ミトラ:ミタンニの太陽神、ヘバト:ヒッタイトの太陽神で、双方の条約にミトラの名前が出てくるわけですから、どちらの側も「ミトラ」という神を重々知っていたことは明かなのに、ヒッタイトの側でミトラをどう捉えていたのかという資料が
ぜんぜん出てこない
わけです。同じ時代の隣同士の国のはずなのに、なんでよ~(涙)。
という感じで、検索に検索に検索、という感じだったわけですが。ようやく一定の結論を得ましたが、きちんと纏めている暇がありませんので、とりあえず裏口方面にアップしてみました。
Sun Memory
結局、ユーノーって太陽神の性質を失ったヘバトなのだな、と改めて思うわけです。(なぜなら太陽神として、ソールとアポロが優位だから。)
でも、何故か比較神話をやっている人は、ヘバトをヘカテーまでには結びつけても、それをヘーラー&ユーノーまでにはもっていかないわけです。けっこう連続性はあからさまだと思うわけですが。

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「王妃マルゴ」

昨日に引き続き、大デュマについて書きます。「王妃マルゴ」は、16世紀のフランスが舞台で、カトリックであるヴァロア王家の王女マルグリット・ド・ヴァロワとプロテスタントであるブルボン家のアンリ4世が、両者の和解のために政略結婚するわけです。で、その結婚式のためにパリにプロテスタントの貴族も、カトリックの貴族も集まってくるわけですが、そこでカトリックの王妃カトリーヌ・ド・メディシス(マルグリットの母親)が策略を巡らし、プロテスタントの貴族を大虐殺する「サン・バルテルミの虐殺」が起き、アンリ4世は王宮に拘束されることになってしまいます。母后カトリーヌの目的は当然アンリ4世を殺すことですが、夫婦愛というよりは、アンリ4世と政治的に同盟を結ぶことを決心したマルグリットの努力により、夫は何とか生き延びて、しまいに王宮を脱出することができるようになる、とそういう話なわけです。
マルグリットが夫を助ける動機は、結婚してすぐ未亡人になってしまったら、自分の行く末が、政治的影響力もろくに持てずに終わってしまうことが目に見えているから、とかそういう感じであったと思います。今から考えると、これも「キリストの死と再生」に擬えた物語なのだな、と思います。
キリストに擬えられたアンリ4世は、プロテスタントにとって地獄も同然の「カトリックの王宮」に拘束されますが、何とかそこを逃げ出して、物語には書かれませんが、彼は後に王として即位してブルボン王朝を開くわけで、デュマが敬愛していたブルボン王家に対する賛辞的物語といえなくもありません。
ただ、キリスト教神話においては、イエスは死後3日たって蘇って、その後も「いつか戻ってくる?」かのようにされていますが、そこに「王妃マルゴ」のような存在は入り込んでいません。では、デュマの物語における「王妃マルゴ」の存在は、神話的にどのような立ち位置に来るのかというと、それは
黄泉の国
にいて、夫(あるいは息子)の死と再生を司る
地母神女神
を象徴しているのだと思うわけです。彼女が破壊と創造の太母なわけで、ギリシア神話的にはペルセポネーという女神になるわけです。で、それで済めば話は単純なわけですが、ギリシア神話には、ペルセポネーの他にも地母神女神は大勢いるわけで、黄泉の国の属性を非常に強く有している女神に
アルテミス
という月の神がいるわけです。で、この女神がクルミの木として表象される場合には、カリアティードと呼ばれるわけですが、これがまた単純でないことに、この女神は

とも深い関連があるわけです。葦は古代エジプト神話で、「あの世」と「永世」の象徴なのです。要するに、
カリアティードとは 月の女神 であって 葦の女神 であって 黄泉の国の女神 である
と、そうなるわけです。で、カトリックであるマルグリットは、そのような女神に例えられているわけ。で、一方、
ディオニューソス神話
では、この母なる月の太母は、セメレー・ペルセポネーとなるわけで、この女神はディオニューソスの血を呑む大地の象徴でもあるわけです。
で、それがキリスト教において何になるかというと、死に行くキリストの血を受けた「聖杯」というものがあって、これが
カリス
というわけです。ギリシャ神話には、カリスという豊穣相の女神と、カリアティードという冥界相の女神がいて、これらは本来「同じもの」だと思うわけです。そうすると、イエスの血を受けたものは、カリアティード・アルテミスであり、カリスであり、
これがキリスト教神話における 母神 ということになるわけです。で、その象徴が 「王妃マルゴ」 なわけ。
「王妃マルゴ」が何者であるのかを追って欲しい、
そういうデュマの願いはどこかにあったのかもしれないと思います。というか、
カトリック嫌い
であったと思われるデュマって、すごいな、と思う。で、なんで、今日このことを書こうかと思ったかというと、某ニュースサイトで、
宮崎駿監督
の写真を見たからで、見た途端に、「人食い月の神」の話を描いた「シュナの旅」を思い出したからだったりします。キリスト教神話において、イエスの血を呑む「人食い月の女神」とは、まさにカリスのことで、「王妃マルゴ」においては、マルグリット・ド・ヴァロワそのものであるからです。(物語の中ではアンリ4世の身代わりに若い騎士が2人殺されるわけです。(まさに、嫌味な設定なわけだーー;))

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「モンテ・クリスト伯」

アレクサンドル・デュマといえば、日本では「モンテ・クリスト伯」と「三銃士」が有名ですが、今日は「モンテ・クリスト伯」について書きたいと思います。
だいたい、そもそも、「モンテ・クリスト」というタイトルが「聖キリスト」という意味だと思いますので、タイトルからして意味深なわけですが、これは超要約すると
「モンテ・クリスト伯」こと「エドモン・ダンテス」という主人公が、様々な理由で人に陥れられて終身刑的に投獄されたけれども、奇跡的に脱獄して、自分を無実の罪に陥れた者達に、同じように相手の人生を潰すことで復讐して歩くけれども、最後に自分のやってきた「非人間的」な行いに気づいて改心し、去っていく。
という物語です。たぶん、投獄されたけれども、からくもそこを逃れた、という点がキリスト説話の「死と復活」に擬えて書かれているのだと思います。かつ、復讐のための軍資金が、
かつて教皇庁に没収されるはずだった隠し財産
という設定になっていますので、
「本来教皇庁のものであったはずの財産」 = 「復活したイエスであるところのモンテ・クリスト伯の財産」
みたいな意味合いも暗に持たせているのかもしれないと思います。だいたいは、読んでいて次の展開がワクワク、ドキドキして楽しみな、冒険復讐活劇みたいな感じなのですが、一番印象的であったのは
アレクサンデル6世が、他人の財産を没収したい時には、食事に招いて毒殺してた
と、そういうくだりであったと思います。なにせ、日本というのはあまりキリスト教の内情?というか、そういうものを歴史や文化として認識しにくいものですから、
昔の教皇庁ってこういうところだったんだ?
ということで、ちょっと衝撃的だったわけです。で、小説的には、アレクサンデル6世に殺されて財産を没収される前に、殺される運命は回避し得ないとしても、財産は渡さん! ってことで、財産を隠してしまった人がいて、その隠し財産が、数奇な運命からエドモン・ダンテスの復讐の資金源になっている、という設定なわけです。初めて読んだ当時は、キリスト教がどういうものだとか、そういうことはほとんどあまり意識せずに読んでいたわけですが、なんとなく
こういうものなんだ?
ということは、
すり込まれていた
らしいです。
っていうか、
教皇庁から命を狙われた人が、「隠した財産」て、もし、そういうものがあるのであれば、デュマの鏡には、それはいったいどういうものとして映ってたのですか?
って、やっと気が付いたというか何というか(汗)。
もしも、真実、なんというか、
人として下生してきた救世主イエス
というものが実在するのであれば、その持てる隠された力は、復讐といったような
非人間的
なことに使わないで欲しい、という願いもそこにはもしかしてあったのか? と、今になって、この日記を書いていてまさにそう思うわけで。デュマの鏡の方が、エンデよりは数倍マシというか、よほど人間的であり、強い祈りも願いもそこには込められていたのだな、と改めて思うわけです。

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