by admin. ⌚ 2024年11月21日(木) 19:10:07 <6071文字> 編集
世界の民話 ドイツ・スイス、小沢俊夫 編・訳、ぎょうせい、1976
シルクロードの民話 パミール高原、小沢俊夫 編、ぎょうせい、1990
ソヴィエト諸民族民話集、エム・ブラートフ編、未来社、1955
妖精の誕生 フェアリー神話学 トマス・カイトリー 教養文庫 社会思想社 1989
長野のむかし話、長野県国語教育学会編、日本標準、1976
読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話、 長野県国語教育学会編、日本標準、2003
飛騨ぶり街道物語、岐阜新聞社、2001
原典資料
フェアリー神話学(The Fairy Mythology)、トマス・カイトリー(Thomas Keightley、1892年)著、THE FAIRY MYTHOLOGY
デンマーク民話集、ティーレ
アイルランド南部の妖精伝説と伝承(Fairy Legends and Traditions of the South of Ireland )、クローカー、1825
高地人の民間迷信、スチュワート(R. Grant Stewat)、1823
ウェールズ旅行記、ギラルドゥス・カンブレンシス(Giraldus Cambrensis)
アーサー王関連
湖のランスロット (Lancelot of the Laik)、英語、A SCOTTISH METRICAL ROMANCE,(ABOUT 1490-1500 A.D.)、Lancelot of the Laik
アーサー王に関する書籍の一覧
#出典 #原典 #リスト畳む
by admin. ⌚ 2024年11月21日(木) 19:10:07 <679文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 138-143p
「西鶴諸国咄」よりの出典。原題は「巻三 行末の宝船」である。諏訪の地元に、諏訪湖の底に竜宮城がある、という話は見たことがないが、余所ではこのような話が流布していたかもしれない、と思う。西鶴は江戸時代の人であるので、江戸時代的な発想が随所にあり、どこまでが江戸時代の脚色なのか、と思う。
粗筋は、諏訪湖の底に竜宮城があって、湖で溺れた男が「赤い船」に乗って戻ってきて、村の男衆を何人か連れて行ってしまったが、男衆は戻ってこなかった、という話。
湖で溺れた男は、要は「幽霊」であると思うので、幽霊があの世から戻ってきて、元の仲間を道連れに引き込んだ、というと「怪奇譚」のようにもなる。むしろ、中国の怪奇譚の影響を受けた和製怪奇譚なのでは? と思う。そして、諏訪湖ではなく、天竜川の河口の浜松に「赤い蛇女神」の伝承があるので、むしろ「竜宮」とか「赤い船」というのは、天竜川の「赤い蛇女神」に関連して、江戸時代的に作り替えられた話で、諏訪湖の話ではあっても、発生地は遠州(静岡)なのではないか、と思うわけですが。
基本的には、湖の'''赤い'''蛇女神に男の生贄を捧げた話だと思う。諏訪的には、これは多留姫でもあるし、ミシャグジ様で良いと思います。というか、縄文的にはミシャグジ様という名(かつ出産土器の女神)、賀茂的水神女神としては多留姫という名、日本神話的には天照大神、渡来神(かつ賀茂の祖神)としては阿加流比売神、しかし新羅に来るその前の名は? と問えば我らが「女媧娘娘」と繋がる「人身御供を求める蛇女神」であると思う。
しかも、「怠け者の男」が死んで「竜宮の王(冥王)の部下となった」という設定付きである。要するに、この「怠け者の男」こそが「饕餮」と言わざるを得ない。苗族にもこんな感じの伝承があったはず、と思う。
ということで、話の内容よりも、江戸時代に西鶴にこういう話を書かせる、その執念と信念こそに敬意を払いたい・・・けれども、人身御供は駄目ですよ。という話である。「赤い船」とは太陽神であった女媧娘娘の化身のことと思う。神紋に織物の女神である西王母の象徴の「梶の葉」、湖に女媧娘娘の化身である多留姫、と「二人の母神」を擁する上社であるが、そこに出雲の下照媛を加えて、「三位一体」の「太陽女神」を「母神」としているのだと思う。(下社はイザナミ=八坂刀売=焼き殺される母神一択といえる。)要は上社の形態は、尾張真清田と一致する。
まあ、でも、「諏訪の民話」とするには微妙な話である。ここまできっちりと神話的な整合性をとった話を作る事ができたのが西鶴その人自身であれば、素晴らしい作家であったと言うべきである。
#昔話 #長野県 #中信 #龍 #常世信仰
by admin. ⌚ 2022年09月19日(月) 22:59:45 <1208文字> 編集
「世界の民話2 南欧 ぎょうせい」 3-19p
有名な「美女と野獣」である。
大きく2つの要素からなっており、一つは「特定の娘(末娘)と野獣」の婚姻譚である。怪物退治の要素はない、あるいはほとんどない。野獣は娘の裏切りにあって死にかかるが、娘が助けることとなっている。娘を野獣から助ける英雄は登場しない。要は、「クピードーとプシュケー型」でも「エンリルとニンリル型」でも良いのだが、人身御供に対して肯定的な物語といえる。
妹に意地悪して(一応)罰せられる姉がいるのも「クピードーとプシュケー」的だが妹と野獣の婚姻を邪魔しようとしたから罰せられたのであって、罰せられた原因は「妬み」となっている。
野獣は金持ちであり「バラの花」の化身である。よって、植物神でもあり、樹木神でもある、といえる。折ってはいけない(殺してはいけない)樹木神を殺してしまったから、神を再生させるために娘の生贄が必要とされる、とそのような思想が崩れたもののように思われる。
娘が父親の身代わりになったりする自己犠牲の精神、神(野獣)の再生のモチーフはキリスト教をなぞらえたもののようにも思える。
参考:美女と野獣
#民話 #フランス #人身御供 #イナンナとエレシュキガル #クピードーとプシュケー #エンリルとニンリル #妬み型 #ゲシュティンアンナ型 #カトリック
by admin. ⌚ 2022年09月07日(水) 13:45:01 民話 <589文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 137p、コラム
木曽福島町興善寺の稲荷に関する伝承である。これもハッピーエンドではない。
これも、いわゆる「炎黄闘争」が非常に長い時を経て崩れた形式の物語といえると思う。普通は狐は人を化かすものであるのだが、ここでは「良い狐」として描かれていることが興味深く感じる。興善寺には木曽義仲の墓もあるとのことである。
参考文献:木曽の民話、民宿松尾 HPより(最終閲覧日:22-09-06)
#昔話 #長野県 #中信 #狐 #非業の死
by admin. ⌚ 2022年09月06日(火) 08:26:08 昔話 <273文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 130-136p
玄蕃之丞狐とは、塩尻宿から贄川宿辺りに住んでいた、といわれるいたずら好きの狐の親分のことであるらしい。しかし、その最後は人間と争って非業の死を遂げるらしい。狐がかつて信仰の対象であったことの名残と、非業の死を遂げた者を神格化する習慣などが相まった物語といえようか。
西欧におけるトロール等の物語と、「いたずら好きな半神的存在に対する信仰」、「それらに対する最終的な人間の勝利」という点で比較してみると面白いかもしれない、と思う。
いわゆる「炎黄闘争」が非常に長い時を経て崩れた形式の物語といえる。
参考文献:玄蕃之丞狐、長野県:歴史・観光・見所 より(最終閲覧日:22-09-06)
#昔話 #長野県 #中信 #狐 #非業の死
by admin. ⌚ 2022年08月29日(月) 20:24:28 昔話,固有神獣 <386文字> 編集
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 32-34p
若いトロールと老いたトロールの女性を巡る争い譚、なのだが、若いトロールは何かをするわけではなく「時期を待っているだけ」であるので、その点は「ものぐさ太郎」的である。
「怪物退治譚」というよりは、もっと端的な「炎黄神話」の崩れであると思う。黄帝も、炎帝も中原の出身ではなく、古代中国の人々にとって「よそ者」であったとすれば、古代中国の人々にとって「炎黄の争い」も、このトロール達の争いのようなものとして、その目に写ったのではないだろうか。
「クヌレムレ」という名前のトロールが登場するが、私の考えでは、当然その起源は「熊」という言葉であると思う。
#民話 #デンマーク #トロール #猫 #ものぐさ太郎 #変身
by admin. ⌚ 2022年08月23日(火) 22:55:59 民話 <352文字> 編集
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 29-32p
豚飼いの少年がトロールを追い払う話。いわゆる「動物番」の変形した物語で、オーディンのユミル退治が崩れたものといえる。
トロールが雷を嫌うのは、雷神トールがトロールを嫌いだから、と注釈に説明されているが、北欧の動物番は叡智が巨人類を退ける話が多く、退けたもの(動物番の若者)の原型が叡智の神オーディンを示唆しているように思う。
類話は「オズボーンの笛(オズボルンの笛)」である。
参考として、「蛇の女王」。
#民話 #デンマーク #トロール #動物番 #豚
by admin. ⌚ 2022年08月16日(火) 06:10:33 民話 <284文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 125p コラム
上松町の寝覚めの床に関する民話が簡単に紹介されている。
怪物退治譚なのだが、大筋は静岡県磐田市見附天神にある「猿神退治」と同じである。犬が猿神を退治するのではなくて、修行僧が猪を使ってオオサンショウウオの怪物を退治する、という話になっている。
磐田市では「白羽の矢」は豊受大神の化身と暗喩する神社もある。
それにしても、猪(豚)とはオーストロネシア語族にとっては、イモを発生させたり、怪物を退治したり、神話的に重要なアイテムなのだなあ、と思う。
木曽の話では狩人が行者に代わっているし、ヤマタノオロチの神話とも比べれば
狩人=行者=須佐之男=シヴァ(アメタ)=黄帝
猿神=オオサンショウウオ=ヤマタノオロチ=シヴァ(縄文系の神であるところの「獣の王」、こっちもアメタ)=須佐之男=饕餮
というスパイラルな構図が浮かんでくる。そもそも「猿神=狩人」で、この2つは「同じ物」であり、太陽女神に生贄を捧げる立場だったものが、女神から分かれた豊受大神をガツガツ食べるようになったのが日本の神話と言える。しかも、修験道って言ったら、なんでも須佐之男と習合させてしまうのが大好きな宗教のようであるし。仏教というよりは「修験道教」と言った方が良さそうな感じがする。というか、黄帝と饕餮を習合させちゃ駄目じゃん、という根源的な問題がある。
ということで、
見附では「加茂」という地名も近くにある上に、裸祭りなんかもやっていてハイヌウェレな感じである。天竜川の上流には諏訪大社の下社がある。
木曽川の河口では天津日子根というアジスキタカヒコネ?な須佐之男の息子神の神社で、夜中に騒ぐ祭りを行う。けっこう近くには津島とかあるし。善光寺の別院とか下社関連? と思われる宗教施設がある。
木曽って言ったら、御岳が有名だし、その辺りの神職は下社関連だったような? 全部じゃないかもしれないけどさあ、みたいな。
当の下社は「お船祭り」というかつては裸祭りをやっていた(今は服は着ているらしい)。これがまたハイヌウェレというよりは、「直に焼き畑農業じゃね? フレイザーのドンゴ族?」と言いたくなるような焼殺祭祀である。
どうも、中部地方で、サトイモとか植わっているところは、縄文系のハイヌウェレ的思考が強いところに、なんか加茂とか下社とか下社とか下社とかが、台密と組んで取り憑いてない? と、長野から見たら「地の果て」みたいに見える名古屋で呆然としてそう思った管理人である。(三重なんて関西じゃん? そもそも長野から日帰りで行く所じゃないし、と思う管理人でした-;。)
民話の詳しい内容:寝覚めの床の主
#昔話 #長野県 #中信 #サンショウウオ #行者 #怪物退治 #白羽の矢 #猪 #修験道
by admin. ⌚ 2022年07月26日(火) 00:40:57 <1207文字> 編集
「フェアリーのおくりもの トマス・カイトリー」 18-19p
エルフに誘惑されて正気を失う話。
後半はエルフに誘惑された若者を再び人間界に戻す話であるが、肉を食べさせると良いらしい。元はさらわれた若者を取り戻すために肉(牛や豚といった獣)を生贄として捧げた話が崩れたものか。死んだ若者(神)に対して生贄を捧げたら、イモではなくて当人が戻ってきたようである。
デンマークではエルフとの性的接触で、正気が失われると考えていたのだろうか。
正気を失う点については「底革のハンス」、「トロルと踊った少女」が類話である。特に「底革のハンス」とは、男性が女性のエルフに誘惑される、という点で類似性が高いと考える。
#民話 #デンマーク #妖精 #狂気 #誘惑
by admin. ⌚ 2022年07月23日(土) 13:24:50 <359文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 106-109p
飯田市の伝説である。文吾という人物は実在だったらしい。
岩に「へそ」の跡がついたのは、本来は「睾丸」の跡だったそうです。南信にはかつての磐座信仰が男根信仰に移行した例があるのか? と思う。
怪力と食欲が関連する伝承もあるらしい。
参考:【神社・巨石・伝承】尾科諏訪神社の文吾岩(金玉岩)@長野県飯田市龍江 、日々平穏(最終閲覧日:22-07-16)
#昔話 #長野県 #南信 #怪力
by admin. ⌚ 2022年07月16日(土) 20:18:20 <257文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 81p、コラム
木曽郡上松町にある「びわ池」の伝説である。
怪物退治譚の一種なのだが、シャーマン(びわ法師)が自己犠牲を払って人々を助けた、という物語。
昔の宗教関係者はかなり外国の宗教も研究していたようであるし、原始キリスト教神話を基にして、修験道関係者が作り上げた物語なのではないだろうか、と個人的には想像する。
シャーマンが活躍して大洪水から身を守る、という説話は伏羲の物語にも通じる、と思う。
#昔話 #長野県 #中信 #竜 #龍 #びわ法師 #洪水 #怪物退治
by admin. ⌚ 2022年07月07日(木) 12:00:06 昔話 <290文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 81p、コラム
松本市中山にある「生妻池」の伝説である。
毎晩やってくる娘の着物の裾に糸をつけて後をつけたら、娘の正体は池の竜蛇女神であった、というもの。同じような伝説が岐阜県高山市朝日地区の道の駅の看板に書いてあったので、中部地方の竜蛇女神伝説としてはポピュラーな形式のものなのか、と思う。
生妻池の近くの弘法山古墳には「泉小太郎」伝説もある。小太郎の母の犀竜が、かつては広範囲に信仰されていた竜蛇女神であった証拠だと考える。
#昔話 #長野県 #中信 #竜 #龍 #女神 #池 #糸
by admin. ⌚ 2022年07月05日(火) 12:45:23 伝説,固有地名 <299文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 81p、コラム
筑北村差切峡の竜神の話。竜神は『降り続く長雨で、修那羅にあった大きな池が崩れた際、主の大蛇も流されて、差切峡の「ドの渕(ぶち)」に住み着いた。(「差切峡の大蛇伝説と竜王権現様祭り 」)より』のだが、猟師が鳥を撃つのを邪魔したため、猟師が竜神を殺したところ、祟りが生じたため、仙人が供養というか調伏した、という話である。
龍と鳥が一体のものである、というごく古いオーストロネシア語族の「世界樹」の概念の片鱗が残されている物語。竜神を殺した猟師はさしづめ羿といえよう。羿が悪しき三足烏や河伯を倒したところで、世の中がそれで全てうまくいくとは限らなくて、人が何もしなくても様々な天災は起こり得る。それを「祟り」としてシャーマン(本物語では「仙人」)でなければ収集できない、としてしまえば、神職やシャーマンの地位にある者は、永遠に「唯一祟りを鎮める者」として人々の上に君臨できるのではなかろうか。シャーマンが「神を生贄に捧げなければ、戦争は止まらない(止めない)、小麦も手に入らない(入れさせない)」と言い出すようなことがもしあれば、祟っている諸悪の根源はシャーマン自身ともいえるのではなかろうか、とふと想像したりするわけです。
本物語は仙人の祈祷が重要な要素であるため、修験道の宣伝的な意味があると思う。また、本物語の竜神は鳥との一体的な立場が強く、水神女神とする要素が乏しいため、中国的な「世界樹」の概念の方が起源として近い物語と感じる。誰が持ち来たったものなのか、興味深く感じます。
参考サイト:差切峡の大蛇伝説と竜王権現様祭り
#昔話 #長野県 #北信 #竜 #龍 #仙人 #祟り #調伏 #鳥
by admin. ⌚ 2022年07月04日(月) 00:43:27 <761文字> 編集
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 70-80p
「新長野のむかし話」編について。これは元の話からかなり改変がされている、と感じるが私が知る限り最悪の改変だと思う。
1.伝説にまつわる地名が記載されていない点(犀川、松本平など)
2.犀竜が悪いことをして罰を受けて竜にされてしまっている点
3.罰を受けた原因は、犀竜自身というよりも社会的な問題なのだが、なんでそれを弱者である犀竜が一番泥を被って犠牲にならなければならないのだろうか。現代的に、弱者を搾取することを正当化する思想に繋がらないだろうか。
4.小太郎が自らの出自に引け目を感じている点。読者である子供に、出自等で他人と違うことは「それだけで悪いことである」と思わせることにならないだろうか。現代的な教育という観点から多様性の尊重と平等や公平という精神を損なう物語とならないだろうか。
何より、犀竜自身は祀られている神社を持たない、といえども、かつての水内郡(現在の長野市)の犀川流域から広い範囲で九頭竜女神が水神として祀られていることを併せ考えれば、犀竜とは九頭竜女神のことである、と容易に気がつけるはず。そんなことも分からない奴がこの物語に手を出すんじゃねーよ、水内郡の伝統と文化に対する侮辱だ! と正直思います。(ま、元の話も竜蛇女神に自己犠牲を求める話で、個人的には好きではないのですが。)
同じ「日本標準」出版でも「長野の伝説」に収録されている方が原話に近いと思うので、いつか紹介できれば、と思います。犀川には他に安曇族の神の開拓神話もあるのですが。開拓神をないがしろにしてどうなってるのか、という「現実の歴史」もいつか紹介できれば、と思います。
#昔話 #長野県 #北信 #竜 #開拓神 #女神
by admin. ⌚ 2022年06月30日(木) 06:57:03 昔話,固有神獣,英雄名,起源・由来 <771文字> 編集
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 88-89p
高山市丹生川地区、乗鞍岳の伝説。
仁徳天皇の頃、飛騨に両面宿儺という鬼神が住んでいて、武振熊命に討たれた。その一方、両面宿儺は仏教寺院の開基や、乗鞍信仰を確立し、地元では英雄であった、という物語。
両面宿儺とは、どちらかといえば政治的に創作された人物だと思うし、だからこそ古代からの神のように見えて、仏教との関わりが深いのだと思う(仏教は古代日本では比較的新しい宗教概念なので。)。長野県側と比較するならば、八面大王とも、泉小太郎とも関連すると考える。中央と対立した神という点では八面大王と類似している。また、乗鞍の女神であると共に水と日輪の女神でもある乗鞍岳そのものを女神との何らかの潜在的な関わりで「祭祀者」となっている点、女神を押しのけて自らが主人公になっている点は泉小太郎的といえる。
参照:両面宿儺
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #女神 #太陽 #池 #怪物退治
by admin. ⌚ 2022年06月21日(火) 15:16:28 伝説,神話,英雄名,多エピソード保有人名 <424文字> 編集
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 85-87p
高山市朝日地区・美女峠、辻の池(美女ヶ池)の伝説。
美女峠に美しい比丘尼が住んでいて、美女ヶ池の大蛇の化身とも言われていた、とのこと。子供を生んで、人間の女性に乳母を頼んだ、という伝説がある。また比丘尼は「よもぎ餅」や「きなこ餅」を作って旅人に売っており、評判だったとのこと。
山口町では水不足の年には「雨乞い平」というところで雨乞いの儀式を行っていた、とのことである。
八百比丘尼は水や池、雨乞いに関わる存在であると供に、稲の豊穣に関する女神の変化したものといえる。彼女が作る餅は、女神自身の化身(一部)ともいえる。竜蛇の化身、という伝承があること、子供を生んでも父親の存在が明らかでない点、穀物とその豊穣の女神である点から、縄文の母系の豊穣の女神の性質を強く残した伝承であり、縄文の女神の有り様を良くうかがい知れると考える。子供の父親の存在がはっきりしないのは、母系社会では通い婚が通常で「父」とか「夫」というものが社会的に存在しないからである。
美女ヶ池では今でも女神になぞらえて「美女餅」というおみやげ品を売っているそうである。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #女神 #乳母 #餅 #池 #雨乞い
by admin. ⌚ 2022年06月21日(火) 06:15:20 伝説,神話,神名,固有地名 <546文字> 編集
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 71p
高山市の加茂神社の伝説。
神様が盗人を助けてくれた、という物語。楽しい物語というよりは、個人的にはこれぞ「The 加茂」という気がして笑えない-;。
「盗み取る」から、「農家は五穀を取る」、「受験生は点数を取る」、「政治家は票を取る」という「何かを得る」ことに通じる信仰がある、とのことである。正当な努力の結果、何かを得ることは正しいことといえようが、それが誰かから「盗み取る」となるとどうなのだろうか。
よそ八は女神から生き血を盗み取る、須佐之男は大宜津比売を殺して蚕と五穀を盗み取る、泉小太郎は母女神を殺して女神が開拓した土地を盗み取る、と。これは、弥生の人々が縄文の母系の人々から、女神信仰の文化と農地と財産を盗み取った思想の正当化そのものではないだろうか。西部開拓時代のアメリカみたいな思想だー、と正直思う。このような思想が「加茂」の名の下にあることが非常に興味深いと思う。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #盗賊 #泥棒
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 57p
宇津江川の滝に関する伝説。滝の由来譚。
新旧会わせた2つの思想が入り交じった興味深い物語である。
導入部に、沼や川(主に滝)には(竜)蛇体の女神がその化身である、という古い思想が見られる。女神には人を病気にする能力も、癒やす能力もあるようである。主人公が病に陥るのは、禁域に踏み込んで「見てはいけない神の正体を見たこと(禁忌を破ったこと)」の祟りかもしれない、と受け取れるが「祟り」の部分は明確にそうとは語られない。
中盤は女神が自らの身を削って主人公を助ける、というエピソードになる。これは「自己犠牲」といえる。禁忌を破ったものに対する罰(主人公の病気)を神が助けなければならない理由の方が、本来は「ない」と思われる。疫神が自ら実を削って人々を助ける、という思想は、原始キリスト教到来以後(私の私感としては)、あるいはおそくとも仏教到来以後の思想と思われるので、起源としてはせいぜい1世紀よりも後の思想と思われる。女神が「修行をする」という発想も仏教(修験道)的な考え方と思われる。
主人公の「願掛け」が女神を救うことになるので、この点も修験道的と思う。また主人公は女神(蛇)に劣らず水を操る力(通力とか法力と呼ばれるもの)を有していたと思われるので、自然界に働きかける特別な能力を持っていた、という点では主人公も「八卦」の伏羲に繋がるようなシャーマン的な性質の持ち主であったことを示している。名前にも「八」がつくし。この場合、主人公には「母なる水等の神」の特別な恩寵があり、女神と特別な関係だった、ともいえるし、その「特別性」が主人公を他の人々に対して、一段上の特別な人間にもしている、と思う。
主人公が川の女神と特別な関係にあって、人々の中でも特殊な地位にある、という物語は長野県の「泉小太郎」の物語にも似る。物語の起源としては近いのではないだろうか。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #川 #沼 #疫神 #修験道 #シャーマン #伏羲 #八卦 #女神
by admin. ⌚ 2022年06月20日(月) 06:23:13 伝説,神話,起源・由来,固有地名 <871文字> 編集
1.ミーノータウロス退治のように、「主人公が怪物を退治し、怪物の近親者(姉妹、娘など)を妻とするタイプ」とその変形の物語。
(1) 問題解決のために「妻の手助け」があるタイプ → 「テーセウスとアリアドネー」型 #テーセウスとアリアドネー
(1)-あ 問題を姑が課すタイプ → 「ポポヨラのロウヒ」型 #姑
(1)-い 問題を舅が課すタイプ → 「須佐之男」型 #舅
(2) 主人公を助けるために女主人公が犠牲になるタイプ → 「エンリルとニンリル」型 #エンリルとニンリル
(2)-あ 退治されるのが女性で有罪であるタイプ → 「ティアマト」型 #ティアマト
(2)-い 主人公を軸として死により女主人公が入れ替わるタイプ他 → 「シヴァとサティー」型 #シヴァとサティー
(3) 問題解決のために「女神的存在の手助けがある」タイプ → 「ホレのおばさん」型 #ホレのおばさん
(4) 問題解決のために「男神的存在の手助けがある」タイプ → 「オーディン」型 #オーディン
(4)-あ 問題解決のために「神や仲間との力(食欲)くらべ」があるタイプ → 「ヤコブ」型 #力くらべ
(4)-い 問題解決のために男主人公が単独で解決するタイプ → 「ポセイドーン」型 #ポセイドーンとアムピトリーテー
(4)-う 問題解決のために男主人公が単独で解決し、結婚しないタイプ → 「聖ゲオルギウス」型 #聖ゲオルギウス
(4)-え 問題解決のために異種の供がつくタイプ → 「ブレーメン」型 #ブレーメン
(4)-お 問題解決のために若者等の供がつくタイプ → 「ボロルドーイ」型 #ボロルドーイ
(4)-か 問題解決のために「神の使いの手助け(女性等)」があるタイプ → 「ワルキューレ」型 #ワルキューレ
(4)-き 問題解決のために「動物神他の手助け」があるタイプ → 「動物神」型 #動物神
(4)-く 問題解決のために「動物神他を無理矢理こき使う」タイプ → 「酷使」型 #酷使
(4)-け 問題解決のために「物質の精霊他の手助け」があるタイプ → 「魔法のランプ」型 #魔法のランプ
(4)-こ 助け手が主人公に代わり問題を解決するタイプ → 「ジークフリート」型 #ジークフリート
(4)-さ 大勢の人が主人公と共に戦い、問題を解決するタイプ → 「蜂起」型 #蜂起
(5) 問題解決のために武力ではなく知恵を使うタイプ → 「叡智」型 #叡智
(5)-あ 問題解決のために謎を解くタイプ → 「謎解き」型 #謎解き
(5)-い 謎を解くのに姥捨老人の知恵を得るタイプ → 「姥捨て」型 #姥捨て
(5)-う 問題解決のために詐欺的な悪知恵を使うタイプ → 「詐欺」型 #詐欺
(5)-え 問題解決のために知恵で相手を関心させるタイプ → 「怪物納得」型 #怪物納得
(5)-お 問題解決のために祭祀を行うタイプ → 「祭祀」型 #祭祀
(5)-か 問題を女主人公が課すタイプ → 「王女出題」型 #王女出題
(5)-き 女主人公が「怪物(主に実家)」の側につくタイプ → 「怪物尊重」型 #怪物尊重
(6) 主人公が弓の名手であるタイプ → 「射日神話」型 #射日神話
(7) 主人公が動物番であるタイプ → 「動物番」型 #動物番
(7)-1 主人公が草食動物であるタイプ → 「羊と狼」型 #羊と狼
(8) 女主人公と主人公が破綻するタイプ → 「ゲイと嫦娥」型 #ゲイと嫦娥
(8)-あ 結婚前から女主人公と主人公が破綻しているタイプ → 「ティアマト」型 #ティアマト
(8)-い 女主人公が古い夫(主に老人)から乗り換えるタイプ → 「ネミの森」型 #ネミの森
(9) 怪物の急所が隠されているタイプ → 「秘密の急所」型 #秘密の急所
(10) 家にやってくる怪物を退治するタイプ → 「迎え撃ち」型 #迎え撃ち
(11) 家にいる怪物を退治するタイプ → 「追い払い」型 #追い払い
(11)-1 家にいる怪物を追い払えず逃げ出そうとするタイプ → 「追い払い失敗」型 #追い払い失敗
(12) 怪物を物に閉じ込めるタイプ → 「封印」型 #封印
2.主人公が目上の存在(父親、上司等)と対立して旅に出るタイプ → 「射日神話」型 #ゲイ流譚
2-あ 主人公が特に海に流されるタイプ → 「淡島」型 #淡島
3.主人公(あるいは女主人公)が怪物から逃走するタイプ
(1) 魔法や変身で逃げおおせるタイプ → 「呪的逃走」型 #呪的逃走
(1)-あ 他人に匿われながら逃げおおせるタイプ → 「匿い」型 #匿う
(1)-い 動物と一緒に生活するタイプ → 「獣の王」型 #獣の王
(1)-う 主人公が鳥に運んで貰うタイプ → 「怪鳥」型 #怪鳥
(1)-え 主人公が魚に運んで貰うタイプ → 「ヨブ」型 #ヨブ
(1)-お 鳥・魚以外の動物他に運んで貰うタイプ → 「運搬動物」型 #運搬動物
4.主人公が魔法使い等の弟子であるタイプ → 「魔法使いの弟子」型 #魔法使いの弟子
4-あ 主人公が半身であるタイプ → 「半身英雄」型 #半身英雄
5.女主人公の所業で主人公(夫)が不幸になるタイプ → 「ネミの森」型 #アルテミス
5-あ 女主人公の所業のうち不貞以外での不幸(特に浪費)が隠されているタイプ → 「食わず女房」型 #食わず女房
6.女主人公が主に家族のために旅に出るタイプ → 「鉢里公主」型 #鉢里公主
(1) 失踪した兄弟や夫を探すタイプ → 「兄達を探す乙女」型 #兄その他を探す乙女
(1)-あ 女主人公のえん罪等により失踪した兄弟や夫を探すタイプ → 「えん罪」型 #えん罪
(1)-い 継子虐めにより旅に出るタイプ → 「継子虐め」型 #継子虐め
(2) 火を求めるタイプ →「火を探す乙女」型 #火を探す乙女
(3) 問題解決のために「夫の手助け」があるタイプ → 「クピードーとプシュケー」型 #クピードーとプシュケー
7.女主人公が失踪するタイプ → 「セクメト」型 #セクメトの失踪
(1) 失踪した妻を夫が探すタイプ → 「いなくなった妻を探す夫」型 #いなくなった妻を探す夫
(2) 主人公の所業に不満があって女主人公が失踪するタイプ → 「ラ・ラメー」型 #ラ・ラメー
(3) 「見るな」等の禁忌に触れて女主人公が失踪するタイプ → 「鶴女房」型 #鶴女房
8.主人公(達)を助けるために女主人公が身代わり的な子供を産むタイプ → 「エンリルとニンリル」型のうち「出産」型 #出産
8-あ 女主人公が性行為以外で妊娠するタイプ → 「処女懐胎」型 #処女懐胎
9.主人公が何らかの理由で複数の人の命を求めるタイプ → 「ザッハーク」型 #ザッハーク
10.女主人公他が上位の女性から呪いをかけられるタイプ → 「メドゥーサ」型 #メドゥーサ
10-1 呪いの原因が明確な侮辱であるタイプ → 「アテーナーとアラクネー」型 #アテーナーとアラクネー
11.女主人公が眠っているタイプ → 「眠り姫」型 #眠り姫
(1) 女主人公が扉の中に閉じ込められているタイプ → 「天岩戸」型 #閉じ込められている乙女
(2) 幼児が見知らぬ父親を言い当てるタイプ → 「賀茂別雷命」型 #賀茂別雷命
12.主人公他の命を巡って二柱の男神が対立するタイプ → 「神と悪魔」型 #オーディンとトール
13.樹木から豊穣を得るタイプ → 「樹木信仰」型 #樹木信仰
(1) 樹木信仰のうち、鳥から豊穣を得るタイプ → 「鳥信仰」型 #鳥信仰
14.神々が旅をして死者を生き返らせるタイプ等 → 「蘇民将来」型 #蘇民将来
14-1 願いをかなえるタイプ → 「希望成就」型 #希望成就
14-2 労働を続けるタイプ → 「労働継続」型 #労働継続
14-3 1,2の内、神々が旅をしないタイプ → 「神固定」型 #神固定
15.キリスト教の影響を受けた物語のタイプ → 「キリスト教」型 #カトリック
15-あ 悪魔に自ら魂を売るタイプ → 「魂売り」型 #魂売り
16.存在を知らない子供を悪魔等に渡すタイプ → 「不知の子」型 #不知の子
17.神的アイテムとして鉄の棒やムチが出てくるタイプ → 「鉄の棒」型 #鉄の棒
17-あ 際限のない食事を出すアイテムが出てくるタイプ → 「魔法の大釜」型 #魔法の大釜
17-い 地獄の大釜が出てくるタイプ → 「地獄の大釜」型 #地獄の大釜
17-う 触れると霊が出てくるタイプ → 「魔法のランプ」型 #魔法のランプ
17-え その他豊穣をもたらすアイテムが出てくるタイプ → 「豊穣のアイテム」型 #豊穣のアイテム
18.二人の女性が入れ替わるタイプ → 「親切な少女と不親切な少女」型 #イナンナとエレシュキガル
18-あ 結婚を巡って二人の女性が入れ替わるタイプ → 「瓜子姫」型 #瓜子姫
18-い 18-あのうち、特に主人公の「眠り」によって女性が入れ替わるタイプ → 「ドゥムジ」型 #ドゥムジ
18-う 女主人公によって女神が再生されるタイプ → 「アルテミスとイーピゲネイア」型 #アルテミスとイーピゲネイア
18-え 女主人公(の命)によって植物が再生されるタイプ → 「ハイヌウェレ」型 #ハイヌウェレ
18-お その他、女神が何らかの代償で再生されるタイプ → 「再生される女神」型 #再生される女神
19.「瘤取り」等のように二人等の男性が入れ替わるタイプ → 「オシリスとセト」型 #オシリスとセト
20.妻が人間ではないタイプ → 「異類嫁」型 #異類嫁
20-あ 妻が鳥や天女等であるタイプ → 「天人女房」型 #天人女房
20-い 服(皮)を隠すタイプ、服が見つかることが禁忌となる → 「羽衣」型 #羽衣
20-う 男女を問わず服(皮)を処分するだけのタイプ → 「皮処分」型 #皮処分
21.夫が人間ではないタイプ → 「異類聟」型 #異類聟
21-あ.夫が犬であるタイプ → 「盤瓠」型 #盤瓠
21-い.夫が猿であるタイプ → 「猿聟」型 #猿聟
21-う.夫が蛇や竜であるタイプ → 「蛇聟」型 #蛇聟
22.冥界が地下世界でなく「海の向こう」にあるタイプ → 「竜宮」型 #竜宮
23.神々と交流する際に禁忌があるタイプ → 「禁忌」型 #禁忌
23-あ 特に「見てはならない」タイプ → 「見るな」型 #見るな
23-い 特に「恐れてはならない」タイプ → 「恐れ」型 #恐れ
23-う 特に「馬を恐れない」タイプ → 「タフムーラス」型 #タフムーラス
24.怪物退治ではなく宝物入手が目的となっているタイプ → 「イアーソーン」型 #イアーソーン
24-あ その他の目的で流転するタイプ → 「アイネイアース」型 #アイネイアース
25.異界で非常に長時間が経過するタイプ → 「浦島太郎」型 #浦島太郎
参照:「魔法のアイテム 」
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