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カテゴリ「神話」に属する投稿40件]

両面宿儺の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 88-89p

 高山市丹生川地区、乗鞍岳の伝説。
 仁徳天皇の頃、飛騨に両面宿儺という鬼神が住んでいて、武振熊命に討たれた。その一方、両面宿儺は仏教寺院の開基や、乗鞍信仰を確立し、地元では英雄であった、という物語。

 両面宿儺とは、どちらかといえば政治的に創作された人物だと思うし、だからこそ古代からの神のように見えて、仏教との関わりが深いのだと思う(仏教は古代日本では比較的新しい宗教概念なので。)。長野県側と比較するならば、八面大王とも、泉小太郎とも関連すると考える。中央と対立した神という点では八面大王と類似している。また、乗鞍の女神であると共に水と日輪の女神でもある乗鞍岳そのものを女神との何らかの潜在的な関わりで「祭祀者」となっている点、女神を押しのけて自らが主人公になっている点は泉小太郎的といえる。

参照:両面宿儺

#伝説 #岐阜県 #飛騨 #女神 #太陽 #池 #怪物退治

by admin. 伝説,神話,英雄名,多エピソード保有人名 <424文字> 編集

八百比丘尼の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 85-87p

 高山市朝日地区・美女峠、辻の池(美女ヶ池)の伝説。
 美女峠に美しい比丘尼が住んでいて、美女ヶ池の大蛇の化身とも言われていた、とのこと。子供を生んで、人間の女性に乳母を頼んだ、という伝説がある。また比丘尼は「よもぎ餅」や「きなこ餅」を作って旅人に売っており、評判だったとのこと。

 山口町では水不足の年には「雨乞い平」というところで雨乞いの儀式を行っていた、とのことである。

 八百比丘尼は水や池、雨乞いに関わる存在であると供に、稲の豊穣に関する女神の変化したものといえる。彼女が作る餅は、女神自身の化身(一部)ともいえる。竜蛇の化身、という伝承があること、子供を生んでも父親の存在が明らかでない点、穀物とその豊穣の女神である点から、縄文の母系の豊穣の女神の性質を強く残した伝承であり、縄文の女神の有り様を良くうかがい知れると考える。子供の父親の存在がはっきりしないのは、母系社会では通い婚が通常で「父」とか「夫」というものが社会的に存在しないからである。

 美女ヶ池では今でも女神になぞらえて「美女餅」というおみやげ品を売っているそうである。

#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #女神 #乳母 #餅 #池 #雨乞い

by admin. 伝説,神話,神名,固有地名 <546文字> 編集

盗人神(加茂神社)の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 71p

 高山市の加茂神社の伝説。
 神様が盗人を助けてくれた、という物語。楽しい物語というよりは、個人的にはこれぞ「The 加茂」という気がして笑えない-;。

 「盗み取る」から、「農家は五穀を取る」、「受験生は点数を取る」、「政治家は票を取る」という「何かを得る」ことに通じる信仰がある、とのことである。正当な努力の結果、何かを得ることは正しいことといえようが、それが誰かから「盗み取る」となるとどうなのだろうか。

 よそ八は女神から生き血を盗み取る、須佐之男は大宜津比売を殺して蚕と五穀を盗み取る、泉小太郎は母女神を殺して女神が開拓した土地を盗み取る、と。これは、弥生の人々が縄文の母系の人々から、女神信仰の文化と農地と財産を盗み取った思想の正当化そのものではないだろうか。西部開拓時代のアメリカみたいな思想だー、と正直思う。このような思想が「加茂」の名の下にあることが非常に興味深いと思う。

#伝説 #岐阜県 #飛騨 #盗賊 #泥棒

by admin. 伝説,神話,起源・由来 <454文字> 編集

宇津江の滝の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 57p

 宇津江川の滝に関する伝説。滝の由来譚。
 新旧会わせた2つの思想が入り交じった興味深い物語である。

 導入部に、沼や川(主に滝)には(竜)蛇体の女神がその化身である、という古い思想が見られる。女神には人を病気にする能力も、癒やす能力もあるようである。主人公が病に陥るのは、禁域に踏み込んで「見てはいけない神の正体を見たこと(禁忌を破ったこと)」の祟りかもしれない、と受け取れるが「祟り」の部分は明確にそうとは語られない。

 中盤は女神が自らの身を削って主人公を助ける、というエピソードになる。これは「自己犠牲」といえる。禁忌を破ったものに対する罰(主人公の病気)を神が助けなければならない理由の方が、本来は「ない」と思われる。疫神が自ら実を削って人々を助ける、という思想は、原始キリスト教到来以後(私の私感としては)、あるいはおそくとも仏教到来以後の思想と思われるので、起源としてはせいぜい1世紀よりも後の思想と思われる。女神が「修行をする」という発想も仏教(修験道)的な考え方と思われる。

 主人公の「願掛け」が女神を救うことになるので、この点も修験道的と思う。また主人公は女神(蛇)に劣らず水を操る力(通力とか法力と呼ばれるもの)を有していたと思われるので、自然界に働きかける特別な能力を持っていた、という点では主人公も「八卦」の伏羲に繋がるようなシャーマン的な性質の持ち主であったことを示している。名前にも「八」がつくし。この場合、主人公には「母なる水等の神」の特別な恩寵があり、女神と特別な関係だった、ともいえるし、その「特別性」が主人公を他の人々に対して、一段上の特別な人間にもしている、と思う。

 主人公が川の女神と特別な関係にあって、人々の中でも特殊な地位にある、という物語は長野県の「泉小太郎」の物語にも似る。物語の起源としては近いのではないだろうか。

#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #川 #沼 #疫神 #修験道 #シャーマン #伏羲 #八卦 #女神

by admin. 伝説,神話,起源・由来,固有地名 <871文字> 編集

人身御供(ひとみごくう)の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 32p

 宮川村の人身御供伝説。
 前半は八岐大蛇的な若い娘の生贄を求める大蛇の話。
 後半は娘自身が大蛇を倒す話。蛇が金物(特に針)を嫌う点は三輪山伝説に類似している。蛇(化け物)退治の英雄は登場しない。
 村の水田の開墾由来譚であり、お寺での断食供養の由来譚でもある。
 女性の力が開墾(村全体の収入や生活の安定の元となる事業)を可能にしたり、悪者の存在を解決する点は、岩見の乙子狭姫 の伝承と似る。かつては女神が直接農作物の豊穣をもたらす、という伝承があり、それが崩れたものか。飛騨地方の縄文時代の信仰を知る上での資料となり得るような古い時代に起源のある物語なのでは、と思う。(生きているままの女神に対する信仰の片鱗が残っているから。)
 お寺での断食供養はやや「犠牲的」な祭りといえるが、若い女性が女神(水や豊穣の神)の代理人あるいは祭祀者として神を祀っていた縄文時代の祭祀の名残かもしれないと思う。

 宮川村は縄文時代のイノシシ、クマ、蛇などの動物をかたどった動物意匠紋土器が岐阜県で初めて出土した地とのこと。石棒も出土しているようである。(石棒を「金精様」と呼ぶのは岐阜県の習慣だろうか?)

#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #こんにゃく #針 #怪物退治 #開墾

by admin. 伝説,神話,起源・由来,固有地名 <573文字> 編集

スカンジナビア半島のトロール

トロールは丘陵地、長塚、土墳などの下に共同体を作り暮らすためスウェーデンではベルグフォルク(丘の人々)と呼ばれた。彼等の住処は財宝でいっぱいで夜になると光り輝くと言われた。彼らは騒音を嫌い鐘や教会からは離れて暮らした。気に入った人間には富と幸運をもたらし、気に入らないものには不運と破壊をもたらした。また女子供をさらい財宝を盗む。金属工芸にも秀で、薬草や魔法を使った治療にも秀でていると言う。日の光に当たると石に変わるため、夕暮れ時から明け方までしか姿を見せない。
参照:トロール

#神話 #スカンジナビア #デンマーク #北欧 #トロール

by admin. 神話,定義 <288文字> 編集

小人の剣ティルフィング(ティルヴィング(Tyrfing))
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 90-92p

 小人の剣は、作り手を脅したりして無理矢理作らせると、持ち主に不幸をもたらす、という例の物語。
 「ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ(古ノルド語: Hervarar saga ok Heiðreks)」の中心となる呪われた剣である。

 サガの筋は「『北欧神話と伝説』、V.グレンベック著、山室静 訳、講談社、278-302p」に詳しい。
 
#伝説 #北欧 #ドワーフ #魔法のアイテム #文献  #小人

by admin. 伝説,神話,固有アイテム <258文字> 編集

ロキと小人
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 86-88p

 ドゥエルガル(dvergr)の性質を示すものとして、カイトリーが紹介した物語。「妖精の誕生」の目次では民話とされているが、神話である。神々の武器をロキがどのようにして手に入れたのか、という由来譚になっている。 参照:シフの髪を切った話
 小人とは、この物語のように魔法のアイテムを作る、主に地下に住む鍛治師とされている。
 この物語についての「妖精の誕生」でのカイトリーの解説には、個人的には何も言えない。(というか、何が言いたいのかよく分からない。)

 シフの髪を切った話は、「怪物退治譚」の変形で、宝物探報が主な目的となった「イアーソーン型」である。物語の導入部分は、上位の神トールとの対立であるので、「ゲイ流譚型」といえる。
 物語としては、流れに疑問を感じる不自然な場面がいくつかあり、欠損を思わせる。それは、
 1.何故ロキがシヴの髪を刈ってしまうのか。なぜ、自然に髪が伸びるまで待てないのか。という点
 2.手に入れた魔法のアイテムはいわば「賠償品」であって、最初からロキのものではないのだが、なぜロキは品物を自慢したりしたのか。そして、なぜ命を賭けた賭けをしたのか。という点
の2点である。
 「シヴの髪を刈る行為」は、「長く豊かな髪」は女性らしさの象徴でもあり、夫の自慢でもあるので、それは「女性の死」の暗喩であると思う。つまり、ロキはシヴを殺してしまったので、その再生のために冥界を流転する旅に出ることになる。旅には、シヴの再生の目的と、もっと人の現実世界に近い「賠償」のため、という2つの側面がある。ロキの旅に2段階あるのは、最初の旅のみでは、再生に足りない、あるいは賠償が足りない、とされる理由が本来あったのではないだろうか。そのため、さらなる目的物を得るためにロキは命を賭けなければならないのである。一つの命を再生させるために、新たな命が必要とされる、というのはよくある神話のパターンである。
 そして、旅の目的を果たしてロキは帰還するが、結局は成功と認められないことになる。従ってロキは殺されねばならない。この展開にも2面性があり、ロキはシヴの再生のために最初から命を差し出さねばならない、という神話的目的と、「賠償に失敗したから」という現実的な目的が入り交じっているように思う。「口をきけないようにする」という展開は、「ロキの死」を暗喩している。

 民話では、物語の最後は「めでたし めでたし」で終わることが多いが、西欧の神話では特に悲劇で終わることが多い。登場人物のほとんどが死んでしまう「ニーベルンゲン」のような物語もある。ただし、本物語は、「北欧神話」という大きな物語群の中で、「神々の武器の由来譚」としての位置を与えられたこと、ロキの最期がラグナロクに位置づけられたことなどから、ロキの死は暗示されるだけで、物語の上では死なない、ということに変更されたのではないか、と思われる。男神が女神を再生させる、という点ではイナンナとタンムーズ的ともいえる。タンムーズも冥界のイナンナの怒りを買ったことが、彼の死の原因とされている。

 類話はケルト神話の「トゥレンの息子達 」である。主人公達は、人の命を奪い、上位の神に賠償するために財宝を探索する「イアーソン型」かつ「ゲイ流譚型」の旅をする。試練が2部制になっている点、最期に主人公達が亡くなる点等が共通である。

#神話 #北欧 #イアーソーン #ゲイ流譚 #魔法のアイテム #イナンナとタンムーズ #損害賠償 #小人 #ドワーフ

by admin. 民話,神話,起源・由来,多エピソード保有人名 <1491文字> 編集

ドゥエルガル(dvergr)
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 85-86p

 「ドゥエルガルははじめユミルの肉の中に創造され、生活をはじめ、その中のウジとなっていたが、神々の意志によって人間の知識を分け与えられ、人の姿をとるようになった。しかしなお大地の中と石の中に住んだ。(エッダ)」
 とのことで、彼らは冶金術に優れている。

 ドゥエルガル(dvergr)は英語のドワーフ(dwarf)の起源である。
 個人的には、地下世界の宝を形にする存在なので、冥界神が崩れて精霊化したものではないか、と思う。
 
#神話 #北欧 #ドワーフ

by admin. 神話,定義 <271文字> 編集

アルファル(alfer他)
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 82-84p

 明るいアルファル
 「ユグドラシルの下、アルフ・ヘイムと呼ばれる町があり、明るいアルファルとよばれる人々が住んでいる。明るいアルファルの姿は太陽より白い。」とされた。(「散文のエッダ」より)
 ノルニル(ノルンの複数形)はアルファルの種族だとされている。

 暗いアルファル
 「地下世界に住んでいる。暗いアルファルの姿は歴青(ピッチ)より黒い。」とされた。(「散文のエッダ」より)

 ノルン
 神の種族とされるもの:人間の人生を形作るもの。ウルズ(ウドル)、ヴェルザンディ(ヴェルタンディ)、スクルド(過去、現在、未来)の3姉妹である。
 アルファルに属するもの:神以外のもの
 ドゥエルガルに属するもの:上記以外

 とされた。

 アルファル(alfer)は英語のエルフ(elf)の起源である。

 参照:エルフ
 
#神話 #北欧 #エルフ

by admin. 神話,定義 <484文字> 編集

甥と叔父
「シルクロードの民話 パミール高原」 86-106p

 主人公と女主人公が上位の者と対立して町を追い出されるところは「ゲイ流譚」型といえる。
 女主人公が魔人の側について、兄を殺そうとする。「怪物退治」のうち、ティアマト型といえる。自ら生んだ息子に殺される点も、マルドゥクとティアマトの関係を連想させる。魔人が穴の中に封印されていた点は、元は「冥界神」だったことの暗喩といえる。
 甥が叔父に代わって戦い、魔人を倒したり、花嫁を得る点はまさに「ジークフリート型」といえる。
 
 本来的な物語が「テーセウスとミーノータウロスとアリアドネー」だったとすれば、本来は女主人公と魔人が兄妹(あるいは姉弟)という関係であって、外からやってきた主人公(本物語では「兄」)の方が略奪婚の当事者だったといえるのではないか、と思います。私は、民話を考察する際に女主人公から見て「兄弟」と「夫」の区別はあまりつけません。なぜなら、古代の特に母系社会ではイシスとオシリスのように、兄妹であって夫婦である、ということは珍しいことではなく、むしろ家の財産を守るためにはその方が妥当であった、という文化があるからです。日本の古代の天皇家も、異母兄弟で結婚して天皇、皇后となり、皇族でなければ皇后として認められなかった、という時代がありました。そこには現代的に「兄弟」と「夫」を区別する文化はありませんでした。古代日本の「妹」という言葉は、妻を指す言葉でもあり、妹を指す言葉でもあったのです。また、通い婚である母系社会では、夫は複数いて当然ですので、女性の不貞という概念がなく、その点も現代と異なります。そのように考えると本物語の「甥」は、本当は魔人の子供なのか、兄の子供なのかも分からない、ということになります。子供が主人公のことを愛して、父親だと感じていたのであれば、血のつながりに関係なく主人公の側につくことは母系社会的にはあり得ること、と思います。ただし、本物語では「甥」は魔人の血を引いた半人半神のような英雄であり、正義に味方する若き神のような存在ですので、そういう点も「正義の神」であるマルドゥクを連想させます。そして、当然イスラム文化の影響を受けている物語ですから、イスラム的には女主人公の死は「名誉殺人」的な概念となるのかなあ、と思います。(身内を裏切って、身内の賛成しない男と仲良くなって正式な結婚もせずに、事実上の夫婦となっているわけだから。ただし、民話としてはそのような女主人公の行動も古代の女神の名残のように思われます。)

 ジャムシード王は伝説的な古代ペルシアの王と言われていますが、インド神話のヤマ(閻魔)、北欧神話のユミルと同語源であると言われています。ジャムシード王の尽きせぬ宝がどこかの洞窟に隠されている、との考え方は、「さまざまな鉱物資源(尽きせぬ宝)を体内にため込んでいるプタハのような大地(冥界)の神」を連想させ、少なくとも民間的にはジャムシード王のことを、「宝物をため込んでいる冥界の王」と見なし得るような口頭伝承があったのかもしれない、と思うと、ジャムシード王からヤマへの変遷が感じられて興味深く思います。

#民話 #タジキスタン #ゲイ流譚 #怪物退治 #ティアマト #怪物尊重 #ジークフリート

by admin. 民話,神話 <1383文字> 編集

ハンナハンナとテリピヌの神話

女神ハンナハンナが行方不明になったテリピヌを探し出して目覚めさせた、というヒッタイトの神話である。
兄たちを探す乙女」の神話的起源に一番近い物語ではあるまいか、と思う。
語源的にも、ハンナハンナはメソポタミアのイナンナ、テリピヌはドゥムジと同一であると思う。

#神話 #トルコ #ヒッタイト #イナンナとドゥムジ #兄その他を探す乙女

by admin. 神話 <186文字> 編集

風の神のおよめさん
「ソヴィエト諸民族民話集」 178-190p

 クピードとプシューケー的な男神との婚姻譚である。ニンリル的でもある。最初の2人の妻が殺される点はシヴァとサティー的である。
 女主人公が家族のために家を出る点は鉢里公主的といえる。
 風神コトゥーラとは、スラブのぺルーンあるいはゲルマンのトールに相当する神か?
 「美女と野獣」の類話と考える。

 参考:美女と野獣

#民話 #ネネツ族 #難題嫁 #人身御供 #鉢里公主 #シヴァとサティー #美女と野獣

by admin. 民話,神話 <239文字> 編集

地主が馬になった話
「ソヴィエト諸民族民話集」 154-158p

 下男達の助け手となる男神がペルーンであることが明らかになっている物語。
 前半は地主=怪物的な物語で、ペルーン(物語中ではペコルーン)が問題解決をしてしまう。物語の主人公はペルーンといえる。
 後半は馬に変えられた地主がキャベツを食べて再生する話で、キャベツを捧げられる馬の神のような扱いになっている。地主は家畜の神であるヴォーロスの化身といえようか。地主(ヴォーロス)は再生されると新たに結婚生活をやり直すわけで、結婚の復活も神らしい結末と言える。
 「馬を恐れない」という禁忌は明確な言葉では現れないが、下男達の容赦ない態度から暗喩される。タフムーラス型といえる。

#民話 #ラトビア共和国 #馬 #禁忌 #タフムーラス #食事 #恐れ #おじいさん #ペルーン #ヴォーロス #聖ゲオルギウス #地主 #怪物退治 #変身 #キャベツ #植物 #吝嗇

by admin. 民話,神話,神名 <413文字> 編集

フェリドゥーン(ファリーズーン)
鍛冶屋・カーヴェ(カーワ)に助けられて、蛇王ザッハーク(ザーハーク)を倒す。ジャムシード王の二人の妹と結婚する。

イーラジ
フェリドゥーンの3人の息子の末子。兄二人に妬まれて殺される。

マヌーチェフル(ミヌーチール)

イーラジの孫。フェリドゥーンに助けられて、祖父の敵を討つ。フェリドゥーンの後継者となる。

「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」 64-79p

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #英雄 #王 #敵討ち

by admin. 神話,英雄名 <245文字> 編集

ロスタム(ローステム)とラクシュ(レクシ)

「妖精の誕生 トマス・カイトリー」
 七道程 (ハフト・ハーン)という冒険を行う。デーヴァ(デーヴ)との戦いである。 32-34p
 レクシはローステムの愛馬である。

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #英雄 #悪神 #鳥 #馬 #神獣 #怪物退治

by admin. 神話,英雄名,固有神獣 <155文字> 編集

タフムーラス(タームーラース、タームラス)


 タフムーラスは、ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する、古代イランの第3代目の王である。フーシャング王の子で、ジャムシード王(『アヴェスター』における聖王イマ)の父とされる。また悪魔の束縛者であり、アフリーマンに騎乗して、世界中を駆け巡ったという伝説の持主である。
 神々(特に悪神)を支配する際に「恐れ」が禁忌とされた。(Wikipedia より)

 「神馬を恐れてはならない」という禁忌が存在する点は「悪魔の難題」、「地主が馬になった話」にその片鱗が見える。
 悪魔を酷使する際に「恐れ」が禁忌とされる点は「鉄のハンス」が類話である。

 黒い馬 「王者を飲む怪馬」タフムーラス(タームーラス)王(Tahmurasu)を飲み込む。 42p

「妖精の誕生」
デーヴ・ベント(デーヴを縛る者)と呼ばれた。
 ペリに味方すべきか、デーヴに味方すべきかをシームルグ(セームルグ)に相談する。 31-32p
 シームルグの羽毛を冑に飾る。

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #タフムーラス #王 #悪神 #酷使 #鳥 #神鳥 #馬 #禁忌 #恐れ #シームルグ

by admin. 神話,固有神獣,英雄名 <516文字> 編集

豊穣の牝牛

ペルシャ:ビルマーヤ:英雄フェリドゥーンを育てる
インド:スラビーまたはカーマデーヌ
ケルト:グラス・ガヴナン:鍛冶師ゴヴニュの牛

ギリシャ神話のアマルティアに通じる性質がある。

#神話 #牝牛 #雌牛 #牛 #神獣

by admin. 神話 <117文字> 編集

レルワニ
エレシュキガル、ヘルと類似している。
名前的にはペルセポネーと近いか?

#神話 #トルコ #ヒッタイト #ハッティ #冥界神 #女神

by admin. 神話 <72文字> 編集

ジャムシード(聖王イマ(Yima)) 44-54p
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」
インドのヤマ(Yama)(人類の始祖)、北欧神話のユミル(Ymir)と同語源。
神より一本の黄金の矢、黄金をこめた一本の鞭、聖なる火を送られる。
「恐ろしい冬」を囲繞地の中で過ごす。(「ノアの箱舟」的である。)
禁忌の食物を食べ、不老不死を失う。(「アダムとイブ」に類似している。)
イマとイマク(妹)は悪魔と婚姻し神を裏切る。(「アダムとイブ」は悪魔にそそのかされ神を裏切る。)
アジ・ダハーカ(Azhi Dahaka)という怪蛇に殺される。(「アダムとイブ」は蛇に化けた悪魔にそそのかされ、不老不死の生命を失う。)

語源的には、
ドゥムジ、タンムーズ、デモポン、テリピヌ
アドニス、アッティス、アダム
と類似があるか。

性質的には、エンキ、オシリス、浦島太郎、(蛭子)にも類似する。
この系統の神(あるいは特別な人間)は、「死」と関連があり必ず死ぬ(あるいは異界を旅する、一時的に眠りにつく、等)。
そして、その「死」にはなにがしかの神話的意味が存在する。

 ジャムシード王の隠された宝がどこかに埋められている、という民間伝承があるようである。「甥と叔父」参照。

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #英雄 #蛇 #イナンナとドゥムジ

by admin. 伝説,神話 <583文字> 編集

煙を吐く怪物にホーシャングが出会って、これに岩を投げつけ、火の起源となった。
ホーシャング(Hoshang)  「火の起源」 13-14p
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #英雄 #火

by admin. 神話 <129文字> 編集

シヤーマク(Siyamak)  「最初のペルシア王」 38p
豹の皮をまとう戦士
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」
チャタル・ヒュユク

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #英雄 #豹

by admin. 神話 <110文字> 編集

ゾロアスターとその武器
ハオマの液汁、神聖な臼、神聖な盃  「ゾロアスターとその迫害」 36p
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #宝物 #魔法のアイテム

by admin. 神話 <113文字> 編集

トゥンダ
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 105-107p
ドンナー
トム・ティット・トット的な「名前当て」の物語。
狩人がドンナー(雷神)であるとすれば、隠者はさしずめオーディン(暴風神)であろうか。
ゲルマン的な香りのする民話といえる。
二人の男神が対立する点は、オシリスとセト的でもある。

 「名前当て」の類話は「カルンドボルグ教会」である。

#民話 #オーストリア #狩人 #謎解き #試練 #猪 #真理 #真名 #名前当て #隠者 #叡智 #樹木信仰 #オーディンとトール

by admin. 民話,神話 <250文字> 編集

マシュヤグとマシュヤーナグ(Mašyag,Mašyānag)(マーシヤ(Mashya)とマーシオーイー(Mashyoi))
最初の男女
1本の樹木から発生した。 「最初の男女の仕業」 26p
最初に山羊の乳を飲んだことが示唆され、「乳母」に相当する動物に「山羊」が当てはめられています。ニンフルサグ信仰、ゼウスの乳母アマルティア等との共通性が示唆される。 27p
羊の肉を食べ神に捧げる。 27-28p
類似:アスクとエムブラ(樹木から男女が発生する)、アダムとイブ
アダムとイブの場合、
(1)蛇の姿をした悪魔がアダムとイブを誘惑して、楽園を喪失することになるが、マーシヤとマーシオーイーは堕落して神を讃えず、自ら悪魔に供物(牛の乳)を捧げて悪魔を讃えるようになる。
(2)子供のうち弟のアベルが兄のカインに殺されてしまうが、マーシヤとマーシオーイーの場合、最初に生まれた二人の子供は親が食べてしまう。幼児供犠との関連性が示唆される。
28-29p
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #人間 #樹木化生 #山羊 #牛

by admin. 神話 <495文字> 編集

ガヤ・マレタン(Gaya Maretan)
原始的な人間(男)
アンラ・マンユによって殺される。 「人間創造(その一)」 25p
死して、金属類、人類の起源となる。
ゲーウシュ・ウルヴァン(Geush Urvan)と類同がある。
類似:原人プルシャ、ガヤ
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #人間 #死体化生 #世界 #金属

by admin. 神話 <198文字> 編集

ミスラ

太陽と戦い、友となる。 14p
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

ミスラの起源


#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #戦いと友情 #神

by admin. 神話 <91文字> 編集

大鴉 15p
太陽の使者、ミスラを助ける。
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

ミスラの起源

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #鳥 #大鴉 #太陽 #大烏

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シームルグ(Simurgh)、サムルク
ガオケレナにとまる霊鳥。英雄ザールを育てた。羽根に治癒の力がある。16-17p
霊鳥他2種、月や星が種を水で浄化する。
霊鳥他3種 18p
類似?:アンズー、フェニックス、セマルグル、ガルダ
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

参照:シームルグ

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #鳥 #霊木 #世界樹 #アンズー #シームルグ

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ミスラの起源 「宇宙創造」13p
小刀と松明を持って生まれる。
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

ミスラ

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #岩 #無花果 #神

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ヴァージシュタ
「最もよく運ぶもの」、天空を浄める電火 「宇宙創造」 13p
「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4 名著普及会」

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #火 #雷

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ゲーウシュ・ウルヴァン(Geush Urvan)

「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4」
原始的な巨牛
(1)アンラ・マンユによって殺される。 「宇宙創造」 11p
(2)ミスラによって殺される。 「ミスラと怪牛」 15p
牛他2種 18-19p
 ハザヨーシュ(Hadhayosh):海を渡る牛
 ガヤ・マレタン(Gaya Maretan)と類同がある。

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #牛 #死体化生 #世界

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ガオケレナ(Gaokerena) 「宇宙創造」10p

「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4」
「牛角」の意

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #牛 #樹木 #霊木 #世界樹 #不老不死

by admin. 神話 <103文字> 編集

アナーヒター(アナーヒタ)の起源 「宇宙創造」8p

「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4」

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #泉 #水 #泉

by admin. 神話 <82文字> 編集

アフラ・マズダーとアンラ・マンユ(アフラ・マズダとアングラ・マイニュ) 「宇宙創造」

「ペルシアの神話伝説 世界神話伝説大系4」
アフラ・マズダーは善神、アンラ・マンユは悪神である。
アフラ・マズダーは自分の汗から人間を作り出した。 23p
アンラ・マンユが作り出した物:毒蛇、イナゴ、蟻
黒い馬 「王者を飲む怪馬」タフムーラス(タームーラス)王(Tahmurasu)を飲み込む。 42p

注にある「Nin Ella」とはどのような神なのか調べられなかった。

#神話 #イラン #ペルシア #ゾロアスター教 #神 #悪神 #人間創造 #馬 #禁忌 #恐れ

by admin. 神話 <280文字> 編集

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