カテゴリ「神名」に属する投稿[7件]
八百比丘尼の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 85-87p
高山市朝日地区・美女峠、辻の池(美女ヶ池)の伝説。
美女峠に美しい比丘尼が住んでいて、美女ヶ池の大蛇の化身とも言われていた、とのこと。子供を生んで、人間の女性に乳母を頼んだ、という伝説がある。また比丘尼は「よもぎ餅」や「きなこ餅」を作って旅人に売っており、評判だったとのこと。
山口町では水不足の年には「雨乞い平」というところで雨乞いの儀式を行っていた、とのことである。
八百比丘尼は水や池、雨乞いに関わる存在であると供に、稲の豊穣に関する女神の変化したものといえる。彼女が作る餅は、女神自身の化身(一部)ともいえる。竜蛇の化身、という伝承があること、子供を生んでも父親の存在が明らかでない点、穀物とその豊穣の女神である点から、縄文の母系の豊穣の女神の性質を強く残した伝承であり、縄文の女神の有り様を良くうかがい知れると考える。子供の父親の存在がはっきりしないのは、母系社会では通い婚が通常で「父」とか「夫」というものが社会的に存在しないからである。
美女ヶ池では今でも女神になぞらえて「美女餅」というおみやげ品を売っているそうである。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #女神 #乳母 #餅 #池 #雨乞い
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 85-87p
高山市朝日地区・美女峠、辻の池(美女ヶ池)の伝説。
美女峠に美しい比丘尼が住んでいて、美女ヶ池の大蛇の化身とも言われていた、とのこと。子供を生んで、人間の女性に乳母を頼んだ、という伝説がある。また比丘尼は「よもぎ餅」や「きなこ餅」を作って旅人に売っており、評判だったとのこと。
山口町では水不足の年には「雨乞い平」というところで雨乞いの儀式を行っていた、とのことである。
八百比丘尼は水や池、雨乞いに関わる存在であると供に、稲の豊穣に関する女神の変化したものといえる。彼女が作る餅は、女神自身の化身(一部)ともいえる。竜蛇の化身、という伝承があること、子供を生んでも父親の存在が明らかでない点、穀物とその豊穣の女神である点から、縄文の母系の豊穣の女神の性質を強く残した伝承であり、縄文の女神の有り様を良くうかがい知れると考える。子供の父親の存在がはっきりしないのは、母系社会では通い婚が通常で「父」とか「夫」というものが社会的に存在しないからである。
美女ヶ池では今でも女神になぞらえて「美女餅」というおみやげ品を売っているそうである。
#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #女神 #乳母 #餅 #池 #雨乞い
by admin. ⌚ 2022年06月21日(火) 06:15:20 伝説,神話,神名,固有地名 <546文字> 編集
じゅうにのかみのおたのすけ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 91-94p
「狐に化かされる」小編が4つ語られる。
狐神に対する信仰は、日本では「稲荷信仰」に集約されるが、その起源は古代中国の西王母の随獣である「九尾の狐」にまで遡ると思う。
狐神は人に恩恵を与えてくれるだけでなく、道に迷わせたり、幻を見せたりする神であり、その結果、狐の好物とされている食べ物を人間から取り上げたりする。
化かされると、道に迷ったりする結果、人が命を落とすことも少なくないように思う。
「化かす」とは、神の所業としては「祟り」に似たものだと思うが、動機は餌のためであったりして、姿だけでなく性質も獣的な面を強く残しているのが狐神の特徴であるような気がする。
筑北村(旧坂北村)の里坊稲荷には7年に一度「狐の嫁入り」行列が披露される、珍しいお祭りがある。
#昔話 #長野県 #中信 #稲荷 #狐 #動物 #化かす #祟り
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 91-94p
「狐に化かされる」小編が4つ語られる。
狐神に対する信仰は、日本では「稲荷信仰」に集約されるが、その起源は古代中国の西王母の随獣である「九尾の狐」にまで遡ると思う。
狐神は人に恩恵を与えてくれるだけでなく、道に迷わせたり、幻を見せたりする神であり、その結果、狐の好物とされている食べ物を人間から取り上げたりする。
化かされると、道に迷ったりする結果、人が命を落とすことも少なくないように思う。
「化かす」とは、神の所業としては「祟り」に似たものだと思うが、動機は餌のためであったりして、姿だけでなく性質も獣的な面を強く残しているのが狐神の特徴であるような気がする。
筑北村(旧坂北村)の里坊稲荷には7年に一度「狐の嫁入り」行列が披露される、珍しいお祭りがある。
#昔話 #長野県 #中信 #稲荷 #狐 #動物 #化かす #祟り
地主が馬になった話
「ソヴィエト諸民族民話集」 154-158p
下男達の助け手となる男神がペルーンであることが明らかになっている物語。
前半は地主=怪物的な物語で、ペルーン(物語中ではペコルーン)が問題解決をしてしまう。物語の主人公はペルーンといえる。
後半は馬に変えられた地主がキャベツを食べて再生する話で、キャベツを捧げられる馬の神のような扱いになっている。地主は家畜の神であるヴォーロスの化身といえようか。地主(ヴォーロス)は再生されると新たに結婚生活をやり直すわけで、結婚の復活も神らしい結末と言える。
「馬を恐れない」という禁忌は明確な言葉では現れないが、下男達の容赦ない態度から暗喩される。タフムーラス型といえる。
#民話 #ラトビア共和国 #馬 #禁忌 #タフムーラス #食事 #恐れ #おじいさん #ペルーン #ヴォーロス #聖ゲオルギウス #地主 #怪物退治 #変身 #キャベツ #植物 #吝嗇
「ソヴィエト諸民族民話集」 154-158p
下男達の助け手となる男神がペルーンであることが明らかになっている物語。
前半は地主=怪物的な物語で、ペルーン(物語中ではペコルーン)が問題解決をしてしまう。物語の主人公はペルーンといえる。
後半は馬に変えられた地主がキャベツを食べて再生する話で、キャベツを捧げられる馬の神のような扱いになっている。地主は家畜の神であるヴォーロスの化身といえようか。地主(ヴォーロス)は再生されると新たに結婚生活をやり直すわけで、結婚の復活も神らしい結末と言える。
「馬を恐れない」という禁忌は明確な言葉では現れないが、下男達の容赦ない態度から暗喩される。タフムーラス型といえる。
#民話 #ラトビア共和国 #馬 #禁忌 #タフムーラス #食事 #恐れ #おじいさん #ペルーン #ヴォーロス #聖ゲオルギウス #地主 #怪物退治 #変身 #キャベツ #植物 #吝嗇
ユオン・ド・ボルドー(Huon de Bordeaux)とオーベロン(オベロン、Oberon)
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 55-59p
ユオンは妖精王オベロンと出会い、援助を得る。男神の援助を得るのであるから、「オーディン」型といえる。
オベロンはシーザーと「島の貴婦人」との混血である、と名乗り、オベロン自身が半神半人の英雄のような存在である。オベロンにはまた、出生時にメドゥーサ型の呪いがかけられていた。
ユオンはシャルルマーニュに仕えていた。
カイトリーによるとオーベロン(オベロン、Oberon)はオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))のエルベリヒ(Elberich)、ニーベルンゲンのアルブリヒ(Albrih)と同じものである、とのことである。(妖精の誕生 160p他)
El-とかAl-は地中海東側では「神」を表す接頭辞であるので、エルベリヒの元の名前はベリヒ(Berich)やブリヒ(Brih)といえるのではないか、と個人的には思う。ウガリット神話のバアル(Baal)は嵐と慈雨の神とされていますし、個人的にはこのあたりが起源の神的存在なのではないのか、と感じます。旧約聖書に出てきますから、キリスト教圏で、聖書が読めた人だったら、誰でもバアルのことは知っていたと思いますが。
『Les Prouesses et faitz du noble Huon de Bordeaux』は13世紀前半の武勲詩である。(オーベロン)
オベロンが嵐を起こしたりできる性質は天候神(風の神か?)の崩れた姿を思わせる。
物語の最後にユオンがパラダイス(天国)へ誘われる点はやはり、キリスト教の影響と「山のおやじ」的発想を感じる。キリスト教と中世の騎士道のプロパガンダの物語といえるのではないだろうか。
参照:エルベリヒ(Elberich)とオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))
#伝説 #ドイツ #フランス #こびと #オーディン #禁忌 #言うな #嵐 #川 #呪い #女神 #カイトリー #ドワーフ
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 55-59p
ユオンは妖精王オベロンと出会い、援助を得る。男神の援助を得るのであるから、「オーディン」型といえる。
オベロンはシーザーと「島の貴婦人」との混血である、と名乗り、オベロン自身が半神半人の英雄のような存在である。オベロンにはまた、出生時にメドゥーサ型の呪いがかけられていた。
ユオンはシャルルマーニュに仕えていた。
カイトリーによるとオーベロン(オベロン、Oberon)はオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))のエルベリヒ(Elberich)、ニーベルンゲンのアルブリヒ(Albrih)と同じものである、とのことである。(妖精の誕生 160p他)
El-とかAl-は地中海東側では「神」を表す接頭辞であるので、エルベリヒの元の名前はベリヒ(Berich)やブリヒ(Brih)といえるのではないか、と個人的には思う。ウガリット神話のバアル(Baal)は嵐と慈雨の神とされていますし、個人的にはこのあたりが起源の神的存在なのではないのか、と感じます。旧約聖書に出てきますから、キリスト教圏で、聖書が読めた人だったら、誰でもバアルのことは知っていたと思いますが。
『Les Prouesses et faitz du noble Huon de Bordeaux』は13世紀前半の武勲詩である。(オーベロン)
オベロンが嵐を起こしたりできる性質は天候神(風の神か?)の崩れた姿を思わせる。
物語の最後にユオンがパラダイス(天国)へ誘われる点はやはり、キリスト教の影響と「山のおやじ」的発想を感じる。キリスト教と中世の騎士道のプロパガンダの物語といえるのではないだろうか。
参照:エルベリヒ(Elberich)とオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))
#伝説 #ドイツ #フランス #こびと #オーディン #禁忌 #言うな #嵐 #川 #呪い #女神 #カイトリー #ドワーフ
「読んで 遊んで とっぴんぱらたからぎけのり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 125p コラム
坂城町の鼠大明神に関する伝説が簡単に紹介されている。
鼠が開拓神である、という珍しい伝承である。
参考:鼠大明神
#昔話 #長野県 #東信 #鼠 #猫 #開拓神 #修験道