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No.198

あとかくしの雪
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 132-135p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 96-100p

 いわゆる「冬至粥(小豆粥)」の起源譚。冬至粥は「無病息災」を祈るためのものであり、弘法大師に親切にした老婆が、弘法大師から「無病息災」の粥を授けられた、という意味を含んだ物語である。また、木曽では冬至を境にして菜っ葉の漬物を食べる種類が切り替わる、という伝統があるらしい。節に、神に無病息災を祈って菜っ葉を捧げるのは、柳田的にはむしろ夏祭(旧6月、本来は水の神の祭)の習慣と考えられるような気がする。冬至には南瓜(瓜類である)を食べる習慣があるし、菜っ葉を捧げる習慣(ただし冬だから漬物となる)もあったとすれば、水神信仰(祇園信仰)に関連する習慣であったことが分かる。人々の一人一人が水神(疫神)と一体化して(現人神となって)、供物を食している。

 「無病息災」を願うものとしては、蘇民将来説話の崩れで、弘法大師が牛頭天王に相当する存在なのだと思う。ただし、「不親切な者」は登場しない。弘法大師そのものは、実際には修験道の行者のような旅はしなかったかもしれないが、弘法大師が旅をして奇跡を起こした、という伝説はあちこちにあるのではないだろうか。

 ただ、現代的な感覚から見ると、大師様が直接利益や恩恵を分かりやすくもたらしてくれる物語ではないので、「弘法大師が泥棒を推奨した」という話にも見えてしまい、「冬至粥」とか、冬至の祭りの意味を知っていないと、意味するところは理解しにくいかもしれない。

参照:蘇民将来
 
#昔話 #長野県 #中信 #蘇民将来 #漬物 #菜っ葉 #小豆粥 #小豆 #冬至 #由来 #弘法大師 #冬至粥 #祇園信仰 #修験道

by admin. 昔話,固有アイテム,多エピソード保有人名,固有地名 <764文字> 編集

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