No.169, No.168, No.167, No.166, No.165, No.164, No.163[7件]
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 85-86p
「ドゥエルガルははじめユミルの肉の中に創造され、生活をはじめ、その中のウジとなっていたが、神々の意志によって人間の知識を分け与えられ、人の姿をとるようになった。しかしなお大地の中と石の中に住んだ。(エッダ)」
とのことで、彼らは冶金術に優れている。
ドゥエルガル(dvergr)は英語のドワーフ(dwarf)の起源である。
個人的には、地下世界の宝を形にする存在なので、冥界神が崩れて精霊化したものではないか、と思う。
#神話 #北欧 #ドワーフ
by admin. ⌚ 2022年02月16日(水) 00:46:45 神話,定義 <271文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 82-84p
明るいアルファル
「ユグドラシルの下、アルフ・ヘイムと呼ばれる町があり、明るいアルファルとよばれる人々が住んでいる。明るいアルファルの姿は太陽より白い。」とされた。(「散文のエッダ」より)
ノルニル(ノルンの複数形)はアルファルの種族だとされている。
暗いアルファル
「地下世界に住んでいる。暗いアルファルの姿は歴青(ピッチ)より黒い。」とされた。(「散文のエッダ」より)
ノルン
神の種族とされるもの:人間の人生を形作るもの。ウルズ(ウドル)、ヴェルザンディ(ヴェルタンディ)、スクルド(過去、現在、未来)の3姉妹である。
アルファルに属するもの:神以外のもの
ドゥエルガルに属するもの:上記以外
とされた。
アルファル(alfer)は英語のエルフ(elf)の起源である。
参照:エルフ
#神話 #北欧 #エルフ
by admin. ⌚ 2022年02月15日(火) 11:17:15 神話,定義 <484文字> 編集
「シルクロードの民話 パミール高原」 139-146p
女主人公は兄と結婚させられそうになって家を出る。「セクメトの失踪」の前半的だが、民話では神話とは違い兄妹の結婚は忌避されるので、兄が連れ戻しに旅に出ることはない。その名残が女主人公を引き留めようとする家族との歌のやり取りであると思う。烏に運んで貰う点は「怪鳥」型である。兄と女主人公との仲は当然破綻するので「ゲイと嫦娥」型である。
女主人公姉妹と白檀の木が一体のものとして語られる点、二人が空を飛んで移動する点、特に姉が池の女神的でもある点は「天人女房」的であり、「たまご姫」、「スルタンのぶち犬」と共通している。姉妹のうち、妹は鹿の化身でもある。姉妹併せると、アルテミスとその聖獣の鹿を彷彿とさせる。姉が妹の人身御供的死を阻止するのは、「アルテミスとイーピゲネイア」型である。
女主人公が冥界で子供を生む点は、どちらかといえば「エンリルとニンリル」的だと思う。ただし、この物語では夫の再生というよりは、女主人公自身の地位の確立に役立つエピソードとなっている。
王の最初の3人の妻が殺されるところは、女主人公が植物の化身であることからも「瓜子姫」型といえる。女主人公が植物的であるという点は「とくさむすめ」が類話といえる。「瓜子姫」型としては「のろいをかけられた花嫁」、「悪魔の難題」の後半部分も類話といえる。
全体は「うりひめ」、「たまご姫」のように、天人(あるいは鳥)を思わせる女主人公が、瓜子姫的な変遷を経て結婚による幸せを手に入れる、という物語である。物語の導入部分は「ゲイと嫦娥」型の物語と「セクメトの失踪」型の物語が組み合わさって崩れたもの。(最も嫦娥も夫の元から月へと失踪するのであるが。)女主人公と妹との関わりは、まさに「アルテミスとイーピゲネイア」であると思う。キリスト教以前に、広範囲にわたる「月の女神信仰」があったことを伺わせる。嫦娥は中国の月の女神であるので、洋の東西の「月の女神」の要素が融合して含まれている物語といえ、シルクロードの物語的だと思うし、興味深く感じる。
#民話 #ウラテューベ #セクメトの失踪 #小鳥 #鳩 #烏 #怪鳥 #白檀 #樹木信仰 #ゲイと嫦娥 #水 #池 #鹿 #変身 #アルテミスとイーピゲネイア #出産 #すり替え人 #エンリルとニンリル #瓜子姫 #小さい兄と妹
by admin. ⌚ 2022年02月15日(火) 06:09:34 民話 <1050文字> 編集
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 74-77p
「妖精の女王(The Faerie Queene)」は、16世紀イングランドの詩人エドマンド・スペンサーの代表作で、アレゴリーをふんだんに用いた長詩である。当時のイングランド女王エリザベス1世に捧げられた。
全6巻と断篇からなる長編叙事詩で、アーサー王物語を題材にしている。本来全12巻で構成され、各巻で12の徳を描く予定であったが、最終的には神聖、節制、貞節、友情、正義、礼節の6つのみが描かれた。(Wikipedia より)
カイトリーによると、スペンサーの「妖精の女王」により、フェアリー(faerie)という言葉は、民間信仰のエルフ(elf)を意味する名称として確立した、とのことである。
エルフ(英: elf、複数形: elfs、elves)は、ゲルマン神話に起源を持つ、北ヨーロッパの民間伝承に登場する種族である。日本語では妖精あるいは小妖精と訳されることも多い。北欧神話における彼らは本来、自然と豊かさを司る小神族であった。エルフはしばしば、とても美しく若々しい外見を持ち、森や泉、井戸や地下などに住むとされる。また彼らは不死あるいは長命であり、魔法の力を持っている。(Wikipedia より) 参照:アルファル
#伝説 #イギリス #フェアリー #エルフ #ロマンス
by admin. ⌚ 2022年02月14日(月) 22:59:19 伝説 <585文字> 編集
「シルクロードの民話 パミール高原」 106-126p
予言によって定まった夫に親が不満を持つ点は「牧童と商人の娘」的である。聟が犬である点は東アジア的か。
瓜子姫的な入れ替わりの要素はあるが、中途半端に完結し、二人の女性のうち、どちらかが死ぬような残酷な結末はない。人には言えないことを石に向かって述べる、という独特のエピソードがある。
主人公は眠っているが、女主人公が頭を洗うと目覚める。(女主人公によって蘇生する。)
主人公には、夜になると犬になるという秘密がある。女主人公が皮を処分すると、夫との仲は破綻して、夫は失踪する。(再度の死を意味する。)
女主人公は失踪した夫を探し出す旅に出る。女主人公の立場が変化する(夫を得るきっかけとなる)場面で池や水が登場する点は「たまご姫」、「白檀の木」に通じる。原型となった物語では女主人公は鳥女房的な女神だったのではないだろうか。
女主人公は姑の試練を夫の助けによって乗り越える。この点はクピードーとプシュケー的である。
最後は魔法のアイテムを使用した呪的逃走である。櫛が植物に変化して女主人公と主人公を助ける点は「英雄ディックベール」、「紡錘むすめ」と共通している。
逃走の際、姑と妹が石を抱いて川に沈んでいくエピソードは「英雄ディックベール」、「サルのよめ」「山男」と共通している。
女主人公は2回主人公の蘇生(呪いを解く)を助け、主人公は1回女主人公の蘇生を助けている物語といえる。導入部分は瓜子姫的物語、「兄その他を探す乙女」のうち、前半は「ハンナハンナとテリピヌの神話」的な物語、後半は「クピードーとプシュケー的」物語で、主に三つのエピソードが組み合わさった物語と言える。個々のモチーフの類話も多岐にわたる。様々な文明の十字路であるシルクロード的な物語といえる。
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by admin. ⌚ 2022年02月14日(月) 22:05:11 民話 <977文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 309-318p
「山のこびと」とは青ひげのような存在である。大金持ちであり、「見るな」の禁忌を持つ。
逆にこびとが荷物を運ぶ際は、こびとに「見ている」と労働を促すようになっている。
女主人公は老人と叡智と複数の助け手によりこびとを倒し、とらわれている人々を解放する。
池におちるフリをするモチーフは「ガマとサル」にもみられる。「石と川」の変形であろうか。
女主人公が自ら問題を解決する点は「サルのよめ」が類話である。
類話は「青ひげ」である。
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by admin. ⌚ 2022年02月14日(月) 21:07:00 民話 <398文字> 編集
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 322-328p
主人公の頭が「かさぶただらけ」というのは、「鉢かづき姫」のような「見るな」の禁忌の暗喩だと思う。「ものぐさ太郎」も同様である。
楽しい笑話である。
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