燃やされた女神

提供: Bellis Wiki3
2026年3月7日 (土) 14:02時点におけるBellis (トーク | 投稿記録)による版 (→‎植物神の場合)
ナビゲーションに移動 検索に移動

アジア、ヨーロッパの神話・伝承を見ると、日本神話の伊邪那美命のように燃やされて亡くなる女神の話がまれに見られる。女神が亡くなった後、樹木といった植物、場合によっては穀物や作物に化生する場合もあるように思う。穀物や作物をもたらす場合には、善神として表されることもある。

また、死後怨霊のような悪霊に変化した場合、「邪眼」のように人を弱らせて病気にしたり、人を戦争の狂乱に追い込んだり、逆に自殺を企図させたり、不幸を生じさせるような存在となったりすることもあるように思う。日本神話の伊邪那美命は、「1日に1000人の人を殺す」と述べている。

元は太陽女神と考えられていたと推察する。おそらく、実の娘と息子に焼き殺されたが、後継者となった他の娘に、夫と共に「月神」として祀られた、というのがモデルとなった人物の事実に近い話と考える。また、死後蛇神となったとも見なされており、

燃やされた女神 → 月神
        → 蛇神 → 虹蛇神(陽・天) → 地母神(陰・地)
        → 天候神→ 雨水神(陽・天) → 干魃神(陰・地)
        → 冥界神

と変化させられているように思う。大別すると「月神」、「蛇神」、「植物神」と分けられるのではないだろうか。その性質は「吊された女神」と大きく習合して被る場合があると考える。

トーテム・性質に関すること

植物神の場合

猪紋黒陶鉢
新石器時代(河姆渡文化)、1977年浙江省余姚河姆渡文化遺跡出、陶器、高さ11.7cm、口径21.7cm、底径17.5cm、浙江省博物館所蔵[1]。豚(猪)の体内に描かれた植物が、後の中国神話の「桂の木」と考える。植物の「目」は邪眼といえると考える。

燃やされた女神」は多くの場合、植物で表されることが多いように感じる。例えば、バロンダロン神話のカボチャ、伏羲女媧神話の「ヒョウタン」である。伏羲女媧はそこから発生する、ともいえるので、ヒョウタンは「母女神」の性質を持つように思うが、人間的な個性を持つ存在ではない。そして、植物で表される場合は、「既に死後の状態である」ともいえるように感じる。中国で述べるところの「鬼神」、日本で言うところの「怨霊」である。「月の桂の木」のように月神として表される場合もある。

月神の場合

月神として表される場合は、夫の一人と思われる豚神と強力に習合して現れるように思う。河姆渡文化の黒陶がその例である。そして憑神の場合も「既に死後の状態である」といえるのではないだろうか。夫と共に「月神」として祀られており、善神とされる場合には「共に人々を見守ってくれている」という意味を持つように思う。

動物神の場合

彼女の動物としての根源的なトーテムは、おそらくそのモデルとなった女性のトーテムに併せて「」であると考える。母系の女神である。朝鮮の熊女対虎女の争いのように、女神対女神の争いの伝承では「負ける側」となる。鳥神と考えられる場合もあるのではないかと思う。

また、彼女は死して蛇神となった、とも考えられたと推察する。この場合、彼女と対立する「熊女」が「太陽女神」であり、虎女である彼女がそれと対立する「虹蛇」とみなされたのではないか、と思う。

この「天の虹蛇」が地の蛇神(太昊型神)と入れ替えられて「地の蛇神(地母神)」とされている場合がある。

天候神の場合

この場合は雨水をもたらす「天候神」でもあったと考える。太陽が熱い日差しをもたらすのとは対極的な性質である。

ただし、太昊型神の性質と入れ替えて、地神となった場合、「干魃を起こす神」とされる場合がある。

冥界神の場合

  • 日本の伊邪那美命など。冥界が「地下世界(根の国)」にあるとすれば、地母神としての性質も暗に含むかもしれない。

家族との関係

夫との関係

母系の女神であって、複数の夫を持つ場合が多い。父系的な神話では「浮気をした」と否定的に表されることが多い。台湾原住民の伝承では、の夫を持つとされる。時に一方の男を殺す場合があり、多くは「先夫」を殺す場合が多いのではないだろうか。

息子との関係

  • 息子を捨てる場合がある。息子は動物に踏まれない、などの霊異を示す。
  • 母子姦伝承の「母」となる場合がある。
  • 息子の前世が「殺された夫」であって、復讐のため息子に殺される場合がある。
    • 息子とその前世の「夫」が混合されて、夫に殺される場合がある。
    • 反語的に、息子との仲は普通に「良い」場合がある。特に息子が「母親の代理人」として動く場合である。
  • 息子を殺す場合がある。これは「養母としての女神」と習合して混同されているからと思われる。
    • 変形版として「息子を鎮めることができる」とされる場合がある。

娘との関係

  • 先に挙げた、熊女対虎女の霊のように、娘とされる女神に負ける場合がある。この場合の娘は「吊された女神」と考える。
  • 大洪水神話のように、娘を守護し、跡取りとするような場合がある。この場合の娘は「養母としての女神」と考える。

殺される「娘」として表される場合

この場合は社会の父系化に伴い、「母神と息子神」の関係が「父神と娘神」に入れ替えられて作られた神話と考える。ギリシア神話のアガメムノーンが娘のイーピゲネイアを殺す場合、インドネシア・ヴェマーレ族の娘ハイヌウェレが殺される場合などである。父のアメタは娘を生き返らせることはできないが芋類に化生させてしまう。

ウリ科の植物に化生するもの

  • 西瓜の種:ウズベキスタン。コウノトリ(鳥神(おそらく河川女神の使いあるいは化身))が助けてくれた老人に魔法の西瓜の種をプレゼントし、富貴をもたらしてくれる、という話。「瓜」は鳥神の化身であり、この鳥はおそらく女神の化身でもあると思われる。その原型は「ヒョウタン」であると思う。また、ウリ科の植物は水分が多いものが多いので、「燃やされた女神」に「火」に対抗する能力を見につけさせるために、水分の多い植物に変えることにした、という意味もあると考える。

分類

  • 怨霊型

トーテムに関して

  • 植物型:この女神の代表的な姿である。バロンダロン神話のカボチャ、伏羲女媧神話のヒョウタンなど。日本では蕪として表されることがある。
  • 月神型:「吊された女神」と習合している場合もある。「穀物の母」とされる場合は「燃やされた女神」であり、狩猟神・軍神などの場合は「吊された女神」の性質が強いと考える。
  • 虎型:女神対女神で「負ける側
  • 鳥型
  • 蛇型:虹蛇型エインガナ:オーストラリア・アボリジニの「母神」。「燃やされた女神」の「蛇神」の古い原型を多く残している女神と考える。おそらくこの女神の名がプーラン族の創造神グミヤーの起原であろう。

家族との関連に関して

  • 多夫型
  • 夫殺人型
  • 息子被殺人型:取り替え子に呪われたりする場合も含む。ティアマトなど。
    • 夫被殺人型
  • 母子姦型
    • 母子良好型(息子)
    • 母子良好型(娘):主に娘に後継者指名的な形見を残す。

関連項目

参照他

  1. 猪紋黒陶鉢、考古用語辞典、07-07-09