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No.194, No.193, No.192, No.191, No.190, No.189, No.1887件]

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ほらがいの子
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 119-122p
「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 126-129p、タイトルは「ほらがいの川くだり」に変更された。

 ほらがいの子をさらおうとして、天変地異が起き、祟られる話。
 ほらがいは修験道に関係のあるアイテムである。
 また、古代の日本では、貝には「再生させる力」というか「医薬の力」があるとされて、死んだ大国主命を貝の女神が蘇生させる、という神話もある。
 地下のなまずが暴れると、地震が起きる、という古来寄りの俗信の「なまず」が修験道の普及に従って「ほらがい」に変更されたものか。

 参照:ホラガイ
 
#昔話 #長野県 #東信 #祟り #貝 #修験道 #天変地異 #水神
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マリク・ハッサン cf. ATU550+ATU301+ATU573
「シルクロードの民話 パミール高原」 184-201p
 マリク・ハッサンという末子王子が、二人の兄と三人で父王の願いを叶えるために旅に出る。マリクは異界で若い女性と結婚し、助力を得る。また、母なるシームルグを助けて助力を得る。眠っていた女王と交流し目的を達成する。マリクの最終的な目的は父王のために余所の宝を略奪することだから、主人公は祝融型神 のうち、末子型神であり、窃盗型神といえる。

生命の水、美の水、青春の本」と非常に似た話。鳥に肉を食べさせて飛ばすところは「ラ・ラメー」と似ている。3人兄弟の末子と上の二人との関係は「蛙の恩返し」に似る。鳥を盗むところも「蛙の恩返し」と同様である。

 末子王子の異界流譚、英雄がシームルグに助力を得る話、英雄が眠っていた女性と交流して目的を達成する話、の3つが複合的に混ざり合って構成されている。中央アジアではシームルグが住む「世界樹」はプラタナスと考えられているようであり、「英雄ディックベール」と同じ設定である。「英雄がシームルグに助力を得る」というだけなら主人公のマリクは黄帝型神 といえたのだろうが、話が複合的になった結果、主人公は祝融型神 となってしまっている。そしてやはりいくつかの物語が複合した結果だと思われるが、最終的に二人の妻を持つことになる。それが許されるのは語られている地の結婚制度が一夫一妻制ではないからだろう。

 神話の上ではペリとデーヴは「善と悪」で対立的な存在だが、この物語の中では、「共に異界に住む妖精」的な存在で、一つの町に仲良く暮らしているようである。
#民話 #中国 #パミール #祝融型神 #末子型神 #窃盗型神 #良渚型
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食わずにょうぼう
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 109-116p

 吝嗇が元で、怪物に祟られる話。
 後半に「呪的逃走」が入る。
 「瓜子姫」が欠落した「瓜子姫と天邪鬼」といえると思う。要は、魔女との婚姻と、その逃走譚(この場合は「追い出し」型)である。
 「瓜子姫」は登場しないが、その名残で、逃走の手助けを植物が行ってくれる。それが「端午の節句」の由来譚となっている。

#昔話 #長野県 #中信 #鬼 #祟り #吝嗇 #呪的逃走 #由来 #樹木信仰 #蓬 #菖蒲 #追い出し #匿い
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ほうえんさんとキツネ
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 105-108p

 「ほうえんさん」とは「法印」とのこと。
 僧侶が狐にいたずらをして化かされる話である。修験道に関連のある話。

#昔話 #長野県 #北信 #狐 #化かす #動物 #祟り #修験道 #報復
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ニスの後悔
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 114p

 ニスの贖罪の物語。全体としては、神の怒りを静めるためには、正しい祭祀が必要である、という物語である。
 おそらく、本来は牛を生贄に捧げて、豊穣を得る、という話だったのではないか。
 牛が金に化生する、という点は「牛買い聖者」に似ている。
 動物があり得ないものに化生する物語には「ろばの裁判官」がある。

#伝説 #スカンジナビア #北欧 #トムテ #牛 #豊穣 #家付精霊 #金
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くもが淵
「長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 101-104p

 「怪物退治」の失敗譚。聖ゲオルギス型である。
 前半は、蜘蛛と蛇の戦いで、蜘蛛に加勢を頼まれた主人公が失敗する話。
 後半は、蜘蛛の仲間に復讐されそうになる話。

 中国の乞巧奠(きこうでん、七夕)では女性達が蜘蛛に占ってもらうという習慣がかつてあり、蜘蛛というのは女性(織り姫)の象徴であると思う。蜘蛛が蛇に飲まれる、とは女性が河伯に人身御供に捧げられる、ということを言い換えたものではないだろうか。人身御供の救出が失敗する、とは羿のような英雄神話を是とするのではなく、暗に否定する意味が込められていると感じる。「黒姫物語」といい、北信には羿に批判的な勢力でもいるのか、と思えるほどである。蜘蛛が川の主のようにふるまうのも、「川に生贄にされた女性」という暗喩があるのだと思う。

 「木曽殿アブキ」とは、「裾花渓谷の清水川に面したところにある間口60m、奥行き20mの大岩くつで、その昔、木曽義仲が越後の四郎追撃の途路この洞くつに兵馬三百を休めたといわれ、また義仲が討死にした後、次男の義重が再挙を企てた跡として知られます。アブキ橋から見おろす景観は奥裾花景勝地の一つに数えられます。※アブキ橋欠壊により現在行けません。(アブキとはアイヌ語で「洞穴」のことだそう。)(長野市商工会 のHPより)鬼無里には木曽義仲に関する伝説がある場所がいくつかある。長野市鬼無里には木曽義仲の家臣が隠れ住んだ、という事情があるのではないか。

 また、物語は鬼無里で採取されているが、「四か庄の青鬼」とは、現在の白馬村青鬼のことと思われる。古い家屋が建ち並び、全体が重要伝統的建造物群保存地区に指定されている山間の集落である。鬼無里には鬼女伝説があるが、青鬼にも鬼が住んでいたという伝説が残っている。白馬村から鬼無里へは鬼無里街道(現在の国道406号線)が続いており、現在でも沿線の小神社には修験道の伝統が続いている痕跡を見ることができる。

 羿神話に否定的、という点で、類話は「黒姫物語」である。
 乞巧奠について、参照:太陽と木と鳥1

#伝説 #長野県 #北信 #鬼無里 #蜘蛛 #蛇 #動物 #祟り #復讐 #聖ゲオルギウス #失敗 #川 #水神
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ニスの引越し
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 113-114p

 ニスから逃げようとして失敗する話。
 家に取り憑く小精霊は、世界を滅ぼすような大きな騒ぎは起こさないが、縁を切ろうとするとなかなか退治するのが難しいもののようである。

#伝説 #スカンジナビア #北欧 #トムテ #呪的逃走 #失敗 #家付精霊

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