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固有名詞は可能な限りWikipediaに準ず

No.165, No.164, No.163, No.162, No.161, No.160, No.1597件]

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フェアリー女王
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 74-77p

 「妖精の女王(The Faerie Queene)」は、16世紀イングランドの詩人エドマンド・スペンサーの代表作で、アレゴリーをふんだんに用いた長詩である。当時のイングランド女王エリザベス1世に捧げられた。
 全6巻と断篇からなる長編叙事詩で、アーサー王物語を題材にしている。本来全12巻で構成され、各巻で12の徳を描く予定であったが、最終的には神聖、節制、貞節、友情、正義、礼節の6つのみが描かれた。(Wikipedia より)

 カイトリーによると、スペンサーの「妖精の女王」により、フェアリー(faerie)という言葉は、民間信仰のエルフ(elf)を意味する名称として確立した、とのことである。

 エルフ(英: elf、複数形: elfs、elves)は、ゲルマン神話に起源を持つ、北ヨーロッパの民間伝承に登場する種族である。日本語では妖精あるいは小妖精と訳されることも多い。北欧神話における彼らは本来、自然と豊かさを司る小神族であった。エルフはしばしば、とても美しく若々しい外見を持ち、森や泉、井戸や地下などに住むとされる。また彼らは不死あるいは長命であり、魔法の力を持っている。(Wikipedia より) 参照:アルファル
 
#伝説 #イギリス #フェアリー #エルフ #ロマンス
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スルタンのぶち犬 ATU425B+ATU313
「シルクロードの民話 パミール高原」 106-126p

 予言によって定まった夫に親が不満を持つ点は「牧童と商人の娘」的である。聟が犬である点は東アジア的か。
 瓜子姫的な入れ替わりの要素はあるが、中途半端に完結し、二人の女性のうち、どちらかが死ぬような残酷な結末はない。人には言えないことを石に向かって述べる、という独特のエピソードがある。
 主人公は眠っているが、女主人公が頭を洗うと目覚める。(女主人公によって蘇生する。)
 主人公には、夜になると犬になるという秘密がある。女主人公が皮を処分すると、夫との仲は破綻して、夫は失踪する。(再度の死を意味する。)
 女主人公は失踪した夫を探し出す旅に出る。女主人公の立場が変化する(夫を得るきっかけとなる)場面で池や水が登場する点は「たまご姫」、「白檀の木」に通じる。原型となった物語では女主人公は鳥女房的な女神だったのではないだろうか。
 女主人公は姑の試練を夫の助けによって乗り越える。この点はクピードーとプシュケー的である。
 最後は魔法のアイテムを使用した呪的逃走である。櫛が植物に変化して女主人公と主人公を助ける点は「英雄ディックベール」、「紡錘むすめ」と共通している。
 逃走の際、姑と妹が石を抱いて川に沈んでいくエピソードは「英雄ディックベール」、「サルのよめ」「山男」と共通している。
 
 女主人公は2回主人公の蘇生(呪いを解く)を助け、主人公は1回女主人公の蘇生を助けている物語といえる。導入部分は瓜子姫的物語、「兄その他を探す乙女」のうち、前半は「ハンナハンナとテリピヌの神話」的な物語、後半は「クピードーとプシュケー的」物語で、主に三つのエピソードが組み合わさった物語と言える。個々のモチーフの類話も多岐にわたる。様々な文明の十字路であるシルクロード的な物語といえる。

#民話 #ウラテューベ #予言 #槃瓠 #瓜子姫 #皮処分 #大理石 #ゲイと嫦娥 #兄その他を探す乙女 #テーセウスとアリアドネー #池 #水 #指輪 #姑 #クピードーとプシュケー #櫛 #鏡 #砥石 #魔法のアイテム #川 #川と石 #魔女の息子 #呪的逃走
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山のこびと ATU311
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 309-318p

 「山のこびと」とは青ひげのような存在である。大金持ちであり、「見るな」の禁忌を持つ。
 逆にこびとが荷物を運ぶ際は、こびとに「見ている」と労働を促すようになっている。
 女主人公は老人と叡智と複数の助け手によりこびとを倒し、とらわれている人々を解放する。
 池におちるフリをするモチーフは「ガマとサル」にもみられる。「石と川」の変形であろうか。
 女主人公が自ら問題を解決する点は「サルのよめ」が類話である。

 類話は「青ひげ」である。

#民話 #レートロマン #こびと #シヴァとサティー #見るな #禁忌 #金の飾りピン #見ている #怪物退治 #蜂起 #おじいさん #オーディン  #池に落ちるふり #川と石 #人身御供 #罰を受ける女神 #炎黄闘争 #妹による救出
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サー・トパスのロマンス
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 70-71p

 「サー・トパスの物語」、『カンタベリー物語』(The Canterbury Tales)に含まれる。作者はジェフリー・チョーサー(Geoffrey Chaucer)、14世紀に書かれた。

 高潔なサー・トパスはエルフの女王を愛すると決めてフェアリーの国を探し求めた。フェアリーの国は見つかったが、そこには人っ子一人いなかった。

というあらすじの物語で未完である。未完である。「天国の恩恵はたやすく手に入らない」という皮肉が込められた話が予定されていたのであろうか。
 
#伝説 #イギリス #いなくなった妻を探す夫 #獣の王 #ロマンス #カトリック
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アブラハムとアブラメッサ ATU2030
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 305-309p

 語る言葉がどんどん増えて、ドミノ式に解決する物語。言葉にして読むよりも、語り手が巧みに語ることそのものを楽しむ物語といえよう。

#民話 #レートロマン #ドミノ式 #こけもも #狼 #犬 #かかし #火 #水 #牛 #皮でできた縄 #鼠 #猫 #お婆さんと彼女の豚
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恋の試練
「シルクロードの民話 パミール高原」 106-126p

 頭蓋骨の粉をなめて懐胎する、という不思議な導入部分である。頭蓋骨の正体は物語中では明らかにされない。冥界神が変化したもの、といえようか。破られてしまうが「見るな」の禁忌がかかっている。頭蓋骨の息子である主人公は半神半人的であって、あっという間に成長する。
 主人公と女主人公が歌を交わすところは、アジア的な「歌垣」の文化を思わせる。
 一方、女主人公はとびらの中に住んでいることが強調されたり、人をしびれさせる薬を持っていたりする点から、「冥界の女神」が変化したものであることが窺える。主人公は難題(労働、謎解き)を課せられるが、切り抜ける。

 主人公は女主人公と結ばれる前に別の女性を押しつけられそうになるが、丁重にお断りする。この点は、最初の2人が殺されているわけではないが、シヴァとサティー的神話が変化したものであろう。男性の側にも女性に対して強い誠実さを求めるところがイスラム的な文化の良いところだと思う。


#民話 #アフガニスタン #禁忌 #見るな #頭蓋骨 #処女懐胎 #歌 #テーセウスとアリアドネー #シヴァとサティー #難題聟 #謎解き

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2025年12月21日(日) 22時57分59秒〔4時間前〕