No.106, No.105, No.104, No.103, No.102, No.101, No.100[7件]
ペリの妻
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 34-37p
親に追い出された商人の息子がある池のほとりにある木の根元で休んでいた。四羽のハト(鳩)が降りてきて娘の姿になり、水浴びをした。若者はこっそり服を隠し彼女たちが鳥に戻れないようにした。そして、誰か一人は自分の妻になるようにと求めた。ペリ達は「自分たちの体は火からできている。人間は土と自らできている。」と述べ断ったが若者は聞き入れなかった。仕方なく末娘が妻になることとして、姉妹達は服を返してもらい天に帰った。若者は家に帰りハト娘と結婚して仲良く暮らしたが、逃げられないように服は隠していた。夫が旅に出た際に、妻は子細を知っている家政婦の老婆から服の隠し場所を聞き出し、服を着て天に帰ってしまった。いわゆる「鳥女房」であり、「羽衣」・「七夕」が類話である。
木・池・鳥といった、いわゆる「世界樹」に関する伝承について回るセットが揃っている。有名な類話は「牛郎織女」「イナンナの冥界下り」だろう。話の内容は「牛郎織女」に近いが、ハト(鳩)がトーテムなところはイナンナと一致する。夫は「祝融型神・窃盗型」、老婆は鳥女神の再生に協力する「養母としての女神」といえる。
参照:ペリ
#民話 #吊された女神 #鳥神 #世界樹
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 34-37p
親に追い出された商人の息子がある池のほとりにある木の根元で休んでいた。四羽のハト(鳩)が降りてきて娘の姿になり、水浴びをした。若者はこっそり服を隠し彼女たちが鳥に戻れないようにした。そして、誰か一人は自分の妻になるようにと求めた。ペリ達は「自分たちの体は火からできている。人間は土と自らできている。」と述べ断ったが若者は聞き入れなかった。仕方なく末娘が妻になることとして、姉妹達は服を返してもらい天に帰った。若者は家に帰りハト娘と結婚して仲良く暮らしたが、逃げられないように服は隠していた。夫が旅に出た際に、妻は子細を知っている家政婦の老婆から服の隠し場所を聞き出し、服を着て天に帰ってしまった。いわゆる「鳥女房」であり、「羽衣」・「七夕」が類話である。
木・池・鳥といった、いわゆる「世界樹」に関する伝承について回るセットが揃っている。有名な類話は「牛郎織女」「イナンナの冥界下り」だろう。話の内容は「牛郎織女」に近いが、ハト(鳩)がトーテムなところはイナンナと一致する。夫は「祝融型神・窃盗型」、老婆は鳥女神の再生に協力する「養母としての女神」といえる。
参照:ペリ
#民話 #吊された女神 #鳥神 #世界樹
ロスタム(ローステム)
イラン神話の英雄。ザールとカブールの王女ルーダーベの息子。『シャー・ナーメ』ではたびたび獅子に喩えられる。イランを守るため、トゥーラーン(トゥラーン)や化け物とたびたび戦った。ペルシア最大の英雄の一人である。母の胎内で大きくなりすぎたため、シームルグの力を借り、帝王切開により出生する。彼の代わりに馬のラクシュが戦うことがある。ラクシュはロスタムを助けようとして主人に殺されそうになることもあった(第三の試練。類話?:山膏 )。獅子(ライオン)、竜(アスデーヴというデーヴが変身したもの、第三の試練)、魔女(第四の試練)、デーヴ・アルザング(第六の試練)、百鬼(Div-e-Sepid、デーヴ・セフェード)(第七の試練)、トゥーラーン(イランの敵国)と戦う。また毛皮が太陽のように輝き、背中に黒いしまのある巨大な野生のロバ (驢馬)にデーヴ・アクヴァンが変身して、王の牧場で馬たちを食い殺した際に、とある泉のほとりでアクヴァンを倒した。アクヴァンはゾウ(象)のような頭を持っていた。アクヴァンの息子ベルキヤスと戦ったのが、ロスタムとデーヴとの最後の戦いである。ベルキヤスは「山のように大きな巨人で顔は真黒、全身が毛でおおわれ、首はドラゴンのよう、口から二本のイノシシのきばが突き出し、目は血の泉、頭髪は針のように逆立ち、ヘビのようにとぐろを巻いた巻き毛の中にはハトが巣くっていた(「妖精の誕生」34pより)」とされる。
サマンガーン(トゥーラーンの属国)で美女タハミーネと出会いソフラーブ(ソホラーブ)をもうける。後に戦場でソフラーブと戦い殺す(息子殺し)。晩年ザーブリスタンの領主であったロスタム一家はイランの王に疎まれ、青銅の体を持つというイスファンディヤール王と戦う。シームルグに王を殺さぬよう助言を受けるが、王を殺してしまう。ロスタムは王の子バフマンを養子として養育するが、長じたバフマンはザーブリスタンを攻め滅ぼし、ロスタムの父ザール、息子のファラーマルズを殺害した。一方、ロスタムは腹違いの弟シャガードと対立し、落とし穴の計略により、ラクシュと共に瀕死の重傷を負う。ロスタムは重傷を負いながら、弓でシャガードを射殺して息絶える。シャガードは老木に身を隠していたがロスタムの矢は身を隠していた老木ごと貫いた。弓の名手でもある。(Wikipedia:ロスタム より。最終閲覧日251218)
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」
七道程 (ハフト・ハーン)という冒険を行う。デーヴァとの戦いである。 32-34p
レクシ(ラクシュ)はローステムの愛馬である。
#黄帝型神 #女神支援型 #難産母 #息子殺し #弓の名手
イラン神話の英雄。ザールとカブールの王女ルーダーベの息子。『シャー・ナーメ』ではたびたび獅子に喩えられる。イランを守るため、トゥーラーン(トゥラーン)や化け物とたびたび戦った。ペルシア最大の英雄の一人である。母の胎内で大きくなりすぎたため、シームルグの力を借り、帝王切開により出生する。彼の代わりに馬のラクシュが戦うことがある。ラクシュはロスタムを助けようとして主人に殺されそうになることもあった(第三の試練。類話?:山膏 )。獅子(ライオン)、竜(アスデーヴというデーヴが変身したもの、第三の試練)、魔女(第四の試練)、デーヴ・アルザング(第六の試練)、百鬼(Div-e-Sepid、デーヴ・セフェード)(第七の試練)、トゥーラーン(イランの敵国)と戦う。また毛皮が太陽のように輝き、背中に黒いしまのある巨大な野生のロバ (驢馬)にデーヴ・アクヴァンが変身して、王の牧場で馬たちを食い殺した際に、とある泉のほとりでアクヴァンを倒した。アクヴァンはゾウ(象)のような頭を持っていた。アクヴァンの息子ベルキヤスと戦ったのが、ロスタムとデーヴとの最後の戦いである。ベルキヤスは「山のように大きな巨人で顔は真黒、全身が毛でおおわれ、首はドラゴンのよう、口から二本のイノシシのきばが突き出し、目は血の泉、頭髪は針のように逆立ち、ヘビのようにとぐろを巻いた巻き毛の中にはハトが巣くっていた(「妖精の誕生」34pより)」とされる。
サマンガーン(トゥーラーンの属国)で美女タハミーネと出会いソフラーブ(ソホラーブ)をもうける。後に戦場でソフラーブと戦い殺す(息子殺し)。晩年ザーブリスタンの領主であったロスタム一家はイランの王に疎まれ、青銅の体を持つというイスファンディヤール王と戦う。シームルグに王を殺さぬよう助言を受けるが、王を殺してしまう。ロスタムは王の子バフマンを養子として養育するが、長じたバフマンはザーブリスタンを攻め滅ぼし、ロスタムの父ザール、息子のファラーマルズを殺害した。一方、ロスタムは腹違いの弟シャガードと対立し、落とし穴の計略により、ラクシュと共に瀕死の重傷を負う。ロスタムは重傷を負いながら、弓でシャガードを射殺して息絶える。シャガードは老木に身を隠していたがロスタムの矢は身を隠していた老木ごと貫いた。弓の名手でもある。(Wikipedia:ロスタム より。最終閲覧日251218)
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」
七道程 (ハフト・ハーン)という冒険を行う。デーヴァとの戦いである。 32-34p
レクシ(ラクシュ)はローステムの愛馬である。
#黄帝型神 #女神支援型 #難産母 #息子殺し #弓の名手
タフムーラス(タームーラース、タームラス)
タフムーラスは、ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する、古代イランの第3代目の王である。フーシャング王の子で、ジャムシード王(『アヴェスター』における聖王イマ)の父とされる。また悪魔の束縛者であり、アフリーマンに騎乗して、世界中を駆け巡ったという伝説の持主である。
神々(特に悪神)を支配する際に「恐れ」が禁忌とされた。(Wikipedia より)
「神馬を恐れてはならない」という禁忌が存在する点は「悪魔の難題」、「地主が馬になった話」にその片鱗が見える。
悪魔を酷使する際に「恐れ」が禁忌とされる点は「鉄のハンス」が類話である。
黒い馬 「王者を飲む怪馬」タフムーラス(タームーラス)王(Tahmurasu)を飲み込む。 42p
「妖精の誕生 」
デーヴ・ベント(デーヴを縛る者)と呼ばれた。
ペリに味方すべきか、デーヴに味方すべきかをシームルグ(セームルグ)に相談する。 31-32p
シームルグの羽毛を冑に飾る。シームルグに乗ったともされる。ジャン・イブン・ジャンの楯を持つ。
デーヴのイムランはタームラスに味方する。デーヴの王アルズシェンク、強猛なデムルシュに打ち勝つ。
デムルシュが捕らえていたペリ・メルジャンを助け出す。
ホウンドコンズというデーヴに倒される。
シームルグの助けを得て悪魔や怪物と戦うタフムーラス王は、典型的な黄帝型神・ラプンツェル型ではないだろうか。
Mediawiki:シームルグ
#神話 #イラン #ペルシア #黄帝型神 #ラプンツェル型 #シームルグ
タフムーラスは、ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する、古代イランの第3代目の王である。フーシャング王の子で、ジャムシード王(『アヴェスター』における聖王イマ)の父とされる。また悪魔の束縛者であり、アフリーマンに騎乗して、世界中を駆け巡ったという伝説の持主である。
神々(特に悪神)を支配する際に「恐れ」が禁忌とされた。(Wikipedia より)
「神馬を恐れてはならない」という禁忌が存在する点は「悪魔の難題」、「地主が馬になった話」にその片鱗が見える。
悪魔を酷使する際に「恐れ」が禁忌とされる点は「鉄のハンス」が類話である。
黒い馬 「王者を飲む怪馬」タフムーラス(タームーラス)王(Tahmurasu)を飲み込む。 42p
「妖精の誕生 」
デーヴ・ベント(デーヴを縛る者)と呼ばれた。
ペリに味方すべきか、デーヴに味方すべきかをシームルグ(セームルグ)に相談する。 31-32p
シームルグの羽毛を冑に飾る。シームルグに乗ったともされる。ジャン・イブン・ジャンの楯を持つ。
デーヴのイムランはタームラスに味方する。デーヴの王アルズシェンク、強猛なデムルシュに打ち勝つ。
デムルシュが捕らえていたペリ・メルジャンを助け出す。
ホウンドコンズというデーヴに倒される。
シームルグの助けを得て悪魔や怪物と戦うタフムーラス王は、典型的な黄帝型神・ラプンツェル型ではないだろうか。
Mediawiki:シームルグ
#神話 #イラン #ペルシア #黄帝型神 #ラプンツェル型 #シームルグ
巡礼の道連れ ATU516
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 265-271p
「怪物退治」のための旅が、供養のための「巡礼」に変更されており、キリスト教の影響といえる。
供をしてくれるのは若者ではなく老人だが、社会的地位は主人公よりも下といえるので「ボロルドーイ型」といえるが、主人公を蘇生させる蘇民将来的な能力があることから、当然イエスを連想させる。
子供を生贄に求めながら、結果としてそれを止める、という展開は「イサクの燔祭」を布教のために分かりやすく「ご当地的」に書き換えたものではなかろうか、と思う。その結果、キリスト教の思想と、人身御供を求める異教の神々との話が混在した不可思議な話となっている。それと共に、「神に対して自己犠牲と従順を求める」というキリスト教の思想が明確に現されているように思う。
林檎といえばキリスト教的には「原罪」の象徴のように思われるのだが、本物語では異教的に「若さの象徴」として使われているように思う。
アインジーデルン:「スイスのチューリヒ郊外にある有名な巡礼地。10世紀に創設されたベネディクト派の修道院と教会がある。」とのこと。
#民話 #レートロマン #林檎 #巡礼 #カトリック #死んだ父親 #オーディン #老人 #ボロルドーイ #蘇民将来 #聖母マリア #血 #人身御供 #忠臣ヨハネス #イサクの燔祭 #アミクスとアメリウス
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 265-271p
「怪物退治」のための旅が、供養のための「巡礼」に変更されており、キリスト教の影響といえる。
供をしてくれるのは若者ではなく老人だが、社会的地位は主人公よりも下といえるので「ボロルドーイ型」といえるが、主人公を蘇生させる蘇民将来的な能力があることから、当然イエスを連想させる。
子供を生贄に求めながら、結果としてそれを止める、という展開は「イサクの燔祭」を布教のために分かりやすく「ご当地的」に書き換えたものではなかろうか、と思う。その結果、キリスト教の思想と、人身御供を求める異教の神々との話が混在した不可思議な話となっている。それと共に、「神に対して自己犠牲と従順を求める」というキリスト教の思想が明確に現されているように思う。
林檎といえばキリスト教的には「原罪」の象徴のように思われるのだが、本物語では異教的に「若さの象徴」として使われているように思う。
アインジーデルン:「スイスのチューリヒ郊外にある有名な巡礼地。10世紀に創設されたベネディクト派の修道院と教会がある。」とのこと。
#民話 #レートロマン #林檎 #巡礼 #カトリック #死んだ父親 #オーディン #老人 #ボロルドーイ #蘇民将来 #聖母マリア #血 #人身御供 #忠臣ヨハネス #イサクの燔祭 #アミクスとアメリウス
名づけ親 ATU700
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 261-264p
導入部分は「不知の子」の変形といえる。
全体としては女性が女神に捧げ物(この場合は身代わりの子供)をして結婚等の豊穣を得る、という物語が、キリスト教の影響を受けて「誠実さが大切である」という説話に変更された物語といえる。人身御供を求める女神が狐の化身である、という点は日本の荼枳尼天信仰を連想させる。女神は冥界の女神らしく、思うがままに人を殺したり再生させたりする力(眠らせる力)を持っている。女主人公が木に隠れたりする点は樹木信仰の名残がみられる。
類話は「蛇の女王」、「病気の百姓女」である。物語の骨格は、女神的存在が名づけ子の人生に関わる、というもので「ランスロットと湖の貴婦人ヴィヴィアン」、「妖精オリアンドと騎士モージ(モーギス)」と同様である。
#民話 #レートロマン #真名 #禁忌 #見るな #ドイツとうひ #樹木 #樹木信仰 #狐 #女神 #出産 #カトリック #人身御供 #名づけ親 #すり替え人 #聖母マリアの子
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 261-264p
導入部分は「不知の子」の変形といえる。
全体としては女性が女神に捧げ物(この場合は身代わりの子供)をして結婚等の豊穣を得る、という物語が、キリスト教の影響を受けて「誠実さが大切である」という説話に変更された物語といえる。人身御供を求める女神が狐の化身である、という点は日本の荼枳尼天信仰を連想させる。女神は冥界の女神らしく、思うがままに人を殺したり再生させたりする力(眠らせる力)を持っている。女主人公が木に隠れたりする点は樹木信仰の名残がみられる。
類話は「蛇の女王」、「病気の百姓女」である。物語の骨格は、女神的存在が名づけ子の人生に関わる、というもので「ランスロットと湖の貴婦人ヴィヴィアン」、「妖精オリアンドと騎士モージ(モーギス)」と同様である。
#民話 #レートロマン #真名 #禁忌 #見るな #ドイツとうひ #樹木 #樹木信仰 #狐 #女神 #出産 #カトリック #人身御供 #名づけ親 #すり替え人 #聖母マリアの子