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2025年12月21日の記事

天狗食日月

中国の伝承を中心に「天狗食日月」の話を集めてみた。中国の「天狗」とは、日本の「天狗(てんぐ)」と違い、文字通り天を駆ける伝承上の犬のことである。

一般的な天狗食日月譚

この神話は現在、中国全土に広まっている。

昔々、太陽神と月神が、人間の起死回生の薬を盗んだ。人々は犬に月と太陽を追いかけさせた。しかし、月神と太陽神はすでに薬を飲んでいたので、犬が月と太陽を噛んでも噛んでも、月と太陽は死なない。それでもこの犬は諦めない。常に月と太陽を食う。それで、日食、月食が起こるのである。(『紅河イ族辞典』より)

天狗食月

三兄弟と犬

ハニー族の先祖のである三兄弟は不老不死の薬を持っていたが、月神に盗まれた。三兄弟は長い梯子を作って天に昇り、薬を取り戻そうとしたが、月神が梯子を倒したため三兄弟は地面に落ちた。彼らの飼っていた犬が天に昇って月を噛んで薬を取り戻そうとするので月食が起きる(『中国文学大事典・下』より、天狗食べ日(月)考、王鑫、怪異・妖怪文化の伝統と創造ーウチとソトの視点から、2015、巻45、p67)。

羿神話

伝説によると、后羿が民のために9つの太陽を撃ち落としたとき、王母娘娘(西王母)は褒美に霊薬を与えたが、后羿の妻である嫦娥はそれを食べて一人で天に昇ってしまったという。門の外から后羿の猟犬・黒耳が吠えながら家の中に飛び込み、残りの霊薬を舐めてから上空の嫦娥の後を追った。嫦娥は黒耳の吠える声を聞くと、あわてて月に飛び込んだ。そして、髪を逆立て、体を大きくした黒耳は、嫦娥に飛びかかり、月を飲み込んだ。
月が黒い犬に飲み込まれたことを知った玉皇大帝と王母娘娘(西王母)は、天兵に命じて犬を捕らえさせた。黒い犬が捕まった時、王母娘娘(西王母)は后羿の猟犬と認め、南天の門を守る天狗にした。黒耳は役目を得ると、月と嫦娥を吐き出し、それ以来、月に住むようになった。

その他

張仙が天狗を撃った話

天の星が子供として生まれ変わるために地上に降りてくるのを天狗が邪魔していたので、ある男が天狗を打ち払って、人々が問題なく子供を得られるようにした。そのため、この男は張仙と呼ばれるようになった。