==地域別状況==
===台湾===
オーストロネシア語族の祖形を残す台湾原住民(中国語では高山族、日本語では高砂族)諸部族の言語はアタヤル語(タイヤル語)群、ツオウ語群、パイワン語群に大別され、このうちパイワン語群に属するアミ語の話者が10万人前後と最も多く、その他の言語の話者は数千人以下である。現代の台湾では中国語(主に北京語、台湾語)の影響が強く、原住民言語は消滅する傾向がある。しかし近年原住民言語の語学教育が学校で行われている。
===インドネシア===
話者数が最も多いのはインドネシアで、国語と定められているインドネシア語はマレー語をもとにして人工的に作られた言語である。各地域にはジャワ語、スンダ語、マドゥラ語、ミナンカバウ語、バリ語、ブギス語、マカッサル語、アチェ語などが分布しているが、インドネシア語はこれらマレー系諸言語の新しい共通語として制定された。マレー語がインドネシアの共通語となった歴史的背景としては 15 世紀から 16 世紀初頭にかけてマレー半島南岸に繁栄したマラッカ王国の影響が挙げられる。マラッカ王国からイスラームが広がり、その言語が商業用語としても広く用いられたからである。
===マレーシア===
マレーシアの国語はバハサ・マレーシア(マレーシア語)で、この国で話されている標準的なマレー語をマレーシア語として2007年に制定したものである。従来の「マレー語」は広義ではインドネシア語を含むことがあるが、国名を入れたことにより区別が明確になった。
マレーシア語とインドネシア語は極めて共通する部分が多いと言われる。しかし植民地時代の宗主国言語の違いによる[[借用語]]の違いや、インドネシア語制定以前から話していた母語であるジャワ語、ブタウィ語など地方語の流入により、両国で実際に使われる言葉では非共通の部分も多い。マレーシア語とインドネシア語は極めて共通する部分が多いと言われる。しかし植民地時代の宗主国言語の違いによる借用語の違いや、インドネシア語制定以前から話していた母語であるジャワ語、ブタウィ語など地方語の流入により、両国で実際に使われる言葉では非共通の部分も多い。
===フィリピン===
===インドシナ半島===
マレー系言語は[[インドシナ半島]]にも分布する。古くから[[チャンパ王国]]を建国した[[チャム族]]の言語[[チャム語]]である。チャンパ王国は[[ベトナム]]に滅ぼされたが、民族としてのチャム族はベトナム中部から[[カンボジア]]に今も存続している。マレー系言語はインドシナ半島にも分布する。古くからチャンパ王国を建国したチャム族の言語チャム語である。チャンパ王国はベトナムに滅ぼされたが、民族としてのチャム族はベトナム中部からカンボジアに今も存続している。
===マダガスカル===
アフリカ東部の[[マダガスカル]]にまでマレー系言語が分布しているのは驚くべきことだが、これは全く海洋民族であるマレー系民族の移住によるものである。距離が遠く離れているにもかかわらず、[[マダガスカル語]](マラガシー語)とマレー語との言語学的な親縁関係は強いとされる。マダガスカルのマレー系民族は人種的にはアフリカ黒人の[[バントゥー系民族|バンツー民族]]と[[混血]]していて、言語にもその影響が見られる。===台湾===オーストロネシア語族の祖形を残す[[台湾原住民]]([[中国語]]では高山族、[[日本語]]では高砂族)諸部族の言語はアタヤル語([[タイヤル語]])群、ツオウ語群、パイワン語群に大別され、このうちパイワン語群に属する[[アミ語]]の話者が10万人前後と最も多く、その他の言語の話者は数千人以下である。現代の台湾では中国語(主に[[北京語]]、[[台湾語]])の影響が強く、原住民言語は消滅する傾向がある。しかし近年原住民言語の語学教育が学校で行われている。アフリカ東部のマダガスカルにまでマレー系言語が分布しているのは驚くべきことだが、これは全く海洋民族であるマレー系民族の移住によるものである。距離が遠く離れているにもかかわらず、マダガスカル語(マラガシー語)とマレー語との言語学的な親縁関係は強いとされる。マダガスカルのマレー系民族は人種的にはアフリカ黒人のバンツー民族と混血していて、言語にもその影響が見られる。
===その他===