ゼウス

提供: Bellis Wiki3
2023年1月5日 (木) 00:41時点におけるBellis (トーク | 投稿記録)による版 (→‎参考文献)
ナビゲーションに移動 検索に移動
インド・ギリシアのコインにおけるゼウス・ニケフォロス(「ニケを抱くゼウス」)の変遷:ニケがゼウス自身に勝利の花輪を渡すという古典的モチーフ(左、ヘリオクレス1世のコイン)から、子象(中、アンティアーシダスのコイン)、そして仏教の象徴である法の輪(右、メナンダー2世のコイン)へと変化している。
大理石の鷲(ゼウス・ヒプシストスの聖域出土)、ディオン考古学博物館

ゼウスΖΕΥΣ, Ζεύς, Zeus)は、ギリシア神話の主神たる全知全能の存在[1][2][3]。ローマ神話のジュピター(ユーピテル)、中国神話の天帝、キリスト教やイスラーム等の唯一神と同様な、「至上神(supreme god)(スプリームゴッド)」の典型[4]。一般的に「至上神」[5]または「最高神」[6]は、創造的能力や人格的性質を持ち、全知全能だとされている[7]

ゼウスは宇宙や天候を支配する天空神であり、人類と神々双方の秩序を守護・支配する神々の王である。宇宙を破壊できるほど強力な雷を武器とし、多神教の中にあっても唯一神的な性格を帯びるほどに絶対的で強大な力を持つ[8]。ゼウス[9][10](Ζεύς、イギリス英語:zju:s、アメリカ英語:zu:s)は、古代ギリシアの宗教における天空神・雷神で、オリンポス山に神々の王として君臨している。彼の名前は、ローマ神話に登場するユーピテルの第一元素と同義である[11]。その神話と能力は、ユーピテル、ペルクナス、ペールン、インドラ、ディヤウス、ゾイツといった印欧語の神々と、同一ではないにせよ、似ているところがある[12][13][14][15][16]

ゼウスはクロノスとレアーの子供で、兄弟の中で最も若く生まれたが、他の兄弟はクロノスの胃から吐き出される必要があったため、長男とされることもあった。多くの伝承では、彼はヘーラーと結婚し、ヘーラーとの間にアレース、エイレイシア、ヒビ、ヘパイストスを生んだとされている[17][18]。ドドナの神託で、彼の妃はディオーネとされ[19]、『イーリアス』ではディオーネがアフロディテを生んだとされている[20][21][22]。『神統記』によれば、ゼウスの最初の妻はメーティスで、その間にアテーナーが生まれた[23]。ゼウスはまた、エロティックな逃避行で悪名高い人物であった。その結果、アポローン、アルテミス、ヘルメース、ペルセポネー、ディオニューソス、ペルセウス、ヘーラクレース、トロイのヘレン、ミノス、ミューズなど、多くの神や英雄の子孫が生まれました[17]

彼は神々の長であり[24]、他の神々に役割を与える全能の父として尊敬されていた[25]。"彼の実子でない神々も彼を父と呼び、すべての神々が彼の前で立ち上がる "とされていた[26][27]。パウサニアスは「ゼウスが天の王であることは、すべての人に共通する表現である」と述べている[28]。ゼウスのシンボルは、雷鳴、鷲、雄牛、樫である。インド・ヨーロッパ語族の伝統を受け継ぐだけでなく、古典的な「雲を集める者」(ギリシャ語:Νεφεληγερέτα, Nephelēgereta)は、笏など古代近東の文化に由来する図像的特徴も持っている[29]。ゼウスは、立っている姿、右手に雷鳴を掲げて前進している姿、座って威厳を保っている姿の3つのポーズで描かれることが多い。ギリシャでは、左利きの人は不吉だと信じられていたため、雷は神の右手だけが持つことが非常に重要だった。

概要

ゼウスはローマ神話ではユーピテル(ジュピター)にあたる。オリュムポスの神々の家族および人類の両方の守護神・支配神であり、神々と人間たちの父と考えられた。

ゼウスは天空神として、全宇宙や雲・雨・雪・雷などの気象を支配していた。キュクロープスの作った雷霆(ケラウノス)を主な武器とする。その威力はオリュンポス最強と謳われるほど強大なもので、この雷霆をゼウスが使えば世界を一撃で熔解させ、全宇宙を焼き尽くすことができる[30]テューポーンと戦う際には、万物を切り刻む魔法の刃であるアダマスの鎌も武器としていた。雷霆の一撃をも防ぎ、更に敵を石化させるアイギスの肩当て(胸当てや楯という説も)を主な防具とするが、この防具はよく娘のアテーナーに貸し出される。この他にも、「恐怖」という甲冑をギガントマキアーにおいて着用している。

「光輝」と呼ばれる天界の輝きを纏った鎧に山羊革の胸当てをつけ、聖獣は、聖木はオーク。主要な神殿は、オークの木のささやきによって神託を下したエーペイロスの聖地ドードーナ、および4年ごとに彼の栄誉を祝福してオリンピック大祭が開かれたオリュンピアにあった。

名前

主格の神名は Ζεύς (ゼウス、Zeús) である。語形は次のように変化する:声格:Ζεῦ(ゼウ)、使役格:Δία(ディア)、主格:Διός(ディオース)、呼格:Διί(ディイー)。ディオゲネス・ラエルティウスは、シロス島のフェレキデスが「Ζάς」と表記したことを引用している[31]

ゼウスは、プロト・インド・ヨーロッパ語の昼間の空の神の名前である*Di̯ēusのギリシャ語の継続で、*Dyeus ph2tēr(「空の父」)とも呼ばれた[32][33]。この神はリグヴェーダ(ヴェーダ語のサンスクリット語Dyaus/Dyaus Pita)、ラテン語(原インド・ヨーロッパ語の語彙 *dyeu-ph2tēr に由来する Iuppiter の Jupiter と比較)、 *dyeu- (「輝く」、その多くの派生語で「空、天、神」)に由来する[34]この名前の下で知られている[32]。アルバニア語のZoj-zもゼウスの同義語である。ギリシャ語とアルバニア語では、元のクラスター*di̯が*dzに変化している[16]。ゼウスはオリンピックの神殿の中で唯一、その名前がインド・ヨーロッパ語族の語源であることが明らかな神である[35]

ミケーネ時代のギリシャ語「𐀇𐀸, di-we」と「𐀇𐀺, di-wo」はLinear B音節文字で書かれており、その名前が最も早く確認されている[36]

プラトンは『クラテュロス』の中で、ゼウスの称号(ゼンとディア)がギリシャ語の「生命」や「〜のため」という言葉とダブることから、「万物に常に生命を与える源」という意味の民間語源を挙げている[37]。この語源は、プラトンの語源を導き出す方法全体とともに、現代の学問では支持されていない[38][39]。シケリアのディオドロス・シクロスは、ゼウスが生命の原因(ゼン)であると人間が信じたため、ゼンとも呼ばれたと記している[40]。ラクタンティウスは、彼がゼウスやゼンと呼ばれたのは、彼が生命の与え主であるからではなく、クロノスの子供たちの中で最初に生きたからだと書いている[41]

神話

誕生

ヘーシオドスの『神統記』(前730〜700年頃)では、父ウラヌスを去勢したクロノスが宇宙の最高支配者となり[42]、妹レアーと結婚して三女三男をもうける。ヘスティア、デーメーテール、ヘーラー、ハーデス、ポセイドーン、そして最後に6人の中で最も若い「賢者」ゼウスが生まれた[43]。クロノスは両親であるガイアとウラヌスから、自分の子供がいつか父親を倒したように自分を倒す運命にあるという予言を受け、子供が生まれるとすぐにその子供を飲み込んでしまうのだ[44][私注 1]。そのためレーアーは「絶え間ない悲しみ」に襲われ[45]、6番目の子供ゼウスを妊娠すると、両親であるガイアとウラヌスに、子供を救ってクロノスに報いを与える計画を持ちかける[46]。両親の指示に従い、レーアーはクレタ島のリクトゥスに行き、そこでゼウスを出産し[47]、生まれたばかりの子供をガイアに渡して育ててもらい、ガイアはゼウスをアイゲオン山の洞窟に連れて行く[48]。レーアーはクロノスに、子供の代わりに乳母車に包まれた石を渡した。クロノスはそれが自分の子供でないことに気づかず、すぐに飲み込んでしまった[49]

ヘーシオドスはリクトゥスをゼウスの生誕地としているが、そうしたのは彼だけであり[50]、他の著者は異なる場所を示している。コリントの詩人エウメロス(前8世紀)は、リディア人ヨハネによれば、ゼウスはリディアで生まれたと考え[51]、アレクサンドリアの詩人カリマコス(前310頃-前240頃)は、ゼウスへの賛歌でアルカディアで生まれたと述べている[52]。シケリアのディオドロス・シクルス(紀元前1世紀頃)は、一度はイダ山を出生地としているようだが、後にディクテで生まれたとしており[53]、神話学者アポロドーロス(紀元1、2世紀)も同様にディクテの洞窟で生まれたと述べている[54]

幼少期

『神統記』にはゼウスの生い立ちについて、すくすくと育ったということ以外何も書かれていないが[55]、他の資料にはより詳細な記述がある。

アポロドーロスによると、レーアーはディクテーの洞窟でゼウスを産んだ後、メリセウスの娘であるニンフのアドラスティアとイーダーにゼウスを託した[56]。ニンフ達はゼウスに雌山羊アマルティアの乳を飲ませ[57]、クーレテ族は洞窟を守り、盾で槍を打ち、クロノスに赤ん坊の泣き声が聞こえないようにした[58][私注 2]。シケリアのディオドロスも同様の記述をしており、出産後、レーアーはイダ山へ行き、生まれたばかりのゼウスをクーレテスに渡し[59]、その後、ニンフたち(名前はない)のところへ連れて行き、アマルティアのヤギから蜂蜜とミルクを混ぜたもので彼を育てたと述べている[60]。また、クーレテ族が「大きな鳴動」を起こし、クロノスを欺いたことに言及し[61]、クーレテ族が新生児ゼウスを運ぶ際に、トリトン川でへその緒が切れたことを語っている[62]

ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスは『神話集』の中で、クロノスがポセイドーンを海に、ハーデースを冥界に投げ捨てたが、飲み込むことはしなかったという説を紹介している。ゼウスが生まれると、ヘーラー(これも飲み込んでいない)はレーアーに幼いゼウスを渡してくれるよう頼み、レーアーはクロノスに石を渡して飲み込ませる[63]。ヘーラーは彼をアマルティアに渡し、アマルティアは彼のゆりかごを木に吊るすが、そこには彼は天にも地にも海にもいない。つまり、後にクロノスがゼウスを探しに行っても、彼を見つけることはできないのである[64][私注 3]。ヒュギーヌスはまた、通常オケアヌスの子とされるイーダー、アルテア、アドラステイアを、メリセウスの娘、ゼウスの看護婦と呼ぶこともあると述べている[65]

エピメニデスの断片によると、ニンフのヘリケとキノスーラは幼いゼウスの養母であったという。クロノスはゼウスを捜すためにクレタ島へ行き、ゼウスは自分の存在を隠すために、自分を蛇に、二人の看護婦を熊に変身させた[66]。ムサエイオスによると、ゼウスが生まれた後、レーアーはテミスにゼウスを渡したという。テミスはゼウスをアマルティアに預けるが、アマルティアは雌山羊を飼っていて、幼いゼウスを養育した[67]

アントニウス・リベラリスは『メタモルフォーゼ』の中で、レーアーはクレタ島の神聖な洞窟でゼウスを出産し、そこには神聖な蜂がたくさんいて、その蜂が赤ん坊の乳母となった、と述べている。神も人も立ち入れないこの洞窟から、蜂蜜を盗み出そうとする盗賊団が現れる。ゼウスの産着に目をつけた彼らの青銅の鎧は「体から裂け」、モイライとテミスの介入がなければゼウスは彼らを殺すところだったが、代わりに彼は彼らを様々な種類の鳥に変身させた[68]

権力への昇級

『テオゴニア』によれば、ゼウスが成人した後、クロノスは「ガイアの策略によって、しかしゼウスの技術と力によって」5人の子供と石を吐き出す[69]。おそらく、最初に石を吐き出し、次に5人の子供たちをそれぞれ飲み込むのと逆の順序で吐き出したと思われる。そしてゼウスは、この石をデルフォイに設置し、「以後、人間へのしるしと驚異として」機能するようにした[70]。ゼウスは次にキュクロプスを解放し、そのお礼にガイアが隠していた雷鳴をゼウスに渡す[71]。そして、ゼウス率いるオリンピアンとクロノス率いるティターンが宇宙の支配権をめぐって争う「ティタノマキアー」が始まり、ゼウスとオリンピアンはオリンポス山から、ティターンはオトリス山から戦っている[72]。戦いは10年間続き、明確な勝者は現れなかったが、ガイアの助言により、ゼウスはキュクロプス同様地中に幽閉されていたヘカトンケイルを解放する[73]。ゼウスはネクタルとアンブロシアを与えて彼らの精神を蘇らせ[74]、彼らは戦争で彼に協力することを承諾する[75][私注 4]。ゼウスはティターンに稲妻を浴びせ、へカントケイルは岩を投げて攻撃し、ティターンはついに倒され、ゼウスはティターンをタルタロスへ追放し、へカントケイルはその監視役を命じられた[76][私注 5]

アポロドーロスも同様の説明をしており、ゼウスが大人になったとき、オセアニア人のメーティスの助けを借りて、クロノスに嘔吐物を与え、石とゼウスの5人の兄弟を吐き出させたと述べている[77]。その後、ゼウスはティターンと10年戦争を続けるが、ガイアの予言により、キュクロプスとへカントケイルをタルタロスから解放し、まず彼らの監視役であるカンペを殺害した[78]。キュクロプスは雷鳴を、ポセイドーンは三叉の矛を、ハーデースは透明な兜をゼウスに与え、ティターンを倒し、へカントケイルを護衛につけた[79]。『イーリアス』によると、ティターンとの戦いの後、ゼウスは兄弟のポセイドーンとハーデースにくじ引きで世界を分け与える。ゼウスは空を、ポセイドーンは海を、ハーデースは冥界を手に入れ、大地とオリンポスは共通の土地となった[80]

権力への挑戦

宇宙の王となったゼウスは、すぐにその支配を脅かされることになる。ティターンはオリンポスの神々と戦い、「ギガントマキア」と呼ばれる戦いで、その力に挑戦してきた。ヘーシオドスによれば、ティターンはクロノスが父ウラヌスを去勢した際に地面に落ちた血の滴から生まれたガイアの子である[81]が、『神統記』には神々と巨人の戦いについての記述はない[82]。 『ギガントマキア』について最も完全な記述をしたのはアポロドーロスである。ガイアは、ゼウスが自分の子供である巨人を幽閉したことに怒り、ウーラヌスに巨人を産み落としたと言うのだ[83]。巨人は神々だけでは倒せず、人間の力を借りなければ倒せないという予言が神々にもたらされる。これを聞いたガイアは、巨人を倒さない特別なファルマコン(薬草)を探すが、その薬草は巨人を倒してしまうことになる。しかし、ゼウスはエーオース(夜明け)、セレネー(月)、ヘーリオス(太陽)に光を止めるように命じ、自らすべての薬草を収穫し、アテーナーにヘーラークレースを召喚させる[84][私注 6]。しかし、ゼウスはポルピュリオーンにヘーラーへの欲望を抱かせ、ポルピュリオーンはヘーラーを犯そうとしたところをゼウスに雷で打たれ、ヘーラークレースには矢で致命傷を負わされてしまう[85][私注 7]

『神統記』では、ゼウスがティターン族を倒してタルタロスへ追放した後、彼の支配に巨大な蛇のような怪物テューポーンが挑戦し、宇宙の支配権をめぐってゼウスと争うことになる。ヘーシオドスによれば、テューポーンはガイアとタルタロスの子であり[86][私注 8]、100の蛇のような火を噴く頭を持っていると描写されている[87]。ヘーシオドスは、ゼウスがこの怪物に気づいて素早く退治してくれなければ、「人間と不死人を支配するようになっていただろう」と言っている[88]。2人は激動の戦いで出会い、ゼウスは雷で簡単に彼を倒し、怪物はタルタロスへ投げ落とされた[89]。エピメニデスは、テューポーンがゼウスの宮殿に侵入したのはゼウスが眠っているときで、ゼウスが目を覚ますと雷で怪物を殺してしまうという別の説を紹介している[90]。アエスキルスやピンダルは、ヘーシオドスと似たような説明をしている。ゼウスは、テューポーンを雷で比較的簡単に倒してしまうのだ[91]。これに対してアポロドーロスは、より複雑な物語を提供している[92]。テューポーンは、ヘーシオドス同様、ガイアとタルタロスの子供で、ゼウスが巨人を倒したときの怒りから生み出されたものである[93]。怪物は天を襲い、神々は恐怖のあまり動物に変身してエジプトに逃げ込むが、ゼウスだけは雷と鎌で怪物に襲いかかった[94]。テューポーンは傷つき、シリアのカシオス山に退却し、ゼウスは彼と格闘し、怪物に巻きつき、手足から筋を引き抜く隙を与えた[95]。傷ついたゼウスは、テューポーンによってキリキアのコリキア洞窟に連れて行かれ、そこで「女龍」デルピュネーに見張られた[96]。しかし、ヘルメースとエーギパンはゼウスの筋を盗み、鍛え直してゼウスを蘇らせ、戦いに復帰させる。ニサ山へ逃げたテューポーンを追い、そこでテューポーンはモイライから「無常の果実(ephemeral fruits)」を与えられ、力を弱められる[97]。その後、トラキアに逃れた怪物はゼウスに山を投げつけ、ゼウスはそれを雷で打ち返したが、シチリア島に逃げる途中、ゼウスはエトナ山を打ち上げて怪物にとどめを刺した[98]。古代の最も長く、最も詳細な記録を残したノヌスは、アポロドーロスと同様の物語を提示するが、代わりにカドマスとパンが、音楽でテューポーンを誘い、彼をだましてゼウスの筋を回復させるなどの相違点がある[99]

『イーリアス』では、ヘーラー、ポセイドーン、アテーナーの3人が共謀してゼウスを圧倒し、縛り上げるという倒幕劇が描かれている。ヘカトンケイルの一人であるブリアレオスをオリンポスに呼び寄せたネレイド・テティスのおかげで、他のオリンポスの神々は(ブリアレオスを恐れて)計画を断念するのである[100]

ゼウスの7人の妻

ゼウスは最終的にはヘーラーと永遠に結ばれるが、それまでに何度か結婚と離婚を繰り返していた。

ヘシオドスによれば、ゼウスには7人の妻がいた。最初の妻はオケアノスのメーティスで、ガイアとウラヌスの助言により、メーティスとの間にできた息子が予言通りゼウスを打倒しないように、メーティスを飲み込んだ。その後、彼らの娘アテーナーがゼウスの額から生まれた[23]

ゼウスの次の結婚は、彼の叔母であり助言者であるテミスとのもので、彼女はホーライ(季節)とモイライ(運命)を産んだ[101]。その後、ゼウスはオーケアノスの娘のエウリュノメーと結婚し、彼女は3人のシャリテ(グレイセス)を産んだ[102]

ゼウスの4番目の妻は姉妹のデーメーテールで、ペルセポネーを産んだ[103]。ゼウスの5番目の妻は、彼の叔母であるティターンのムネーモシュネーで、彼は人間の羊飼いの姿になって誘惑した。ゼウスとムネーモシュネーとの間には9人のミューズがいた[104]。6番目の妻はティターンのレートーで、デロス島でアポローンとアルテミスを産んだ[105]

ゼウスの7番目の妻で最後の妻は、姉のヘーラーである[106]

メーティス

ゼウスの最初の妻は智恵の女神メーティスであった。彼女はオーケアニデスであり、ティーターン神族の一柱であったが、ティーターノマキアーの際にはゼウスに味方していた。ガイアは「ゼウスとメーティスの間に生まれた男神は父を超える」という予言をした。これを恐れてゼウスは妊娠していたメーティスを呑み込み、子供が生まれないようにした。「どんなものにでも変身できるのなら、水に変身してみせよ」というゼウスの挑発に乗ったメーティスが水に変じたところでこれを飲み干したとも、ゼウスから逃れるために様々な動物に変身していたが、蠅に変身したところで呑み込まれたとも言われる。

あるとき、ゼウスは激しい頭痛に襲われた。そこで、ヘーパイストスに命じて頭を斧で叩き割り、直接原因を探ろうとした。すると、ゼウスの頭から武装し成人したアテーナーが飛び出してきた。その衝撃で世界は停止し、天体の運行も止まった。アテーナーがゼウスとメーティスとの子であり、女神であったために、ガイアの予言は効力を失った。こうしてゼウスは王位簒奪の大いなる運命から解放された。呑み込まれたメーティスはゼウスの智恵となり、ゼウスはメーティスの全知を手に入れた。また、メーティスはアテーナーと共に飛び出てきたという説もある。

テミス

メーティスの智恵を吸収したゼウスは、次にウーラノスとガイアの子である、掟の女神テミスと結婚した。テミスとの間に運命の三女神モイライ、季節の女神ホーラー、正義の女神アストライアーをもうけた。モイライは最初は夜の女神ニュクスの娘であったが、ゼウスは上記のように運命を超越し、モイライを自らの子として再誕生させた。結果として運命すらもゼウスに抗えなくなった[107]

ヘーラー

ゼウスはヘーラーに目を付け、テミスと結婚中であるにもかかわらず結婚の女神ヘーラーに言い寄った。ゼウスはカッコウに化けてヘーラーに近付き犯そうとしたが、ヘーラーはそれでも尚抵抗を止めなかった。ヘーラーは交わることの条件として結婚を提示した。ヘーラーに魅了されていたゼウスは仕方なくテミスと離婚すると、ヘーラーと結婚し、彼女との間にアレース、ヘーパイストス、ヘーベーなどをもうけた。ヘーラーはゼウスの不貞に対して常に目を光らせ、愛人たちやその子供たちに苛烈な罰を与えるようになった。

ゼウスとヘーラー

ゼウスはヘーラーの弟であり、配偶者であった。パウサニアスによれば、ゼウスはヘーラーを口説くためにカッコウに変身した[108]。ヘーラーによってゼウスはアレース、ヘーベー、エイレイシア、ヘパイストスという子を得たが[18]、ヘーラーだけがこれらの子供を産んだとする説もある。また、娘としてエリス[109]、エンヨー[110]、アンゲロス[111]を挙げる者もいる。 『イリアス』の「ゼウスの欺瞞」と呼ばれる部分では、二人は親に知られることなく性的関係を始めたと描写されている[112]

テオクリトスの『イディール』のスコリオンによると、ヘーラーが一人でトーナックス山に向かっていたとき、ゼウスがひどい嵐を起こしてカッコウの鳥に姿を変え、飛んできて彼女の膝の上に座ったということだ。ヘラはそのカッコウを見ると、哀れみを感じ、マントで覆った。そして、ゼウスは再び変身して彼女を抱きしめた。彼女が母親のために寝ることを拒んだので、ゼウスは彼女との結婚を約束したのである[113]。ヘーラーはゼウスとの結婚を拒み、洞窟に隠れて[私注 9]ゼウスを避けていたが、アキレスという地上の男に説得され、初めて性交をした、という話がある。そして、ゼウスはアキレスに、彼の名を冠した者はみな有名になると約束した[114]

ヘーラーはエウベア島でマクリスというニンフに育てられたが、ゼウスに連れ去られ、プルタークの言葉によれば、シタエロン山が「二人に日陰を与えてくれた」という説もある。マクリスが彼女を探しに来たとき、山の神シタエロンが「ゼウスはレートーと一緒にそこで楽しんでいる」と言って追い払った[115]

カリマコスによれば、彼らの婚礼の宴は三千年続いたという[116]。 ヘーラークレースがエウリュステウスから託されたヘスペリデスのリンゴは、ガイアが二人に贈った結婚式の贈り物だった[117]

ゼウスは何人かのニンフと同衾し、ヘレニズム王朝の多くの神話上の死すべき子孫の父とみなされた。7人の妻のほか、ディオーネやマイアなど、不死人との関係もあった[118][119]。人間ではセメレー、イーオー、エウローパ、レーダー(詳細は後述)、そして若いガニュメーデース(彼は死を免れないがゼウスは彼に永遠の若さと不死を与えた)である。

多くの神話では、ヘーラーはゼウスの情事に嫉妬し、ゼウスの愛人やその子供たちを一貫して敵視していたことになっている。一時期、エコーという妖精がヘーラーの気をそらすために、ひっきりなしにおしゃべりをしていましたが、それを知ったヘーラーは、エコーが他人の言葉を繰り返すように呪いをかけた[120]

シケリアのディオドロスによると、ヘーラークレースの母アルクメネーがゼウスが寝た最後の女性で、ヘーラークレースの誕生後、ゼウスは人間を生むことをやめ、それ以上子供を作らなかったとされている[121]

愛人たち

ゼウスは好色な神であり、しばしばヘーラーの目を盗んでは浮気を繰り返していた。これは、強力な神々や半神半人を生み出し、全宇宙や人間界の基盤を整えるためでもあった。また、古代ギリシアのみならず、地中海世界の王家が自らの祖先をゼウスとする家系を主張したため、ゼウスは浮気を繰り返す神話を多く持つようになった。ゼウスの愛人は数え切れないほどいるが、その中でも特に有名な愛人たちを以下に記述する。下記の他、ラミアーアイギーナカリストーエラレータレイアアイトネーなど多くの愛人を持ったことで知られる。

イーオー

ゼウスはイーオーという美女と密通していた。これを見抜いたヘーラーはゼウスに詰め寄るが、ゼウスはイーオーを美しい雌牛に変え、雌牛を愛でていただけであるとした。ヘーラーは策を講じ、その雌牛をゼウスから貰うと、百眼の巨人アルゴスを見張りに付けた。この巨人は身体中に百の眼を持ち、眠る時も半分の50の眼は開いたままであったので、空間的にも時間的にも死角が存在しなかった。ゼウスはイーオー救出の任をヘルメースに命じ、ヘルメースは草笛でアルゴスの全ての眼を眠らせると、その首を剣で切り取った。

雌牛は解放されたが、ヘーラーが虻を送り込んだために雌牛は逃げ惑った。虻から逃げるように様々な地を放浪し、最終的にはエジプトに辿り着き、ここで雌牛は元の姿に戻った。ゼウスとの間にできていた子供であるエパポスをエジプトで出産した。イーオーはデーメーテールの像を立て、イーオーとデーメーテール像はエジプト人にイシスと呼ばれるようになった。

レーダー

アイトーリアテスティオスの娘で、スパルタ王テュンダレオースの妻であったレーダーにもゼウスは恋した。ゼウスは白鳥に変じ、鷹に追われるふりをしてレーダーの腕に隠れた。レーダーは白鳥のことを想ってそれを拒まなかったが、そこで正体を現したゼウスと交わった。レーダーは二つの卵を産み、一つの卵からはヘレネークリュタイムネーストラーが、もう一つの卵からはカストールポリュデウケース(二人合わせてディオスクーロイとも呼ばれた)が生まれた。ヘレネーとポリュデウケースはゼウスとの子であり、クリュタイムネーストラーとカストールがテュンダレオースとの子であった。ヘレネーは絶世の美女となり、トロイア戦争の原因となった。ポリュデウケースは不死身であった。ゼウスはヘレネーの誕生を記念し、宇宙にはくちょう座を創造した。

エウローペー

エウローペーは、テュロスフェニキアアゲーノールテーレパッサの娘で、美しい姫であった。エウローペーに一目ぼれしたゼウスは誘惑するために、白い牡牛へと変身した。エウローペーは侍女と花を摘んでいる時にその牡牛を見付け、従順な様子に気を許して背にまたがった。その途端に牡牛はエウローペーを連れ去った。ゼウスはヨーロッパ中をエウローペーと共に駆け回ったため、その地域はエウローペーから名前を取って「ヨーロッパ」 (Europa) と呼ばれるようになった。最終的にクレタ島へ辿り着いたゼウスは本来の姿をあらわし、エウローペーはクレタ島で最初の妃となった。ゼウスとの息子には、ミーノースラダマンテュスサルペードーンがいる。その後、アステリオスが3人の息子たちの義理の父になった。ゼウスは彼女にタロースと必ず獲物をとらえる猟犬となくなる事のない投げ槍の、3つの贈り物を与えた。その後ゼウスは再び白い牡牛へと姿を変え、星空へと上がり、おうし座になった。

ガニュメーデース

ゼウスはガニュメーデースというトロイアの美少年を攫ったことでも知られている。しかし、これは愛人にするためではなく、神々の給仕係にするためであった。オリュンポスの神々に給仕するのは、もとは大神ゼウスとその正妻ヘーラーの娘、青春の女神であるヘーベーの役割であった。ゼウスの子、英雄ヘーラクレースが、死後に神々の列に加えられたとき、ヘーラクレースを憎んでいたヘーラーはようやくヘーラクレースと和解し、その娘ヘーベーが妻として彼に与えられた。このため神々の宴席に給仕するものがなくなった。ゼウスは人間たちの中でもとりわけ美しいガニュメーデースを選び、鷲の姿に変身して彼を攫い、オリュンポスの給仕とした。この仕事のためにガニュメーデースには永遠の若さと不死が与えられた。また代償としてその父に速い神馬(別伝ではヘーパイストスの作った黄金のブドウの木)が与えられた。

天上に輝くみずがめ座は、神々に神酒ネクタールを給仕するガニュメーデースの姿であり、わし座はゼウスが彼を攫うときに変身した鷲の姿である。

プロメーテウスと人間との軋轢

神々がメコネに集まり、生贄を捧げた後にどの部分を受け取るかを話し合ったとき、ティターンのプロメテウスがゼウスを騙して、人間がより良い部分を受け取れるようにしようと考えたのだ。彼は大きな牛を犠牲にして、それを二つの山に分けた。一方の山に肉と脂肪を全部入れて、牛のグロテスクな胃袋で覆い、もう一方の山には骨に脂肪を付けて装った。プロメーテウスはゼウスに選ぶように言い、ゼウスは骨の山を選んだ。これは、人間が脂肪を自分のものにし、骨を焼いて神に捧げるという生け贄の前例となった。

プロメーテウスの欺瞞に怒ったゼウスは、人間が火を使うことを禁じた。しかし、プロメーテウスはオリンポスからフェンネルの茎に入った火を盗み出し、人間に与えた[私注 10]。ゼウスはプロメーテウスを崖に縛り付け、鷲がプロメーテウスの肝臓を食べ続け、その肝臓は毎晩再生されるという罰を与えた。プロメーテウスはやがてヘラクレスによって苦難から解放された[122]

さて、人間に怒ったゼウスは、今までの恩恵の代償として、人類に罰のための贈り物をすることにした。ゼウスはヘーパイストスに、地球から最初の女性を成形するよう命じ、その子孫は人類を苦しめることになる「美しい悪魔」であるとした。ヘーパイストスがそうした後、他の神々も彼女を作り出すことに貢献した。ヘルメースはその女性を「パンドラ」と名付けた。

パンドラはプロメーテウスの弟エピメーテウスに嫁がされた。ゼウスは彼女に、多くの悪が入った壺を与えた。パンドラは壺を開け、人類を不幸にするすべての悪を放出した。瓶の中には、希望だけが残された[123]


オリンポス山の頂上にいたゼウスは、人間の生け贄など、人間の退廃的な兆候に愕然とした。彼は人類を絶滅させることを決意し、弟のポセイドンの力を借りて世界を水浸しにした[私注 11]。洪水の後、デウカリオーンとピューラーだけが残った[124]。この洪水の物語は、神話によく登場するモチーフである[125]

「イーリアス」において

『イーリアス』は、ホーメロスが創作した古代ギリシャの叙事詩で、トロイ戦争とトロイの町をめぐる戦いを描いており、ゼウスが重要な役割を担っている。

ゼウスが登場するシーンは以下の通り[126][127]

  • Book 2: ゼウスはアガメムノーンに夢を送り、夢の効果でアガメムノーンの決断を部分的にコントロールすることができる。
  • Book 4: ゼウスはヘーラーに、戦争の終わりにトロイの街を破壊することを約束する。
  • Book 7: ゼウスとポセイドーンがアカイアの砦を破壊する。
  • Book 8: ゼウスは他の神々が互いに戦うことを禁じ、イーダー山に戻り、ギリシャ軍が戦争に負けるという決断を熟考することになる。
  • Book 14: ゼウスはヘーラーに誘惑され、彼女がギリシャを助けている間、気が散ってしまう。
  • Book 15: ゼウスは目を覚まし、実の兄であるポセイドーンがギリシャを援助していたことに気づく。同時に、トロイの街を陥落させるべく、ヘクトールとアポローンをトロイとの戦いに送り込む。
  • Book 16: ゼウスは、サルペドンの命を救うことができなかったことに憤慨している。
  • Book 17: ゼウスはヘクトルの運命に心を痛める。
  • Book 20: ゼウスは他の神々に、それぞれの戦いに助力を与える。
  • Book 24: ゼウスはアキレースにヘクトールの亡骸を丁重に葬るよう要求する。

その他の神話

ゼウスは曾孫のアルクメーネと、彼女の夫アンフィトリオンに化けて寝た。その結果、ヘーラークレースが生まれ、ヘーラークレースはゼウスの妻ヘーラーに一生苦しめられることになった。ヘーラークレースは死後、肉体を焼却され、オリンポスの神々に合流した。彼はゼウスとヘラの娘ヘーベーと結婚し、彼女との間にアレクシアレスとアニケトスの二人の息子をもうけた[128]

ハーデースがゼウスの娘ペルセポネーとの結婚を申し込むと、ゼウスはそれを認め、母デーメーテールがハーデスとの結婚を許さないので、ペルセポネーを誘拐するようにハーデスに進言した[129]

ゼウスはカドモスとハルモニアの娘セメレーに恋をして、彼女と関係を持つようになった。その後、セメレーが妊娠したときにヘーラーは夫の浮気を発見し、セメレーに真の姿のゼウスと寝るように説得した。ゼウスがセメレーに真の姿を見せたとき、その雷と稲妻はセメレーを焼き殺してしまった[130][私注 12]。ゼウスは胎児を自分の太ももに縫い付けて救い、胎児はディオニューソスとして生まれることになる[131]

オルフィックの『狂詩曲』(紀元前1世紀/紀元後1世紀)では[132]、ゼウスは母レーアーと結婚することを望んでいた[132]。レアが結婚を拒んだため、ゼウスは蛇に変身して彼女を犯した。レーアーは妊娠し、ペルセポネーを産んだ。 蛇の姿をしたゼウスは娘のペルセポネーと交尾し、その結果ディオニューソスが誕生した[133]

ゼウスは、アルクメオンの息子であるアカルナンとアンフォテラスが早く成長し、フェゲウスとその二人の息子に殺された父の仇を討てるようにというカリルローの願いを叶えた[134]

ゼウスとポセイドーンは、ネレウスの娘であるテティスに求婚した。しかし、テミス(またはプロメテウス)が「テティスから生まれる息子は父親よりも強くなる」と予言したため、テティスは人間のペレウスに嫁がされることになった[135][136]

ゼウスは孫のアスクレピオースが人間に復活を教えることを恐れ、アスクレピオースを雷で殺した。これに対して、アスクレピオースの父アポローンは怒り、ゼウスの雷を作ったキュクロプスを殺してしまった。これに怒ったゼウスは、アポローンをタルタロスに幽閉したのだろう。しかし、アポローンの母レートーの要請で、ゼウスは代わりにアポローンをフェライのアドメテウス王の奴隷として1年間仕えるように命じた[137] 。シケリアのディオドロスによると、ゼウスがアスクレピオースを殺したのは、アスクレピオースの復活のために冥界の人々が減っていることを心配したハーデスからの苦情が原因だという[138]

翼のある馬ペガサスは、ゼウスの雷を運んでいた[139]

ゼウスは、義父殺しの罪を犯したイクシオンを哀れみ、彼を浄化してオリンポスに連れてきた。しかし、イクシオンはヘーラーに欲望を持つようになった。ヘーラーがこのことを夫に訴えたので、ゼウスはイクシオンを試すことにした。ゼウスはヘーラー(ネペレー)に似た雲を作り、その雲のヘーラーをイクシオンの寝床に寝かせた。ゼウスはヘーラーに欲情したイクシオンを、永遠に回転する車輪に縛り付けて罰した[140][私注 13]

あるとき、太陽神ヘリオースは、経験の浅い息子パエトーンに自分の馬車を扱わせた。パエトーンは父の馬を制御できず、戦車を高くしすぎて大地を凍らせたり、低くしすぎてすべてを焼き尽くしたりしてしまった。大地そのものがゼウスに祈り、これ以上の災いを防ぐために、ゼウスはパエトーンに雷を投げつけ、パエトーンを殺して世界を救った[141][私注 14]。ルシアンの『神々の対話』という風刺的な作品では、ゼウスはヘリオスがそのようなことを許したことを非難し、壊れた馬車を彼に返し、もしまた同じことをするなら、この雷の一つで彼を打ちのめすと警告している[142]

変身したゼウス

恋愛感情 変身
アイギーナ 鷲あるいは炎あるいは火
アルクメネー アムピトリュオーン[143]
アンティオペー サテュロス[144]
アソピス 炎あるいは火
カリストー アルテミス[145]あるいはアポローン[146]
カシオペイア フェニックス
ダナエー 金の雨[147]
エウローペー 雄牛[148]
エウリメドゥーサ
ガニュメーデース [149]
ヘーラー カッコウ[150]
ラミアー タゲリ
レーダー 白鳥[151]
ムネーモシュネー 牧人
ネメシス 鵞鳥[152]
ペルセポネー [133]
レアー [133]
セメレー
タレイアー 禿鷲

子供

子供と母親(ヘーシオドス)
子供 母親
ヘーラークレース アルクメネー[153]
ペルセポネー デーメーテール[154]
カリテス (アグライアー, エウプロシュネー, タレイア) エウリュノメー[155]
アレース, エイレイテュイア, へーべー ヘーラー[156]
アポローン, アルテミス レートー[157]
ヘルメース マイア[158]
アテーナー メーティス[159]
ムーサ (カリオペー, クレイオー, エウテルペー, エラトー, メルポメネー, ポリュムニアー, テルプシコラー, タレイア, ウーラニアー) ムネーモシュネー[160]
ディオニューソス セメレー[161]
ホーラー(ディケー, エイレーネー, エウノミアー), モイラ (アトロポス, クロートー, ラケシス) テミス[162]
子供と母親 (その他の出典) 表1
子供 母親
アエギパン[163] アエガ, エクスまたはボエティス
テュケー[164] アプロディーテ
ヘカテー,[165] ヘーラークレース[166] アステリア
アクラガス[167] アステローペ
コリュバンテス[168] カリオペー
コリア (Athene)[169] コリューペ
ディオニューソス[170] デーメーテール
アプロディーテー ディオーネー[171]
カリス (アグライアー, エウプロシュネー, タレイア) エウアンテ or エウノミアー[172] or エウリュドメー or エウリュメドーサ
アーソーポス[173] エウリュノメー
ドドン[174] エウローパ
アグディスティス,[175]リディアのマネス,[176] ケンタウロス[177] ガイア
アンゲロス, アルゲ,[178] エレウーセリア,[179] エンヨー, エリス,ヘーパイストス[180] ヘーラー
パーン[181] ヒブリス
トロイのヘレン[182] ネメシス
メリノエー, ザグレウス,[183] ディオニューソス ペルセポネー
ペルセポネー[184] レアー
ディオニューソス,[185] エルサ,[186] ネメア,[187] ネメアン・ライオン, パンディア[188] セレネー
ペルセポネー[189] ステュクス
パリシー[190] タレイア
アイアコス,[191] ダモクラティア[192] アイギーナ
アンピオン, ゼーザス アンティオペー[193]
タルギタオス[194] ボリステニス
アルカス[195] カリストー
ブリトマルティス[196] [カルメー
ダルダノス[私注 15],[197] エマーシオン,[198] イーアシオーン[私注 16],[197] ハルモニアー[199] エーレクトラー
ミュルミドーン[200] エウリュメドゥーサ
クロニオス, スパルタイオス, キュトス ヒマリア[201]
コラクセス[202] ホーラ
クレース[203] イーダイアー
エパポス, ケロエッサ[204] イーオー[私注 17]
サルペドン, アーガス ラダーネ[205]
サオン[206] ニンフェ
メリテウス[207] オトレーイス
子供と母親 (その他の出典) 表2
子供 母親
タンタロス[208] プルートー
ラケダイモーン[209] ターユゲテー
アルカス[210] テミストー
カリウス[211] [トーヘビア
メガラス[212] ニンフ・シスニッド
オレヌス[213] アナクシテア

アエトリオス or エンデュミオーン[214]

カリス
ミュリエー,[215] ソリムス[216] カルデネー
ペルセウス[217] ダナエー
ペイリトオス[218] ディーア
ティテュオス[219] エラレー
ミーノース,[220] ラダマンテュス,[221] サルペドン,[222] エウローパ
アルケシウス エウリョデイア
オルコメノス ヘルミッペ[223]
アガメデス[私注 18] イオカステ[私注 19]
テーベ,[224] デュカリオーン[178] イオダーメ
アキレス[225][226] ラミアー
シビュラ[227] ラミアー(ポセイドーンの娘)
サルペードーン[228] ラーオダメイア[私注 20]
トローイアのヘレネー, ポリュデウケース レーダー
ヘーラークレース[229] リシトエ
ロクルス マエラ[230]
アルガス, ペラスガス ニオベー[231]
グラウカス,[232] ラティーヌス[233] テッサリーのパンドラ
アカエウス[234] プティア
アエトリオス,[235] アイトーロス,[236] オーパス[237] プロートゲネイア
ヘレーン[238] ピュラー
アエギプタス,[224] ヘーラークレース[239] テーベ
マグネス, マケドノス テッサリーのティーア[240]
アルテイア, アーテー,[241] ナイシアン,[242] カエラス, エウブレウス,[243] リタエ,[244] さまざまなニンフ, ファシス,[245] カラブラス,[246] ゲラエスタス, タエナラス, コリントス,[247] クリナカス[248] 母親不明
オリーオーン[249] 母なし

役割と呼称

ゼウスは、ギリシアのオリンピアン・パンテオンを統率する圧倒的な役割を担っていた。ゼウスは多くの英雄の父親であり、彼らのローカルカルトの多くに登場した。 ホメロスの「雲取り」においては、ゼウスは中近東の神々と同じく空と雷の神であったが、同時に最高の文化財であり、ある意味ではギリシャの宗教観の体現者、ギリシャの原型となる神であったとも言える。

ゼウスにつけられた諡号(おくりな)は、単に特定の場所で何かをしているというだけでなく、その広範な権威のさまざまな側面を強調するものであった。

  • ゼウス・アエギダコス あるいは アエギオコスZeus Aegiduchos or Aegiochos):通常、メデューサの頭を挟んだ神の盾であるイージスを持つゼウスとされるが[250]、ゼウスの乳母である神山羊アマルティアを指して「山羊」(αἴξ)とオケー(οχή)に由来する説も存在する[251][252]
  • ゼウス・アゴラエウスZeus Agoraeus )(Αγοραιος): 市場(アゴラ)の後援者であり、不正な商人を罰する者としてのゼウス。
  • ゼウス・アレイウスZeus Areius )(Αρειος): 「戦争的なもの」「贖罪的なもの」のどちらか。
  • ゼウス・エレウセリオスZeus Eleutherios) (Ἐλευθέριος): 「自由をもたらすゼウス」。アテネでの信仰。[253]
  • ゼウス・ホルキオスZeus Horkios): 誓いの番人としてのゼウス。嘘をついた者はゼウスに奉納させられ、オリンピアの聖域に置かれることが多かった。
  • オリンポスのゼウスZeus Olympios)(Ολύμπιος): 神々の王として、またオリンピアの汎神殿競技の後援者としてのゼウス。
  • ゼウス・パンヘレニオスZeus Panhellenios)("ギリシャの名前の全てであるゼウス"): アイギナのアイアコス神殿に奉納された。
  • ゼウス・クセニオスZeus Xenios)(Ξένιος), フィロクセノンPhiloxenon), or ホスパイテスHospites): 客寄せパンダとしてのゼウス。

また、ゼウスに対する追加の名称や 諡号もある。

A

  • アブレッテヌスAbrettenus)(Ἀβρεττηνός) or アブレタヌスAbretanus): ミュシアでの名[254]
  • アチャドAchad): シリアでの名前の一つ。
  • アクラエウスAcraeus)(Ακραίος): スミュルナでの名。アクレアとアクレウスは、ゼウス、ヘーラー、アプロディーテ、パラス、アルテミスなど、神殿が丘の上にあった様々な女神や神々に与えられた名前でもある。
  • アクレッテヌスAcrettenus): ミュシアでの名。
  • アダドAdad): シリアでの名前の一つ。
  • ゼウス・アダドスZeus Adados): カナン人のハダドとアッシリア人のアダド、特にヘリオポリスの太陽崇拝をヘレネス化したもの[255]
  • アダルタスAdultus): 大人たちが結婚するときに呼び出されるため。
  • アレイオスAleios)(Ἄλειος), 「ヘリオス」からきており、おそらく水にも関連している[256]
  • アンボウリオスAmboulios)(Αμβουλιος, "カウンセラー") またはラテン語化されたアンブリウスAmbulius[257]
  • アペミウスApemius) (アペミオスApemios), Απημιος): 病魔退散としてのゼウス。
  • アポミウスApomyius)(Απομυιος): 蝿取り神ゼウス。
  • アペシオスAphesios)(Αφεσιος; "リリース(雨)")
  • アルギケラフノスArgikeravnos)(ἀργικέραυνος; "点滅する電光の")[258]
  • アストラピオスAstrapios)(ἀστραπαῖός; "ライトナー"): 天候神としてのゼウス。
  • アタビリウスAtabyrius)(Ἀταβύριος): ロードス島で崇拝され、島のアタビラス山からその名を取った[259]
  • アイトリオスAithrios)(Αἴθριος, "晴天の空の")[258]
  • アイテリオスAitherios)(Αἰθέριος, "エーテルの")[258]

B

  • バシレウスBasileus)(Βασιλευς, "王、長、支配者")
  • ボッティアエウスBottiaeus)/ ボッタイオスBottaios)(Βοττιαίος, "ボッティアエイの"): アンティオキアでのリバニウス信仰[260]は、アレキサンダー大王がゼウス・ボッティアイオスの神殿を、後にアンティオキアの街が建設された場所に設立したと記している[261][262]
  • ゼウス・ボウレウスZeus Bouleus)/ボウライオスBoulaios)(Βουλαίος, "評議会の"): 最古の神託所であるドドナで、ゼウス・ナオスとともに崇拝された。
  • ブロンティオスBrontios)及びブロンタイオスBrontaios)(Βρονταῖος, "雷神"): 天候神としてのゼウス。

C

  • セナエアンCenaean)(ケナイオスKenaios)/ケナイウスKenaius), Κηναῖος): セナエウムに由来する名[263][257]
  • クトニオスChthonios)(Χθόνιος, "地下世界の")[258]

D

  • ディクタイオスDiktaios)(Δικταιος): ミケーネ時代からクレタ島で信仰されていたディクテ山地の領主としてのゼウス[264]
  • ドドニアンDodonian)/ ドドナイオスDodonaios)(Δωδωναῖος): ドドナという意味[265]
  • ディルシオスDylsios)(Δύλσιος)[266]

E

  • アイラピナステスEilapinastes)(Εἰλαπιναστής, "フィースターの")。彼はキプロスで信仰された。[267][268]
  • エピカルピオスEpikarpios)(ἐπικάρπιος, "果物の").[258]
  • エレウテリオスEleutherios)(Ἐλευθέριος, "自由の"). プラタイアの戦いの後、アテネではゼウス・エレウテリオスのストア(神殿)が建設された[269]。自由人が彼の祠の近くにポルティコを建てたので「自由の」と呼ばれるようになったという説と、アテネ人がペルシャの権力への服従を免れ、自由であったからという説がある[270]
  • エピドーテスEpidôtês/Epidotes)(Επιδωτης; "善の贈り主"): マンティネイアとスパルタでのゼウスの形容詞。
  • エウアネモスEuênemos/ Euanemos)(Ευηνεμος; "オブ・フェア・ウィンズ", "幸運の風の贈り主") あるいはラテン語化されたエベネムスEvenemus)/エバネムスEvanemus[257]

G

  • ゲネシオウスGenethlios)(Γενέθλιός; "誕生の").[258]
  • ゼウス・ゲオルゴスZeus Georgos)(Ζεὺς Γεωργός, "農夫のゼウス"):アテネで崇拝された農作物と収穫の神としてのゼウス。

H

  • ゼウス・ヘリオウポリテスZeus Helioupolites)(ヘリオポリト(Heliopolite)あるいはヘリオポリタン・ゼウス(Heliopolitan Zeus)):シリアのヘリオポリス(現在のバールベック)で太陽神として崇拝されていたカナン人のBaʿ(おそらくHadad)がヘレネス化したもの[255]
  • ヘルケイオスHerkeios)(Ἑρκειος, "中庭の")あるいはラテン化したヘーラークレースHerceius
  • ヘカレシウスHecalesius), アテネでは、ヘカレシア(Εκαλήσια)という名の祭りが、ゼウス・ヘカレシウスとヘカレを称えて行われていたのである[271]
  • ヘタレイオスHetareios)(Ἑταιρεῖος, "親睦の"):スダによれば、クレタ人の間でゼウスはこう呼ばれていたという[272]
  • ヒケシオスHikesios)(Ἱκεσιος; "サプライアントの")あるいはラテン化されたヒケシウスHicesius
  • ホモグニオスHomognios)(ὁμόγνιος; "同系列の")[258]
  • ヒエティオスHyetios)(Ὑετιος; "雨の")
  • ヒパトスHypatos)(Ὑπατος, "至高、最も高い")[257]
  • ヒプシストスHypsistos)(Ὕψιστος, "至高、最も高い")

I

  • イダエウスIdaeus)あるいはイダイオスIdaios)(Ἰδαῖος), イーダ山の。クレタ島のイーダ山か、古代トロードのイーダ山か[273]
  • イクマイオスIkmaios)(Ικμαιος; "水分の")あるいはラテン化されたイクマエウスIcmaeus
  • イトマタスIthomatas)(Ιθωμάτας), ゼウス・イトマタスのためのイトメの祭り[257][274]

K

  • ゼウス・カシオスZeus Kasios)(「カシオス山のゼウス」(現代のジェベル・アクラ)) あるいはラテン化されたカシウスCasius):ゼウスの姓である。この名前は、エジプトのペルシウムに近いカシオンに由来するものと、どちらかの起源に由来するものと考えられる。また、カシオス山(カシウス山、現在のジェベル・アクラ)に由来するものが、シリアとトルコの国境にある場所で崇拝されており、カナン人の山神・気象神バール・ゼフォンをヘレネス化したものである。
  • カタイバテスKataibates)(Καταιβάτης, "下降")あるいはラテン化されたカタエバテスCataebates)、雷を落とすため、あるいは女好きで地上に降りたため[275]
  • カタルシオスKatharsios)(Καθάρσιος, "清め").[258]
  • ケラウニオスKeraunios)(Κεραυνιος; "雷電の")あるいはラテン化されたセラウニウスCeraunius
  • クラリオスKlarios)(Κλαριος; "ロットの")あるいはラテン化されたクラリウスClarius[257]
  • コニオスKonios)(Κονιος; "塵の中の")あるいはラテン化されたコニウスConius[257]
  • コリファイオスKoryphaios)(Κορυφαιος, "チーフ、リーダー")あるいはラテン化されたコリファエアスCoryphaeus[257]
  • コスメテスKosmêtês)(Κοσμητης; "注文者")あるいはラテン化されたコスメテスCosmetes
  • クテシオスKtesios)(Κτησιος, "家、物件の")あるいはラテン化されたクテシウスCtesius[257]

L

  • ゼウス・ラブランドスZeus Labrandos)(Λαβρανδευς; "激怒、荒れ狂う", "ラブラウンダのゼウス"):カーリアで崇拝され、両刃の斧(ラブリス)を持って描かれた、フルリの天候神テシュブのヘレネス化。
  • ラピスティウスLaphystius)("ラフティウムの")、ラフィシュティウムはボイオティアの山で、ゼウスの神殿があった[276]
  • リメノスコポスLimenoskopos)(Λιμενοσκοπος; "シーハイヴンのウォッチャー")あるいはラテン化されたリメノスコポスLimenoscopus)は、ゼウス、アルテミス、アプロディーテ、プリアポス、パンという複数の神々の姓として登場する。
  • レプシノスLepsinos)、エウロムスにはゼウス・レプシノスの神殿がある。[277]
  • レウカイオスLeukaios)(Λευκαῖος Ζεύς; "白楊のゼウス")[278]

M

  • マイマクテスMaimaktês)(Μαιμακτης; "騒々しい", "嵐の")あるいはラテン化されたマエマクテスMaemactes)は、アッティカ暦の月名「マイマクテリオン」(Μαιμακηριών、ラテン語でMaemacterion)に由来し、その月にアテネでマイマクテリオが祝われたゼウスの姓である。
  • ゼウス・メイリシオス'Zeus Meilichios)/ メイリキオスMeilikhios)(Μειλίχιος; "易怒性のゼウス")[257]イリソス川の南、アテネに聖域があった。[279]
  • メクハネウスMêkhaneus)(Μηχανευς; "ドライバー")あるいはラテン化されたメカネウスMechaneus[257]
  • モイラゲテスMoiragetes)(Μοιραγέτης; "運命のリーダー", "運命の導き手または運命の輪"):パウサニアスは、これはデルフォイにおけるゼウスとアポローンの姓であり、ゼウスは人間のこと、運命が彼らに与えるすべてと彼らのために運命づけられていないすべてを知っていたからである、と書いている[280]

N

  • ゼウス・ナオスZeus Naos):最古の神託所であるドドナで、ゼウス・ブーレウスとともに崇拝された。

O

  • オムブリオスOmbrios)(Ομβριος; "雨の", "雨の与え手")[257]
  • オウラニオスOuranios)(Οὐράνιος, "天").[258]
  • オウリオスOurios)(Οὐριος, "of Favourable Wind")。古代の作家は黒海の開口部にゼウス・オウリオス(ἱερὸν τοῦ Διὸς τοῦ Οὐρίου)を奉る聖域があると記している[281]。またデロス島では、ゼウス・オウリオスの奉納物が発見されている。この奉納は、海賊から逃れたアスカロン市民、デメトリオスの息子デイモンによってなされた[282]

P

  • パライムニオスPalaimnios)(Παλαμναῖος; "復讐の")[258]
  • パナマロスPanamaros)(Πανάμαρος; "パナマラの街の"):カーリアのパナマラにゼウス・パナマロスの重要な聖域があった[283][284]
  • パンクラテスPankrates)(Πανκρατής; "全能神")[285]
  • パトリオスPatrios)(Πάτριος; "父系")[258]
  • フラトリオスPhratrios)(Φράτριος),贔屓者として[286]
  • フィリオスPhilios)(Φιλιος; "友愛の") あるいはラテン化されたフィリウスPhilius
  • フィクシオスPhyxios)(Φυξιος; "避難所の") あるいはラテン化されたフィクシウスPhyxius[257]
  • プロウシオスPlousios)(Πλουσιος; "富の") あるいはラテン化されたプルシウスPlusius
  • ポリエウスPolieus)(Πολιεὺς; "都市より").[258]

S

  • スコティタスSkotitas)(Σκοτιτας; "暗い、濁った")あるいはラテン化されたスコティタスScotitas
  • セマレオスSêmaleos)(Σημαλεος; "サインを贈る人")あるいはラテン化されたセマレウスSemaleus
  • ソシポリスSosipolis)(Σωσίπολις; "街の救世主"):マイアンダーのマグネシアにゼウス・ソシポリス神殿があった[287]
  • スプランクノトマスSplanchnotomus)("内臓カッター"), 彼はキプロスで崇拝されていた[267]
  • ストラティオスStratios)(Στράτιος; "軍隊の"). [258]

T

  • ゼウス・タライオスZeus Tallaios))("太陽神ゼウス"):クレタ島で信仰される。
  • テレイオスTeleios)(Τελειος; "婚礼の")あるいはラテン化されたテレウスTeleus
  • テオス・アガソスTheos Agathos)(Θεος Αγαθος; "善神")あるいはラテン化されたテウス・アガサスTheus Agathus
  • トロパイオウコス/ トロパイウコスTropaioukhos/ Tropaiuchos)(τροπαιοῦχος, "トロフィーの守護者"):[258]300人の王者の戦いの後、オトリアデスは「トロフィーの守護者ゼウス」にトロフィーを奉納した[288]

X

  • クセニオスXenios)(Ξενιος; "おもてなしの心、見知らぬ人")あるいはラテン化されたクセニウスXenius[257]

Z

  • ジ-ギウスZygius)(Ζυγίος):結婚の司会者として。妻のヘラもまたジギア(Ζυγία)という諡号を持っていた。これらの諡号は、結婚を司るものとして彼らを表現している[289]

ゼウス信仰

パンゲアカルト

ギリシア人が主神に敬意を表するために集まる一大拠点がオリンピアである。4年に1度の祭典では、有名な競技が行われた。また、ゼウスの祭壇は石ではなく、何世紀にもわたって犠牲となった動物の遺骸を積み重ねた灰でできていた。

ポリス間の主要な聖域を除いて、ギリシャ世界全体で共有されているゼウス崇拝の様式はなかったのである。例えば、以下のタイトルのほとんどは、小アジアからシチリア島にかけてのギリシャの神殿で見ることができたものである。例えば、祭壇の上で白い動物を生け贄として捧げるなど、ある種の儀式も共通に行われていた。

ゼウス・ベルカノス

ギリシャ人は一人の例外を除いて、ゼウスの生誕地をクレタ島と一致して認めていた。ミノア文化は古代ギリシャの宗教の多くのエッセンスを提供した。ウィル・デュラントは「百の経路によって、古い文明は新しい文明の中に消えていった」と述べており[290]、クレタのゼウスはその若々しいミノア人の特徴を保っていた。大母神の子供で、「息子と妃の役割を担った小さく劣った神」は[291]、ギリシャ人がヘレネス化してヴェルカノスと名付けたが、他の多くの場所で起こったように、そのうちゼウスの諡号となり、クレタでゼウス・ヴェルカノス(「少年ゼウス」)として崇拝されるようになり、単にクーロスと呼ばれることも多くなった。

クレタ島では、クノッソス、イダ、パライカストロの多くの洞窟でゼウスが崇拝された。 ヘレニズム時代には、ミノア時代の宮殿があったアギア・トリアダに、ゼウス・ヴェルチャノスに捧げる小さな聖域が作られた。ファイストスのほぼ同時代のコインには、木の枝の間に若者が座り、膝の上にコッケルを乗せているという、ファイストスが崇拝された形が示されている[292]。他のクレタ島のコインでは、ヴェルカノスは鷲の姿で表され、神秘的な結婚を祝う女神と結びつけられている[293]。ゴルティンとリュトスの碑文にはヴェルカニア祭が記録されており、ヴェルカニオスがヘレニズム期のクレタ島でまだ広く崇拝されていたことが示されている[294]

ミノースやエピメニデスの物語から、この洞窟はかつて王や神官によって孵卵占いに使われていたことが示唆されている。プラトンの「法律」のドラマチックな舞台は、そのような遺跡への巡礼路の途中にあり、クレタの古代の知識が強調されている。クレタ島では、ゼウスは成熟した大人ではなく、長い髪の青年として美術品に表され、ho megas kouros、「偉大なる青年」として賛美された。 アーサー・エヴァンスによってクノッソスの迷宮の近くで発掘された「神の子」の象牙像のように、である[295]。恍惚の表情を浮かべる武装舞踏家「クーレテス」とともに、彼はクレタ島のパイデイアの厳しい軍事・運動訓練と秘密の儀式を取り仕切ったのである。

クレタ島のゼウスの死の神話は、比較的後期の資料である『カリマコス』[296]にのみ言及されているが、多くの山の遺跡に局在し、幼子が神話上の蜂の群れと共有した誕生洞窟から毎年火が輝いたという『アントニヌス・リバリス』の主張とともに、ヴェルカノスは毎年植物性の霊であったと示唆される[297]。エウヘメルス自身の著作は残っていないが、キリスト教の教父学者がこの説を取り上げた。

ゼウス・リカイオス

ゼウス・リカイオス(Λύκαιος;「狼・ゼウス」)の諡号は、素朴なアルカディアで最も高い山であるリカイオン山(「狼山」)の斜面における古代の祭り「リカイア」に関連してのみ、ゼウスが引き受けるものである。ゼウスは、古代のカニバリズムの脅威と[298] 、参加者であるエフェベの狼男への変身の可能性を伴うこの原始的な通過儀礼の儀式と神話と形式的な関係を持っただけであった[299]。生贄が行われた古代の灰塚の近くには[300]、影も形もないと言われる禁断の境内があった[301]

プラトンによれば[302]、ある一族が9年ごとに山に集まってゼウス・リカイオスに生贄を捧げるが、その際、動物の内臓に一塊の人間の内臓が混じっていたという。その人肉を食べた者は狼になり、次の9年の周期が終わるまで再び人肉を食べなければ人間の姿に戻れないという。4世紀にアルカディアの最初の都市化であるメガロポリスに移されたリカイアに関連したゲームがあり、そこでは主要な神殿がゼウス・リカイオスに捧げられていた。

しかし、Lykaios または Lykeios(ゼウスとアポロンの諡号)が原ギリシャ語の *λύκη, "light" に由来するのではないかという決定的な証拠がある。この名詞は ἀμφιλύκη, "twilight", λυκάβας, "year" (「光のコース」の意)などの合成語にまだ含まれている。ソフォクレスの同時代の悲劇家であるアカイオスは、ゼウス・リカイオスを「星を見るような目」と語っており、このゼウス・リカイオスは、キケロが描いたエーテルの息子アルカディア人のゼウスなのかもしれないと、クックは論じている。パウサニアスの記述によれば、リコスーラは「太陽が最初に見た都市」であり、リカイオン山の頂上にあるゼウスの祭壇の前には、金色の鷲を立てた二本の柱が「日の出に向かって」立っていたということである。さらにクックは、リカイオン山のゼウスの聖域の物語だけを見て、ゼウスを「光の神」(Lykaios)と呼ぶことを認めることはできないとしている[303]

ゼウスの補足カルト

ゼウスはもともと天空の神であったが、ギリシャの多くの都市では、地下に住む地元のゼウスが祭られていた。アテネ人とシチリア人はゼウス・メイリキオス(Μειλίχιος、「親切な」または「蜜を吸う」)を、他の都市はゼウス・クトニオス(Καταχθόνιος、「地中の」)、ゼウス・プロウシオス(「富をもたらす」)を祭っていた。これらの神は、ビジュアルアートの中で蛇や人間の姿で表現されたり、あるいは強調のために両者が一緒になって一つの像として表現されたりすることがある。また、ペルセポネーやデーメーテールといった神々のように、黒い動物の犠牲を穴蔵に捧げられたり、墓にいる英雄たちを迎えたりしていた。一方、オリンポスの神々は、通常、祭壇を高くして捧げられた白い犠牲者を受け取っていた。

都市によっては、生け贄とする「ダイモン」が英雄なのか地下のゼウスなのか、はっきりしない場合もあった。したがって、ボイオティア地方のレバダイアの神殿の主は、パウサニアスとストラボのどちらを信じるかによって、英雄トロフォニウスかゼウス・トレフォニウス(「育てる者」)となるかもしれない。英雄アムピアラウスはテーベ郊外のオロポスでゼウス・アムピアラウスとして祭られ、スパルタにはゼウス・アガメムノンを祭る神殿まであった。古代モロッシアの王たちは、ゼウス・アレイウス(Αρειος)に生け贄を捧げていた。トラレスにはゼウス・ラリサエウス(Λαρισαιος)がいたことがストラボに記されている[304]。イトメではゼウス・イトマタスを敬い、聖域とゼウス像を持ち、またゼウスを称える祭りを毎年行い、イトメア(ἰθώμαια)と呼ばれた[305]

ヘカトンポニア

ヘカトンフォニア(古代ギリシャ語:ἑκατομφόνια)は、ἑκατόν「百」とφονεύω「殺す」から、百の殺害を意味する。これはメッセニア人の習慣で、百人の敵を殺したらゼウスに生贄を捧げるというものであった。アリストメネスは、メッセニアとスパルタの戦いで、この生贄を三度捧げた[306][307][308][309]

非パンゲリオン系カルト

上記のような汎神殿的な称号や概念に加え、各地の教団は神々と人間の王について、独自の特異な考えを持ち続けていた。ゼウス・アエトナエウスの諡号でエトナ山で崇拝された際、そこにはゼウスの像があり、彼を称えるアエトナエと呼ばれる地元の祭りがあった[310]。その他の例を以下に挙げる。ゼウス・アエネイスまたはゼウス・アエネイス(Αινησιος)として、ケファロニア島で崇拝され、アエノス山に神殿を構えた[311]

ゼウスの神託

神託所の多くはアポローンや英雄、あるいはテミスのような女神に捧げられるのが普通であったが、いくつかの神託所はゼウスに捧げられていた。さらに、ヘリオポリスのバールのような外国の神託所の神は、ギリシャ語ではゼウス、ラテン語ではユーピテルと関連付けられていた。

ドドナの神託

エピルスのドドナでは、紀元前2千年以降、神聖なオークを中心としたゼウス信仰が行われていたことが確認されている。『オデュッセイア』が書かれた当時(紀元前750年頃)、そこではセロイと呼ばれる裸足の神官が、地面に寝転んで葉や枝のざわめきを観察しながら占いを行っていたという[312]。ヘロドトスがドドナについて書いた頃には、ペレイアデス(「鳩」)と呼ばれる女性の巫女が男性の巫女に取って代わっていた。

ドドナでのゼウスの妃はヘラではなく、「ゼウス」の女性形であるディオーネという女神であった。タイタネスであることから、ヘレニズム以前のもっと強力な神であり、神託所の本来の住人であった可能性を指摘する声もある。

シワの神託

エジプト西部砂漠のシワ・オアシスにあるアモンの神託は、アレキサンダーの時代以前にはギリシャ世界の範囲にはなかったが、古代のギリシャ人の心の中にはすでに大きな存在だった。ヘロドトスは、ペルシャ戦争の記述の中で、ゼウス・アモンへの相談について触れている。ゼウス・アモンはスパルタで特に好まれ、ペロポネソス戦争の頃にはアモンの神殿が存在した[313]

アレキサンダーがシワの神託を受けるために砂漠を旅した後、ヘレニズム時代の想像では、リビアのシビルの姿が浮かび上がってきたという。

ゼウスと外国の神

ゼウスはローマの神ユピテルと同一視され、古典派の想像力(interpretatio graeca参照)の中でエジプトのアモンやエトルリアのティニアなど他の様々な神々と関連付けられていた。ディオニューソスとともに、フリギアの主神サバジオスの役割を吸収し、ローマではサバジウスとして知られる神々の合体したものとなった。セレウコス朝の支配者アンティオコス4世エピファネスは、エルサレムのユダ神殿にゼウス・オリンピオスの像を建立した[314][315]。ヘレネス化したユダヤ人は、この像を「バール・シャメン」(英語では「天の主人(Lord of Heaven)」)と呼んだ。ゼウスはヒンドゥー教のインドラ神とも同一視されている。神々の王というだけでなく、彼らの武器である雷であるところも似ている[316]

ゼウスと太陽

ゼウスはヘレニズムの太陽神ヘリオースと混同されることがあり、ヘリオースはゼウスの目として直接言及されるか[317]、明らかにそのように暗示されることがある。例えばヘシオードスは、ゼウスの目を事実上太陽と表現している[318]。この認識はおそらく、原インド・ヨーロッパ語族の宗教に由来するもので、その中で太陽は*Dyḗus Pḥatḗの目として想定されている(Hvare-khshaeta参照)[319][私注 21]。エウリピデスは失われた悲劇『ミシガン人』の中でゼウスを「太陽の目」と表現し、ヘリオスは他の場所で「生命を与えるゼウスの輝かしい目」と言われている[320]エウリピデスの別の悲劇『メデイア』では、コーラスがヘリオスのことを「ゼウスから生まれた光」と表現している[321]

ヘリオースとゼウスの関係は、初期のギリシアの信仰や書物には根拠がないようだが、それでも後世には直接的に同一視される例が多くある[322]。ヘレニズム時代には、ゼウスが神格化されたエジプト神話の神セラピスが誕生し、ギリシャ人が描いた太陽の冠と光線によって、その太陽的性質が示された[323]。「ゼウス=セラピス=ヘーリオス」への共同献辞は地中海全域で頻繁に発見されており[323]、例えばアナスタシ・パピルス(現在大英博物館に収蔵)はヘーリオスをゼウスとセラピスだけでなくミトラにも同一視し[324]、トラコニティスの一連の碑文は「不敗の太陽ゼウス」崇拝の根拠となっている[325]。エーゲ海のアモルゴス島で、ゼウスが太陽神として崇拝されていた証拠がある。漆黒の碑文「Ζελὺς Dzο」(「太陽のゼウス」)から、ゼウス崇拝の太陽の要素は、紀元前5世紀には既に存在していた可能性がある[326]

クレタ島のゼウス・タライオスは、その教団に太陽系の要素を取り入れていた。「タロス」はヘリオースの現地語版である[327]

哲学におけるゼウス

新プラトン主義では、神話でおなじみの神々とゼウスの関係は、デミウルゲあるいは神の心として説かれ、特にプロティノスの著作『エネアデス』[328]やプロクロスのプラトン神学において、そのことが指摘されている。

聖書におけるゼウス

リストラに住む人々は、使徒パウロが足の不自由な人を癒したのを見て、パウロとそのパートナーであるバルナバを神と見なし、パウロをヘルメース、バルナバをゼウスと見立てて、群集と供え物を捧げようとさえした。1909年にリストラの近くで発見された2つの古代の碑文は、この2つの神がリストラの街で崇拝されていたことを証明している[329]。碑文には、「ゼウスの神官」と書かれたものと、「偉大なるヘルメース」と「太陽神ゼウス」と書かれたものがある[330]

第二は、使徒言行録28章11節で、囚人パウロがマルタ島から出航した船の名前に、「ゼウスの息子たち」、別名カストルとポルックス(ディオスクリ)が描かれていることである。

第二マカベア書6:1, 2は、アンティオコス4世(エピファネス)がユダヤ教を撲滅するために、エルサレムの神殿を汚し、ゼウス(ユーピテル・オリンピウス)に再献堂するように指示したことについて述べている[331]

グノーシス主義におけるゼウス

1773年に発見されたグノーシス派のテキスト『ピスティス・ソフィア』は、紀元3世紀から4世紀にかけて書かれたと思われ、ゼウスを暗示している。そこでは、ユウ(Yew)という神格によって集められた五大支配者の一人として登場する[332]

関連項目

参考文献

  • Wikipedia:Zeus(最終閲覧日:23-01-04)
    • Antoninus Liberalis, The Metamorphoses of Antoninus Liberalis: A Translation with a Commentary, edited and translated by Francis Celoria, Routledge, 1992. ISBN:978-0-415-06896-3. Online version at ToposText.
    • Apollodorus, Apollodorus, The Library, with an English Translation by Sir James George Frazer, F.B.A., F.R.S. in 2 Volumes. Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd. 1921. ISBN:0-674-99135-4. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Athanassakis, Apostolos N., and Benjamin M. Wolkow, The Orphic Hymns, Johns Hopkins University Press, 2013) ISBN:978-1-4214-0882-8. Google Books.
    • Athenaeus, The Learned Banqueters, Volume IV: Books 8-10.420e, edited and translated by S. Douglas Olson, Loeb Classical Library No. 235, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 2008. ISBN:978-0-674-99626-7. Online version at Harvard University Press.
    • Bernabé, Alberto, Poetae epici Graeci: Testimonia et fragmenta, Pars I, Bibliotheca Teubneriana, Stuttgart and Leipzig, Teubner, 1996. ISBN:978-3-815-41706-5. Online version at De Gruyter.
    • Brill’s New Pauly: Encyclopaedia of the Ancient World. Antiquity, Volume 15, Tuc-Zyt, editors: Hubert Cancik, Helmuth Schneider, Brill, 2009. ISBN:978-90-04-14220-6. Online version at Brill.
    • Burkert, Walter, (1985) [1977]. Greek Religion, especially section III.ii.1 (Harvard University Press)
    • Caldwell, Richard, Hesiod's Theogony, Focus Publishing/R. Pullins Company (June 1, 1987). ISBN:978-0-941051-00-2. Internet Archive.
    • Callimachus, Callimachus and Lycophron, with an English Translation by A. W. Mair; Aratus, with an English Translation by G. R. Mair, London: W. Heinemann, New York: G. P. Putnam, 1921. Online version at Harvard University Press. Internet Archive.
    • Campbell, David A., Greek Lyric, Volume III: Stesichorus, Ibycus, Simonides, and Others, Loeb Classical Library No. 476, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 1991. ISBN:978-0674995253. Online version at Harvard University Press.
    • Cook, Arthur Bernard, Zeus: A Study in Ancient Religion (3 volume set), (1914–1925). New York, Bibilo & Tannen: 1964.
    • Cook Arthur Bernard, Cambridge University Press, Zeus: A Study in Ancient Religion, Volume I: Zeus God of the Bright Sky, 1914, Arthur Bernard Cook
      • Volume 1: Zeus, God of the Bright Sky, Biblo-Moser, 1 June 1964, ISBN:0-8196-0148-9 (reprint)
      • Volume 2: Zeus, God of the Dark Sky (Thunder and Lightning), Biblo-Moser, 1 June 1964, ISBN:0-8196-0156-X
      • Volume 3: Zeus, God of the Dark Sky (earthquakes, clouds, wind, dew, rain, meteorites)
    • Cicero, Marcus Tullius, De Natura Deorum in Cicero: On the Nature of the Gods. Academics, translated by H. Rackham, Loeb Classical Library No. 268, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, first published 1933, revised 1951. ISBN:978-0-674-99296-2. Online version at Harvard University Press. Internet Archive.
    • Diels, Hermann A., Die Fragmente der Vorsokratiker, Volume II, Berlin, Weidmann, 1912. Internet Archive.
    • Diodorus Siculus, Diodorus Siculus: The Library of History. translated by C. H. Oldfather, twelve volumes, Loeb Classical Library, Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press; London: William Heinemann, Ltd. 1989. Online version by Bill Thayer.
    • Euripides, Helen, translated by E. P. Coleridge in The Complete Greek Drama, edited by Whitney J. Oates and Eugene O'Neill, Jr., Volume 2, New York, Random House, 1938. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Fontenrose, Joseph Eddy, Python: A Study of Delphic Myth and Its Origins, University of California Press, 1959. ISBN:978-0-520-04091-5. Google Books.
    • Fowler, R. L. (2000), Early Greek Mythography: Volume 1: Text and Introduction, Oxford University Press, 2000. ISBN:978-0198147404. Google Books.
    • Fowler, R. L. (2013), Early Greek Mythography: Volume 2: Commentary, Oxford University Press, 2013. ISBN:978-0-198-14741-1. Google Books.
    • Frazer, James George, Fastorum Libri Sex: The Fasti of Ovid. Volume 3: Commentary on Books 3 and 4, Cambridge University Press, 2015. ISBN:978-1-108-08248-8. Google Books.
    • Gantz, Timothy, Early Greek Myth: A Guide to Literary and Artistic Sources, Johns Hopkins University Press, 1996, Two volumes: ISBN:978-0-8018-5360-9 (Vol. 1), ISBN:978-0-8018-5362-3 (Vol. 2).
    • Gee, Emma, Ovid, Aratus and Augustus: Astronomy in Ovid's Fasti, Cambridge University Press, 2000. ISBN:978-0-521-65187-5. Google Books.
    • Grimal, Pierre, The Dictionary of Classical Mythology, Wiley-Blackwell, 1996. ISBN:978-0-631-20102-1. Internet Archive.
    • Hansen, William, Handbook of Classical Mythology, ABC-Clio, 2004. ISBN:978-1-576-07226-4.
    • Hard, Robin (2004), The Routledge Handbook of Greek Mythology: Based on H.J. Rose's "Handbook of Greek Mythology", Psychology Press, 2004. ISBN:978-0-415-18636-0. Google Books.
    • Hard, Robin (2015), Eratosthenes and Hyginus: Constellation Myths, With Aratus's Phaenomena, Oxford University Press, 2015. ISBN:978-0-19-871698-3. Google Books.
    • Herodotus, Histories, translated by A. D. Godley, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 1920. ISBN:0674991338. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Hesiod, Catalogue of Women, in Hesiod: The Shield, Catalogue of Women, Other Fragments, edited and translated by Glenn W. Most, Loeb Classical Library No. 503, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 2007, 2018. ISBN:978-0-674-99721-9. Online version at Harvard University Press.
    • Hesiod, Theogony, in The Homeric Hymns and Homerica with an English Translation by Hugh G. Evelyn-White. Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press; London: William Heinemann Ltd. 1914. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Hesiod, Works and Days, in The Homeric Hymns and Homerica with an English Translation by Hugh G. Evelyn-White, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd. 1914. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Homeric Hymn 2 to Demeter, in The Homeric Hymns and Homerica with an English Translation by Hugh G. Evelyn-White, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd., 1914. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Homeric Hymn 3 to Apollo, in The Homeric Hymns and Homerica with an English Translation by Hugh G. Evelyn-White, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd., 1914. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Homeric Hymn 32 to Selene, in The Homeric Hymns and Homerica with an English Translation by Hugh G. Evelyn-White, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd., 1914. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Homer, The Iliad with an English Translation by A. T. Murray, Ph.D. in Two Volumes. Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press; London: William Heinemann, Ltd. 1924. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Homer; The Odyssey with an English Translation by A. T. Murray, Ph.D. in Two Volumes. Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press; London: William Heinemann, Ltd. 1919. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Hyginus, Gaius Julius, De Astronomica, in The Myths of Hyginus, edited and translated by Mary A. Grant, Lawrence: University of Kansas Press, 1960. Online version at ToposText
    • Hyginus, Gaius Julius, Fabulae, in The Myths of Hyginus, edited and translated by Mary A. Grant, Lawrence: University of Kansas Press, 1960. Online version at ToposText.
    • Keightley, Thomas, The Mythology of Ancient Greece and Italy, London, G. Bell and Sons, 1877. Google Books.
    • Kern, Otto. Orphicorum Fragmenta, Berlin, 1922. Internet Archive.
    • Lane Fox, Robin, Travelling Heroes: In the Epic Age of Homer, Vintage Books, 2010. ISBN:978-0-679-76386-4. Internet Archive.
    • March, Jenny, Cassell's Dictionary of Classical Mythology, Casell & Co, 2001. ISBN:0-304-35788-X. Internet Archive.
    • Meisner, Dwayne A., Orphic Tradition and the Birth of the Gods, Oxford University Press, 2018. ISBN:978-0-19-066352-0. Google Books.
    • Merkelbach, R., and M. L. West, Fragmenta Hesiodea, Clarendon Press Oxford, 1967. ISBN:978-0-19-814171-6.
    • Mitford, William, The History of Greece, 1784. Cf. Volume 1, Chapter II "Religion of the Early Greeks"
    • Morford, Mark P. O., Robert J. Lenardon, Classical Mythology, eighth edition, Oxford University Press, 2007. ISBN:978-0-19-530805-1.
    • Ogden, Daniel, Drakōn: Dragon Myth and Serpent Cult in the Greek and Roman Worlds, Oxford University Press, 2013. ISBN:978-0-19-955732-5. Google Books.
    • Olivieri, Alexander, Pseudo-Eratosthenis: Catasterismi, Bibliotheca Teubneriana, Leipzig, Teubner, 1897. Internet Archive.
    • Ovid, Metamorphoses, edited and translated by Brookes More, Boston, Cornhill Publishing Co., 1922. Online version at the Perseus Digital Library. Online version at ToposText.
    • Page, Denys Lionel, Sir, Poetae Melici Graeci, Oxford University Press, 1962. ISBN:978-0-198-14333-8.
    • Parada, Carlos, Genealogical Guide to Greek Mythology, Jonsered, Paul Åströms Förlag, 1993. ISBN:978-91-7081-062-6.
    • Pausanias, Pausanias Description of Greece with an English Translation by W.H.S. Jones, Litt.D., and H.A. Ormerod, M.A., in 4 Volumes. Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd. 1918. Online version at the Perseus Digital Library.
    • Quintus Smyrnaeus, Quintus Smyrnaeus: The Fall of Troy, translated by A. S. Way, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 1913. Internet Archive.
    • Rohde, Erwin, Psyche: The Cult of Souls and Belief in Immortality among the Greeks, 1925.
    • Salowey, Christina, "The Gigantomachy", in The Oxford Handbook of Heracles, pp. 235–50, edited by Daniel Ogdon, Oxford University Press, 2021. ISBN:978-0-190-65101-5.
    • Smith, William, Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology, London (1873). Online version at the Perseus Digital Library.
    • Smith, Scott R., and Stephen M. Trzaskoma, Apollodorus' Library and Hyginus' Fabulae: Two Handbooks of Greek Mythology, Hackett Publishing, Indianapolis/Cambridge, 2007. ISBN:978-0-87220-821-6. Google Books.
    • Stephanus of Byzantium, Stephani Byzantii Ethnicorum quae supersunt, edited by August Meineke, Berlin, Impensis G. Reimeri, 1849. Google Books. Online version at ToposText.
    • Strabo, Geography, Editors, H.C. Hamilton, Esq., W. Falconer, M.A., London. George Bell & Sons. 1903. Online version at the Perseus Digital Library
    • Tripp, Edward, Crowell's Handbook of Classical Mythology, Thomas Y. Crowell Co; First edition (June 1970). ISBN:0-690-22608-X. Internet Archive.
  • Tzetzes, John, Scolia eis Lycophroon, edited by Christian Gottfried Müller, Sumtibus F.C.G. Vogelii, 1811. Internet Archive.
  • Wendel, Carl, Scholia in Apollonium Rhodium vetera, Hildesheim, Weidmann, 1999. ISBN 978-3-615-15400-9.
  • West, M. L. (1966), Hesiod: Theogony, Oxford University Press, 1966. ISBN 0-19-814169-6.
  • West, M. L. (1983), The Orphic Poems, Clarendon Press Oxford, 1983. ISBN 978-0-19-814854-8.
  • West, M. L. (1985), The Hesiodic Catalogue of Women: Its Nature, Structure, and Origins, Clarendon Press Oxford, 1985. ISBN 978-0-198-14034-4.
  • West, M. L. (2003), Greek Epic Fragments: From the Seventh to the Fifth Centuries BC, Loeb Classical Library No. 497, Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 2003. ISBN 978-0-674-99605-2. Online version at Harvard University Press.

External links

テンプレート:Library resources box テンプレート:Commons category テンプレート:Wikiquote


系譜

ティーターン神族のクロノスレアーの末の子(長男の説もある)で、ハーデースポセイドーンの弟。正妻は姉であるヘーラーであるが、レートーや姉のデーメーテール等の女神をはじめ、多くの人間の女性とも交わり、子をもうけたといわれる。

オリュンポス十二神の中では、メーティスとの間にアテーナー、レートーとの間にアポローンアルテミスマイアとの間にヘルメースディオーネーとの間にアプロディーテー(ホメーロスより)、ヘーラーとの間にアレースヘーパイストス、またテーバイの王女セメレーとの間にディオニューソス、デーメーテール(一説にはステュクス)との間にペルセポネー(あるいはコレー)をもうけた。その他、記憶の女神ムネーモシュネーとの間に9人のムーサたち、海洋の女神エウリュノメーとの間に3人のカリスたち、月の女神セレーネーとの間にパンディーアヘルセー、ネメアが誕生した。

また様々な人間の女性との間に、たとえばダナエーとの間にペルセウスを、アルクメーネーとの間にヘーラクレースを、レーダーとの間にディオスクーロイを、アンティオペーとの間にゼートスアムピーオーンを、エウローペーとの間にミーノースラダマンテュスサルペードーンを、カリストーとの間にアルカスを、イーオーとの間にエパポスを、といったように多数の子供たちをもうけたことになっている。これらゼウスの子とされる英雄を半神(ヘロス)といい、古代ギリシアでは下級の神として広く祀られた。これらの伝説は、古代ギリシアの各王家が、自らの祖先をゼウスとするために作り出された系譜とも考えられる。ゼウスが交わったとされる人間の女の中には、もとは地元の地母神であったと考えられるものもいる。女神や人間と交わるときのゼウスはしばしば変化したとされ、ダナエーのときには黄金の雨に、レーダーのときには白鳥に、アンティオペーのときにはサテュロスに、エウローペーのときには白い牡牛に、カリストーのときにはアルテミスに、イーオーのときには雲に変身したといわれる。

全宇宙の支配まで

王位簒奪戦争

ゼウスの生誕に関する古代伝説のひとつによれば、父クロノスはわが子に支配権を奪われる不安にかられ、生まれた子供を次々に飲み込んでしまった。そこでゼウスを生んだとき、母レアーは産着で包んだ石をかわりにクロノスに飲ませることでゼウスを救った。ゼウスはクレータ島のディクテオン洞窟で雌山羊のアマルテイアの乳を飲み、ニュムペーに育てられた。

成人したゼウスは、嘔吐薬によってクロノスに女を含め兄弟たちを吐き出させ、父親に復讐をしたがっている彼らと共に、全宇宙の支配権を巡る戦争であるティーターノマキアーを勃発させた。この時、飲み込まれた順とは逆の順で吐き出されたが、これがポセイドーン等にとって第2の誕生にあたり、よって兄弟の序列が逆転されたともされている。

この大戦においてゼウスは雷霆を投げつけ、宇宙をも揺るがす衝撃波と雷火によってティーターン神族を一網打尽にした。雷光は全空間に漲り、ティーターンたちは瞬く間に目を焼かれて視力を奪われた。雷霆の威力は想像を絶し、見渡す限りの天地を逆転させ[333]、地球や全宇宙、そしてその根源のカオスをも焼き払うほどであった[30]。この猛攻撃の甲斐あってゼウスたちはクロノスなどのティーターン神族を打ち倒し、敗者であるティーターン神族は宇宙の深淵であるタルタロスに封印された。

その後ゼウスとポセイドーンとハーデースは支配地をめぐってくじ引きを行い、それぞれ天界と海界と冥界の主となった。更に、ゼウスはその功績から神々の最高権力者と認められた。しかしその一方、この時のハーデースは冥界の主となったためにオリュンポス十二神から除外されている。

巨人族との戦い

全宇宙の支配権が確立したティーターノマキアー後も、ゼウスの支配を揺るがすような出来事が起こった。ゼウスは全宇宙の支配を護る為に防衛戦を展開しなければならなかった。

その一つが巨人族ギガースとオリュンポスの神々の戦いであるギガントマキアーであり、これはタルタロスに我が子であるティーターン神族を幽閉されたことに怒ったガイアが仕向けた大戦であると言われている。ギガースは山を軽々と持ち上げるほどの腕力を持ち、神々に対しては不死身であったが、人間なら殺すことができ、ゼウスは半神半人である自らの息子ヘーラクレースをオリュンポスに招いて味方にした。

ギガースたちは島や山脈といったありとあらゆる地形を引き裂きながら大軍で攻め入ってきたが、迎撃を開始した神々とヘーラクレースによって尽く打ち倒された。ヘーラーに欲情して犯そうとしたギガース・ポルピュリオーンは、彼女を犯す前にゼウスの雷霆によって戦闘不能にされ、最後はヘーラクレースの毒矢によってとどめを刺された。ギガースたちは神々によって島や山脈を叩き付けられて封印され、ヘーラクレースの強弓によって殺戮された。ギガントマキアーはゼウスたちの圧勝に終わった[334]

最終決戦

ギガントマキアーでゼウスたちを懲らしめられなかったガイアは、タルタロスと交わり、ギリシア神話史上最大にして最強の怪物テューポーンを生み出してオリュンポスを攻撃させた。テューポーンは頭が星々とぶつかってしまうほどの巨体を有しており、両腕を伸ばせば東西の世界の果てにも辿り着いた。神々と同じく不老不死で、肩からは百の蛇の頭が生え、炎を放つ目を持ち、腿から上は人間と同じだが、腿から下は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形をしていた。テューポーンは世界を大炎上させ、天空に突進して宇宙中も暴れ回った。これには神々も驚き、動物に姿を変えてエジプトの方へと逃げてしまった。しかし、ゼウスただ一人だけがその場に踏み止まり、究極の怪物にして怪物の王テューポーンとの壮絶な一騎討ちが始まった[334]

ゼウスは雷霆とアダマスの鎌でテューポーンを猛攻撃し、テューポーンは万物を燃やし尽くす炎弾と噴流でそれを押し返した。この決戦は天上の宇宙で繰り広げられ、これによって全秩序は混沌と化し、全宇宙は焼き尽くされて崩壊した[335]。両者の実力は拮抗していたが、接近戦に持ち込んだゼウスがテューポーンの怪力に敗れ、そのとぐろによって締め上げられてしまう。テューポーンはゼウスの雷霆とアダマスの鎌を取り上げ、手足の腱を切り落とし、デルポイ近くのコーリュキオンと呼ばれる洞窟へ閉じ込めた。そしてテューポーンはゼウスの腱を熊の皮に隠し、番人として半獣の竜女デルピュネーを置き、自分は傷の治療のために母ガイアの元へ向かった。

ゼウスが囚われたことを知ったヘルメースパーンはゼウスの救出に向かい、デルピュネーを騙して手足の腱を盗み出し、ゼウスを治療した。力を取り戻したゼウスは再びテューポーンと壮絶な戦いを繰り広げ、深手を負わせて追い詰める。テューポーンはゼウスに勝つために運命の女神モイラたちを脅し、どんな願いも叶うという「勝利の果実」を手に入れたが、その実を食べた途端、テューポーンは力を失ってしまった。実は女神たちがテューポーンに与えたのは、決して望みが叶うことはないという「無常の果実」だったのである。

敗走を続けたテューポーンは悪あがきとして全山脈をゼウスに投げつけようとしたが、雷霆によって簡単に弾き返され、逆に全山脈の下敷きになってしまう。最後はシケリア島まで追い詰められ、エトナ火山を叩き付けられ(シケリア島そのものを叩き付けたとする説もある)、その下に封印された。以来、テューポーンがエトナ山の重圧を逃れようともがくたび、噴火が起こるという。こうしてゼウスはテューポーンとの死闘に勝利し、もはや彼の王権に抗うものは現れなかった。

また、神統記によれば、ゼウスはテューポーンと全宇宙を揺るがす激闘の末に、雷霆の一撃によって世界を尽く溶解させて、そのままテューポーンをタルタロスへと放り込んだのだという。

世界の平定

ガイアがまだ権威を持っていた宇宙の原初期には、森羅万象はオリュンポスの神々に対して反抗的で、全物質が支配から逃れようと暴れ出した。ガイアは地母神と言われているが、その支配領域は大地だけではなく、天をも内包する世界そのものにまで及んでいたからだ。万物の反抗は、何もかも覆してしまうかのような大変動に繋がった。大陸はねじれて震え、山々はばらばらに引き裂かれて岩石や火砕流を吐き出した。河は流れを変え、海は隆起して全ての大陸は海中へと没した。全物質の攻撃により、世界は混沌と化した。

しかし、ゼウスは宇宙を統制し、森羅万象を押さえ込んで混沌とした世界をその意に従わせた。大地はもはや揺らがなくなり、山々も平穏になった。大陸は海中から姿を現し、もう海が暴れることもなくなった。ゼウスは世界を平定し、再び宇宙に調和が訪れた[336]

人物

ホメーロスの記述にみるゼウスは、2つの異なる姿で描かれている。一方ではゼウスは弱者の守護神、正義と慈悲の神、悪者を罰する神としてあらわされる。しかし同時に、次々と女性に手を出しては子孫を増やし、不貞を妻に知られまいとあらゆる手段を講じる神としても描かれている。混沌を自らの力で撃退・統制し、全宇宙の秩序を創造した神でもあり、その秩序を脅かす者ならば、たとえ同族であっても排除する荒ぶる神でもある。

元来はバルカン半島の北方から来てギリシア語をもたらしたインド・ヨーロッパ語族系征服者の信仰した天空神であったと考えられ、ヘーラーとの結婚や様々な地母神由来の女神や女性との交わりは、非インド・ヨーロッパ語族系先住民族との和合と融合を象徴するものと考えられる。また自分たちの系譜を神々の父までさかのぼりたいという、古代ギリシア人の願望としても説明されることがある。

多くのインド・ヨーロッパ語族系言語を用いる民に共通して信仰された天空神に由来し、その祖形は、ローマ神話におけるユーピテルの原型であるデイオス・パテール、あるいは普通名詞「神」を表すデイオス、デウス、古層のインド神話の天空神ディヤウス、北欧神話のテュールらに垣間見ることができる。

信仰

ゼウス信仰はギリシア全域で行われ、至上最高の原理として仰がれていた。古代ギリシア人たちは一神教に近い帰依と敬虔さをゼウスに捧げ、明らかに他の神々とは一線を画していた。ゼウスは運命すらも超越し[107]、全知全能神に相応しい威厳を放っていた。

古代オリンピック

オリュンピアはゼウスの主な神域であり、そこで4年に1度開催される古代オリンピックはゼウスを讃える全ギリシア的な大祭であった。この開催期間中は、ギリシア人は全員戦争を止め、古代オリンピックに参加するためにオリュンピアへと向かった。この道中はゼウスによって守護されると考えられた。不正を決して行わないという宣誓をゼウス・ホルキオス(誓いのゼウス)に捧げ、選手たちは各種目に分かれて競い合った。古代オリンピックで優勝した者は、神々から寵愛されている者、もしくは神々の血を引く者とされ、祖国では大いに賞賛された。現在は廃墟となってしまっているが、当時はオリュンピアにあるゼウス神殿内部には12mを超える黄金と象牙で出来た巨大なゼウス像が聳え立っていたという。この巨大なゼウス像は世界の七不思議のひとつとしても有名である。

また、マケドニア王国にあるゼウスの神域・ディオンでも、オリュンピア祭が開催された。主催者はヘーラクレースの血筋を持つとされたマケドニア王家であり、これはオリュンピアの古代オリンピックに次いで盛況であった。

ドードーナの神託

エペイロスにあるドードーナには、ギリシア最古の神託所があり、ここでの神託はデルポイに次いで有名であった。ドードーナの神託所にはゼウスが祭られており、神官たちはゼウスの聖木である樫の木を用いて神託を下した。樫の木の葉のざわめきを聞き、ゼウスの神託を解釈するのである。ドードーナの神託所は山奥にあり、交通の便は悪いが、その評判を聞きつけて参拝者が後を絶たなかった。

オリュンピア=ゼウス神殿

アテーナイには、ゼウスに捧げるための巨大な神殿がローマ帝国のハドリアヌス治下で建造された。元々は紀元前550年頃にペイシストラトスが建造を開始したものであるが、彼の後を継いだヒッピアスが追放されたことで計画は中止となっていた。その後、ハドリヌスが当時の計画を復活させ、完成させた。オリュンピア=ゼウス神殿と呼ばれ、当時の神殿内部にはオリュンピアのゼウス像のコピーがあったことに由来する。古代世界で最大の神殿であり、柱はコリント式である。

ローマ神話

ゼウスはローマ神話の最高神ユーピテルと同一視された。ローマ帝国は「文化面ではギリシアに征服された」という名言が有名なように、ギリシア神話の神々をローマ神話の神々と同一視してローマ文化に取り入れたため、ギリシア神話とローマ神話の神々の権能はしばしば共通している。ユーピテルは英語読みでジュピターとも言い、木星の名前の由来となった。

ユーピテルはゼウスと同じく雷電を扱い、天空を支配する全能神である。ユーピテル・フェレトリウスという名で一騎討ちを守護する神としても知られ、一騎討ちで敵を倒した将軍は、討ち取った敵の武具を樫の木(ゼウスと同じくユーピテルの聖木)に縛り付け、ユーピテルに捧げた。

エジプト神話

ゼウスはエジプト神話の最高神アメンとも同一視された。アメンは太陽神であったが、神々の王であったことから、ヘーリオスアポローンではなく、ゼウスのエジプトにおける名称だとギリシア中で認知されていた。エジプト西部砂漠のシワ・オアシスにあるアメン神殿にはペルセウスヘーラクレースが訪れ、神託を伺ったとされている。

東方遠征の際にマケドニアのアレクサンドロス大王もアメン神殿を訪れ、神託を伺った。そこで彼はアメンの息子であるという神託を得た。それはゼウスの息子であるということに等しく、アレクサンドロス大王は自らの神性を証明して満足した。

参考文献

  • Wikipedia:ゼウス(最終閲覧日:22-12-13)
    • 小学館, 精選版 日本国語大辞典, 最高神, https://kotobank.jp/word/%E6%9C%80%E9%AB%98%E7%A5%9E-271955#E7.B2.BE.E9.81.B8.E7.89.88.20.E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.9B.BD.E8.AA.9E.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E5.85.B8, 2020, 2020-12-28
    • 松村明, デジタル大辞泉, 至上神, https://kotobank.jp/word/%E8%87%B3%E4%B8%8A%E7%A5%9E-73359#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89, 2020, 2020-12-28
    • Britannica Japan Co., Ltd., ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典, 至上神, https://kotobank.jp/word/%E8%87%B3%E4%B8%8A%E7%A5%9E-73359#E3.83.96.E3.83.AA.E3.82.BF.E3.83.8B.E3.82.AB.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E5.B0.8F.E9.A0.85.E7.9B.AE.E4.BA.8B.E5.85.B8, 2020, 2020-12-28
    • Schmitz Barbara, Die Septuaginta - Orte und Intentionen, “... using diferent names, as Zeus and Dis” (Arist 16). Concepts of “God” in the Letter of Aristeas, Mohr Siebeck, 2016, isbn:978-3161538322
    • カール・ケレーニイ 『ギリシアの神話-神々の時代』 植田兼義訳、中公文庫、1985年。
    • カール・ケレーニイ 『ギリシアの神話-英雄の時代』 植田兼義訳、中公文庫、1985年。
    • 呉茂一 『ギリシア神話 上・下』 新潮文庫、1979年。
    • アポロドーロス 『ギリシア神話』 高津春繁訳、岩波文庫、1953年。
    • 『四つのギリシャ神話-ホメーロス讃歌より』 逸見喜一郎・片山英男訳、岩波文庫、1985年。
    • ヘーシオドス 『神統記』 広川洋一訳、岩波文庫、1984。
    • ヘーシオドス 『仕事と日』 松平千秋訳、岩波文庫、1986年。
    • ホメーロス 『イーリアス 上・中・下』 呉茂一訳、岩波文庫、1953・56・58年。
    • ホメーロス 『オデュッセイア 上・下』 松平千秋訳、岩波文庫、1994年。
    • 串田孫一 『ギリシア神話』 筑摩書房、1961年。
    • 山室静 『ギリシャ神話 付北欧神話』 現代教養文庫・社会思想社、1963年。
    • T・ブルフィンチ 『ギリシア神話と英雄伝脱 上・下』 佐渡谷重信訳、講談社学術文庫、1995年。
    • 阿刀田高 『ギリシア神話を知っていますか』 新潮社、1981年。
    • D・ベリンガム 『ギリシア神話』 安部素子訳、PARCO出版、1993年。
    • F・ギラン 『ギリシア神話』 中島健訳、青土社、1982年。
    • 『ギリシア神話物語』 有田潤訳、白水社、1968年。
    • 高津春繁 『ギリシア・ローマ神話辞典』 岩波書店、1960年。
    • L・マルタン監修 『図説ギリシア・ローマ神話文化事典』 松村一男訳、原書房、1997年。
    • 水之江有一編 『ギリシア・ローマ神話図詳辞典』 北星堂書店、1994年。
    • 吉村作治編 『NEWTONアーキオVOL.6 ギリシア文明』 ニュートンプレス、1999年。
    • A・ピアソン 『ビジュアル博物館37 古代ギリシア』 同朋舎出版、1993年。
    • F・ドゥランド 『古代ギリシア 西欧世界の黎明』 西村太良訳、新潮社、1998年。
    • 周藤芳幸 『図説ギリシア エーゲ海文明の歴史を訪ねて』 河出書房新社、1997年。
    • 青柳正規他 『写真絵巻 描かれたギリシア神話』 小川忠博撮影、講談社、1998年。
    • R・モアコット 『地図で読む世界の歴史 古代ギリシア』 桜井万里子監修 青木桃子他訳、河出書房新社、1998年)。
    • 村川堅太郎編著 『世界の文化史跡3 ギリシアの神話』 高橋敏撮影、講談社、1967年。
    • P・ミケル 『カラーイラスト世界の生活史3』 木村尚三郎他監訳、東京書籍、1984年。
    • P・コノリー 『カラーイラスト世界の生活史21』 木村尚三郎他監訳、東京書籍、1986年。
    • P・コノリー他著 『カラーイラスト世界の生活史25』 木村尚三郎他監訳、東京書籍、1989年。
    • 『ATENES THE CITY AND ITS MUSEUMS』 Eldptike Athenon S.A.、1979年。
    • Piero Ventura&Gian Paolo Ceserani 『TROIA L'avventura di un mondo』 Arnoldo Mondadori Editore、1981年。

私的注釈

  1. これは「幼児供犠」の習慣を思わせる。
  2. これは邪気祓いの祭祀ではないだろうか。
  3. 「木に吊す」とはエススやオーディンに対する生贄を彷彿とさせる。
  4. おそらく「不老不死の薬」とは、死んだ者を生き返らせることができる、と考えられていたのではないだろうか。
  5. ヘカントケイルとは、中国神話の共工や相柳に相当するのではないだろうか。
  6. ゼウスに太陽や月の動きを統括できる能力がある、と考えられていたことが分かる。
  7. 射日神話的な展開といえる。
  8. テューポーンとは中国神話の共工相柳に相当する神であると考える。
  9. 岩戸神話を彷彿とさせる。
  10. 朝鮮神話では火を盗むのは犬(天狗)となっている。
  11. いわゆる「洪水神話」である。
  12. タラニスの人身御供の儀式で生贄を焼き殺すことを彷彿とさせる。
  13. 北斗の車輪のことか?
  14. これは羿神話の変形であろう。
  15. 饕餮のことか?
  16. 蚩尤のことか?
  17. ハヴァのことか?
  18. 子音構成からイグニス(炎)と関連するのではないだろうか。
  19. 子音構成からエオステレと関連するのではないだろうか。
  20. エオステレ系の女神か。
  21. おそらく、起源は良渚文化あたりにあるのではなかろうか、と思う。

参照

  1. Schmitz, 2016, p705
  2. 里中満智子・名古屋経済大学助教授西村賀子解説 『マンガギリシア神話1 オリュンポスの神々』 中公文庫、2003年。
  3. 以下は、宗教文学研究者バーバラ・シュミッツの論文からの引用(Schmitz, 2016, p705)。

    アリステアスの議論における基礎原理は、神格〔the deity〕の機能である。アリステアスはそれを「全ての物事の創造者にして統括者」として描いている。 … 唯一神〔God〕は、ユダヤ教とギリシャ的文脈とで同じ機能を持っている。すなわち、唯一神は全ての物事の創造者にして統括者である。ただ唯一神の呼び名だけが違う。つまりギリシャ的文脈において、唯一神は「ゼウス」と呼ばれている。(Schmitz, 2016, p705)
    (原文:Fundamental for the argumentation of Aristeas is the function of the deity, which he describes as “the overseer and creator of all things” (πάντωνἐπόπτην καὶ κτίστην). ... God has the same function in the Jewish as in the Greek context: He is the creator and overseer of all things. The only difference is God’s name: In the Greek context, God is called “Zeus”.)(Schmitz, 2016, p705)

    唯一神についての二つの概念〔ユダヤ系とギリシャ系〕は共に、遍在・全知・全能という特徴を持っている。(Schmitz, 2016, p712)
    (原文:[B]oth concepts of God share the aspects of omnipresence, omniscience and omnipotence (Arist 132 and Arist 133).(Schmitz, 2016, p712)

  4. Britannica Japan Co., Ltd., 2020, p「至上神」
  5. 松村, 2020, 「至上神」
  6. 小学館, 2020, 「最高神」
  7. 松村, 2020, 「至上神」
  8. 呉茂一『ギリシア神話(上)』、新潮文庫、1969。
  9. Oxford English Dictionary, 1st ed. "Zeus, n." Oxford University Press (Oxford), 1921.
  10. Zeus in the American Heritage Dictionary
  11. Larousse Desk Reference Encyclopedia, The Book People, Haydock, 1995, p. 215.
  12. Thomas Berry, Religions of India: Hinduism, Yoga, Buddhism|url=https://archive.org/details/religionsofindia00berr |url-access=registration|year=1996|publisher=Columbia University Press|isbn=978-0-231-10781-5|pages=20–21}}
  13. T. N. Madan, The Hinduism Omnibus|url=https://books.google.com/books?id=EUsqAAAAYAAJ, 2003, Oxford University Press, isbn:978-0-19-566411-9, page81
  14. Sukumari Bhattacharji, The Indian Theogony, https://books.google.com/books?id=lDc9AAAAIAAJ&pg=PA280, 2015, Cambridge University Press, pages280–281
  15. Roshen Dalal, Hinduism: An Alphabetical Guide, https://books.google.com/books?id=zrk0AwAAQBAJ, Penguin Books, 2014, isbn:9788184752779 Entry: "Dyaus"
  16. 16.0 16.1 Hyllested Adam ,Joseph Brian D., Olander Thomas, The Indo-European Language Family : A Phylogenetic Perspective, 2022, doi:10.1017/9781108758666, Cambridge University Press, isbn:9781108758666, Albanian, https://books.google.com/books?id=xzKAEAAAQBAJ&pg=PA223, page232, s2cid:161016819
  17. 17.0 17.1 Hamilton Edith, Mythology, Back Bay Books, New York, 1942, 1998, 467, isbn:978-0-316-34114-1, https://archive.org/details/mythologytimeles00hami_1/page/467
  18. 18.0 18.1 Hard 2004, p. 79.
  19. Brill's New Pauly, s.v. Zeus.
  20. アフロディーテの出自については、大きく分けて2つの説がある。ヘシオドスの『神統記』では、クロノスがウラヌスを去勢した後に海の泡から生まれ、ウラヌスの娘となったとされ、ホメロスの『イーリアス』では、アフロディーテはゼウスとディオーネの娘とされる。プラトンのSymposiumでは、二人は別の人物であるとする説がある。アフロディテ・オウラニアとアフロディテ・パンデモスである。
  21. Homer, Il., Book V.
  22. Plato, Symp., 180e.
  23. 23.0 23.1 Hesiod, Theogony 886–900.
  24. Homeric Hymns.
  25. Hesiod, Theogony.
  26. Burkert, Greek Religion.
  27. See, e.g., Homer, Il., I.503 & 533.
  28. Pausanias, 2.24.4.
  29. nefelhgere/ta^, Νεφεληγερέτα.
  30. 30.0 30.1 ヘーシオドス 『神統記』 広川洋一訳、岩波文庫、1984。
  31. Lives of Eminent Philosophers, Diogenes, Laërtius, https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus%3Atext%3A1999.01.0258%3Abook%3D1%3Achapter%3D11, 1.11, R.D. Hicks, 1972, 1925, https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus%3Atext%3A1999.01.0257%3Abook%3D1%3Achapter%3D11, Diogenes Laertius, Lives of Eminent Philosophers, 1.11
  32. 32.0 32.1 http://ahdictionary.com/word/search.html?q=Zeus, American Heritage Dictionary, Zeus, 3 July 2006
  33. R. S. P. Beekes, Etymological Dictionary of Greek, Brill, 2009, p. 499.
  34. Jupiter
  35. Burkert, Greek Religion, 1985, 321, isbn:0-674-36280-2, https://archive.org/details/greekreligion0000burk/page/321
  36. The Linear B word di-we, http://www.palaeolexicon.com/ShowWord.aspx?Id=16703, The Linear B word di-wo, http://www.palaeolexicon.com/ShowWord.aspx?Id=16635, Palaeolexicon. Word study tool of Ancient languages
  37. "Plato's Cratylusテンプレート:-" by Plato, ed. by David Sedley, Cambridge University Press, 6 November 2003, p. 91
  38. https://archive.org/details/makersofhellascr00geej/mode/2up%7Cpages=554–555, The Makers of Hellas, C. Griffin, Limited, Jevons Frank Byron, 1903
  39. https://books.google.com/books?id=o1xn5Bb-CacC, Limiting the Arbitrary, isbn:1556197497, Joseph John Earl, 2000
  40. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=urn:cts:greekLit:tlg0060.tlg001.perseus-grc1:5.72, Diodorus Siculus, Bibliotheca Historica, Books I-V, book 5, chapter 72, www.perseus.tufts.edu
  41. Lactantius, Divine Institutes 1.11.1.
  42. See Gantz, pp. 10–11; Hesiod, Theogony 159–83.
  43. Hard 2004, p. 67; Hansen, p. 67; Tripp, s.v. Zeus, p. 605; Caldwell, p. 9, table 12; Hesiod, Theogony 453–8. So too Apollodorus, 1.1.5; Diodorus Siculus, 68.1.
  44. Gantz, p. 41; Hard 2004, p. 67–8; Grimal, s.v. Zeus, p. 467; Hesiod, Theogony 459–67. Compare with Apollodorus, 1.1.5, who gives a similar account, and Diodorus Siculus, 70.1–2, who doesn't mention Cronus' parents, but rather says that it was an oracle who gave the prophecy.
  45. Cf. Apollodorus, 1.1.6, who says that Rhea was "enraged".
  46. Hard 2004, p. 68; Gantz, p. 41; Smith, s.v. Zeus; Hesiod, Theogony 468–73.
  47. Hard 2004, p. 74; Gantz, p. 41; Hesiod, Theogony 474–9.
  48. Hard 2004, p. 74; Hesiod, Theogony 479–84. According to Hard 2004, the "otherwise unknown" Mount Aegaeon can "presumably ... be identified with one of the various mountains near Lyktos".
  49. Hansen, p. 67; Hard 2004, p. 68; Smith, s.v. Zeus; Gantz, p. 41; Hesiod, Theogony 485–91. For iconographic representations of this scene, see Louvre G 366; Clark, p. 20, figure 2.1 and Metropolitan Museum of Art 06.1021.144; LIMC 15641; Beazley Archive 214648. According to Pausanias, 9.41.6, this event occurs at Petrachus, a "crag" nearby to Chaeronea (see West 1966, p. 301 on line 485).
  50. West 1966, p. 291 on lines 453–506; Hard 2004, p. 75.
  51. Fowler 2013, pp. 35, 50; Eumelus fr. 2 West, pp. 224, 225 [= fr. 10 Fowler, p. 109 = PEG fr. 18 (Bernabé, p. 114) = Lydus, De Mensibus 4.71]. According to West 2003, p. 225 n. 3, in this version he was born "probably on Mt. Sipylos".
  52. Fowler 2013, p. 391; Grimal, s.v. Zeus, p. 467; Callimachus, Hymn to Zeus (1) 4–11 (pp. 36–9).
  53. Fowler 2013, p. 391; Diodorus Siculus, 70.2, 70.6.
  54. Apollodorus, 1.1.6.
  55. Hard 2004, p. 68; Gantz, p. 41; Hesiod, Theogony 492–3: "the strength and glorious limbs of the prince increased quickly".
  56. Apollodorus, 1.1.6; Gantz, p. 42; West 1983, p. 133.
  57. Hard 2004, p. 612 n. 53 to p. 75; Apollodorus, 1.1.7.
  58. Hansen, p. 216; Apollodorus, 1.1.7.
  59. Diodorus Siculus, 7.70.2; see also 7.65.4.
  60. Diodorus Siculus, 7.70.2–3.
  61. Diodorus Siculus, 7.70.2; see also 7.65.4.
  62. Diodorus Siculus, 7.70.4.
  63. Gantz, p. 42; Hyginus, Fabulae 139.
  64. Gantz, p. 42; Hard 2004, p. 75; Hyginus, Fabulae 139.
  65. Smith and Trzaskoma, p. 191 on line 182; West 1983, p. 133 n. 40; Hyginus, Fabulae 182 (Smith and Trzaskoma, p. 158).
  66. Hard 2004, p. 75–6; Gantz, p. 42; Epimenides fr. 23 Diels, p. 193 [= Scholia on Aratus, 46]. Zeus later marks the event by placing the constellations of the Dragon, the Greater Bear and the Lesser Bear in the sky.
  67. Gantz, p. 41; Gee, p. 131–2; Frazer, p. 120; Musaeus fr. 8 Diels, pp. 181–2 [= Eratosthenes, Catasterismi 13 (Hard 2015, p. 44; Olivieri, p. 17)]; Musaeus apud Hyginus, De Astronomica 2.13.6. According to Eratosthenes, Musaeus considers the she-goat to be a child of Helios, and to be "so terrifying to behold" that the gods ask for it to be hidden in one of the caves in Crete; hence Earth places it in the care of Amalthea, who nurses Zeus on its milk.
  68. Hard 2004, p. 75; Antoninus Liberalis, 19.
  69. Gantz, p. 44; Hard 2004, p. 68; Hesiod, Theogony 492–7.
  70. Hard 2004, p. 68; Hesiod, Theogony 498–500.
  71. Hard 2004, p. 68; Gantz, p. 44; Hesiod, Theogony 501–6. The Cyclopes presumably remained trapped below the earth since being put there by Uranus (Hard 2004, p. 68).
  72. Hard 2004, p. 68; Gantz, p. 45; Hesiod, Theogony 630–4.
  73. Hard 2004, p. 68; Hesiod, Theogony 624–9, 635–8. As Gantz, p. 45 notes, the Theogony is ambiguous as to whether the Hundred-Handers were freed before the war or only during its tenth year.
  74. Hesiod, Theogony 639–53.
  75. Hesiod, Theogony 654–63.
  76. Hesiod, Theogony 687–735.
  77. Hard 2004, p. 69; Gantz, p. 44; Apollodorus, 1.2.1.
  78. Hard 2004, p. 69; Apollodorus, 1.2.1.
  79. Hard 2004, p. 69; Apollodorus, 1.2.1.
  80. Gantz, p. 48; Hard 2004, p. 76; Brill's New Pauly, s.v. Zeus; Homer, Iliad 15.187–193; so too Apollodorus, 1.2.1; cf. Homeric Hymn to Demeter (2), 85–6.
  81. Hard 2004, p. 86; Hesiod, Theogony 183–7.
  82. Hard 2004, p. 86; Gantz, p. 446.
  83. Gantz, p. 449; Hard 2004, p. 90; Apollodorus, 1.6.1.
  84. Hard 2004, p. 89; Gantz, p. 449; Apollodorus, 1.6.1.
  85. Hard 2004, p. 89; Gantz, p. 449; Salowey, p. 236; Apollodorus, 1.6.2. Compare with Pindar, Pythian 8.12–8, who instead says that Porphyrion is killed by an arrow from Apollo.
  86. Ogden, pp. 72–3; Gantz, p. 48; Fontenrose, p. 71; Fowler, p. 27; Hesiod, Theogony 820–2. According to Ogden, Gaia "produced him in revenge against Zeus for his destruction of ... the Titans". Contrastingly, according to the Homeric Hymn to Apollo (3), 305–55, ヘーラーは父親のいないテューポーンの母である。アテーナーを一人で産んだゼウスに腹を立てた彼女は、手で地面を叩き、ガイア、ウラヌス、ティターンにゼウスより強い子を授かるように祈り、その願いを受け、怪物テューポーンを産む。 (Fontenrose, p. 72; Gantz, p. 49; Hard 2004, p. 84); cf. Stesichorus fr. 239 Campbell, pp. 166, 167 [= PMG 239 (Page, p. 125) = Etymologicum Magnum 772.49] (see Gantz, p. 49).
  87. Gantz, p. 49; Hesiod, Theogony 824–8.
  88. Fontenrose, p. 71; Hesiod, Theogony 836–8.
  89. Hesiod, Theogony 839–68. According to Fowler, p. 27, the monster's easy defeat at the hands of Zeus is "in keeping with Hesiod's pervasive glorification of Zeus".
  90. Ogden, p. 74; Gantz, p. 49; Epimenides FGrHist 457 F8 [= fr. 10 Fowler, p. 97 = fr. 8 Diels, p. 191].
  91. Fontenrose, p. 73; Aeschylus, Prometheus Bound 356–64; Pindar, Olympian 8.16–7; for a discussion of Aeschylus' and Pindar's accounts, see Gantz, p. 49.
  92. Apollodorus, 1.6.3.
  93. Gantz, p. 50; Fontenrose, p. 73.
  94. Hard 2004, p. 84; Fontenrose, p. 73; Gantz, p. 50.
  95. Hard 2004, p. 84; Fontenrose, p. 73.
  96. Fontenrose, p. 73; Ogden, p. 42; Hard 2004, p. 84.
  97. Hard 2004, p. 84–5; Fontenrose, p. 73–4.
  98. Hard 2004, p. 85.
  99. Ogden, p. 74–5; Fontenrose, pp. 74–5; Lane Fox, p. 287; Gantz, p. 50.
  100. Gantz, p. 59; Hard 2004, p. 82; Homer, Iliad 1.395–410.
  101. Hesiod, Theogony 901–905; Gantz, p. 52; Hard 2004, p. 78.
  102. Hesiod, Theogony 901–911; Hansen, p. 68.
  103. Hansen, p. 68.
  104. Hesiod, Theogony 53–62; Gantz, p. 54.
  105. Homeric Hymn to Apollo (3), 89–123; Hesiod, Theogony 912–920; Morford, p. 211.
  106. Hesiod, Theogon921.
  107. 107.0 107.1 吉田敦彦『ギリシア神話の発想』1980
  108. Pausanias, Description of Greece 2.17.4
  109. Homer, Iliad 4.441
  110. Quintus Smyrnaeus, Fall of Troy, 8.424
  111. Scholia on Theocritus, Idyll 2.12 referring to Sophron
  112. Iliad, Book 14, line 294
  113. Scholia on Theocritus' Idylls 15.64
  114. Ptolemaeus Chennus, New History Book 6, as epitomized by Patriarch Photius in his Myriobiblon 190.47
  115. Eusebius, Praeparatio evangelica 3.1.84a-b; Hard 2004, p. 137
  116. Callimachus, Aetia fragment 48
  117. Pseudo-Apollodorus, Library 2.5.11
  118. Apollodorus, 1.3.1
  119. Hesiod, Theogony 938
  120. Ovid, Metamorphoses 3.361–369
  121. Diodorus Siculus, Library of History 4.14.4
  122. Hesiod, Theogony 507-565
  123. Hesiod, Works and Days 60–105.
  124. Ovid, Metamorphoses 1.216–1.348
  125. Leeming, David, https://books.google.com/books?id=kQFtlva3HaYC&pg=PA138, Flood , The Oxford Companion to World Mythology, Oxford University Press, 2004, isbn:9780195156690, pages138, 14 February 2019
  126. http://department.monm.edu/classics/Courses/CLAS210/CourseDocuments/Epic/gods_in_the_iliad.htm, The Gods in the Iliad, department.monm.edu, 2 December 2015
  127. The Iliad, Homer, Penguin Classics, 1990, South Africa
  128. Apollodorus, 2.48–77.
  129. Hyginus, Fabulae 146.
  130. Hyginus, Fabulae 179.
  131. Apollodorus, 3.43.
  132. Meisner, pp. 1, 5
  133. 133.0 133.1 133.2 West 1983, pp. 73–74; Meisner, p. 134; Orphic frr. 58 [= Athenagoras, Legatio Pro Christianis 20.2] 153 Kern.
  134. Apollodorus, 3.76.
  135. Apollodorus, 3.13.5.
  136. Pindar, Isthmian odes 8.25
  137. Apollodorus, 3.10.4
  138. Diodorus Siculus, Bibliotheca historica 4.71.2
  139. Hesiod, Theogony 285
  140. Hard 2004, p. 554; Apollodorus, Epitome 1.20
  141. Ovid, Metamorphoses 1.7472.400; Hyginus, De Astronomica 2.42.2; Nonnus, Dionysiaca 38.142435
  142. Lucian, Dialogues of the Gods Zeus and the Sun
  143. Hard 2004, p. 247; Apollodorus, 2.4.8.
  144. Hard 2004, p. 303; Brill's New Pauly, s.v. Antiope; Scholia on Apollonius of Rhodes, 4.1090.
  145. Gantz, p. 726; Ovid, Metamorphoses 2.401–530; Hyginus, De Astronomica 2.1.2; Apollodorus, 3.8.2; Hansen, p. 119; Grimal, s.v. Callisto, p. 86; Brill's New Pauly, s.v. Callisto.
  146. Apollodorus, 3.8.2; Brill's New Pauly, s.v. Callisto.
  147. Hard 2004, p. 238
  148. Hard 2004, p. 337; Lane Fox, p. 199.
  149. Hard 2004, p. 522; Ovid, Metamorphoses 10.155–6; Lucian, Dialogues of the Gods 10 (4).
  150. Hard 2004, p. 137
  151. Hard 2004, p. 439; Euripides, Helen 16–22.
  152. Hard 2004, p. 438; Cypria fr. 10 West, pp. 88, 89 [= Athenaeus, Deipnosophists 8.334b–d].
  153. Hard 2004, p.244; Hesiod, Theogony 943.
  154. Hansen, p. 68; Hard 2004, p. 78; Hesiod, Theogony 912.
  155. Hard 2004, p. 78; Hesiod, Theogony 901–911; Hansen, p. 68.
  156. Hard 2004, p. 79; Hesiod, Theogony 921.
  157. Hard 2004, p. 78; Hesiod, Theogony 912–920; Morford, p. 211.
  158. Hard 2004, p. 80; Hesiod, Theogony 938.
  159. Hard 2004, p. 77; Hesiod, Theogony 886–900.
  160. Hard 2004, p. 78; Hesiod, Theogony 53–62; Gantz, p. 54.
  161. Hard 2004, p. 80; Hesiod, Theogony 940.
  162. Hesiod, Theogony 901–905; Gantz, p. 52; Hard 2004, p. 78.
  163. Hyginus, Fabulae 155
  164. Pindar, Olympian 12.1–2; Gantz, p. 151.
  165. Gantz, pp. 26, 40; Musaeus fr. 16 Diels, p. 183; Scholiast on Apollonius Rhodius, Argonautica 3.467
  166. Cicero, De Natura Deorum 3.16; AthenaeusDeipnosophists 9.392e (pp. 320, 321).
  167. Stephanus of Byzantium, s.v. Akragantes; Smith, s.v. Acragas.
  168. Strabo, Geographica 10.3.19
  169. Cicero, De Natura Deorum 3.59.
  170. Scholiast on Pindar, Pythian Odes 3.177; Hesychius
  171. Homer, Iliad 5.370; Apollodorus, 1.3.1
  172. West 1983, p. 73; Orphic Hymn to the Graces (60), 1–3 (Athanassakis and Wolkow, p. 49).
  173. Apollodorus, 3.12.6; Grimal, s.v. Asopus, p. 63; Smith, s.v. Asopus.
  174. FGrHist 1753 F1bテンプレート:Dead link.
  175. Smith, s.v. Agdistis.
  176. Dionysius of Halicarnassus, Roman Antiquities 1.27.1; Grimal, s.v. Manes, p. 271.
  177. Nonnus, Dionysiaca 14.193.
  178. 178.0 178.1 Murray, John, A Classical Manual, being a Mythological, Historical and Geographical Commentary on Pope's Homer, and Dryden's Aeneid of Virgil with a Copious Index, 1833, Albemarle Street, London, pages8
  179. Eleutheria is the Greek counterpart of Libertas (Liberty), daughter of Jove and Juno as cited in Hyginus, Fabulae Preface.
  180. Hard 2004, 141; Gantz, p. 74.
  181. Apollodorus, 1.4.1; Hard 2004, p. 216.
  182. Cypria, fr. 10 West, pp. 88, 89; Hard 2004, p. 438.
  183. Grimal, s.v. Zagreus, p. 466; Nonnus, Dionysiaca 6.155.
  184. West 1983, p. 73; Orphic fr. 58 Kern [= Athenagoras, Legatio Pro Christianis 20.2]; Meisner, p. 134.
  185. Cicero, De Natura Deorum 3.21-23.
  186. Hard 2004, p. 46; Keightley, p. 55.
  187. Smith, s.v. Selene.
  188. Homeric Hymn to Selene (32), 15–16; Hyginus, Fabulae Preface; Hard 2004, p. 46; Grimal, s.v. Selene, p. 415.
  189. Apollodorus, 1.1.3.
  190. Smith, s.v. Thaleia (3); Oxford Classical Dictionary, s.v. Palici, p. 1100; Servius, On Aeneid, 9.581–4.
  191. Apollodorus, 3.12.6; Hard 2004, p. 530–531.
  192. FGrHist 299 F5(Dead link、October 2022、InternetArchiveBot)[= Scholia on Pindar's Olympian 9.104a].
  193. Homer, Odyssey 11.260–3; Brill's New Pauly s.v. Amphion; Grimal, s.v. Amphion, p. 38.
  194. Herodotus, Histories 4.5.1.
  195. Apollodorus, 3.8.2; Pausanias, 8.3.6; Hard 2004, p. 540; Gantz, pp. 725–726.
  196. Pausanias, 2.30.3; March, s.v. Britomartis, p. 88; Smith, s.v. Britomartis.
  197. 197.0 197.1 Apollodorus, 3.12.1; Hard 2004, 521.
  198. Nonnus, Dionysiaca 3.195.
  199. Diodorus Siculus, Bibliotheca historica 5.48.2.
  200. Hard 2004, p. 533
  201. Diodorus Siculus, Bibliotheca historica 5.55.5
  202. Valerius Flaccus, Argonautica 6.48ff., 6.651ff
  203. Stephanus of Byzantium, s.v. Krētē.
  204. Nonnus, Dionysiaca 32.70
  205. Murray John, A Classical Manual, being a Mythological, Historical and Geographical Commentary on Pope's Homer, and Dryden's Aeneid of Virgil with a Copious Index, 1833, Albemarle Street, London, pages5–6
  206. Dionysius of Halicarnassus, 5.48.1; Smith, s.v. Saon.
  207. Antoninus Liberalis, 13.
  208. Antoninus Liberalis, 36; Hyginus Fabulae 82; Pausanias, 2.22.3; Gantz, p. 536; Hard 2004, p. 502; March, s.v. Tantalus, p. 366.
  209. Pausanias, 3.1.2.
  210. Brill's New Pauly, s.v. Themisto; Stephanus of Byzantium, s.v. Arkadia [= FGrHist 334 F75].
  211. Stephanus of Byzantium, Ethnica s.v. Torrhēbos, citing Hellanicus and Nicolaus
  212. Pausanias, 1.40.1.
  213. Stephanus of Byzantium, s.v. Ōlenos.
  214. Brill's New Pauly, s.v. Calyce (1); Smith, s.v. Endymion.
  215. Stephanus of Byzantium, Ethnica s.v. Pisidia
  216. Stephanus of Byzantium, s.v. Pisidia; Grimal, s.v. Solymus, p. 424.
  217. Homer, Iliad 14.319–20; Smith, s.v. Perseus (1).
  218. Hyginus, Fabulae 155; Grimal, s.v. Pirithous, p. 374.
  219. Brill's New Pauly, s.v. Tityus; Hard 2004, pp. 147–148; FGrHist 3 F55(Dead link、October 2022、InternetArchiveBot、 [= Scholia on Apollonius of Rhodes, 1.760–2b (Wendel, p. 65)].)
  220. Gantz, p. 210; Brill's New Pauly, s.v. Minos; Homer, Iliad 14.32–33; Hesiod, Catalogue of Women fr. 89 Most, pp. 172–5 [= fr. 140 Merkelbach-West, p. 68].
  221. Homer, Iliad 14.32–33; Hesiod, Catalogue of Women fr. 89 Most, pp. 172–5 [= fr. 140 Merkelbach-West, p. 68]; Gantz, p. 210; Smith, s.v. Rhadamanthus.
  222. Smith, s.v. Sarpedon (1); Brill's New Pauly, s.v. Sarpedon (1); Hesiod, Catalogue of Women fr. 89 Most, pp. 172–5 [= fr. 140 Merkelbach-West, p. 68].
  223. Scholia on Iliad, 2. 511
  224. 224.0 224.1 Tzetzes on Lycophron, 1206 (pp. 957–962).(secondary source needed)
  225. Photios, Myriobiblon, Bibliotheca (Photius), Ge. Reimer, 1824, Bekker August Immanuel, August Immanuel Bekker, Tomus alter, Berlin, page152a, chapter190.489R, Photios I of Constantinople, chapter-url:https://archive.org/stream/bibliothecaexrec00photuoft#page/152/mode/2up, At the Internet Archive. Myriobiblon, Bibliotheca (Photius), Interreg Δρόμοι της πίστης – Ψηφιακή Πατρολογία, 2006, page163, chapter190.152a, chapter-url:http://khazarzar.skeptik.net/pgm/PG_Migne/Photius%20of%20Constantinople_PG%20101-104/Bibliotheca.pdf, At khazarzar.skeptik.net.
  226. Ptolemy Hephaestion, New History 6
  227. Pausanias, 10.12.1; Smith, s.v. Lamia (1).
  228. Homer, Iliad 6.191–199; Hard 2004, p. 349; Smith, s.v. Sarpe'don (2).
  229. Cicero, De Natura Deorum 3.16.
  230. Eustathius ad Homer, p. 1688
  231. Apollodorus, 2.1.1(Dead link、October 2022、InternetArchiveBot); Gantz, p. 198.
  232. Hesiod, Ehoiai fr. 5
  233. Ioannes Lydus, De Mensibus 1.13
  234. Servius, Commentary on Virgil's Aeneid 1. 242
  235. Apollodorus, 1.7.2; Hyginus, Fabulae 155.
  236. Hyginus, Fabulae 155.
  237. Pindar, Olympian Ode 9.58.
  238. Parada, s.vv. Hellen (1), p. 86, Pyrrha (1), p. 159; Apollodorus, 1.7.2(Dead link、October 2022 、InternetArchiveBot); Hesiod, Catalogue of Women fr. 5 Most, pp. 46, 47 [= Scholia on Homer's Odyssey 10.2]; West 1985, pp. 51, 53, 56, 173, table 1.
  239. John Lydus, De mensibus 4.67.
  240. Hesiod, Ehoiai fr. 3 as cited in Constantine Porphyrogenitus, De Thematibus, 2 (p. 86 sq. Pertusi).
  241. Homer, Iliad 19.91.
  242. Apollonius Rhodius, Argonautica, book 2, line 887, https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=urn:cts:greekLit:tlg0001.tlg001.perseus-grc1:2.899, www.perseus.tufts.edu
  243. Hymn 30.6, as cited by Graf and Johnston, Ritual Texts, pp. 123–124 (Hymn 29 in the translation of Thomas Taylor).
  244. Homer, Iliad 9.502; Quintus Smyrnaeus, Posthomerica 10.301 (pp. 440, 441); Smith, s.v. Litae.
  245. Valerius Flaccus, Argonautica 5.205
  246. Stephanus of Byzantium, Ethnica s.v. Tainaros
  247. Pausanias, 2.1.1.
  248. Diodorus Siculus, Bibliotheca historica 5.81.4
  249. Hyginus, Fabulae 195 in which Orion was produced from a bull's hide urinated by three gods, Zeus, Poseidon and Hermes
  250. Homer, Iliad 1.202, 2.157, 2.375; Pindar, Isthmian Odes 4.99; Hyginu]], De Astronomica 2.13.7.
  251. Spanh. ad Callim. hymn. in Jov, 49
  252. Schmitz, Leonhard, Aegiduchos, Smith William, Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology, volumeI, page26, place:Boston, 1867, contribution-url:http://www.ancientlibrary.com/smith-bio/0035.html | title-link = Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology, 2007-10-19, 2009-02-11, archive-url:https://web.archive.org/web/20090211114659/http://www.ancientlibrary.com/smith-bio/0035.html
  253. Hanson, Victor Davis, https://books.google.com/books?id=XGr16-CxpH8C, Carnage and Culture: Landmark Battles in the Rise to Western Power, 18 December 2007, Knopf Doubleday Publishing Group, isbn:978-0-307-42518-8
  254. Strab. xii. p. 574
  255. 255.0 255.1 Cook Arthur Bernard, Zeus: A Study in Ancient Religion, 1914, http://digi.ub.uni-heidelberg.de/diglit/cook1914bd1/0011, volumeI: Zeus God of the Bright Sky|pages=549 ff., location:Cambridge, publisher:Cambridge University Press.
  256. https://www.cs.uky.edu/~raphael/sol/sol-entries/alpha/1155, Suda, alpha, 1155
  257. 257.00 257.01 257.02 257.03 257.04 257.05 257.06 257.07 257.08 257.09 257.10 257.11 257.12 257.13 Zeus Titles & Epithets - Ancient Greek Religion , https://www.theoi.com/Cult/ZeusTitles.html, www.theoi.com, Theoi Project
  258. 258.00 258.01 258.02 258.03 258.04 258.05 258.06 258.07 258.08 258.09 258.10 258.11 258.12 258.13 pseudo-Aristotle, De mundo, Aristotelis Opera, Volume 3, Oxford, Bekker, 1837
  259. Zeus, https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus%3Atext%3A1999.04.0072%3Aentry%3D*zeu%2Fs, www.perseus.tufts.edu, William J. Slater, Lexicon to Pindar
  260. Antioch as a Centre of Hellenic Culture as Observed by Libanius, page23, https://books.google.com/books?id=fscXhWwDbusC&pg=PA23, 2000, Liverpool, Liverpool University Press, Translated with an introduction by A.F. Norman, Libanius, isbn:=0-85323-595-3
  261. http://cts.perseids.org/read/greekLit/tlg2200/tlg00411/opp-grc1/88, Capitains Nemo, cts.perseids.org
  262. https://muse.jhu.edu/chapter/1708741/pdf, Project MUSE - Ancient Antioch, muse.jhu.edu
  263. https://www.cs.uky.edu/~raphael/sol/sol-entries/kappa/1521, Suda, kappa, 1521
  264. *diktaios, Δικταῖος.
  265. , https://www.cs.uky.edu/~raphael/sol/sol-entries/delta/1446, Suda, delta, 1446
  266. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.04.0063:entry=vinum-cn, A Dictionary of Greek and Roman Antiquities (1890), Vinum
  267. 267.0 267.1 Athenaeus, The Deipnosophists, 5.74
  268. Henry George Liddell, Robert Scott, A Greek-English Lexicon, Eilapinastes
  269. Agora Monument Stoa of Zeus - ASCSA.net, https://agora.ascsa.net/id/agora/monument/stoa+of+zeus%7Cwebsite=agora.ascsa.net
  270. https://www.cs.uky.edu/~raphael/sol/sol-entries/epsilon/804, ε 804
  271. Plutarch, Theseus, 14
  272. Sudahttps://www.cs.uky.edu/~raphael/sol/sol-entries/epsilon/3269, ε 3269
  273. Brill, Idaeus
  274. A Dictionary of Greek and Roman Antiquities (1890), William Smith, LLD, William Wayte, G. E. Marindin, Ed., Ithomaea
  275. https://www.cs.uky.edu/~raphael/sol/sol-entries/kappa/887, Suda, kappa, 887
  276. Harry Thurston Peck, Harpers Dictionary of Classical Antiquities (1898), Laphystium
  277. The Temple of Zeus Lepsinos at Euromus
  278. Henry George Liddell, Robert Scott, A Greek-English Lexicon, leukaia
  279. Zeus Meilichios shrine (Athens)
  280. Pausanias, Description of Greece, *)hliakw=n *a, chapter 15, section 5|url=https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=urn:cts:greekLit:tlg0525.tlg001.perseus-grc1:5.15.5, www.perseus.tufts.edu
  281. ToposText, https://topostext.org/work/618#6, topostext.org
  282. CGRN File, http://cgrn.ulg.ac.be/file/171/%7Cwebsite=cgrn.ulg.ac.be
  283. The Princeton Encyclopedia of Classical Sites, PANAMARA (Bağyaka) Turkey
  284. Ancient Inscription about Zeus Panamaros
  285. Lesley A. Beaumont, Childhood in Ancient Athens: Iconography and Social History, Routledge, 2013, https://books.google.com/books?id=iXSmuBlH79QC, page153, isbn:978-0415248747
  286. Lesley A. Beaumont, Childhood in Ancient Athens: Iconography and Social History, Routledge, 2013, https://books.google.com/books?id=iXSmuBlH79QC, page69, isbn:978-0415248747
  287. https://artsandculture.google.com/asset/temple-of-zeus-sosipolis-from-magnesia-on-the-maeander/wgEwmq0Figt1KA, Temple of Zeus Sosipolis from Magnesia on the Maeander
  288. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=urn:cts:greekLit:tlg0007.tlg085.perseus-grc1:3, Plutarch, Parallela minora, section 3, www.perseus.tufts.edu
  289. A Dictionary of Greek and Roman biography and mythology, Zygia and Zygius
  290. Durant, The Life of Greece (The Story of Civilization Part II, New York: Simon & Schuster) 1939:23.
  291. Rodney Castleden, Minoans: Life in Bronze-Age Crete, "The Minoan belief-system" (Routledge) 1990:125
  292. Pointed out by Bernard Clive Dietrich, The Origins of Greek Religion (de Gruyter) 1973:15.
  293. A.B. Cook, Zeus Cambridge University Press, 1914, I, figs 397, 398.
  294. Dietrich 1973, noting Martin P. Nilsson, Minoan-Mycenaean Religion, and Its Survival in Greek Religion 1950:551 and notes.
  295. "Professor Stylianos Alexiou reminds us that there were other divine boys who survived from the religion of the pre-Hellenic period — Linos, Ploutos and Dionysos — so not all the young male deities we see depicted in Minoan works of art are necessarily Velchanos" (Castleden) 1990:125
  296. Richard Wyatt Hutchinson, Prehistoric Crete, (Harmondsworth: Penguin) 1968:204, mentions that there is no classical reference to the death of Zeus (noted by Dietrich 1973:16 note 78).
  297. "This annually reborn god of vegetation also experienced the other parts of the vegetation cycle: holy marriage and annual death when he was thought to disappear from the earth" (Dietrich 1973:15).
  298. リカオンの神々のための宴会で、犠牲の人間の肉が含まれていたという創世神話では、おそらく彼の息子、ニクティムスかアルカスであろう。ゼウスはテーブルをひっくり返し、リュケウスの家に雷を落とした。リュケイアでの彼の庇護は、公式のものに過ぎなかったと思われる。
  299. 「ライク」「明るさ」との形態的なつながりは、単なる偶然かもしれない。
  300. Modern archaeologists have found no trace of human remains among the sacrificial detritus, Walter Burkert, "Lykaia and Lykaion", Homo Necans, tr. by Peter Bing (University of California) 1983, p. 90.
  301. Pausanias, 8.38.
  302. Republic 565d-e
  303. A. B. Cook (1914), Zeus: A Study in Ancient Religion, Vol. I, p.63, Cambridge University Press
  304. Strabo, Geographica 14.1.42.
  305. Pausanias, Description of Greece, 4.33.2
  306. A Dictionary of Greek and Roman Antiquities (1890), Hecatomphonia
  307. Harry Thurston Peck, Harpers Dictionary of Classical Antiquities (1898), Hecatomphonia
  308. Perseus Encyclopedia, Hecatomphonia
  309. Pausanias, Description of Greece, 4.19.3
  310. Schol. ad Pind. Ol. vi. 162
  311. Hesiod, according to a scholium on Apollonius of Rhodes. Argonautika, ii. 297
  312. Odyssey 14.326-7
  313. Pausanias, 3.18.
  314. David Syme Russel. Daniel. (Louisville, Kentucky: Westminster John Knox Press, 1981) 191.
  315. 2 Maccabees 6:2
  316. Devdutt Pattanaik's Olympus: An Indian Retelling of Greek Myths
  317. Sick, David H. (2004), "Mit(h)ra(s) and the Myths of the Sun", Numen, 51 (4): 432–467, JSTOR:3270454
  318. Ljuba Merlina Bortolani, Magical Hymns from Roman Egypt: A Study of Greek and Egyptian Traditions of Divinity, Cambridge University Press, 13 October 2016
  319. West Martin Litchfield, Martin Litchfield West, Indo-European Poetry and Myth, 2007, Oxford University Press, Oxford, England, isbn:978-0-19-928075-9, http://library.globalchalet.net/Authors/Poetry%20Books%20Collection/Indo-European%20Poetry%20and%20Myth.pdf, 7 May 2017, pages194–196
  320. Cook, p. 196
  321. Euripides, Medea 1258; The Play of Texts and Fragments: Essays in Honour of Martin Cropp by J. Robert C. Cousland, James, 2009, p. 161
  322. Cook, pp 186–187
  323. 323.0 323.1 Cook, pp 188–189
  324. Cook, p. 190
  325. Cook, p. 193
  326. Cook, p. 194
  327. Karl Kerenyi, The Gods of the Greeks 1951:110.
  328. In Fourth Tractate 'Problems of the Soul' The Demiurge is identified as Zeus.10. "ゼウスの名のもとにデミウルジを考えるとき、段階や進歩という概念をすべて排除し、不変で時間を超越した一つの生命を認識しなければならない。"
  329. https://www.biblestudytools.com/library/, Online Bible Study Tools – Library of Resources, biblestudytools.com
  330. The International Standard Bible Encyclopaedia, edited by J. Orr, 1960, Vol. III, p. 1944.
  331. https://st-takla.org/pub_Deuterocanon/Deuterocanon-Apocrypha_El-Asfar_El-Kanoneya_El-Tanya__9-Second-of-Maccabees.html, The Second Book of the Maccabees < Deuterocanonical Books (Deuterocanon) | St-Takla.org|website=st-takla.org
  332. George R. S. Mead, https://books.google.com/books?id=bnEmDwAAQBAJ, Pistis Sophia, Jazzybee Verlag, 1963, isbn:9783849687090, page190, G. R. S. Mead
  333. フェリックス・ギラン、『ギリシア神話』中島健訳、青土社、1991。
  334. 334.0 334.1 『ギリシア神話』アポロドーロス
  335. 『図書館』アポロドーロス
  336. フェリックス・ギラン、『ギリシア神話』中島健訳、青土社、1991