祝融

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概説[編集]

炎帝の子孫とされ[2]、火を司る[3] [4]。そのため火災にあう事を「祝融に遇う」と言う場合がある[1]女媧が破損した天を補修し、地上に平和をもたらしたあと、江水に降って来たとされる(要説明, 2021-05, 何が女媧の仕業で何が祝融の仕業なのかわからない)

山海経[編集]

『山海経』の「海外南経」によると、祝融は南の神であり、その姿は獣身人面であるという。双竜に乗るとされる。[5][6]

また、『山海経』の「海内経」によると、天帝に許可を得ずに洪水を防いだを、天帝の命令を受けた祝融が殺したという[2]。「海内経」では共工は祝融の子とされる[7]

その他[編集]

『史記』の「三皇本紀」によると、祝融は共工と戦ってこれに勝ったが、その際に共工は不周山に頭を激突させたという[8]

『墨子』の「非攻(下)」によると、天帝の命令を受けた祝融が、商の成が夏を滅ぼす際に夏の都城に火を降らせたという[9][10][私注 1]

火の神以外の祝融[編集]

『史記』では五帝時代の官名とされる[11]顓頊の子の黎(重黎)が祝融の官に就き、楚の先祖となった、との伝承がある[12]

小説『通俗二十一史』では登場人物の一人であり、人皇によって諸侯に封じられており、女皇(女媧)によって康回(共工)討伐のために召し出され、その任を果たしている[13]

また、小説『三国志演義』の登場人物、祝融夫人帯来洞主姉弟は、祝融の末裔と言及されている[14]


祝融夫人という(おそらく)架空の女性がいるので、もしかしたら本来は同名の女神がいたのかもしれない、と考える。中国の古代社会は歴史的に母系から父系へと変遷しているので、祝融に先行する「祝融女神」がいて、父系の台頭と共に男神である「祝融」へと変化したのかもしれないと考える。

私的解説[編集]

祝融が「天を補修した」という点は、祝融が単なる火の神ではなくなにがしかの職人的な技術の神でもあったことを示しているように思う。

また、祝融が戦って勝った、という点は軍神的な性質であると考える。

天から地上に火を降らせる神であり、祝融自身が天から降りてくる神でもあるので、雷神や星神といった性質も暗に含んでいると考える。一方で天を修復しながら、一方で火を振らせたりして天が円滑に動くことを妨げる神でもあるので、「天狗(中国)」の一種と考える。

参考文献[編集]

  • Wikipedia:祝融(最終閲覧日:22-10-06)
  • 山海経、高馬三良訳、平凡社、1994年、p120
  • 世界神話伝説大辞典、篠田知和基他、勉誠出版、2016、p659

私的注釈[編集]

  1. まるで「ソドムとゴモラ」のようなエピソードだと感じる。(覚書)

関連項目[編集]

  • 伏羲:占いを発明したり、職能神の一種である。
  • 蚩尤:火の神。軍神でもあるし、職能神でもある。
  • :祝融の別の姿。祝融との関連姓については禹の「私的考察」を参照のこと。
  • 帝俊:祝融は天上の火を操って地上に降らせることができる神である。天上の日を操って大量に出すことができるのは?
  • アグニ:インド神話。誕生の時に両親を焼き殺した神。
  • 火之迦具土神:誕生の時に母親を焼き殺した神。
  • 伊邪那岐命:子供の火之迦具土神を殺す神。子殺しである点が祝融と一致する。
  • 須佐之男命:水神を倒す神。その点が祝融と一致する。
  • 天狗(中国)
  • :「山海経」で竜に乗る者、とされる。
  • 逢蒙羿を裏切って殺した、とされる男。羿の妻である玄妻と共謀した、とされる。
  • マルドゥク
  • 賀茂別雷命:火雷神の子と言われる。「火」系の神であり、賀茂系氏族の祖神の一柱である。

参照[編集]

  1. 1.0 1.1 しゅくゆう 祝融, 1940-05-08, 大日本国語辞典, 富山房, 東京, {NDLJP:1870670/134, https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1870670/134%7Corig-year=1915, 修訂版, volume3, pages259-260, ja, doi:10.11501/1870670
  2. 2.0 2.1 「炎帝之妻,赤水之子聽訞生炎居,炎居生節竝,節竝生戲器,戲器生祝融,祝融降處於江水,生共工。共工生術器,術器首方顚,是復土穰,以處江水。共工生后土,后土生噎鳴,噎鳴生歳十有二。洪水滔天。鯀竊帝之息壤以堙洪水,不待帝命。帝令祝融殺鯀于羽郊」(山海經、海內經)
  3. 「火神也」(山海經_(四庫全書本)、卷06)
  4. 祝融, 1999-03-01, 中国神話・伝説大事典, 大修館書店, 袁珂, 鈴木, 博, pages312-313, ja, isbn:978-4-469-01261-3(項見出しp312)
  5. 「南方祝融,獸身人面,乘兩龍」(山海經、海外南經)
  6. 竜に乗る者は夏后啓と河神の冰夷だけ」とのことである。(山海経、高馬三良訳、平凡社、1994年、p120)
  7. 山海経、高馬三良訳、平凡社、1994年、p177
  8. 「當其末年也,諸侯有共工氏,任智刑以強霸而不王,以水乘木,乃與祝融戰,不勝而怒。乃頭觸不周山崩,天柱折,地維𡙇」(三皇本紀)
  9. "enka1999", page313
  10. 原文は次の通り。「夏德大亂,往攻之,予必使汝大堪之。予既受命於天,天命隆火於夏之城間西北之隅」(墨子、非攻下) 湯王が夏の乱れを正すための放伐を天から求めている場面であり、この「隆」を「降」と読んでいる。
  11. 「重黎爲帝嚳髙辛居火正,甚有功,能光融天下,帝嚳命曰祝融。共工氏作亂,帝嚳使重黎誅之而不盡。帝乃以庚寅日誅重黎,而以其弟呉回爲重黎後,復居火正,爲祝融」(史記、卷040#楚先祖)
  12. 世界神話伝説大辞典、篠田知和基他、勉誠出版、2016、p659
  13. 通俗二十一史, 早稲田大学出版部, 1911, pages6-10, https://books.google.co.jp/books?id=nScLVESAr4AC&newbks=1&newbks_redir=0&dq=%22%E7%A5%9D%E8%9E%8D%22&hl=ja&pg=PP122#v=onepage&q=%22%E7%A5%9D%E8%9E%8D%22&f=false, 2021-05-16, ja, 女皇命じて祝融を召して康回を征す, volume1
  14. 「獲視之,乃妻祝融夫人也。夫人世居南蠻,乃祝融氏之後」「眾視之,乃孟獲妻弟,現為八番部長,名曰帶來洞主」(三國演義/第090回)