大山津見神
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神名[編集]
『古事記』では大山津見神、『日本書紀』では大山祇神、他に大山積神、大山罪神とも表記される。 別名 和多志大神、酒解神。
1972年8月調査では、神社本庁傘下の神社1万318社のうち、85%が「大山祇神」、9%が「大山津見神」、5%が「大山積神」と表記する[1]。
神名の名義は後述。/
神話での記述[編集]
『古事記』では、神産みにおいて伊邪那岐命と伊邪那美命との間に生まれた。その後、草と野の神である鹿屋野比売神(野椎神)との間に以下の四対八柱の神を生んでいる。
『日本書紀』では、イザナギが軻遇突智を斬った際に生まれたとしている。
天之狭霧神の娘の遠津待根神は、大国主神の8世孫の天日腹大科度美神との間に遠津山岬多良斯神を産んでいる。
オオヤマツミ自身についての記述はあまりなく、オオヤマツミの子と名乗る神が何度か登場する。 八俣遠呂智退治において、須佐之男命(すさのを)の妻となる櫛名田比売(くしなだひめ)の父母、足名椎・手名椎(あしなづち・てなづち)はオオヤマツミの子と名乗っている。
その後、スサノオの系譜において、オホヤマツミ神の娘である神大市比売神(かむおほいちひめ)との間に大年神と宇迦之御魂神(うかのみたま)をもうけていると記している。また、クシナダヒメとの間の子、八島士奴美神(やしまじぬみ)は、オオヤマツミの娘の木花知流比売(このはなちるひめ)と結婚し、布波能母遅久奴須奴神(ふはのもぢくぬすぬ)を生んでいる。フハノモヂクヌスヌの子孫が大国主神である。と
天孫降臨の後、邇邇芸命はオオヤマツミの娘である木花之佐久夜毘売と出逢い、オオヤマツミはコノハナノサクヤビメとその姉の石長比売を差し出した。ニニギが容姿が醜いイワナガヒメだけを送り返すと、オオヤマツミはそれを怒り、「イワナガヒメを添えたのは、天孫が岩のように永遠でいられるようにと誓約を立てたからで、イワナガヒメを送り返したことで天孫の寿命は短くなるだろう」と告げた。
解説[編集]
神名の「ツ」は「の」、「ミ」は神霊の意なので、「オオヤマツミ」は「大いなる山の神」という意味となる。
ユネスコの記憶遺産に登録された山本作兵衛が描いた筑豊の炭鉱画の中でも、オオヤマツミに関する記述がある。
オオヤマツミを祀る神社[編集]
全国の大山祇神社(山積神社/大山積神社/大山津見神社含む)の他、三島神社(三嶋神社)や山神社(山神神社)の多くでも主祭神として祀られている。
1973年1月大三島大社講(大山祇神社)発行の『大三島宮』によると、その数はそれぞれ897社、402社、3075社である(次項以降の神社数を含め、『大三島宮』(大山祇神社発行)に記載されている、1972年8月の神社本庁調査に基づく[注釈 1])。なお、三島神社や山神社を称していても、主祭神が大山祇神でない神社は除外されている。
大山祇神社[編集]
全国に897社ほど。総本社は大山祇神社(愛媛県今治市大三島)である。三島神社とほぼ同一の信仰を持つ神社もあれば、明治時代に鉱山開発を目的に勧請された神社もある。高知県113社、群馬県79社、福岡県75社、福島県60社、長崎県53社などに多い。大山積神社、山積神社、山住神社と書く神社もある。
総本社である大山祇神社のある愛媛県は三島神社として勧請される例が多く、大山祇神社は18社と限られる。
戦前にはサイパンのロタ島、樺太の川上村にも大山祇神社が勧請されていた。
三島神社[編集]
全国に402社ほど。三嶋大明神としての大山祇神を祀る。総本社は大山祇神社(愛媛県今治市大三島)及び三嶋大社(静岡県三島市)である。大山祇神社のある愛媛県が130社で突出しており、同県の神社の約10%を占める。続いて福島県29社、高知県20社、茨城県18社、大分県18社などが続く。
1873年に三嶋大社の主祭神が大山祇神から事代主神に変更されたため(のち大山祇神・事代主神二神同座に再度変更)祭神に混乱が生じている。例えば、三嶋大社のある静岡県には36社の三島神社が存在するが、元々妃神や御子神のみを祀る三島神社が多かったことに加えて、三嶋大社の主祭神変更を受けて一部の神社が同調し、大山祇神を祀る三島神社は13社となっている。また、福岡県も同様で、事代主神を祀る三島神社が多いため大山祇神を祀る三島神社は24社中12社になっている。
山神社[編集]
全国に3075社ほど。大山祇神社(愛媛県今治市大三島)の分社や、その地方の山神を大山祇神として崇めた神社が含まれる。比較的小規模な神社が多く、ごく小規模な神社や境内社といった形で祀られる例が多い。地域的には、愛知県311社、静岡県257社、長野県204社、大分県191社、徳島県168社、福島県165社、山形県150社、兵庫県145社、岐阜県132社、山梨県131社などとなっている。
十二神社[編集]
全国に438社ほど(別の神を祀る神社を含む。2007年國學院大學発行『現代・神社の信仰分布』に拠る)。十二様としての大山祇神を祀る。新潟県や群馬県の中山間部を中心に存在する。小規模社が多い。
伊予の大山祇神社や伊豆の三嶋大社を中心とする「大山祇・三島信仰」とは別系統で、本来はこの地域土着の山の神の信仰である。
その他[編集]
大山阿夫利神社(神奈川県伊勢原市)や梅宮大社(京都市右京区)、湯殿山神社(山形県鶴岡市)などでも主祭神ととされる。そのほか酒造や各地の山岳信仰と結びついたり、大山祇神社や三嶋大社の分社の中で三島神社や大山祇神社、山神社以外の名称を名乗る神社が存在し(一宮神社、稲爪神社、瀬戸神社等)、大山祇神を祀る神社は相当数にのぼる。浅間神社等でも主祭神として扱われていることがある。
配神や境内外社としてよく祀られる神の1柱でもあり、伊勢神宮内宮(三重県伊勢市)にも大山祇神社が勧進されている。上述の『大三島宮』によると、大山祇神を祀る神社は、小規模社や境内社・配神等を含めると全国に1万318社存在する。この数は日本神話の神の中で5番目に多いという。
熊本県荒尾市の三井三池炭鉱旧万田坑の構内にあるテンプレート:文化遺産オンラインは、1916年(大正5年)に大山祇神を分祀した祠だが、文化財保護法の重要文化財に指定されており、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として世界遺産になっている。また、軍艦島の端島神社も金刀比羅宮とともにオオヤマツミを合祀していた。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
関連項目[編集]
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