=== サテネとは ===
サテネとハイヌウェレは、本当に「同じ女神」といってよいのだろうか? 神話ではサテネはラビエが死んで変化した、ともされておらず、生きているときも、死んだ後も、サテネとラビエは別のもののように描かれている。冥界の女神サテネが、日本神話のサテネとハイヌウェレは、本当に「同じ女神」といってよいのだろうか? 冥界の女神サテネが、日本神話の[[伊邪那美命]]に相当し、芋に変化するハイヌウェレが日本神話の[[大宜都比売]]だとすれば、両者の違いは更に際立つ。[[大宜都比売]]と[[伊邪那美命]]は別々に亡くなるし、亡くなる場所も設定も異なっていて、全く「別の神」である。
では、なぜヴェマーレでは、[[伊邪那美命]](サテネ)と[[大宜都比売]](ハイヌウェレ)が「一体」であるかのように取り扱われるのだろうか。それは、彼らの性質が似通っているから、元は別々の神だったのに、習合してしまった、ということがまず考えられる。似通った神話を2つ纏める際に、例えばそれが「射日神話」のように「'''太陽を射る話'''」だった場合、太陽神が二柱いたら、彼らがよほど近くにいない限り、それぞれを射るのに、最低でも2本の矢が必要だと思わないだろうか? それを更に縮めて、'''1本の矢で、1つの太陽を射落としたら、残りも自動的に落ちてしまうようにして、どちらが射られたのか、それぞれにどんな事情があって射られたのかまで、まぜこぜにして分からなくなってしまっているのではないだろうか'''。
サテネの名には「t」音の子音が入り、その名は饕餮、祝融、ダロンなどと起源が一致する名と思われる。すなわち、ラビエを殺して食べてしまった太陽神トゥワレに近い名なのだ。トゥワレが「殺された女神」のうち「燃やされた女神」に習合し、彼女をいわば「盾」にしているので、「悪しき太陽トゥワレ」を狙って放った矢は、「燃やされた女神」を射殺してしまい、本来あった「'''悪さをする太陽神を射た、という神話'''」が「'''悪さをする燃やされた女神(太陽女神)を射た、という神話'''」に変換されたものと考える。その彼女が死んで冥界神となるのだ。日本神話の[[伊邪那美命]]は、皇祖神をひどい「悪女神」にするわけにはいかないので、特に「悪い」とまで言えることをしているわけではないが、婚姻の際に作法を間違えて、水蛭子を生んでしまう、とか多少のミスは犯している。それが彼女の死の原因と言われてはいないけれども、死の原因として暗示されているようにも思う。サテネの「悪い点」ははっきりしない。ハイヌウェレを死なせてしまったことそのものが彼女のミスとされているのかもしれない。ハイヌウェレも祭りの作法を破ったことが原因で殺される。大宜都比売はもてなしの作法に関して殺される。そのようなささいなことで「悪神」とされて死んでしまう女神は、その陰で「人を殺して食う」ような本物の悪神と習合させられているように感じる。まるで悪神の悪い因縁が、女神の「ささいなミス」にとりついて「悪さの度合い」を増幅させているかのようだ。
かくして、ハイヌウェレや[[大宜都比売]]は、'''悪い因縁を持った「男性の太陽神」と習合させられている冥界女神悪い因縁を持った「男性の太陽神」と習合させられている冥界女神([[燃やされた女神]])'''と更に一体化しているように扱われて殺されて、作物だけが彼らの死体から取り出される。台湾の伝承には、太陽神を射て血が流れる話はあるが、作物を得る話はない。ヴェマーレの神話にしても、多少話の筋に混乱はあるが、「死した女ラビエの遺産」にまつわる神話は「女性が腹から出血する原因」の神話であって、作物の起源神話ではない。誰かが「男性の太陽が射られて血を流す神話を、女神の月経の話に置き換えた神話」と「女神が殺されて作物を取り出される神話」を一塊にしてしまったものが、ハイヌウェレと大宜都比売の神話と考える。彼らは元は太陽女神なのだから、まず射落とされて、地上に落ちてからバラバラにされたのだと思われる。その破片が「月の女神」とされたのだろう。それを地面にまいて育てたものが、女神の化身の作物である。サテネとと更に一体化しているように扱われて殺されて、作物だけが彼らの死体から取り出される。[[大宜都比売]]は、元は[[伊邪那美命]]は、彼らの元の半分は「'''男性神'''」であってハイヌウェレや・[[天照大御神]]神話と別の系統の女神と思われる。[[大宜都比売]]とは異なる神なので、それぞれ一体のような、別々の神のような感じで、完全に習合しきれていない不可思議な神話が形成されているのだろう。を母神とする伝承があるからだ。なので、どの[[燃やされた女神]]と習合しているのかははっきりしない。ハイヌウェレはサテネと習合的に扱われているので、生死が連動してしまっている。 台湾の伝承には、太陽神を射て血が流れる話はあるが、作物を得る話はない。ヴェマーレの神話にしても、多少話の筋に混乱はあるが、「死した女ラビエの遺産」にまつわる神話は「女性が腹から出血する原因」の神話であって、作物の起源神話ではない。誰かが「男性の太陽が射られて血を流す神話を、女神の月経の話に置き換えた神話」と「女神が殺されて作物を取り出される神話」を一塊にしてしまったものが、ヴェマーレ族の神話と考える。
=== トーテムについて ===