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No.268

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八百比丘尼の伝説
「ひだぶり街道物語 岐阜新聞社」 85-87p

 高山市朝日地区・美女峠、辻の池(美女ヶ池)の伝説。
 美女峠に美しい比丘尼が住んでいて、美女ヶ池の大蛇の化身とも言われていた、とのこと。子供を生んで、人間の女性に乳母を頼んだ、という伝説がある。また比丘尼は「よもぎ餅」や「きなこ餅」を作って旅人に売っており、評判だったとのこと。

 山口町では水不足の年には「雨乞い平」というところで雨乞いの儀式を行っていた、とのことである。

 八百比丘尼は水や池、雨乞いに関わる存在であると供に、稲の豊穣に関する女神の変化したものといえる。彼女が作る餅は、女神自身の化身(一部)ともいえる。竜蛇の化身、という伝承があること、子供を生んでも父親の存在が明らかでない点、穀物とその豊穣の女神である点から、縄文の母系の豊穣の女神の性質を強く残した伝承であり、縄文の女神の有り様を良くうかがい知れると考える。子供の父親の存在がはっきりしないのは、母系社会では通い婚が通常で「父」とか「夫」というものが社会的に存在しないからである。

 美女ヶ池では今でも女神になぞらえて「美女餅」というおみやげ品を売っているそうである。

#伝説 #岐阜県 #飛騨 #蛇 #女神 #乳母 #餅 #池 #雨乞い

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2025年12月21日(日) 22時57分59秒〔1時間前〕