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No.162, No.161, No.160, No.159, No.158, No.157, No.1567件]

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サー・トパスのロマンス
「妖精の誕生 トマス・カイトリー」 70-71p

 「サー・トパスの物語」、『カンタベリー物語』(The Canterbury Tales)に含まれる。作者はジェフリー・チョーサー(Geoffrey Chaucer)、14世紀に書かれた。

 高潔なサー・トパスはエルフの女王を愛すると決めてフェアリーの国を探し求めた。フェアリーの国は見つかったが、そこには人っ子一人いなかった。

というあらすじの物語で未完である。未完である。「天国の恩恵はたやすく手に入らない」という皮肉が込められた話が予定されていたのであろうか。
 
#伝説 #イギリス #いなくなった妻を探す夫 #獣の王 #ロマンス #カトリック
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アブラハムとアブラメッサ ATU2030
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 305-309p

 語る言葉がどんどん増えて、ドミノ式に解決する物語。言葉にして読むよりも、語り手が巧みに語ることそのものを楽しむ物語といえよう。

#民話 #レートロマン #ドミノ式 #こけもも #狼 #犬 #かかし #火 #水 #牛 #皮でできた縄 #鼠 #猫 #お婆さんと彼女の豚
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恋の試練
「シルクロードの民話 パミール高原」 106-126p

 頭蓋骨の粉をなめて懐胎する、という不思議な導入部分である。頭蓋骨の正体は物語中では明らかにされない。冥界神が変化したもの、といえようか。破られてしまうが「見るな」の禁忌がかかっている。頭蓋骨の息子である主人公は半神半人的であって、あっという間に成長する。
 主人公と女主人公が歌を交わすところは、アジア的な「歌垣」の文化を思わせる。
 一方、女主人公はとびらの中に住んでいることが強調されたり、人をしびれさせる薬を持っていたりする点から、「冥界の女神」が変化したものであることが窺える。主人公は難題(労働、謎解き)を課せられるが、切り抜ける。

 主人公は女主人公と結ばれる前に別の女性を押しつけられそうになるが、丁重にお断りする。この点は、最初の2人が殺されているわけではないが、シヴァとサティー的神話が変化したものであろう。男性の側にも女性に対して強い誠実さを求めるところがイスラム的な文化の良いところだと思う。


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金髪の姫
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 297-305p

 女主人公は上位の女神(貧しいおばあさん)を侮辱して呪いをかけられる。その結果、風に乗って空を飛べるほど痩せ細ってしまう。「変身」的な要素であるが、全く別の存在に変わってしまうわけではない。イメージとしては蝶を暗喩しているのかもしれない。アテーナーとアラクネー的な展開である。
 女主人公が風にさらわれる点は、「風の神のおよめさん」を連想させる。明確に「風の神にさらわれた」とはされていないが、そのようなクピードとプシューケー的な要素の片鱗が認められる。
 女主人公は、海の向こうに飛ばされる「竜宮」型の失踪を遂げる。女主人公が失踪するまでが、一つのドラマティックな物語として成立している。女主人公が嵐の中、戻ってくるという展開は「季節の変わり目」を連想させ、季節の変化による植物(でなければ植物の化身である女神)の変化の神話が根底にあるのではないか、と思う。ただし、植物信仰の要素はほとんど残されていない。

 主人公は女主人公を求めて探索を始めるが、老人の助力を得て、かつ「小さいパイプ」の魔力で問題を解決する。物質の精霊のおかげで問題が解決できるのは「魔法のランプ」型である。

 全体としては「失踪した女神を連れ戻す話」が元にあり、それが崩れたのみならず、独自に文芸的な展開をしている物語だと感じる。アテーナーとアラクネー的な展開だったり、逃走に馬が重要な役割を果たすなど、南欧の神話の影響が強い物語といえるか?

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漁師と魚 AT302+AT316
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 274-297p

 「怪物退治」譚の2つのパターンが組み合わさった物語。
 一つは、魚の怪物と対峙する物語、もう一つは竜と対峙する物語である。魚の怪物は倒すわけではない。どちらの対決も、動物神と女主人公双方の助けを得ている。

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幽霊床屋 ATU326+ATU1645
「世界の民話1 ドイツ・スイス ぎょうせい」 279-294p

 主人公が旅に出る動機が自らの浪費と借金の取り立て目的である点は近現代的な設定といえる。
 全体としては「怪物退治」の変形版だが、「結婚」を手に入れるためには、怪物退治ではなく、呪いのかけられた幽霊の魂の救済が必要とされる。神父を冒涜すると呪われる、とか、神に仕える者がそんなことをして良いのか、とも思うがキリスト教に対する畏怖の念を植え付けるには充分であろう。
 最後に宝を手に入れたのみならず、借金の取り立て問題まで解決できたところは、キリスト教に対する信仰のおかげ、という分かりやすい説話譚といえるか。

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2025年12月21日(日) 22時57分59秒〔4時間前〕