ディオニューソスの神話には、[[オルペウス教]]の基礎となる次のような異説もある。ゼウスはヘーラーの実の母[[レアー]]と交わり[[ペルセポネー]]を産ませた。そして、蛇に化けてペルセポネーに近づき、跡継ぎとして[[ザグレウス]]を産ませた(ザグレウスは単に[[デーメーテール]]との間に産まれた子という説もある)。ところが、ザグレウスは嫉妬に狂ったヘーラーが仕掛けた[[ティーターン]]族に襲われ、数々の動物に変身して闘うも'''[[ウシ|牛]]'''になったとき捕らえられ、八つ裂きにされ食われてしまった。[[アテーナー]]がその心臓を救い出し、ゼウスがこれを飲み込んだ。後に生まれたセメレーとの間の子の心臓は、本来ザグレウスのものであった。この神話はディオニューソスがかつて農耕神であったことを反映していると考えられる(死と再生の神)<ref group="私注"><これは[[ミーノータウロス]]の物語と対になる神話であると考える。[[ミーノータウロス]]は悪の相といえる存在だが、[[ザグレウス]]は善(無垢)相なのである。どちらの「死」と「生」にも[[アテーナー]]関連の女神が関係する。そして、ディオニューソスも[[ザグレウス]]も、いったん死んで再生された、中国神話で述べるところの「鬼」であることが分かる。植物神でもある。</ref>。
ティーターン族はゼウスの雷霆によって焼き払われ、その灰が今の人類になったという。この灰にはティーターンの肉とザグレウスの肉(喰らったため)が混ざり合っており、そのため、ディオニューソス的要素から発する霊魂が神性を有するにもかかわらず、 ティーターン的素質から発した肉体が霊魂を拘束することとなった。すなわち、人間の霊魂は「再生の輪廻(因果応報の車輪)」に縛られた人生へと繰り返し引き戻されるのである。この輪を脱するには、ディオニューソス的な神性を高める必要があったとされる。ティーターン的素質から発した肉体が霊魂を拘束することとなった。すなわち、人間の霊魂は「再生の輪廻(因果応報の車輪)」に縛られた人生へと繰り返し引き戻されるのである。'''この輪を脱するには、ディオニューソス的な神性を高める必要があった'''とされる。
== 信仰 ==
== 参考文献 ==
* Wikipedia:ディオニューソス
* [[アポロドーロス]]『[[ビブリオテーケー|ギリシア神話]]』[[高津春繁]]訳、岩波書店、1953年。ISBN 4-00-321101-4。
* [[エウリーピデース]]『[[バッカイ]]―バッコスに憑かれた女たち』[[逸身喜一郎]]訳、岩波書店、2013年。ISBN 978-4-00-321063-5。
== 関連項目 ==
* [[啓]]
* [[オイノトロポイ]]
* [[ノンノス]] - 『[[ディオニュソス譚]]』
* [[人身御供]]