創作物である「竹取物語」では女主人公は「月の都」に帰ることになっており、別れの手向けに、天皇に「不死の薬」を贈っている。すなわち、「竹取物語」の方が、民間伝承よりも「嫦娥的」な要素を含んでいる、といえる。おそらく、中国の伝承に詳しい者が、民間流布の「竹取説話」に嫦娥の伝説を取り入れて作り上げたものが「竹取物語」と思われる。
本来の「竹取説話」は、「小さ子」的な女神に親切にしてくれる翁夫妻に対する報恩譚に、女主人公が直接求婚者達に難題を出す「難題婿」の要素と、鶴女房的な「見るな」の禁忌譚の要素を組み込んだ物語だろうと思われる。本来の「竹取説話」は、「小さ子」的な女神に親切にしてくれる翁夫妻に対する報恩譚に、女主人公が直接求婚者達に難題を出す「難題婿」の要素と、鶴女房的な禁忌破りを伴った失踪譚の要素を組み込んだ物語だろうと思われる。平安時代の高貴な女性はめったに人前に姿を表すものではないので通常は見ることができないものだし、鶴女房のように人間のふりをしていたのかもしれない。しかし、天皇にその正体を見破られてしまった(天皇には直接会わないわけにいかない、正体(真名)を尋ねられれば答えないわけにいかない、からである)ので、鶴女房のように魔法が解けて、本来あるべき場所に戻らざるを得なかった、というのが本来の物語だったではないか、と考える。本来前半は難題婿の要素が含まれた「たまご姫」的物語、後半は「こびとのチュルリヴィルリ」的な物語だったと思われる。魔女の要素が欠けて、自分から失踪する「とくさむすめ」のようなもの。主人公の所業が気に入らなくて女主人公が失踪するモチーフは西欧の「ラ・ラメー」にもみられる。平安時代の高貴な女性はめったに人前に姿を表すものではないので通常は見ることができないものだし、鶴女房のように人間のふりをしていたのかもしれない。しかし、天皇にその正体を見破られてしまった(天皇には直接会わないわけにいかない、正体(真名)を尋ねられれば答えないわけにいかない、からである)ので、鶴女房のように魔法が解けて、本来あるべき場所に戻らざるを得なかった、というのが本来の物語だったではないか、と考える。本来前半は難題婿の要素が含まれた「たまご姫」的物語、後半は「こびとのチュルリヴィルリ」的な物語だったと思われる。魔女の要素が欠けて、自分から失踪する「とくさむすめ」のようなもの。禁忌破りの部分が消失して、主人公の所業が気に入らなくて女主人公が失踪するモチーフは西欧の「ラ・ラメー」にもみられる。
==== まとめ ====