日本の伝承で[[人身御供]]に関する物に「[[猿神退治]]」がある。『今昔物語集』巻26「美作國神依猟師謀止生贄語」のように、生贄を求める猿神(実は神と言うよりは猿の化物)が猟師と犬の組み合わせに倒される、というのがその粗筋で、猿神を倒すのは「猟師と犬」の組み合わせの場合、猟師のみの場合、犬のみの場合がある。猿神を倒して、人身御供になるはずだった娘と結婚する場合も多い。倒し方は生贄の身代わりになって猟師が人身御供の祭祀の場に入りこみ、猿神を捕らえるパターンが多い。羿の物語よりは、ギリシア神話の[[テーセウス]]の物語に非常に近い。
「猟師と犬」の組み合わせは羿の物語でも「羿が黒耳という犬を飼っていた」という形で登場する。この黒耳は中国の「[[天狗(中国)|天狗]]」へと変化していわゆる[[射日神話]]とか、[[人身御供]]に関する化け物退治から外れた独立した月に関する妖怪物語へと移行していく。犬は一番最初の「羿という英雄が太陽を射落とした」というシンプルな物語には登場していなかったが、日本の伝承にもギリシア神話にも「猟師(狩人)と犬」という組み合わせが出てくる。よって羿の「飼い犬」は羿の[[射日神話]]成立後、かなり早い時期に羿にまつわる存在として羿の[[射日神話]]に挿入され、それが各地に伝播したと考えられる。に挿入され、それが「猟師(狩人)と犬」の組み合わせパターンとして各地に伝播したと考えられる。
== 参考文献 ==