「猟師と犬」の組み合わせは羿の物語でも「羿が黒耳という犬を飼っていた」という形で登場する。この黒耳は中国の「[[天狗(中国)|天狗]]」へと変化していわゆる[[射日神話]]とか、[[人身御供]]に関する化け物退治から外れた独立した月に関する妖怪物語へと移行していく。犬は一番最初の「羿という英雄が太陽を射落とした」というシンプルな物語には登場していなかったが、日本の伝承にもギリシア神話にも「猟師(狩人)と犬」という組み合わせが出てくる。よって羿の「飼い犬」は羿の[[射日神話]]成立後、かなり早い時期に羿にまつわる存在として羿の[[射日神話]]に挿入され、それが「猟師(狩人)と犬」の組み合わせパターンとして各地に伝播したと考えられる。
日本の猿神退治譚を見ると、「猟師(狩人)と犬」は必ずしも必然のパターンではないことが分かる。それどころか早太郎の物語のように犬が単独で猟師と同等の活躍をするものがある。羿の物語に戻って、何故「犬」が羿の物語に挿入されたのかを考えた場合、日本の猿神退治と比較すると、そもそも「羿と犬は同じもの」であったのが二つに分けられたのではないか、という可能性がまずあるように思う。そのため2つに分けられても彼らは一体のように行動するのである。「羿と犬は同じもの」とはどういうことか。一つの可能性としては羿のトーテムが犬であったのではないか、ということである。「犬族の羿」が二つに分けられた結果、犬と羿とに分離して伝承の世界で活躍するようになる。
== 参考文献 ==