多満留姫
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概要
系譜
神社
- 多留姫神社:長野県茅野市玉川にある神社。祭神は多留姫神(多留の御前)。
伝承
- 椀貸伝説
- 多留姫が村人に膳椀を必要な分だけ貸してくれる、というもの。『長野県史』に紹介されているものを要約して以下に記す。
- むかし、働き者で仲むつまじい夫婦が子供を授かった。出産のお祝い事をしようとしたが、貧しかった彼らは客を迎え入れるだけの数の膳椀を持っていなかった。ある日のこと、土手で休んでいると夢の中に多留姫が現れ、紙に必要な膳椀の数を書いて滝壺に落とすよう告げた。夫婦二人とも同じ夢を見たので言うとおりにすると、翌朝には滝壺に膳椀が用意されていた。夫婦はお祝い事をすることができ、使った膳椀を洗って滝壺に返した。この話を聞いた怠け者が、同じような方法を試して膳椀を手に入れた。返すとき、一つくらいなら分からないだろうと思って全部を返さなかったため、以来多留姫は貸すことをやめてしまった[7]。
- このほか、貸した膳椀が壊されてしまったために貸さなくなった、という話もある[8]。
私的考察
椀貸伝説については台湾原住民のバルン神話が変化したものと考える。女神が入水する時に家族に渡した形見の品の中に「水瓶」といった器が見える。形見の品だった「器」が貸し出される椀類に変化したのだろう。「貸し出された椀を返さなかった」というくだりに「禁忌の女神」の性質の片鱗が見えるように思う。「借りたものを返さなければならない(盗んではならない)」というのは禁忌というよりは一般的な常識だと思うが、本伝承では禁忌的な作用をもたらし、禁忌を破ると女神の恩恵は受けられなくなる。
縄文系の
参考文献
関連項目
脚注
- ↑ 「神社紹介、諏訪支部洩矢神社」『長野県神社庁公式ホームページ』
- ↑ 「神長守矢氏系譜」『諏訪史料叢書.巻28』諏訪教育会、昭和11年、31頁。
- ↑ 延川和彦「修補諏訪氏系図」『諏訪氏系図.続編』飯田好太郎、大正10年、19頁。
- ↑ 「神長守矢氏系譜」『諏訪史料叢書.巻28』諏訪教育会、昭和11年、34頁。
- ↑ 守矢実久「健御名方命御系圖」『諏訪神社略縁起』中村甚之助、明治53年、10頁。
- ↑ 「神長守矢氏系譜」『諏訪史料叢書.巻28』諏訪教育会、昭和11年、33、34頁。
- ↑ 『長野県史 民俗編 第二巻(三) 南信地方 ことばと伝承』589 - 591ページ。
- ↑ 8.0 8.1 『茅野市史 下巻 近現代 民俗』1069 - 1070ページ。
- ↑ 『日本歴史地名大系 第20巻 長野県の地名』346 - 347ページ。