「総論・女神」の版間の差分

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神話や伝承によっては、それぞれの性質が入り交じり、区別しがたい場合がある。また姉と妹が入れ替わっていたり、母娘、姉妹ではなく、別々の女性として描かれることもある。三女神が完全に一体化している典型的な例としては、朝鮮の伝承の'''[[三神婆]]'''と考える。
 
神話や伝承によっては、それぞれの性質が入り交じり、区別しがたい場合がある。また姉と妹が入れ替わっていたり、母娘、姉妹ではなく、別々の女性として描かれることもある。三女神が完全に一体化している典型的な例としては、朝鮮の伝承の'''[[三神婆]]'''と考える。
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== 三女神の総合神話 ==
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理解しやすくするために、[[豊玉毘売]]の例を挙げる。
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<blockquote>[[豊玉毘売]]はワニの女神だったので、「出産時には本来の姿に戻るため姿を見ないで欲しい。」と夫に言う。しかし、夫は'''火を灯して'''こっそり見てしまう。[[豊玉毘売]]は子供を生むと、'''子供を捨てて'''、'''スタスタと故郷の海に逃げ帰る'''。彼女が'''死ぬという設定はない'''。</blockquote>
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* '''燃やされた女神''':火を灯して見られた点。生まれた子供を捨てる点。
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* '''吊された女神''':実家にさっさと逃げ帰る点。
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* '''養母としての女神''':死ぬという設定はないという点。
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となる。この神話は三女神の特徴をよくまとめたものと考える。
  
 
== 女神対応表 ==
 
== 女神対応表 ==
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     <caption>母娘女神対比表</caption>
 
     <caption>母娘女神対比表</caption>
 
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         <th>母女神([[燃やされた女神]])</th><th>父神</th><th>子神([[吊された女神]]・姉娘)([[養母としての女神|厄払い女神]]・妹娘)</th><th>息子神兼子神1の夫神・疫神</th><th>子神1の子神</th><th>備考</th>
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         <th>母女神([[燃やされた女神]])</th><th>父神</th><th>姉娘神([[吊された女神]])・妹娘神([[養母としての女神|厄払い女神]]・)</th><th>息子神・娘神の夫神・疫神</th><th>娘神の子神</th><th>備考</th>
 
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         <td></td><td></td><td>保食神・姉娘</td><td>月読命</td><td></td><td>記紀神話</td>
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         <td></td><td></td><td>大宜都比売・姉娘</td><td>須佐之男命</td><td></td><td>記紀神話</td>
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         <td></td><td>[[八岐大蛇]]</td><td>櫛名田比売・姉娘</td><td>[[須佐之男命]]</td><td></td><td></td>
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         <td>手名椎</td><td>'''足'''名椎</td><td>櫛名田比売・姉娘</td><td>[[須佐之男命]]</td><td></td><td></td>
 
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         <td>手名椎</td><td>'''足'''名椎</td><td>肥長姫・妹娘</td><td>'''[[誉津別命]]'''</td><td></td><td></td>
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         <td></td><td>([[八岐大蛇]])</td><td>肥長姫・妹娘</td><td>'''[[誉津別命]]'''</td><td></td><td></td>
 
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2024年11月28日 (木) 14:10時点における最新版

各地の女神の神話や伝承をみるに、彼女たちには3つの大きな機能があるように思う。

神話や伝承によっては、それぞれの性質が入り交じり、区別しがたい場合がある。また姉と妹が入れ替わっていたり、母娘、姉妹ではなく、別々の女性として描かれることもある。三女神が完全に一体化している典型的な例としては、朝鮮の伝承の三神婆と考える。

三女神の総合神話[編集]

理解しやすくするために、豊玉毘売の例を挙げる。

豊玉毘売はワニの女神だったので、「出産時には本来の姿に戻るため姿を見ないで欲しい。」と夫に言う。しかし、夫は火を灯してこっそり見てしまう。豊玉毘売は子供を生むと、子供を捨ててスタスタと故郷の海に逃げ帰る。彼女が死ぬという設定はない

  • 燃やされた女神:火を灯して見られた点。生まれた子供を捨てる点。
  • 吊された女神:実家にさっさと逃げ帰る点。
  • 養母としての女神:死ぬという設定はないという点。

となる。この神話は三女神の特徴をよくまとめたものと考える。

女神対応表[編集]

日本の神話・伝承を中心に対応表を挙げる。

                                                                                                                          
母娘女神対比表
母女神(燃やされた女神父神姉娘神(吊された女神)・妹娘神(厄払い女神・)息子神・娘神の夫神・疫神娘神の子神備考
三神婆(三女神の機能をまとめた女神)天然痘大王朝鮮神話との対比
太陽(娘女神の機能をまとめた女神)朝鮮神話との対比
保食神・姉娘月読命記紀神話
大宜都比売・姉娘須佐之男命記紀神話
天甕津日女命・母大国主命(伊農)天甕津日女命・娘阿遅鉏高日子根神子神1と2は兄妹といえる
多紀理毘売命(市杵嶋姫)大国主命下照比売・姉娘阿遅鉏高日子根神一般的な系譜
下照比売・母天若日子阿遅鉏高日子根神管理人の予想
下照比売・母(出雲系)洲羽若彦命伊豆玉姫命武彦根命管理人の予想・諏訪大社上社
八須良姫命速瓢神(出早雄命)・犬神彦神別神管理人の予想・諏訪大社下社旧
早太郎日本の犬神
槃瓠中国神話の犬神
八須良姫命(尾張系)八須良雄命彦神別神管理人の予想・諏訪大社下社
八坂刀売(安曇系)健御名方命(出雲系)会津比売命(建五百建命・多氏)現在の諏訪大社関連
綿津見神(安曇系)豊玉姫・姉娘(安曇系)(彦火火出見尊・皇族)鸕鶿草葺不合尊記紀神話
綿津見神(安曇系)玉依姫・妹娘(安曇系)(鸕鶿草葺不合尊・皇族)彦火火出見尊記紀神話
綿津見神(安曇系)豊玉姫・梓川水神・姉娘(安曇系)穂高見命(ひたかの大明神)(安曇系)日光太郎沙田神社風?
綿津見神(安曇系)八坂刀売・妹娘(安曇系)健御名方命(出雲系)彦神別神沙田神社風?
神八井耳命(皇族)(会津比売命)建五百建命・多氏現在の諏訪大社関連
宮簀媛(尾張系)出雲建雄(出雲系)石上神宮風
宮簀媛(尾張系)日本武尊(皇族)熱田神宮風
天甕津日女命・姉娘阿遅鉏高日子根神瀧津彦命
天甕津日女命・姉娘須佐之男命大年神愛知県伊奴神社的
神大市比売須佐之男命大年神一般的な系譜
八上比売大国主命木俣神一般的な系譜
須佐之男命・五十猛神一般的な系譜的
玉依日売火雷命可茂別雷命賀茂氏祖神
ヒョウタン雷公バロンダロンバロン・ダロン神話との比較
天照大御神・母建御雷神近戸皇大神社風
伊邪那美命伊邪那岐命天照大御神・妹娘須佐之男命記紀神話
伊邪那美命伊邪那岐命稚日女尊・姉娘須佐之男命記紀神話的
天照大御神・母天之手力男神記紀神話
ヒョウタンアペ・コペンバロンダロン伏羲女媧型神話との対比
嫦娥(姉娘)・西王母(妹娘)的羿逢蒙黒耳羿神話との対比
西王母的妻譚華丹甘基王ヤオ族の羿的神話との対比
相柳共工祝融祝融神話との対比
伊邪那美命伊邪那岐命火之夜藝速男神
手名椎名椎櫛名田比売・姉娘須佐之男命
八岐大蛇肥長姫・妹娘誉津別命
西王母・妹娘的黄帝祝融蚩尤炎帝饕餮炎黄闘争との比較
北斗女神の象徴犬・鶏などの神時に狼など

のようになる。この表は、管理人なりに出雲神話、記紀神話、諏訪大社などの祭神を検討してまとめてみた。出雲神話では、須佐之男命は大国主命よりも古い世代の神のように描かれるが、疫神であり、阿遅鉏高日子根神と似た性質であること。中国の神話では疫神は黄帝の「子神」の位置にくることなどから、本来は須佐之男命が大国主命の子神の位置に来る方が正しい神話の形式に思えるので、このようにしてみた。また、一つの女神に、複数の女神の性質が混在している点については、天甕津日女命のみでなく、下光比売命伊邪那美命天照大御神、八坂刀売などにも、そのような傾向があるように思う。

関連項目[編集]

参照他[編集]

  • Wikipedia:各神対応項目