猿神には'''太陽神'''としての側面もあるが、「日吉」の表記が太陽に通じ、サルが日の出とともに騒ぎ出す性質があるために、サルと太陽が関連づけられたとする説が唱えられ<ref name="中村" />、サルに太陽を抑える役目が与えられたものといわれる<ref>多田克己, 多田克己, 幻想世界の住人たち, volumeIV, 1990, 新紀元社, Truth In Fantasy, isbn:978-4-915146-44-2, page83</ref>。しかし人々の多くが農耕生活から離れ、日の出と日の入りを生活基盤とする習慣も少なくなるにつれ、太陽神としての猿神の性格は薄れていったようである<ref name="中村" /><ref group="私注">この説は個人的には賛成しかねる。</ref>。
== 妖怪の猿神 一般的な猿神 ==[[中世#日本|中世]]の日本の[[説話]]集『[[今昔物語集]]』『[[宇治拾遺物語]]』などには、猿神は人間に害を為す[[妖怪]]として登場しており、中でも『今昔物語集』巻26「美作國神依猟師謀止生贄語」がよく知られている。中世の日本の説話集『今昔物語集』『宇治拾遺物語』などには、猿神は人間に害を為す存在として登場しており、中でも『今昔物語集』巻26「美作國神依猟師謀止生贄語」がよく知られている。 {{Indent|[[美作国]](現・[[<blockquote>美作国(現・'''岡山県]])の中山の神である大ザルは年に一度、人間たちに女性の生贄を求めていた。ある年に中山近くの少女が生贄に指定され、家族が嘆いていると、そこへ訪れた若い猟師が事情を聞き、少女の身代りとなってサル退治の訓練を施した犬とともに櫃に入り、生贄に差し出された。やがて身長7''')の中山の神である大ザルは年に一度、人間たちに'''女性'''の生贄を求めていた。ある年に中山近くの少女が生贄に指定され、家族が嘆いていると、そこへ訪れた若い猟師が事情を聞き、少女の身代りとなってサル退治の訓練を施した犬とともに櫃に入り、生贄に差し出された。やがて身長7,8尺(約2メートル以上)の大ザルが100匹ほどのサルを引き連れて現れたので、猟師は櫃から飛び出してサルたちを次々に倒した。残るは大ザルのみとなったが、1人の宮司に猿神が憑き、二度と生贄を求めないとして許しを請うたので、猟師は大ザルを逃がした。以来、生贄が求められることはなくなったという<ref>{{Cite book|和書|author=著者不詳|editor=, 佐竹昭広他|editor-link=, 佐竹昭広|others=[[森正人 (国文学者)|森正人]]校中|title=[[, 森正人校中, 今昔物語集]]|year=, 1996|publisher=[[, 岩波書店]]|series=[[日本古典文学大系#, 新日本古典文学大系|, 新日本古典文学大系]]|volume=5|, volume5, isbn=:978-4-00-240037-2, |pages=28pages28-33}}</ref>。}}</blockquote>
動物神としての性格を失った後の猿神は、人間から軽侮される傾向にあり、それをよく表す話に[[室町時代]]の[[御伽草子]]『藤袋の草子』がある<ref name="中村" />。