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408 バイト追加 、 2022年9月16日 (金) 00:11
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<blockquote>美作国(現・'''岡山県''')の中山の神である大ザルは年に一度、人間たちに'''女性'''の生贄を求めていた。ある年に中山近くの少女が生贄に指定され、家族が嘆いていると、そこへ訪れた若い猟師が事情を聞き、少女の身代りとなってサル退治の訓練を施した犬とともに櫃に入り、生贄に差し出された。やがて身長7,8尺(約2メートル以上)の大ザルが100匹ほどのサルを引き連れて現れたので、猟師は櫃から飛び出してサルたちを次々に倒した。残るは大ザルのみとなったが、1人の宮司に猿神が憑き、二度と生贄を求めないとして許しを請うたので、猟師は大ザルを逃がした。以来、生贄が求められることはなくなったという<ref>著者不詳, 佐竹昭広他, 佐竹昭広, 森正人校中, 今昔物語集, 1996, 岩波書店, 新日本古典文学大系, 新日本古典文学大系, volume5, isbn:978-4-00-240037-2, |pages28-33</ref>。</blockquote>
動物神としての性格を失った後の猿神は、人間から軽侮される傾向にあり、それをよく表す話に[[室町時代]]の[[御伽草子]]『藤袋の草子』がある神としての性格を失った後の猿神は、人間から軽侮される傾向にあり、それをよく表す話に室町時代の御伽草子『藤袋の草子』がある<ref name="中村" />。{{Indent|[[近江国]](現・[[滋賀県]])で老人が畑を耕しつつ「サルでもいいから、仕事を手伝ってくれた者を自分の婿にしよう」と呟くと、大ザルが現れて畑仕事を手伝い、約束を守るよう念を押して立ち去った。翌日、大ザルは老人の娘を奪って山へ連れて行った。大ザルが娘を藤袋に閉じ込め、その場を離れた隙に、老人に助けを求められた貴族が娘を救い、代わりに袋に犬を入れておいた。そうと知らずに戻って来た大ザルは、犬に噛み殺されてしまった<blockquote>近江国(現・滋賀県)で老人が畑を耕しつつ「サルでもいいから、仕事を手伝ってくれた者を自分の婿にしよう」と呟くと、大ザルが現れて畑仕事を手伝い、約束を守るよう念を押して立ち去った。翌日、大ザルは老人の娘を奪って山へ連れて行った。大ザルが娘を藤袋に閉じ込め、その場を離れた隙に、老人に助けを求められた貴族が娘を救い、代わりに袋に犬を入れておいた。そうと知らずに戻って来た大ザルは、犬に噛み殺されてしまった<ref>{{Cite book|和書|author=高島正恵|title=, 日本童話集 面白い話の巻|year=, 1952|publisher=, 潮文閣|pages=59, pages59-63}}</ref><ref group="私注">いわゆる「猿婿」の話だが、これは猿神に「妻」と称して若い娘を人身御供に捧げた祭祀が民間伝承化したものといえる。</ref>。}}</blockquote> これらの他にも日本各地に猿神退治の伝説があるが、内容は同様に、サルが人間の女性を生贄を求め、通りすがりの猟師や僧侶が身代りとなって退治するというものである<ref name="村上">{{Harvnb|村上|, 2005|p=157}}, p157</ref>。これらの説話は、同様に生贄を求めた末に退治されたという[[ヤマタノオロチ]]の神話を彷彿させるが、『今昔物語集』の猿神もヤマタノオロチも、神と巫女との結婚儀礼をもとにして生まれたものと考えられている。これらの説話は、同様に生贄を求めた末に退治されたというヤマタノオロチの神話を彷彿させるが、『今昔物語集』の猿神もヤマタノオロチも、神と巫女との結婚儀礼をもとにして生まれたものと考えられている<ref name="中村" />。また、これらのように猿神退治の説話には必ずといって良いほど犬が登場することも特徴である。退治話の犬に固有の名前がついていることも多く、[[長野県]]の[[光前寺]]に伝わる霊犬・[[光前寺#早太郎|早太郎]]も[[狒々]]退治の伝説として知られている<ref group="私注">「結婚儀礼」とは人身御供のことに他ならない。</ref>。また、これらのように猿神退治の説話には必ずといって良いほど犬が登場することも特徴である。退治話の犬に固有の名前がついていることも多く、長野県の光前寺に伝わる霊犬・早太郎も狒々退治の伝説として知られている<ref name="村上" /><ref group="私注">これは'''炎黄闘争'''の崩れた話であって、犬は「黄帝が動物をならすことに長けていた」という伝承や、黄帝のトーテムに関係するものと思われる。</ref>。
[[享保]]時代の怪談集『太平百物語』では、猿神退治の説話が怪談風に脚色されている。

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