天羽々矢
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天羽々矢(あめのはばや)は、記紀神話に現れる矢。天若日子(あめのわかひこ)が持っていた弓矢(矢)で、天之波波矢(あめのははや)、天之加久矢(あめのかくや)、天真鹿児矢(あめのまかごや)、とも表記される。
高皇産霊神(たかみむすひのかみ)が、天若日子を葦原中国(あしはらのなかつくに)に下す際に、天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)と共に天若日子に与えた(詳しい経緯は葦原中国平定を参照)[1]。
東征に臨む神武天皇に対し、長髄彦(ながすねひこ)は饒速日命(にぎはやひのみこと)が所持する天羽々矢を示し、自分が天津神に仕えていることを証明するが、饒速日命の手によって殺害される。
私的考察[編集]
弓矢とは武器のことなので、天若日子を始めとした「降臨してきた神々」は葦原中国を武力で攻め取るため、すなわち「戦乱を起こすため」に降臨してきた、といえる。中国では天狗が降臨してくると戦乱が起きる、との伝承があり(天犬を参照のこと)、「降臨してきた神々」の大部分は人型ではあるけれども、天狗の一種、すなわち彗星や流星といえるのではないだろうか。天羽々矢とはそこから放たれる「禍の光」とか「禍の火」といえるもの、それに当たると死に至ったりするもの、を矢として具象化したものではないだろうか。名称に「羽」がつくので、天に住むと考えられていた高皇産霊神に属するなにがしかの霊鳥の羽で作った矢、だと考えられていたのかもしれない。
関連項目[編集]
- 鳴女:天羽々矢で射殺される天の神の使いの雉。
- 天佐具売
参照[編集]
- ↑ 竹田恒泰『現代語古事記 ポケット版』学研プラス、2016年。ISBN 978-4-05-406454-6