メヘト-ウェレット
古王国時代(紀元前2686年頃 - 2185年前後)
ドイツ語版wikipedia:Mehet-weretMehet-Weret
中王国時代(紀元前2040年頃 - 782年頃)
ドイツ語版wikipedia:Mehet-weretよりMehet-Weret
新王国時代(紀元前1570年頃 - 1070年頃)
ドイツ語版wikipedia:Mehet-weretよりMehet-Weret
ヘレニズム時代(紀元前300年頃 - 0年頃)
ドイツ語版wikipedia:Mehet-weretより
メヘト-ウェレット (mḥ.t-wr.t)は古代エジプト神話における天空の女神である。その名前は「偉大なる洪水」を意味する[2]。
この女神の名はピラミッド・テキストに登場する。古代エジプトの創造神話では、この女神は時の始めに太陽を産み出したとされ、図像では角の間に太陽円盤を抱いた牝牛として現される。またネイト、ハトホル、イシスといった似たような性質を持つ女神達と関連付けられており、これらの女神達は「ラーの目」と呼ばれる点でも一致していた。[3]
私的解説
Mehet-Weret
ヘレニズム時代(紀元前300年頃 - 0年頃)
ドイツ語版wikipedia:Mehet-weretより新王国時代(紀元前1570年頃 - 1070年頃)
ドイツ語版wikipedia:Mehitより
古代エジプトにおいて第1王朝(紀元前3100年頃~前2890年頃?)の頃から信仰されていたネイト女神は、軍神、水神、母神、機織りの女神(人の運命の機を織る女神)等、様々な性質を併せ持った女神であり、そのトーテム獣も蛇、魚、ワニ、牝牛、獅子等多彩であった。メヘト-ウェレットはナイル川の増水を神格化した神と思われる。ナイル川の増水がエジプトに恵みをもたらすものと考えられると同時に、神話的には「全てを産み出す原始の水」とも考えられていたと思われる。このように「原始の水」を含む水神であり、かつ牝牛の姿で現されることから、メヘト-ウェレットとネイト女神は同じ性質を併せ持つことになり、元は「同じ女神」であったのではないかと思われる。
一方、上エジプトで主に信仰されていたメヒト女神はメヘト-ウエレットの「メヘト」とほぼ同じヒエログリフで現され、かつその部分を構成する子音が一致するため、名前の上からはメヘトはメヒト女神と同じ神であるといえる。メヒトもネイト女神と同様、獅子頭で現される女神であり、かつ「ラーの目」と呼ばれる点でも一致している。おそらく、エジプト全土にわたって重要なメヘト-ウェレット、上エジプトのメヒト、下エジプトのネイト女神は本来「同じ神」であったのであろう。
関連項目
参照
- ↑ ツタンカーメン(紀元前1342年頃~前1324年頃)はエジプト第18王朝のファラオである。
- ↑ 前半のメヘトが「洪水」、後半のウェレットが「偉大なる」という意味であろう。
- ↑ リチャード・H・ウィルソン(Wilkinson, Richard H)、(2003)、「古代エジプトの神々大全(The Complete Gods and Goddesses of Ancient Egypt)」、Thames & Hudson. p. 174