M神列伝3:ヒエログリフ

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本項ではジャッカル頭で現される神について考察を行う。

ケンティ・アメンチュ(Khenti-Amentiu)のヒエログリフ

ケンティ・アメンチュとは、その名がオシリスやアヌビスの副え名として使われた神である。その名前は「西方人の長」あるいは「西方人の王」を意味する。この場合の「西方人」とは「死者」という意味で使われている。
この神は初期王朝時代(紀元前3100年頃 - 2686年頃)から存在し、神エジプトのアドビスで、死者の町を守る神として、ジャッカル頭の姿で現されていた。
ケンティ・アメンチュのヒエログリフは以下の通りである。どうやらこの神の名は、子音を省略した形で書くことが多いようで、「ジャッカル」を示すヒエログリフと、「カノプス壷」[1]、「月」を意味するヒエログリフから構成されている。意味するところは、「内臓をむさぼり食うジャッカル」が、「内臓の神」へと変化したものであろうか。その属するところは「月」と考えられていたようである。

発音ではなく、「月」を意味するヒエログリフが多用されているように感じる。そこから、山のヒエログリフと、マアトの羽が付いた止まり木的なヒエログリフが、いずれも「月」を意味することが分かる。

アヌビス(Anubis)のヒエログリフ

アヌビス神

ジャッカル頭の神といえば、ミイラ作りの神アヌビスであるので、こちらのヒエログリフも併せて検討したい。アヌビスはミイラ作りに使われるタールの色を反映して黒い色で現される。死者の肉を求めて墓場を彷徨うのがジャッカルであるため、「死者をむさぼり喰って、死者と一体となった神」とみなされたのであろう。
また、アヌビスは「オシリスが冥界アアルの王となる以前の冥界を支配、管理していた」と考えられており、古代エジプトには複数の「冥界」の概念が存在し、それらがやがて習合して纏められていった歴史があることが示唆されている。アヌビスのヒエログリフは以下の通りである。
アヌビスもまたヒエログリフが示す子音と、実際の発音が乖離している神である。そして、やはり構成しているヒエログリフには「月」を意味する言葉が多いと感じる。
興味深いことだが、アヌビスをヒエログリフの通りに読むと「インプ」と読める。西洋には「インプ」と呼ばれる小型の妖精がおり、全身が黒くて、農業の豊穣に関わるものと考えられていた。これはおそらくアヌビスと「農業の豊穣をもたらす月神」の性質が習合して、民間伝承化したものであろう。

まとめ

本項において、「月」を意味するヒエログリフは以下の通りである。

参照

  1. 「カノプス壷」はミイラの臓器を保存する壷と考えられている。

外部リンク

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