== 文芸作品 ==
室町時代には[[能楽]]の題材となった。安土桃山時代以降には『まつらさよひめ』の物語が成立し、複数の異本(写本・奈良絵本形式・活字本)が現存するほか、「さよひめ」を題材とした[[説経節]]や、[[浄瑠璃]]も著作された室町時代には能楽の題材となった。安土桃山時代以降には『まつらさよひめ』の物語が成立し、複数の異本(写本・奈良絵本形式・活字本)が現存するほか、「さよひめ」を題材とした説経節や、浄瑠璃も著作された<ref name=yokoyama/>{{sfnp|<ref>阪口|, 1982|pp=161–162}}, p61–162</ref>。
=== 能 ===
[[世阿弥]]作の能に、佐用姫伝説に取材した謡曲〈松浦佐用姫〉がある。書写の世阿弥自筆の「松浦之能」と題する稿本([[応永]]34年/[[1427年]]10月)が残っており<ref name=kuroda/>、能楽の演目として「{{読み仮名|松浦鏡|まつらのかがみ}}」の題名で伝えられ台本と文面がわずかに異なる程度で同作品とされる<ref>[[山田孝雄]] (1928)「観世左近氏蔵松浦之能解説」 ({{harvp|世阿弥|1928}}、古典保存会版)</ref>。永らく上演されない廃曲となっていたが、[[2000年]]に26世観世宗家・[[観世清和]]によって[[観世流]]の正式の演目に加えられた。世阿弥作の能に、佐用姫伝説に取材した謡曲〈松浦佐用姫〉がある。
謡曲では姫が小舟で沖に出て、鏡を抱いて投身自殺をはかるが{{sfnp|<ref>金京欄|, 1998|p=24}}, p24</ref><ref name=koyama/>、この自殺は世阿弥が(『風土記』で鏡を落としたとある箇所を)脚色したのではなく、世阿弥以前に『和歌童蒙抄』(前述)や[[由阿]]『詞林采葉抄』にみられた記述である{{sfnp|、この自殺は世阿弥が(『風土記』で鏡を落としたとある箇所を)脚色したのではなく、世阿弥以前に『和歌童蒙抄』(前述)や由阿『詞林采葉抄』にみられた記述である<ref>金井|, 1977|p=306}}。, p306。
=== 物語 ===
====諸本====
『まつらさよひめ』の物語([[御伽草子]])の異本はしめて7本で、うち内容の充実した2本が「広本系」に分けられる;すなわち赤木文庫版「'''さよひめのさうし'''」の古写本(挿絵なし、[[慶長]]ごろ成立、16世紀末 - 17世紀初頭)と、奈良絵本版「さよひめ」(京都大学蔵)である{{sfnp|Sakaguchi|1982|p=161}}{{sfnp|Kimbrough|2013|pp=261–262, 190}}。 残りの異本は「略本系」に分類されるが、「'''壺坂物語'''」や「'''ちくふしまのほんし'''」([[竹生島]]の[[本地垂迹|本地]])などの異なる題名が与えられている{{sfnp|Sakaguchi|1982|p=161}}{{efn2|竹生の弁財天の本地については後述。}}。 奈良絵本版「さよひめ」の稿本と極めて文章が近く、これをもとに翻案されたとみなされるのが、[[説教節]]「'''まつら長じや'''」(松浦長者。[[寛文]]元年/1661年成立)である{{sfnp|Sakaguchi|1982|p=161}}{{efn2|この上方板(京都の山本九兵衛版)のほかに、年代のくだる江戸板の説教「'''まつら長者'''」(宝永元年/1704年ごろ成立)がある{{sfnp|Sakaguchi|1982|p=161}}。}}。『まつらさよひめ』の物語(御伽草子)の異本はしめて7本である。
====内容====
「さよひめ」は、開幕の舞台を[[大和国]]の壺坂に移し、そこに住む「松浦長者」こと京極殿が夫婦して[[長谷寺]]の観音に祈願し、一女さよ姫をもうける。しかし長者の死後に一家はおちぶれ、父の供養の費用を工面するため、さよひめは自ら奥州の「ごんがの大夫」に身売りするという、孝女譚となる。ところが大夫は自分の娘が蛇神の[[生贄]]に捧げられる身代わりにとさよ姫を買い受けたのであった。しかしこれに甘んじた姫が[[法華経]]を唱えると蛇は元の美女の姿に戻り、姫は生贄となることなく無事に返される{{sfnp|「さよひめ」は、開幕の舞台を大和国の壺坂に移し、そこに住む「松浦長者」こと京極殿が夫婦して長谷寺の観音に祈願し、一女さよ姫をもうける。しかし長者の死後に一家はおちぶれ、父の供養の費用を工面するため、さよひめは自ら奥州の「ごんがの大夫」に身売りするという、孝女譚となる。ところが大夫は自分の娘が蛇神の生贄に捧げられる身代わりにとさよ姫を買い受けたのであった。しかしこれに甘んじた姫が法華経を唱えると蛇は元の美女の姿に戻り、姫は生贄となることなく無事に返される<ref>小林|, 2006|pp=52–69}}, p52–69</ref>。
「さよひめ」はまた、近江国竹生島に弁財天が祀られることとなった縁起を語る「[[本地垂迹|本地]]もの」の側面も兼ね備えている{{sfnp|「さよひめ」はまた、近江国竹生島に弁財天が祀られることとなった縁起を語る「本地もの」の側面も兼ね備えている<ref>小林|, 2006|pp=52, p52, 77, 83}}</ref>。
=== 浄瑠璃 ===
[[奥浄瑠璃]]では、「竹生島の本地」、「薬師如来本地松浦佐夜姫誕生記」、「松浦佐夜姫一代記」などの題名で翻案されている{{sfnp|奥浄瑠璃では、「竹生島の本地」、「薬師如来本地松浦佐夜姫誕生記」、「松浦佐夜姫一代記」などの題名で翻案されている<ref>阪口|, 1982|p=162}}, p162</ref>。
=== 戯作 ===
石化伝説は、[[曲亭馬琴|馬琴]]の[[読本]]「松浦佐用媛石魂録」の題材にもされている{{sfnp|石化伝説は、馬琴の読本「松浦佐用媛石魂録」の題材にもされている<ref>佐藤|, 1966|p=39}}, p39</ref>。
== 類話・モチーフ ==
== 地域伝承 ==
[[画像:Sagalibdb H21-006-19.png|thumb|350px|right|鏡山から跳び降りた際に足をついたとされる『佐世姫岩』の絵はがき 佐賀県立図書館所蔵]]
各地の地名などに伝説が残る。
* [[松浦宮物語]] - 松浦宮([[鏡山 (佐賀県)|鏡山]]の鏡神社)を読み込んだ作中歌が書名の由来とされる。これは唐土に渡った息子を待つ歌であり、異国に赴く夫を悲しむ佐用姫のイメージと重なる。
== 注釈 ==
{{notelist2}}
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== 出典 ==
;脚注
<ref name=yoshida>{{citation|和書|last=吉田 |first=修作 |author-link=吉田修作 |title=伝承の〈筑紫をとめ〉-松浦佐用姫伝承- |journal=福岡女学院大学紀要 |volume=2 |date=1992 |url=https://books.google.com/books?id=pgAZAQAAMAAJ&q=姫神島 |page=77<!--63–-->}}; {{citation|和書|last=吉田 |first=修作 |author-link=吉田修作 |title=文芸伝承論: 伝承の「をとこ」と「をとめ」 |location= |publisher=おうふう |date=1998 |url=https://books.google.com/books?id=2lE0AQAAIAAJ&q=姫神島 |page=242 |isbn=<!--4273030381, -->9784273030384}}</ref>
}}
;参照文献
[[Category:日本神話]]
[[Category:吊された女神]]
[[Category:日本神話]]
[[Category:準洪水神話]]