「サラアツ」の版間の差分

提供: Bellis Wiki3
ナビゲーションに移動 検索に移動
25行目: 25行目:
 
<blockquote>昔、三条天皇が皇太子でいらっしゃた頃、帯刀の陣に干した魚を細かく切ったものを売りに来る女がいた。なかなか美味だったので、頻繁に購入していた。ある日、帯刀たちが北野で鷹狩りをして遊んでいると、女が鞭と蔀を持っているところに出会った。女が逃げ腰になるので調べたところ、女は'''鞭'''で藪を叩いてヘビを追い出し、ヘビを捕まえて調理し魚肉といって売っていたことが判明した。正体が判明しない魚の切り身をうかつに買って食べてはいけない、とこれを聞いた人々は言い合ったそうだ。</blockquote>
 
<blockquote>昔、三条天皇が皇太子でいらっしゃた頃、帯刀の陣に干した魚を細かく切ったものを売りに来る女がいた。なかなか美味だったので、頻繁に購入していた。ある日、帯刀たちが北野で鷹狩りをして遊んでいると、女が鞭と蔀を持っているところに出会った。女が逃げ腰になるので調べたところ、女は'''鞭'''で藪を叩いてヘビを追い出し、ヘビを捕まえて調理し魚肉といって売っていたことが判明した。正体が判明しない魚の切り身をうかつに買って食べてはいけない、とこれを聞いた人々は言い合ったそうだ。</blockquote>
  
* '''私的解説'''<br/>日本の[[クマ|熊]]トーテム兼[[サソリ]]トーテムの女神は「'''鞭'''」をアイテムとする場合がある。これは「サソリの毒針」を置き換えたものだろう。日本人はマムシを酒に漬けて飲んだりするので、現代の感覚では「ヘビを食べる」ことはそれほど気味の悪い感がないのだが、ただ頻繁に食べるものではないことも確かである。(個人的にはヘビを食べたことはない。でも、そのような話は、特に子供の頃は身近なこととして頻繁に耳にしていた。)
+
* '''私的解説'''<br/>日本の[[クマ|熊]]トーテム兼[[サソリ]]トーテムの女神は「'''鞭'''」をアイテムとする場合がある。これは「サソリの毒針」を置き換えたものだろう。日本人はマムシを酒に漬けて飲んだりするので、現代の感覚では「ヘビを食べる」ことはそれほど気味の悪い感がないのだが、ただ頻繁に食べるものではないことも確かである。(個人的にはヘビを食べたことはない。でもそのような話は、特に子供の頃は身近なこととして頻繁に耳にしていた。)
  
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==

2026年2月26日 (木) 12:50時点における版

サラアツとは台湾原住民のパイワン族チャオボオボル社の伝説上の女性頭目である[1]。やや巨人的な性質を持つ女神である。

特徴

  • 石の団扇を持っていた。団扇には人や豚などが彫刻されていた。
  • 地震の起源。土地はサラアツが藤と葛で作った綱でしばりつけたもので、綱が腐っていないか確認するために確認したり、取り替えようとする際に地震が起きるのだという。
  • ヘビを食べる。パイワン族は毒蛇をトーテムと考えて食さないが、サラアツはヘビを好んでヘビばかり食べていたという。その習慣を人々は恐れ、サラアツのところで食事するのを逃げて避けた。
  • 3本の矛を武器として持つ。二本は男性で、一本は女性である。これらの矛は戦闘時に自動で戦う。
  • ケヤキで作った大きな杖を持つ。

私的考察

国際的な広い範囲で考えて、この女神の名の子音から、この系統の女神は

  • サソリの女神:セルケトなど
  • 非業の死を遂げる女神:サティ、スドゥ(ニンリル)など
  • 養母的な強力な女神:カフカスのサタナなど
  • 男性形に転換:サートゥルヌス、セトなど

の主に4系統に分かれ、その性質には互いに交錯する部分かある。私が考える「吊された女神」が本来の姿であって、禁忌を破ったり、若くして非業の死を遂げる性質が、それに相当する。ただし「養母としての女神」と強力に習合する傾向があり、その場合は守護の女神としてのセルケトや、英雄の養母であるサタナが相当する。台湾のサラアツは強力な女頭目だが、禁忌を破るという不吉な性質がある。カフカスのサタナも影響力の強い能力を持っているが、常に善良なだけであるとは限らない性質を併せ持つ。サソリの女神としては、古代エジプトでは「良き女神」だが、中国の伝承でサソリ精といえば、「悪しき魔女」のような悪霊である。サラアツは非常に幅の広い性質を持つ女神群の一つの起源としての女神といえるのではないだろうか。

台湾の伝承には、パイワン族の一部に「チモ族」という食人の習慣があった、という部族が登場する。ヘビトーテムの人がヘビを食べるのは人肉食を行ったのと同じ意味を持つので、サラアツはチモ族に関連する女頭目ではないかと思う。彼女のトーテムはサソリなのだろう。

日本の伝承

日本の伝承でも、「吊された女神」と「養母としての女神」が強力に習合している場合があるが、どちらかといえば「養母としての女神」の性質が強く与えられており、太陽女神的な性質も強く、独特の発展を遂げているように思う。全体としては「ヘビを食べる女神」というよりも「ヘビ神」としての性質が強いように思う。

ヘビ肉を売る女

「大刀帯の陣に魚を売る媼の語(今昔物語集巻第三十一、本朝付雑事第三十一)」

昔、三条天皇が皇太子でいらっしゃた頃、帯刀の陣に干した魚を細かく切ったものを売りに来る女がいた。なかなか美味だったので、頻繁に購入していた。ある日、帯刀たちが北野で鷹狩りをして遊んでいると、女が鞭と蔀を持っているところに出会った。女が逃げ腰になるので調べたところ、女はで藪を叩いてヘビを追い出し、ヘビを捕まえて調理し魚肉といって売っていたことが判明した。正体が判明しない魚の切り身をうかつに買って食べてはいけない、とこれを聞いた人々は言い合ったそうだ。

  • 私的解説
    日本のトーテム兼サソリトーテムの女神は「」をアイテムとする場合がある。これは「サソリの毒針」を置き換えたものだろう。日本人はマムシを酒に漬けて飲んだりするので、現代の感覚では「ヘビを食べる」ことはそれほど気味の悪い感がないのだが、ただ頻繁に食べるものではないことも確かである。(個人的にはヘビを食べたことはない。でもそのような話は、特に子供の頃は身近なこととして頻繁に耳にしていた。)

参考文献

  • 神々の物語、台湾原住民文学選5、神村徹編、草風館、2006年8月1日出版、p407-410

関連項目

脚注

  1. パイワン族は女性・男性共に頭目となることができる。