「鳴女」の版間の差分

提供: Bellis Wiki3
ナビゲーションに移動 検索に移動
 
(同じ利用者による、間の3版が非表示)
3行目: 3行目:
 
富山県南砺市(旧福光町)高宮にある比賣神社、祭神は[[下光比売命|下照姫比賣]]は雉大明神とも呼ばれ、雉子は[[下光比売命|下照姫比賣]]の使者とされている<ref>比賣神社、境内内由緒書きより。</ref>。
 
富山県南砺市(旧福光町)高宮にある比賣神社、祭神は[[下光比売命|下照姫比賣]]は雉大明神とも呼ばれ、雉子は[[下光比売命|下照姫比賣]]の使者とされている<ref>比賣神社、境内内由緒書きより。</ref>。
  
== 私的解説 ==
+
== 神話 ==
この雉は[[天照大御神]]の遣いであり、雌なので、[[天照大御神]]から別れた「下位の女神」といえる。この物語の場合、雉と矢は関連するのだが、[[天若日子]]の弓矢は[[天照大御神]]ではなく、[[高御産巣日神]]から与えられたもので、[[高御産巣日神]]の象徴といえる<ref group="私注">日本神話では「丹塗りの矢」のように男神が矢で表される物語も多い。</ref>。[[高御産巣日神]]は「木の神」であり、植物神であるので、'''彼から作り出された特別な弓矢'''が'''特別な武器(王権の象徴)'''とみなされたと考える。この場合<br /><br />[[高御産巣日神]]=植物神=弓矢<br /><br />である。[[高御産巣日神]]は天上世界に座す正規(和魂)ともいうべき植物神で、世界全体の秩序を守る性質の強い神といえる(地上を征服することが秩序なのか? という疑問はあるが、それは「地上が元々天照大御神のものである」という一応の秩序の理論で正当化されている。)<br />一方、[[天照大御神]]と対立し、根拠もなく織女を殺害したりするいわば「荒魂」の植物神といえば[[須佐之男命]]である。そのため、[[高御産巣日神]]と[[須佐之男命]]は「同一の神」の和魂と荒魂といえると考える。<br /><br />[[高御産巣日神]](和魂)=[[須佐之男命]](荒魂)<br /><br />である。鳴女を射た[[天若日子]]は[[天照大御神]]と対立した存在といえる。ということは、[[天若日子]]は'''[[須佐之男命]]の別の姿'''であり、[[天照大御神]]の命令に従わず対立する存在といえないだろうか。ここで、[[岩戸神話|天の岩戸神話]]と同様、「[[須佐之男命]]([[天若日子]])が[[天照大御神]]の化身を殺し、その結果[[須佐之男命]]も罰を受けて死に等しい結末となる」という粗筋のモチーフが繰り返される。鳴女の物語では、天照大御神にどのようなダメージが与えられたのか、その対応はどうなったのか、またダメージはなかったのか等の記載はない。
+
葦原中国を平定するに当たって、遣わされた[[天之菩卑能命]](アメノホヒ)が3年たっても戻って来ないので、次に天若日子が遣わされた。
  
[[天照大御神]]の化身を射殺した[[天若日子]][[高御産巣日神]]による還矢によって死ぬ。この点は中国神話の[[羿]]が太陽の化身である烏を射落とした結果、最終的に罰を受ける話と共通のモチーフである。[[天若日子]]の葬儀の場で、[[天若日子]]に大変よく似ている[[阿遅鉏高日子根神]]が登場する。[[天若日子]]が死んで[[阿遅鉏高日子根神]]として再生されるように思う。このように「死んで同じような姿で再生する」点は、[[天若日子]]・[[阿遅鉏高日子根神]]が共に植物神であることを示すように思う。このように植物神である点は、[[炎帝型神]]あるいは[[伏羲型神]]といえる。よって彼らは[[黄帝型神]]である[[羿]]と[[炎帝型神]]の合成神であることが分かる。「天から射られた矢」とは雷か、あるいは目に見えない「邪気の矢(疫神の矢)」であって、そのために植物がいったん死んでも、また新たに芽を出すことを表しているように思う。[[天若日子]]の妻の[[下光比売命]]は、[[阿遅鉏高日子根神]]の名を明かす歌を詠んだ、とのことである。別の神話で、[[天宇受賣命]]が[[猿田毘古神]]の名を明かしてその妻となった、との逸話があるので、[[下光比売命]]は[[阿遅鉏高日子根神]]の妻となったことが暗に示されるように思う。
+
しかし、天若日子は[[大国主神]]の娘[[下光比売命]](シタテルヒメ)と結婚し、葦原中国を得ようと企んで8年たっても高天原に戻らなかった。そこで[[天照大御神]][[高御産巣日神]](タカミムスビ)は雉の[[鳴女]](ナキメ)を遣して戻ってこない理由を尋ねさせた。すると、その声を聴いた[[天佐具売]](アメノサグメ)が、不吉な鳥だから射殺すようにと天若日子に勧め、彼は遣わされた時に高皇産霊神から与えられた弓矢([[天羽々矢]]と[[天之麻迦古弓]])で雉を射抜いた。
  
[[阿遅鉏高日子根神]]は「鉏(すき)」がその名に含まれることから杉(古名は須々木(すすき))の木の化身と思われる。杉の木は[[須佐之男命]]のトーテムでもある。よって、[[高御産巣日神]]、[[須佐之男命]]、[[天若日子]]、[[阿遅鉏高日子根神]]はみな'''同じ神'''であり、[[天照大御神]]と対立する[[須佐之男命]]であることが分かる。[[天若日子]]の妻は[[下光比売命]]なので、[[天若日子]]が[[須佐之男命]]であれば、その妻の[[下光比売命]]は[[天照大御神]]と同じ神である、といえる。鳴女([[天照大御神]])が殺されて、[[下光比売命]]に再生されたようにも管理人には思える。鳴女がどのようにして[[下光比売命]]に再生されたのかは神話では描かれない。しかし、太陽はいったん死ぬ(地平線に沈むことを指す)としても、何もしなくても次の日には再生される(地平線から昇る)ものである。そうしてまた新たに、植物神である夫の[[須佐之男命]]と永遠に戦いあう運命にあるようにも思えるのである。
+
== 私的解説 ==
 +
鳴女というのは「射落とされる神」なので、これは射日神話の崩れた話で、彼女は「射落とされた太陽」のことを指すと考える。
  
  
26行目: 27行目:
 
{{DEFAULTSORT:なきめ}}
 
{{DEFAULTSORT:なきめ}}
 
[[category:日本神話]]
 
[[category:日本神話]]
[[Category:吊された女神]]
+
[[Category:燃やされた女神]]
 
[[Category:雉]]
 
[[Category:雉]]
 
[[Category:鳥神]]
 
[[Category:鳥神]]
 +
[[Category:月神]]
 +
[[Category:射日神話]]
 +
[[Category:天若日子]]

2026年2月6日 (金) 14:40時点における最新版

鳴女ナキメは、日本神話に登場する雉の女神。天若日子に射殺される。

富山県南砺市(旧福光町)高宮にある比賣神社、祭神は下照姫比賣は雉大明神とも呼ばれ、雉子は下照姫比賣の使者とされている[1]

神話[編集]

葦原中国を平定するに当たって、遣わされた天之菩卑能命(アメノホヒ)が3年たっても戻って来ないので、次に天若日子が遣わされた。

しかし、天若日子は大国主神の娘下光比売命(シタテルヒメ)と結婚し、葦原中国を得ようと企んで8年たっても高天原に戻らなかった。そこで天照大御神高御産巣日神(タカミムスビ)は雉の鳴女(ナキメ)を遣して戻ってこない理由を尋ねさせた。すると、その声を聴いた天佐具売(アメノサグメ)が、不吉な鳥だから射殺すようにと天若日子に勧め、彼は遣わされた時に高皇産霊神から与えられた弓矢(天羽々矢天之麻迦古弓)で雉を射抜いた。

私的解説[編集]

鳴女というのは「射落とされる神」なので、これは射日神話の崩れた話で、彼女は「射落とされた太陽」のことを指すと考える。


ローマ神話にはラールンダという下位の女神がおり、口が禍して殺される。天照大御神下光比売命ラールンダのように「罰を受ける女神」として暗喩されることは、彼らの地位を「低い女神」へと移行させる操作の手法であるようにも思う。天照大御神天若日子の矢で簡単に殺されるようであれば、その地位は天若日子よりも「低い」と言わざるを得ないからである。

また、内容の類似性から、ラールンダが鳴女のモデルである可能性があるように思う。

関連項目[編集]

  • 天照大御神:鳴女の上位の女神であり、同じ女神といえる。
  • 下光比売命:鳴女と同じ女神といえる。
  • ラールンダ:ローマ神話。おしゃべりが原因で殺された女神。「見猿、言わ猿、聞か猿」の原型と言えそうな神話。

私的注釈[編集]

  1. 比賣神社、境内内由緒書きより。